2007.8.1(Wed)

レンジでチン

 身長130cmを、そろそろクリアしそうなみこりんだったが、キッチンの出窓に置いてある電子レンジには手が届かなかった。一応、踏み台に乗れば操作は可能だったが、謎の機構で作動しているようにみこりんには見えている電子レンジは、ちょっと怖いらしく、チンすることができないでいた。
 そんなみこりんにとって、今日という日は記念すべき一日となったであろう。
 ついに、独力でチンすることができたというのだ。

 夏は食べ物が痛みやすい。ゆえに、冷蔵庫に保存されることになるみこりんの食べ物類も、一人でお留守番なんて時にチンして食べることが可能となった。これまではおにぎりも冷え冷え状態のものを食べるしかなかった事に比べると、この違いはとても大きい。
 みこりんが自力で操作不能な家電製品は、これで残すところ食器洗い乾燥機と、洗濯機くらいになった…、のかな?着々と経験値を上げてゆくみこりんであった。


2007.8.2(Thr)

テラコッタ

 昼休み、みこりんからケータイに着信があったので、人気のない場所でかけ直し。
 電話に出たみこりんの言うことには、風が強くてウッドデッキに置いてあったステビアの鉢が倒れて割れたのだという。一瞬耳を疑ってしまったが、確かにステビアの鉢らしい。総重量にして10kg近くはあると思われる鉢が、風で倒れというのか。そういえば、台風がまた接近中とか言っていたような。
 どんな風に割れたのか聞いてみたところ、側面が三角形に割れたのだと言う。ふむ、かどっこでコツンといってしまったのかもしれん。どんな状態になってしまったのかとても気になったが、今現在、ステビアの鉢植えは、みこりんによってウッドデッキ奥深くに移動させられているらしい。移動可能な程度には原型を保っているというところに少し安堵しつつ、電話を切った。

 *

 早めに仕事を終え、ホームセンターに立ち寄り、鉢を物色。いずれにしても割れたままにはしておけないので、代わりの鉢が必要だ。
 今の鉢は、明るいレンガ色をしているので、同系統の色彩が欲しかった。けれども、今年はどちらかというと淡い色彩が流行りなのか白っぽい感じのテラコッタがほとんどである。10分ほど迷った末に、やや丸みを帯びたベージュの鉢に決定。980円也。

 鉢を抱えて帰宅してみると、みこりんが出迎えてくれた。たしかに風がびょうびょうと吹き過ぎてゆく。ステビアの鉢が倒れたので、みこりんは自分が育てている菊の鉢植えも倒れるんじゃないかと心配していたようだが、こちらは西向きの玄関脇に置いてあったため、風の直撃はまぬがれ無事だった。
 さっそくウッドデッキに退避中のステビアの鉢を調べてみると…、片側側面に、縦一直線にひびが入っていた。今すぐぱかっと割れてしまうことはなさそうだが、これだけ大胆に亀裂が入ってしまった鉢では、さすがに放置するわけにもいかず。やはり新しい鉢に植え替えは必至であろう。しかし、真夏という季節がちょっと気になる。根鉢を崩さないように移植するのはほぼ不可能なくらいでっかくなってるため、植え替えはできれば秋にやりたい。
 それまで鉢がもってくれることを祈りつつ、水をやっておいた。


2007.8.3(Fri)

猫と蜘蛛

 深夜、リビングで寝転んでいたにゃんちくんの挙動が突如、不審になった。
 がばっと跳ね起き、四肢を開いてふんばって、首ごと頭を左右に動かし警戒している。心なしか背中の毛が一斉に逆立っているような…
 恐怖が頂点に達したのか、にゃんちくんはダッシュで廊下方面へと消えていってしまった。いったい何事…!?

 1つ思い当たることといえば、ちょっと前に、リビングの隅っこで蜘蛛を見かけたことくらい。蜘蛛とはいっても、みこりんの手のひらにぴったり収まる程度には大きな蜘蛛だ。ゴキブリとか余裕で襲って食べそうな感じのやつ。
 それの存在を獣の勘で察知して、警戒したのかも、しれない。猫と蜘蛛なら、猫の方が圧倒的に強いはずなのに、にゃんちくんは箱入り娘で育ったので、蜘蛛が怖いのだろう。

 その後、何度かリビングに舞い戻ってきたにゃんちくんだったが、5分ともたずにまたしてもがばっと跳ね起き、しゅばばばっと爪を出したまま廊下をダッシュしてゆくのであった。
 うーん、ムカデには果敢にじゃれついてゆくのに、蜘蛛は怖いか。にゃんちくんの怖いと怖くないの境界線が、いまだに把握しきれない今日この頃。


2007.8.4(Sat)

野菜村

 どこで見つけたのか、みこりんが“野菜村”のサイトにたどり着いていて、「これやってみたい」と言っている。“野菜村”とは、その名の通り、野菜に扮して野菜達の村で暮らすMMORPGらしい。ほこほことした癒し系なキャラが、いかにも女の子受けしそうな感じだ。
 運営母体のネットマーブルのアカウントそのものは、ずっと以前にみこりん用のを取得済みなので、あとはゲーム本体をダウンロードしてインストールすればOK。さっくりと起動画面が現れる。

 キャラ作成画面にて、みこりんはおおいに迷っていた。選べるキャラは、どれも“たまごっち系”な姿かたち。みこりんのハートを鷲掴みである。
 迷いに迷った挙句、野菜の中にあってなぜか野菜ではない、“半熟たまご”を主成分とするキャラを選んでいた。つるんとしたところが愛らしい。

 夕方、私が猛烈な睡魔によってリビングで大の字になって眠っているすぐそばで、みこりんは野菜村をたっぷりと堪能していた様子。“多人数参加型オンラインRPG”なので、早くも何人かと会話したりパーティ組んでクエストをやったりしてみたらしい。
 ローマ字を習っているみこりんだが、チャットの入力は、やはり幼少の頃より親しんでいた“かな入力”のようだ。みこりん的には、相手が何歳なのか?どこに住んでいるのか?というのがすごく気になるようで、あとで教えてくれたところによれば、10代前半の子が多かったらしい。中にはみこりんよりも小さい女の子もいたのだという。
 この野菜村では、アカウント保持者の性別が表示される仕組みになっているのだが、とある名前のキャラが、女の子を示すピンク色の表示になってるにもかかわらず、「これ、じつは男の子なんよ」と、みこりんが指差してくれたりして、ネカマはいたるところに存在しているのだなぁと思ったり。…っていうか、なぜそんな情報をみこりんは知ってるのか、という事の方がちょっと気になったけれど。

 無料ゲームらしく、プレイそのものに現金は必要ではないが、アバターやキャラを華やかに着飾るにはリアルマネーが必要だ。ログインしているキャラ達のプロフィールを表示させてみると、派手と地味(というか初期装備のまま)の両極端な様子がうかがえる。いまのところ、みこりんはゲーム内通貨でなんとかしようと、地道にクエストをこなす日々のようである。


2007.8.5(Sun)

クリスタルフラワー合成

 時は来た。
 先月末、ヴァナ・ディールの地において、せっせと彫金スキルを目標の58まで上げ終え、そして昨夜遅く、クリスタルフラワーの材料に必要なガラスの素になる素材を2時間ほどかけて1ダース集め終わり、あとはただ作るだけ。

 錬金術ギルドにて、念には念を入れ、上位サポートを付けて合成開始。自分で狩ってきた素材以外は、すべて競売もしくはギルドで買ってきたものばかりのため、総額にして約70万ギルほど。実装直後はギルドでしか売ってない素材の値段がものすごい状態だったらしいのだが(買えば買うほど、翌日に売値が跳ね上がる仕様)、今は最安値で買えたので思ったほどにはかかっていない。…けど、やっぱりちょっとどきどきする。これで失敗して割れたら30分くらいは立ち直れないだろう。

 自分の銘入りクリスタルを使い、しゅごごごごご〜…

 ぼんっ、と成功!
 さっそく部屋に飾ってみた。

調度品“クリスタルフラワー”

 ちょっと地味?これで発光してたら見栄えもかなり変わってくるかも、だけど、残念ながら光り物ではなかった。
 小さくてよくわからないので、拡大してみると…

調度品“クリスタルフラワー”拡大図

 そこはかとなくうつくし…


2007.8.6(Mon)

菊の水やり

 夏休み期間中、家で育てることになっているみこりんの菊は、いまのところカリカリになることなく水をもらって、無事でいるようだ。菊の鉢の隣には、私の寄せ植えの鉢(赤いベゴニアと、白に赤絞りのポーチュラカの組み合わせ)もあったりするので、私が水やりするついでにみこりんの菊にも水をやっておこうかと思ったりする時も、ままあったりはしたのだけれど、学校の方針として親は手出ししないようにということのようなので、あえて手助けはしていない(……たまーに、密集状態になったアブラムシをテデトールしているのは秘密だ)。

 近頃はようやく真夏っぽい日々も多く、朝だけでなく夕方にも水をやっておかないと鉢土表面に敷いてあるミズゴケが干乾びてしまう。というようなことをみこりんにも言っておいたので、私が会社から帰宅してみると真新しい水の跡が残っているようになり、心強い。それに加えて、今日は隣にある私の寄せ植えの鉢にも水をやっておいてくれたようで、ポーチュラカがいつになくしゃきっとしている。
 言われなくてもお手伝いできるようになったのだなと、しみじみと感じ入った夏の夜。


2007.8.7(Tue)

腐海

 ちょっと前に気付いたのだが、2階の怪談…、もとい、階段の手すりの上に、ガラスのコップが置いてあった。これが空っぽのコップならどうということもない現象だが、そのコップの中には…、腐海があった。

 コップの中、半分ほどを何やら白っぽい液体(?)のような物質で満たされており、その上層部は多彩なカビの集団でものすごいことに。
 白っぽいものの栄養でカビは育っているのだろう。白っぽいものは、たぶん…、牛乳、もしくはヨーグルトだと思われる。
 それにしても、これほどのカビの群生は、久しぶりに見た。正月の餅にうっかりカビを生やしたというレベルを遥かに凌駕しており、ある意味、すごい。意図的なものを感じざるを得なかった。

 むろん私がコップを置き忘れたのではない。おそらくLicでもないだろう。…となると、残るは、みこりん?

 夏が始まった頃の記憶をたぐってみれば、なんとなく思い出したシーンがあった。
 たしかあの時、みこりんはこう言ったのではなかっただろうか。「カビを育ててみたい」と。

 しかしこれ以上放置してたらカビの胞子が大量に飛散してえらいことになりそうだったので、そのコップはLicによってきれいにクリーニングされたのだった。みこりんにはカビを育てたくなったら外で育てるよう言い聞かせて。

 みこりんは自分の作り上げた腐海に満足しただろうか。多彩なカビは、たしかにじっくり観察すれば飽きることのない異世界に違いない。みこりんの未来の姿を、ほんの少しだけ、垣間見たような気がしたのであった。


2007.8.8(Wed)

大学

 近頃みこりんは大学について、興味を持っているらしい。今夜もいろいろと質問攻めにあった。
 大学とはそもそも何をするところなのか。大学って面白いのか。大学では一人暮らしをすることになるのか。etc...

 おそらく大学時代が自分の人生の中で、もっとも自由であり、なおかつ有り余る若さで数日の徹夜などものともしない、充実した日々を過ごせる時代であろうと思われる。勉強にしろ、趣味のサークルにしろ。

 何年何組という特定の教室はなく、授業に応じて様々な教室が使われる。専門課程に移ると研究室に泊り込む。…というあたりがみこりんにはまだまだ謎らしく、いまひとつピンときていないようだ。
 ここはひとつ、『神戸在住』シリーズ等、読ませてみると案外すんなりと理解してもらえそうな気も。…でも、ちょっと早いかな。


2007.8.9(Thr)

夏の朝

 ふと目覚めると、リビングの白い天井が見えた。
 窓から射し込む弱々しい光。でも、夜明け間近の光は、不思議とエネルギーに満ちている。

 顔のすぐそばに、にゃんちくんが伸び伸びと寝転んでいるのが見えた。一晩中、そうやって寄り添っていてくれたのだろうか。…もしかすると、時々、ごろごろ喉を鳴らしながら私の上に乗っかっていたのかもしれないが。にゃんちくんは寝転んだ私の胸の上で寝そべるのが好きなのだった。心臓の音に、安心するのかもしれない。

 起き上がる。時計の針は、まだ午前4時ちょっと過ぎ。
 夏の早朝を、たっぷりと堪能してから、いつもより1時間早く仕事に出かけた。

 朝顔を植えておけばよかったなと、思った。


2007.8.10(Fri)

夜の狩り

 夜、網戸の向こう側には漆黒の闇がある。でも、時折、何かの音が聞こえてくる時があるので、にゃんちくんは、そのスリルを求めて、今夜も網戸の前にじっと座り、たたずんでいる。

 長い尻尾の先を、ぴくぴくと規則的に動かしながら、にゃんちくんは待っていた。
 ほどなく、じじじじじと音がして、ばさばさばさと乾いた羽音もやってくる。
 たぶんこれは、アブラゼミ。にゃんちくんは四足で立ち、体を前傾させて猫パンチを繰り出すチャンスを窺っている。
 ばさばさばさ、ぽすっ。と、セミが落下してきた模様。にゃんちくんは軽くステップを踏みながら、ちぇいちぇぃっと虚空に向かって猫パンチ。

 セミが飛び去ってゆくと、再びにゃんちくんは猫座りでじっと待つ。

 蛾、カナブン、ガガンボ、何だかよくわからない小さい羽虫。
 今宵の網戸はなかなかにぎやかである。それらの虫達がやってくるたび、にゃんちくんはひとしきりシャドーハンティングに熱中する。
 その後姿を眺めながら、今日も元気なにゃんちくんに、私は安堵するのであった。


2007.8.11(Sat)

『よくわかる現代魔法―ガーベージコレクター』

よくわかる現代魔法―ガーベージコレクター 前回の車検から半年が過ぎ、定期点検のためディーラーにクルマを持ち込み。みこりんもくっついてきていた。もっとも、みこりんの場合、この後に予定されている今年の新作水着とワンピースを買うという、もう1つのミッションの方に心は奪われたままなので、クルマにさほど興味があるというわけではなかった。

 点検は1時間ほどで終わるということだったので、私は持参してきていた『よくわかる現代魔法―ガーベージコレクター』(著:桜坂 洋)を取り出し、読みふける。現代魔法シリーズの第2巻だ。
 みこりんは併設されている子供用の遊び場で、何かをやっていたようだが、やがてそれにも飽きたのか、私の正面の椅子に座り、さっきオマケでもらった“たまごっちのポーチ”で空想を膨らませている様子。

 私は時の経つのも忘れて、本に没頭していた。1巻を読んで文章力に惹かれるものがあったので続巻も買ったわけだが、この2巻目となる『ガーベージコレククター』は、さらに一皮も二皮も剥けた感じ。カバーイラストがそっち系なので手に取る読者を最初から選んでしまっているのが残念に思うくらい、この話にはぐいぐいと引き込まれてしまう。
 幸せだった記憶があるゆえに、苦しみ、記憶を消そうとしたホームレスの男。悲し過ぎる記憶を忘れたいのに、記憶をすべてリアルなまま保持してしまう夢を見ない女。果たせなかった事を抱え込み、堂々巡りに陥っている少年。記憶を喰らう“ガーベージコレクター”のコードが実行されるに至るまでの時間は、あまりない。舞台は渋谷の街のみ。ぎゅっと凝縮されたストーリー展開は、見事である。ぞくぞくした。ぞくぞくし過ぎて、みこりんに「おとーさん、うでに鳥肌立ってるよ!」と驚かれてしまうくらい、リアルでも両腕が総毛立ってしまうほどに。

 久しぶりに、良本とめぐり合った。これはいい。

 *

 予定時刻を20分ほどオーバーしてクルマの点検は終了した。ここからは、みこりんの時間。いつもの大型スーパーにて、水着とワンピースを物色しまくり、これはと思う逸品をみこりんも選べたようだ。

 今日から9日間のお盆休み、突入。


2007.8.12(Sun)

夏祭りにて

 最寄の大型スーパーにて、夏祭りが開催される。これの無料カキ氷券をゲットしていたので、夕方、出かけることにした。実は、みこりんは露店のカキ氷には目がないのだ。

 スーパーの公式サイトの告知によれば、午後5時開催となっていたが、カキ氷券には午後6時からと記載されており、いきなり惑わしてくれたりもしたのだが、安全側で午後5時前にスーパー到着。予想に反して駐車場のスペースは割りと空いていた。日曜日のこの時間帯、いつもなら屋根のあるスペースに停めることは不可能なくらいびっしりとクルマが並ぶというのに。……もしかして午後5時開催というのは、罠なのかもしれない。
 そんなことを思いつつ、指定された夏祭り会場へと向かう。隣接するシネマ館の駐車場の一部が、夏祭り会場となっていたのだが、接近するにつれ、どう見てもまだ準備段階であることがわかる。やはりカキ氷券に書かれた午後6時開催というのが正しいらしい。
 時間まであと1時間もあったが、無料カキ氷のためなら、みこりんはとても忍耐強い。シネマ館内のファンシーグッズのお店でひたすら時間をつぶす。

 午後5時45分、会場の様子を見に行ってみると、群衆の中にカキ氷を手にした人を発見!おぉぉ、これはもしかして配布が早まったのかもしれん。みこりんもやや不安そうに館内から外に出て、会場へと移動。すると、目の前に行列が出来ていた。

 これだ。無料カキ氷の行列は、すでに50人ほどが並んでいたが、カキ氷マシン3台がフル稼働していたおかげで、さほど待ち時間もなく、我々は無事、無料カキ氷をゲットすることに成功したのであった。ちなみにフレーバーは、みこりんがブルーハワイで、私がレモン。いつもなら何味にするかものすごく迷いまくるみこりんが、なぜか今回はあっさりとブルーハワイに決めたのがちょっと謎だったが、私のレモン色した氷にも興味津々で、ほぼ半分をみこりんにつまみ食いされてしまった。みこりん曰く。「ジンジャーエールの味がする」んだそうな。

 夏祭り会場では、地元のフラダンス愛好会の方々によるダンスが披露されていた。そのMCを務める女性の声が、地元FMのナビゲータの一人に酷似していたのだが、たぶんあれは本物だったような気がする。それにしても地元のフラダンス愛好会が20団体以上あるというのにもちょっと驚き。こんな田舎の町なのに。じつはフラダンス流行ってるんだろうか。

 みこりんはフラダンスよりも、露店に並ぶ光物に視線は釘付けであった。細いチューブをぱきっと折ると全体が発光し始め、腕輪形態にできてしまうというアレである。
 3本100円のやつとか、3本200円のとか、いろいろあったのだが、結局、みこりんはその中でも、もっとも基本的な3本100円(ばら売り)のと、パッケージに封入されてちょっと高級感漂う3本200円のやつを、それぞれ1セットずつ買う事にしたようだ。団子とか焼きそばとか、食べ物系はまったく眼中になかったらしい。

 光る腕輪を買えたことで、みこりんはすっかり満足してしまったようで、我々は夏祭り会場をあとにした。祭りそのものは、このあと午後10時過ぎまでやると言っていたので、まだまだこれからが本番と思われたのだが、みこりんにとってはそんなことよりも光る腕輪を、安全に家に持ち帰ることが第一だった模様。なぜかといえば、明日からの帰省で、その腕輪を従姉妹達に見せてあげるべく、いかに折れないようにカバンに詰め込むかで頭がいっぱいだったらしい。

 でも結局、詰め込み作業中、ちょっとした拍子に“ぱきっ”と2本ほど折ってしまい、発光が始まってしまった。黄色と紫の2色の腕輪だ。みこりんはちょっと無念そうだったが、まだ4本残っているからと自らに言い聞かせ、今光っている2本の腕輪を楽しむことにしたようだ。
 風呂に入るとき、明かりをすべて落とし、その発光する腕輪2つだけにすると、とても幻想的な雰囲気になることをみこりんは発見し、おおいに満足していた。なかなか前向きな姿勢が、みこりんの成長を示しているといえる。

 風呂上り、残り4本が、カバンの中で折れないよう、みこりんはさらに梱包に改良を加え、万全の準備を整えていた。みこりんが使ったのは、学研の付録に付いて来た望遠鏡の三脚として使われていた細いパイプである。ちょうどその中に、腕輪が入ることに気が付いたみこりんは、自信満々である。
 願わくば、途中で折れたりしませんように。


2007.8.13(Mon)

帰省

 先週の金曜日にJRの指定席をどうにか確保することに成功したので、帰省することにした。自由席でのお盆時期の帰省は、若かりし頃に何度か経験したが、座席の奪い合いで神経すり減らすのと、混み混みの車内で暑さに耐えて立ちっ放しという過酷な状況は、もうこりごり。4時間以上乗ってないといけないので、指定席の確保は最優先事項なのであった。

 みこりんは二日くらい前から、荷物の梱包を始めており、気合十分。私のデイパックよりも大きなカートに、ぎっしりと詰め込んである。もちろんその中には、昨日買ってきた光る腕輪も入っていた。今のところ、折れてはいないようだ。

 にゃんちくんの世話をLicに託し、みこりんと共に駅へと向かう。日中の気温が最高となる時間帯ゆえ、猛烈に暑い。駅のホームで待ってるだけで、汗がだらだらと体中から吹き出し、それだけで体力の50%ほどを消耗したような気分になる。でも、車内の空調はほどよく冷えており、思ったほどローカル線が混んでなかったのが幸いだった。
 岐阜経由で名古屋着。ここから新幹線で岡山を目指すことになるわけだが、みこりんは指定の列車がN700系かどうか、とても気にしていた。あの独特なデザインがみこりんの琴線に触れるらしいのだ。
 待つことしばし、やがてするすると列車が入ってくる。車体は望みどおりN700系。車内も広々、振動もさほどなく、快適そのものである。

 みこりんはカートから多彩なペンを取り出し、たまごっちのイラスト描きに夢中になっていた。私は“現代魔法シリーズ”の第3巻、『よくわかる現代魔法―ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ』を読み進める。
 みこりんが時折、車窓から一瞬見える景色についてコメントを求めてくるので、そちらのフォローも忘れずに。でも一瞬しか見えない景色なので、私が顔を上げた時にはすでに流れていってしまった後だった、なんてことしばし。

 *

 岡山で、四国へと上陸すべく特急しおかぜに乗り換え。こちらも指定席があるので、無問題。車体は先ほどまでのN700系とはうってかわって狭く、シートもちっちゃくなってしまうが、みこりんの体格ならば、まだまだ2人掛け座席でも余裕があった。
 ちょっと早めのお弁当で空腹を満たすと、二人して爆睡。もはや本四架橋も、普通の景色と成り果てた。

 がばっと気が付いたときには、到着予定時刻の5分前。あやうく寝過ごしてしまうところであった。あぶないあぶない。
 目的地の駅は、子供の頃の記憶とは違って妙に小さく改築され、駅前の風景もがらりと様変わりしてしまっており、もはや郷愁など微塵もない。でも、みこりんは小さな従姉妹達に会えるのを楽しみにしているので、よしとする。
 実家では、相変わらずでかい黒猫が我が物顔で部屋の中を徘徊していたが、10歳を目前に控えたみこりんは、少しも動じることはなかった。


2007.8.14(Tue)

渚にて

 瀬戸内の海は、島が多い。波も穏やか。しかもここは遠浅の海水浴場。浜茶屋健在である。
 みこりんはもはや浮き輪の必要もなく、一人でばしゃばしゃと泳げるようになった。プールでも25mは余裕らしいので、足の立つ遠浅の海ならば、特に問題なさそうだ。小さい従姉妹達は、まだ保育園で言うところの年中さん、年少さんなので、浮き輪必須。付き添いのおとーさん、おかーさんも、必須である。
 私は、みこりんが泳ぐのを時々チェックしつつ、ぷかりと仰向けに浮かび、真夏の空を眺めてみる。視界のはしに、白い入道雲あり。
 あぁ、これぞ夏。

瀬戸内の海


2007.8.15(Wed)

スライム作り

 近くの科学博物館にて、お盆特集の催し物をやるというので、弟家族と一緒に出かけることにした。近くといっても、高速道路が出来たから相対的に近くになっただけで、私が地元を離れる頃、つまり高速道路なぞ微塵もなかった頃には、とても近場とは言えない場所である。20年も経てば、いろんな事が変わる。

 催し物の目玉は、科学工作で、その中の1つに“スライム作り”があった。これにみこりんが食いつかないはずはなく、午後から始まるそのひとときを、朝から楽しみにしている様子。それゆえに、それまでのつなぎとして見たプラネタリウムとか、科学の展示等には、いまひとつ興味が乗ってないような感じだった。まぁたしかに、プラネタリウムはちょっと小さい子向けすぎた感があり、星空の美しさ、宇宙の神秘に触れるには少々遠かった。逆に科学展示の方は、みこりんにとって学研等の様々な本やWebやTVで知ってるものばっかりだったようで、こちらもやや新鮮味がなかったらしい。でも、例えば滑車の種類によって同じ重さのものでも引っ張り上げるには加える力が変わる等の、身をもって体験するコーナーでは、ちょっと興味を惹かれたらしく何度も自分でやってみたりもしていた。

 館内のレストランが、みこりんの大好きなバイキング形式だったこともあり、スライム作りへのテンションは、いよいよ高まっていく。
 開始30分前にはスライム作りコーナーに到着。まだ人はさほど集まってはいなかったが、それから10分ほど経った頃には、ずらっと行列が出来ていた。みこりんの位置は先頭から2番目。なかなかいい位置だ。

 行列の先頭から右手方向に自作コーナーの机が並んでいるのだが、どう見ても行列の人数を収容しきれるとは思えない。この時点で行列の数は80人、いや、もしかすると100人くらいはいたかもしれない。スライム大人気である。
 いったいどうやってこの人数をさばくのか興味津々で見守っていると、それぞれの机の上に、左から順に水、糊、ラメ(これは飾り用)、飽和ホウ砂水溶液の順にカップが並べられていく。行列の先頭位置にあるテーブルには、空のプラスティックコップと割り箸、それにジップロックが用意されていた。……なるほど、流れ作業的に順に進んでいくと完成する仕組みか。

 いよいよ時間になって、列が動き始めた。プラコップは大きい子用、ジップロックは小さい子用だったらしい。みこりんは、プラコップ。従姉妹達はジップロックを手に、進んでゆく。
 まず、水。これには最初から色がついていて、みこりんは白を選んでいた。白ならば、あとで自分好みの色を加えることができるからということのようだ。なかなか思慮深い。
 続いて糊、きらきらのラメ、ホウ砂と続き、その間、手は休まず割り箸でかき混ぜかき混ぜ。ジップロックの従姉妹達は小さい両手でもみもみ。
 あっという間にスライムの完成である。2年前、七夕会でスライムを作った時には30分くらいかけて出来上がったような気もするが…、えらい違いである。

 だがしかし、みこりんの表情がさえなかった。どうやらスライムの手触り感がいまひとつらしい。聞けば、最初に水をプラカップに入れてくれたボランティアの子が、焦ったらしく半分くらいしか水を入れてくれなかったのだという。あれだけの大人数をさばききるには、大人でも大変だと思われるので、致し方あるまい。がっかり気味のみこりんだったが、ここで諦めるはずもなく、実家に持ち帰ったあと、自ら水を足し、練り混ぜて、思い通りのスライムに仕上げてしまっていた。うーん、おそるべし。


2007.8.16(Thr)

帰還

 帰りの列車の座席も、すべて指定がとれているので、特に焦る必要もなく、来た順を逆にたどって我が家まで。新幹線が“ひかり号”だったため、各駅に停車するのがみこりん的には新鮮だったらしい。普段停まらない駅をまじまじと見つめ、「新幹線って、いっぱい駅あったんやね」と驚いていた。こういう機会でもなければ見られない光景なので、私もみこりんと一緒になって見入ってしまった。もったいないというか、なんというか複雑な思い。

 夕暮刻。
 我が家へ帰還。

 リビングにて、長々と伸びていたにゃんちくんが、「おかえりにゃー」と小さく鳴いた。元気そうだ。留守の間、にゃんちくんの面倒を見ていてくれたLicに感謝。


2007.8.17(Fri)

マーブルポイント

 帰省していた折、みこりんの誕生日が近いということもあって、そこそこの現金を手にしたみこりん。もちろんすべて私の財布の中に厳重に保管されているわけだが、みこりんにはどうしても使ってみたいものがあるようだ。

 最近みこりんが始めたネットマーブルや、その中のゲームの1つである“野菜村”で使えるマーブルポイント(MP)への変換だ。この手の無料ゲームにつきものの、アバターの衣装とか装備品は、マーブルポイント(MP)、つまり現金で購入せねばならないのだが、どうやってお金をマーブルポイント(MP)に変換すればよいのか、みこりんには理解不能で途方に暮れているのだった。

 そんなみこりんを見て私は、誕生祝の意味も込めて、マーブルポイント(MP)に変換してやることに決めた。「で、いかほど変換すればよいかの?」と聞けば、「うーん…」と悩んだ結果、「ちょっとだけでいいんだけど…」と遠慮がちに言う。お小遣い制ではないため、自分がどのくらいのお金を使うべきなのか、いまひとつ把握しきれていないのかも。
 「じゃぁ、とりあえず切りのいい所で1000円は?」と問うと、OKが出たので、さっそく手続きにとりかかった。複数ある支払い方法の中から、もっともお手軽そうなクレジットカード払いで実行。アカウントの名義はみこりんになっているのに、私のクレジットカードが使えるのか疑問だったが、特に問題なく変換できてしまった。ふむ、入るもの拒まずということだろうか。

 マーブルポイント(MP)は1円が1MPに相当する。1000円を変換しても、1000MP。おしゃれ装備を頭の先から爪先まで揃えるにはまったく足りないが、それでもみこりんにとっては始めてのマーブルポイント(MP)が、うれしいらしい。
 何を買おうか随分と迷っていたようだが、結局、100MPほど使って何かの小道具を買った模様である。なかなか堅実なみこりんであった。


2007.8.18(Sat)

エアコン稼動

 リビングに置いてある温度計が、34度を維持したままかれこれ数時間。さすがに頭がぼーっとし始めたので、今年初めてとなるリビングのエアコンを作動させることにした。滅多に作動させないので、リモコンを探し出すのに10分ほどかかってしまったが、ボタンを押すと無事にエアコンは、「こぉぉぉぉ」と冷気を吹き出し始めたのであった。

 もとの室温が高いので、設定温度は25度に。徐々に冷気がリビングの中を満たしてゆくのが感じられる。
 この隙に、昼食を用意。火を使うと体感温度は、ぐぐっと上がる。うどんが茹で上がるまで10分ほど辛抱したのち、コンロの火を止めた。
 茹で上がったうどんをザルに移して水でざかざか洗い。これでもかと冷蔵庫から氷を取り出し、ざらざらとまぶし。冷やしうどんの完成である。

 私は今ひとつ食欲がなかったので、みこりんにうどんを任せ、心地よくなってきたリビングに寝転び、うとうとと…。

 ふっと気付いた時には、体は冷え冷え状態になっていた。エアコンの設定温度を25度にしたまま寝入ってしまえば、こうなってしまうのも必定。温度計は室温26度を示していた。起き上がると、肋骨がぎしぎしと痛んだ。冷えすぎである。

 エアコン停止。ふと食卓を見やると、冷やしうどんにまぶしてあった氷の大部分が、原型を留めたままなのに気が付いた。どうやら局所的にものすごーく低温になってた模様。そのことをみこりんに話して聞かせると、ひどく面白がってくれた。エアコン恐るべし。


2007.8.19(Sun)

こなぷん

 夕方、突然激しい雷鳴と共に、大粒の雨がばらばらと落ちてきた。夕立など、ずいぶん久しぶりのような気がしたが、庭の植物達にもようやく恵みの雨。ありがたく頂戴しよう。

 夕立が上がった頃、みこりんの誕生日が近いので外食に出かける。その後、プレゼントを買うべく、先日オープンしたばかりの巨大ショッピングモールへと向かった。
 駐車場の中に普通に道路が通ってるようなでかさである。クルマを停めるだけで、かるーく迷子になってしまいそうだ。

 みこりんには以前からどんなものが欲しいのかそれとなく聞いて知ってはいたものの、いざ買うとなるとかなり迷っていた。
 3つくらい候補があって、その中のどれにするかで決心がつきかねている模様。その中にあって、最有力候補であるバンダイの“こなぷん”シリーズの並んだ棚に、みこりんが欲しい種類の品がないらしいのだ。売切れてしまったのかも…
 だがここは巨大ショッピングモール。おもちゃを売ってるのは、その店だけではなかった。散策がてらたどり着いた、とある家電量販店の中に、それはあった。みこりんが欲しかった“こなぷん”のセットが。しかもさっきの店より2割も安い。というわけでこれに決定。親族から預かっているお祝い金などもあるので、みこりんの欲しがっていた3種類を購入した。こなぷんを使うと、本物そっくりな食べ物(の模型)が出来上がる。でもこれは食用ではない。パッケージにも“食べられません”と注意書きがあったが、ついついかじってみたくなるほどの完成度らしい。ミニチュア好きなみこりんに、ぴったりのアイテムとも言える。

 それにしても、この“こなぷん”、プレスリリースによれば約20年ぶりにリニューアルされての発売ということらしい。…20年前、バブル絶頂期の頃か。そう思うと、なにやら懐かしくもあり。実際に当時、見た記憶はないんだけど。


2007.8.20(Mon)

タイヤ交換の日

 工数がなければ仕事にならない。うちの部署が使う予定だった工数は、どこかのブラックホールに吸い込まれ、消えていくらしい。そんなわけで、有給休暇の取得が奨励されていることもあり、午前中、半日休暇を取って、昨日パンクしたLicのクルマをオートバックスまで持っていってきた。持っていったといっても、かついでいったのではなく、自走していったのである。このクルマのスペアタイヤの出番も、これで2回目だ。

 最寄のオートバックスの開店時間をWebサイトで調べておいたのだが、午前10時半だった。タイヤ交換に45分くらいかかると予想されるので、あまり時間的に余裕はない。開店即入店できるよう時間を合わせて家を出たというのに、開店早々のピットには早くもクルマが何台か入っていた。もしや10時半というのは罠だったのでは…

 なんてことを思ったりしつつ、ケータイにメモったタイヤのサイズを見ながらうず高く積まれたタイヤコーナーを物色していると、さっそく店員さんに声をかけられた。やはり開店早々というのは、店員さんの気合の入り方も違ってるのかもしれない。
 タイヤのサイズと車種を告げると、お買い得品を勧められた。他に選択肢もないようなので、それに決定。さっそくピット作業にとりかかってもらうことにする。作業時間は、やはり40分以上はかかるらしい(車検も近いのでついでに4本とも交換)。ピットの空き待ちで15分加算されるため、約1時間か。なんとか午後からの仕事には間に合いそうだ。

 1時間ほど、向かいの大型スーパーで買い物などして時間をつぶし、店に戻ってみると、クルマはまだピットの中にあった。ちょっとどきどきしつつカー用品コーナーで光モノを眺め、さらに時間をつぶし。時々ピットを覗いて出来上がりのチェック。
 やや時間をオーバーして、ようやくクルマが出てきた。おぉぉ、タイヤが黒光りしている。まるで濡れたように艶のある黒だ。う、うつくし。
 まさかこの高気温で溶けたりはしてないだろうな…、と思わず心配になってしまうほどの艶っぽさだ。外気温は早くも35度を軽くオーバーしているらしい。今日も暑い一日になりそうだった。


2007.8.21(Tue)

爪切りとムース

 今更ながらだが、にゃんちくん用の爪切りを買ってきてみた。にゃんちくんは爪が伸びてくると、爪を噛んで自分でなんとかしてしまうため、これまであまりその必要性を感じていなかったのだけれど、最近、畳の上で爪を研ぐ快感に目覚めたらしく、このままだと畳がえらいことになってしまいそうだったので購入に至ったというわけである。ついでに抜け毛がよく取れるようになるというムースも一緒に。

 まず爪切りを試してみよう。リビングで伸びているにゃんちくんにぐぐっと接近。いつものように耳の後ろとか狭い額を撫でてやりつつ、あくまでもさり気なくそっと脚先を手に取り、爪をにゅーっと。
 一番カギ爪状態になってる親指の爪を、ぱちんと切った。根元には神経やら血管が通っているので、深爪にならないように気をつけて。
 にゃんちくんは一瞬びくっとしたが、ダッシュで逃げていったりはしなかった。でも、やっぱりなんか違和感があったのか、今夜は二度と爪を切らしてはもらえなかったのだった。脚先に触ると妙に警戒されて…。ま、そのうち慣れてくれるだろう。

 ところでムースの方だが、いつものようにブラシを手に近づくまでは問題なかった。が、ブラシにムースをぶしゅぅぅぅぅっと盛り付けたあたりで、にゃんちくんは猛ダッシュで視界から消え去っていってしまった。こっちはちょっと慣れてくれそうな気がしない。何かうまい方法を考えないといけないようだ。

 ちなみに、畳の上での爪研ぎだが、簡単な方法で回避できることが判明した。
 その方法とは…、畳の上に、猫用の爪研ぎ板を置いてやること。じつに安直な手だったが、にゃんちくんは畳よりは専用の(しかも新品の)爪研ぎ板の方が研ぎ心地がよかったようで、畳への執着は消えた。結局のところ、自分のケージに置いてある爪研ぎ板まで戻るのが面倒だったわけだな。


2007.8.22(Wed)

冷凍人間

 みこりんは“世界の仰天ニュース”系な番組を好む。今夜は、冷凍人間の話。死後、肉体を冷凍保存し、遠い未来の超テクノロジーで復活を遂げる、らしいのだが…
 DNAを用いたクローンというならまだ話もわかる。でも、頭部のみ保存しておいて、記憶の再現を試みるというのは、ちょっとどうかな。人間の記憶って、電池が切れると消えそうな気もするが。

 みこりんも人体のクローン再生というキーポイントはなんとなく理解しているようだが、頭部だけ保存というのは思いっきり謎のようだ。体をクローンで再生して、冷凍保存していた頭部をくっつける、みたいなイメージを思い浮かべている模様。そりゃまぁ確かに、謎だなぁ。

 ところで冷凍保存といえば、中学時代のある事件を思い出す。
 所属していた科学部の部室は、理科準備室だった。そこにはなぜか冷蔵庫も置いてあったりしたのだが、中学生ゆえ何か食べ物を買ってきて保存しておくなんてことはしておらず、いつも中は空っぽのまま、延々とその冷蔵庫は何を冷やすでもなく稼動し続けていたのだった。
 そんなある日の事、我々科学部員は、信じられないものを冷蔵庫の、冷凍室に発見したのである。

 半分ほど水の入ったプラケに入れられたアメリカザリガニ。
 もちろん水は凍っており、中のザリガニもかちんかちんに水もろとも凍りついていた。

 なぜこのようものがここにあるのか。いったいこのザリガニはどっからやってきたのか。謎が謎を呼ぶ不思議な現象に、部員達の気分は次第にヒートアップしていき、ついに誰かがこんなことを言い出したのだ。

 「この凍ったザリガニを自然解凍してみようではないか」

 冷凍保存された生物は、果たして解凍したとき、復活するのか。なんだかマッドサイエンティストもどきな実験に、部員達の瞳は爛々と妖しい輝きを放っている。
 そんな瞳に見つめられつつ、凍ったザリガニは、室温で徐々に徐々に、ゆっくりと凍りは水へと変貌を遂げ、数時間後には完全に解凍状態に至ったと思われる。

 「動かないな」

 誰かが言った。
 たしかに、ぴくりともしない。呼吸している気配はなさそうだ。
 意を決して、誰かが指でつついてみることにした。
 ちょん。
 だらんと垂れ下がったハサミ。
 誰が見てもこれは、ただの死体だった。

 こうして冷凍生物の解凍実験は失敗に終わった。
 その後、ザリガニは校庭の隅の木の根元に、お墓をつくって葬ってやったことを記憶している。

 遠い未来には、(高等な)冷凍生物の蘇生もできるようになっているのかも、しれない。


2007.8.23(Thr)

その後のスイカ

 庭の片隅ですくすくと育っていたあのスイカがどうなったのか、忘れないうちに書いておかねばなるまい。

 スイカは、結局、お盆休み最後の日曜日、収穫した。連日の灼熱地獄で太陽面を向いていた皮が日焼けして、ちょっと焦げ始めていたのがその主な理由だ。大きさは、あの写真を撮った時から、さほど変わらず。本体の茎や葉っぱは、大半が消滅しかかっていて、もうぎりぎり、あとちょっと遅かったらとても食用には適さない状態になっていたものと推測される。

 収穫はみこりんの手によって行われた。日焼けした側が、ちょっとぶにっとしてることをみこりんは気にしていたのだが、冷水で十分冷やしてから、さくっと包丁で真っ二つにしてみたところ、普通に赤いスイカだったので心底安堵していた様子。

 真っ二つの片方を、みこりんが、残りを私とLicで分けて食べた。味は、ほどよく甘く、失敗作ではなかった。
 みこりんが手にしている半球状のスイカは、中身をスプーンでちょっとほじくりかえし、他のフルーツなどまぜ、その上からサイダーをかけてちょっとしたデザート状態になっていた。みこりんの両手で持つのにちょうどいい大きさだったというのも、みこりんの好奇心のツボを刺激してしまったものと思われる。

 みこりんのスイカは、その後、中身をほぼ食べ終えたあとも、さらに器としてサイダーをなみなみと注ぎ込まれ、冷凍室へ。
 しゃりしゃり状態のサイダーのシャーベットと、スイカの絶妙な味を楽しんでいたようである。

 今年はたまたま大玉スイカが小玉スイカになってしまったからよかったようなものの、来年からはちゃんと最初から小玉スイカを買ってくるとしよう。それと、肥料が問題だ。おそらく今年のは途中で肥料切れを起こして生育が止まったのではないかと思われる。
 来年の目標、1株で最低3玉。やってみようと思う。


2007.8.24(Fri)

“野菜村”にて

 みこりんが“野菜村”の、中国版や韓国版のサイトを見つけてきていて、日本のと違いを比べてみている。中国版は一応漢字が使われているので、なんとなく雰囲気が掴めているようだが、韓国版の方はハングルなので異国の雰囲気がぷんぷんとしている。しかも、トップを飾ってるスナップショットというか画像が、リアルタイプな野菜村キャラで、微妙に可愛くないところもみこりんには気になっているようだ。
 各国版は、単に言語をローカライズしただけではなく、ゲームシステムもちょっといじってるっぽい、とみこりんが言っていた。同じ村の風景でも、日本のと違う点があったらしい。ふむ、妙に凝ったローカライズだな。
 ちなみに、アカウントは各国別々管理らしく、みこりんのアカウントでは韓国版にはログインできなかったようだ。

 ところでみこりんは今、“野菜村”の中では先日買ったばかりの“トマティ”の姿でいることが多い。期間限定しかも数量1000個までというアイテムで、そのプリティな姿にみこりんのハートはいちころだったらしく、どうしても欲しいというので買ってやったのだった。まぁ、ちょうどみこりん用の誕生日プレゼントとして現金が手元にあったというのも、大きな理由の1つではあるのだけれど。ちなみにお値段、3000MPである。
 トマティ買うと付属してくるアバター用の飾りに合う、ピンクの帽子なんかもちゃっかり買ってるし、どんどん“野菜村”にはまっていきつつあるみこりんであった。


2007.8.25(Sat)

TSUTAYA DISCAS

 TSUTAYAが始めたネット予約型の宅配レンタルサービス“DISCAS”に、登録してみた。今なら最大1ヶ月無料キャンペーン中だったから、というのもある。1ヶ月のうちに休会してしまえば、料金は一切発生しない。これを利用せずして、何を利用せよというのか。

 というわけで、普通のレンタル屋さんに置いてないようなマイナー系を探す……。が、思ったほど品揃えは豊富ではなさそうだった。いや、最近の作品は確かに豊富にあるけど、私が狙ってるのはかなり昔の作品だから。それでもどうにか「こ、これは!?」と思うようなのを見つけたので、予約リストに乗っけておいた。無料期間中、Aプランなら8枚まで借りることができるため、予約リストにもぎりぎりの8枚ほど。
 真っ先に届くことになっているのは『幻想水滸伝』のサントラ2枚組みである。本当は『幻想水滸伝II』のサントラを借りたかったのだけど、残念ながらそれはなかった。ついでに、『マクロス・ゼロ』のサントラもなかった。たぶんお試し期間が終わったら、休会してそのままになってしまいそうな予感がひしひしと。

 普通のレンタルショップと比べて料金が格別に安いというほどのものでもないし。固定料金制のMプランならちょっとは元はとれそうだけど、私がコンスタントに月8枚以上借りそうかというと、とてもそんなことにはならないわけで、ほとんど意味はない。ただ、スポットレンタルで、どかっとシリーズまとめてオトナ借り、なんて時には役に立ちそう。


2007.8.26(Sun)

ナシの皮むき

 「ナシ食べる?」と、朝から頻繁にみこりんが問いかけてくるので、何かあるなとは思っていたのだが、じつはみこりん、ナシの皮むきが出来るようになっていたのだった。いわゆる螺旋剥き。てっぺんからくるくると回しながら剥いてゆく技だ。
 ちょっと前までは、例えば野菜の皮むきなんかだと、削り落とすような感じに切り落とす技しか習得してなかったはず。いつのまに螺旋剥きを会得したのだろう。そういえば、1週間ほど前に、自宅に植えてある花桃の実を、妙に皮剥いて食べたがっていたが、すでにあの時から螺旋向きに対する自信のようなものがあったのかもしれない。

 最初から最後まで皮が切れないように剥くのが、当面の目標らしい。もちろんまだ部分的に皮の厚みが3ミリくらいあったりするのはご愛嬌。じきにもっと上手くなるにちがいあるまい。
 というわけで、本日はナシを2個ほど剥いてもらい、食べることが出来たのだった。暑い時期は、きんきんに冷やしたナシが心地よい。

『ウルフガイ(1)』

ウルフガイ (1) 1980年前半に中学生・高校生やってたSF好きな人なら、もはや説明の必要もないであろう平井和正の名作、少年・犬神明が登場する『狼の紋章』に始まるウルフガイ・シリーズを原作とするのが、今回発売となった『ウルフガイ (1)』である。
 作画は1985年あたりから平井作品には欠かせない泉谷あゆみ。彼女のイラストは小説の挿絵では何度も見たが、コミック作品となると、私には記憶がない。果たしてどんな作品に仕上がっているのか。原作の雰囲気ぶちこわしなんてことはないと思うが…、ちょっとどきどきしつつ、今日届いたばかりのページをめくる。

 一気に最後まで読んだ。1巻なので、まだ続きがあるのがもどかしい。原作が37年前の作品なだけに、現在では当たり前のケータイとかそういう小道具が当時は存在してなかったが、そういう現代風アレンジが絶妙に効いている。絵の作風は、彼女らしくもあり、ちょっと雰囲気違うかなと思うような部分もあるが、全体的に平井作品というイメージは壊れていない。でも絵柄の好みはかなり分かれそうな予感。

 人狼というと、西洋の狼男のイメージの方が世間では一般的だと思うが、平井作品における人狼は、ああいった化け物とは正反対の、犬神の名の通り、孤高の神秘的存在として描かれているので、“狼男”というキーワードだけで拒絶しそうになったら、ぜひ踏みとどまって読んでみて欲しいと思う。ぜひ原作の方も…。


2007.8.27(Mon)

マザーボード到着

 私のPCと、LicのPCのマザーボードを新品に交換したのが、1年と8ヶ月ほど前のこと。その時に、本来ならLic用のもう1つのPCのマザーボードも交換しておくべきだったのだが、予算の都合で後回しにした。そのPCは、現在、みこりん用のPCとして現役稼動中。ところがそのPCに、最近、いきなり意識不明に陥ってしまうという現象が頻発していた。主に、みこりんがネットゲームの“野菜村”をやってる時に、それはよく発生するようだった。

 こういう場合、想定される故障の原因としては、やはりマザーボードの劣化(特に電解コンデンサあたり)が挙げられるだろう。もともとが1年8ヶ月前に新調していてもおかしくない状態だったのだから、これまでよくもってくれたというべきか。
 というわけで、マザーボードを交換することにしたのだが、これのCPUソケット形式はSocketAである。現在の主流はSocketAM2であり、SocketAのマザーボードとなると、もはや中古でしか入手できないのではないかとさえ思えるような状況だった。しかし、中古では意味がない。この時期にわざわざ旧式を選択するということは、さらにあと3年くらいはSocketA世代のCPU、メモリ、グラフィックカード、ハードディスクを維持するということなのだから。経年劣化した中古で1年少々もたせるくらなら、今、新世代の仕様のやつにすべてとっかえた方がましである。でもそれだと懐にちょっと厳しい。ゆえに、やはりSocketAタイプの新品を探さねばならなかった。

 果たしていまどきそんなものが残っているのか。私も驚いたのだが、とあるネットショップで1種類だけの在庫だったものの、SocketAのマザーボードの新品があったのである。というわけでさくっと注文。送料込みで7000円也。

 そいつが今日、無事、到着した。
 みこりんも興味津々で箱の中を覗き込んでいる。これと交換すれば、自分のPCがフリーズする現象がなくなると知って、喜んでいるようだ。週末にでも、みこりんの眼前でマザーボードの交換作業をしてみせてやろうかと思う。


2007.8.28(Tue)

赤い月

 皆既月食の夜、欠け始めたと思しき時刻にみこりんと共に宇宙を見上げてみたが、濃密な雲に遮られて、その存在を確認できず。みこりんは月が赤くなるのをとても見たがっていたけれど、この空模様ではちょっと不安な予感…

 月の全体が地球の影に隠れたと思われる頃、再度、みこりんと夜空を見上げてみた。
 南東の空高く、うっすらと細い三日月状のものが見える。すでに影から離脱しつつある状況のようだが、相変わらず分厚い雲に覆い隠され、微妙な色彩の妙がまったく観測できず。おそらく影の部分は、赤銅色をしているに違いないのに。む、無念…

 みこりんと皆既月食を初めて見たのが、今から7年前の2000年7月16日のことである。当時はみこりん、まだ3歳。月食の記憶も残ってはいまい。
 次回の皆既月食は、3年後の2010年12月21日らしい。次こそは必ず、晴れますように。


2007.8.29(Wed)

白煙

 アイスと一緒に持ち帰られていたドライアイスが、流し台の中でしゅうしゅうと白煙を上げている。スモーク発生装置のようだ。
 二酸化炭素は通常、空気中の酸素や窒素よりも重い。従って、白い煙も立ち上ってはこずに、ゆるゆると流し台の底に溜まってゆく。

 ふと思い立って、マッチを1本、しゅっとこすって火をつけてみた。その様子をみていたみこりんが、白い気体に引火するのではないかと危惧したか、「おとーさん、火事にならんようにしてね」と心配そうに言った。私は、みこりんにこの炎がどうなるかよく見ておくよう言い、白い気体の中にマッチの火をそろーりと差し込んでゆく。

 炎が白い気体に触れたのとほぼ同時に、生気を抜かれたかのようにマッチの炎は消滅した。

 みこりんは今日、ドライアイスに消火能力があることを知ったのだった。


2007.8.30(Thr)

『喰霊 0巻』

『喰霊 0巻』 『喰霊 (4)』(作:瀬川はじめ)の帯に付いていた読者プレゼントに応募したのは、たしかまだ夏が始まる前だったような記憶がある。400円の郵便小為替を同封しての応募者全員プレゼント企画、『喰霊 0巻』。なかなか届かないので、応募用紙に住所と名前を書き忘れたのではないかと本気で心配したこともあった。そして、徐々にそんなことさえ忘れかけていた今日この頃、角川書店から届いた茶封筒の中に、これが入っていた。

 あぁ、忘れられてはいなかったんだ。

 連載開始よりも前に、読み切りとして雑誌に掲載された3作品と、作者による当時の振り返り、初期設定資料等。連載時に、設定等もすべてゼロにリセットされたと書かれてある通り、読み切り3作品にはある種の既視感が漂っており、何やらとても懐かしい感じがする。作者の力量が徐々に増してゆくさまを見るのは、いいものだ。

 『喰霊 5巻』は10月末発売予定らしい。順調そうで、なによりである。願わくば、雑誌休刊などのあおりを食らって未完のまま終了なんてことにはなりませんように。


2007.8.31(Fri)

眠る猫

顔を隠して眠るにゃんちくん リビングの片隅で、こんこんと眠り続けるにゃんちくんのこの姿が、みこりんの笑いのツボにずっぽりとはまったらしい。どうも目の上を前脚で隠しているのが、みこりん的にはどうにもたまらなく可愛く見える模様。

 なぜ目を隠すのか。もしかして蛍光灯がまぶしいから?いろいろと謎を残しつつも、にゃんちくんは思いっきり寝入っているので、写真に撮られているのにも気付かなかった。いつもなら相当気をつけていないと、おそるべき獣の勘で察知されてしまうというのに。…すぎゆく夏に、ちょっとブルー入っちゃってるんだろうか。猫だけに、なんとなくそんなことを考えてみたり。

 ちなみに、にゃんちくんが下に敷いているちっちゃい毛布は、みこりんが赤子の頃に愛用していた品である。寝心地のいいものは、動物も人も、同じらしい。


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