2006.12.9(Sat)

ネットゴースト

 みこりんが学校の図書室で借りてきた本を、しきりに薦めてくれるので、ひょいと手にとりページを開く。タイトルは『マジックショーは死のかおり―平成うわさの怪談〈9〉』(小暮正夫、国松俊英 編)、みこりんお得意の怪談ものであった。

 目次を見ると、12篇の小作品を集めて1冊の本にまとめてあるらしい。
 最初の話は、『インターネットはあの世の入口』(石崎洋司 著)。MMORPG、いわゆる多人数参加型のネットワークゲームを題材にした“怪談”であった。
 ネットワークゲームを実際にやったことがないと、あまりピンとこないかもしれない。だが、初版2004年という時代背景を考えるに、もはや子供たちの間ではネットワークゲームは一般常識化しており、特別なものではなくなっているのだろう。

 ネットワークゲームで知り合った“友達”が、じつは………
 という展開に、ふっと“ネットゴースト”という言葉を思い出す。

 “ネットゴースト”、懐かしい言葉だ。
 90年代、まだインターネットが一般に普及する以前、パソコン通信全盛期の頃、夜な夜なチャットにはまっていたという人ならば、おそらくこの意味するところは語らずとも感覚的にわかってしまうのではないだろうか。
 ネットの向こう側で、チャット画面に表示されているテキストを打ち込んでいるのが、本当に生身のヒトだと、どうしてわかる。もちろんオフ等で知ってる間柄ならまったくそんな心配もないけれど、チャット空間には突如として見知らぬ人がやってくることもある。それが真夜中で、部屋の灯りを落とし、ブラウン管の発光だけがこの世のすべての光であるかのような状況だと、雰囲気としては申し分ない。

 でも、そのうち本当にネットゴーストのように振舞うコードの断片が、インターネットに放たれるかもしれず…。そうなってくると、ネットゴーストなのか、ただのコードなのかという新たな問題も出てきそうで、なかなか愉快な世の中になりそうである。

 みこりんに借りた本は、1時間ほどですべてを読み終えることができた。これまでの体験談風な学校の怪談シリーズよりは、物語としての完成度はかなり高くなってきている。さすが中学年対象図書だ。
 みこりんが薦めてくれた理由が、なんとなくわかったような気がした。


2006.10.1(Sun)

『低俗霊DAYDREAM』

 ふっと目覚めると、外はすっかり明るくなっていた。枕元の時計を確認すると、針はすでにお昼を回ろうとしている。
 「寝過ごしたっ!」と一瞬ピンチになりかけたが、じわじわっと今日が日曜であったことを思い出し、ほぅっと安堵する。エンドレスな悪夢を見ていたせいか、曜日感覚、時間感覚がずれまくりだ。

 階段を下りてゆくと、リビングにはLicとみこりんがいた。窓の外は、雨。朝からずっと降っているらしい。昨日晴れたのは、もしかするとものすごく運が良かったのかもしれない。
 みこりんが「晴れたら、チューリップの球根植えたい」と言っているが、降り続く雨は、容易には止みそうになかった。

 風邪の治りきっていないLicが、「寒い寒い」と訴えつつ、寝室へと消えていった。リビングに残された私とみこりんは、にゃんちくんと遊びつつ、時間を過ごす。
 そこへ突如、来客を告げるインターホンが鳴った。ダッシュで逃げ去るにゃんちくん。
 みこりんは、誰が来たのかわかっているようだった。「あのね、宅急便が来たんよ」と言っている。玄関ドアを開けると、たしかにそこには宅急便屋さんが立っていた。みこりんおそるべし。どうして宅急便とわかったのか。これも夢で見たというのだろうか。

 宅急便で届いた箱は、Amazonからのお届けモノだった。先月末にぞくぞくと新刊が出たので、送料無料になるまで冊数をためて、一気に注文していたやつだ。
 箱を分解し、中身を取り出す。こんな雨の日曜日には、『低俗霊DAYDREAM (9)』がお似合いだ。みこりんがエレクトーンの練習を始めた横で、黙々とページをめくる。

 どよーんと沈んだ灰色の空が、心の中にじわじわとしみ込んで来るような、独特の静寂感は健在だった。このテンションの下がり具合が、またなんとも言えず心地よい。次回でおそらく最終巻。いい感じだ(でもすごく読み手を選ぶと思う)。
 奥瀬サキ(奥瀬早紀)の作品は、やはり20年ほど昔に『低俗霊狩り』で出会って以来、ずっと買い続けているのだが、死んでなお残る人間の執念とか怨念とか切なさとか、どうしようもなく残酷な現実世界とか、まるで砂を噛むような独特の味わいが個人的にかなりツボにはまっている。次回作にも期待しよう(参考リンク:奥瀬作品のまとまったページ)。

 ところで、読み終わった『低俗霊DAYDREAM(9)』に、なぜかみこりんが惹かれて困った。どうも表紙に書いてある“霊”という文字に反応しているらしいのだが…。トイレの友として置いてある『喰霊』は、みこりんが見ても大丈夫だが、さすがにこっちはちょっとまずい。というわけでとっとと書棚に撤収。「みこりんが見たら怖くて夢に見るよ」と言ったのも、よけい好奇心に火をつけたかも。それにしても、みこりん、怖い系好きだな。


2006.9.17(Sun)

おまじない

 夕方、最寄のスーパーにみこりんのノートを買いに出かけた。
 国語と算数は、毎日ドリルの宿題があるので、ノートのページもすぐに足りなくなってしまうのだった。

 文房具コーナーにて、ノートを物色。いつもはジャポニカ学習帳みたいな派手な表紙のを買ってたように思ったのだが、今日はシンプルな、いかにも“ノート”っていう感じの素朴なタイプをチョイスしていた。しかもバラで買うと割高なので、3冊セットになってるやつを。
 うんうん、そういうノートの方がお姉さんぽくていいぞ。

 目的の品をゲットしたので、夕食をはさみ、適宜自由行動へ。みこりんはもちろん『たまカップ』狙いだ。そろそろ秋仕様のカードが登場しているかもしれないと言っていたのだが、残念ながら夏仕様のままだった。
 はじめてみこりんと対戦モードでやってみた。…が、惨敗を喫してしまった。ゲームそのものの難易度は子供用ということもあり、わりと容易な部類に入ると思われるのだが、どうもカードスキャンで使用する“応援”と“アイテム”に秘密がありそうな感じ。その組み合わせを日々研究しているみこりんと、適当に選んだ私との違いかもしれない。

 続いて本コーナーに行きたいというみこりんを護衛するため、一緒に移動。
 子供向けの本を集めた棚のところで、『学校のコワイうわさ 新花子さんがきた!!〈3〉』を発見。この前買ったのが2巻なので、こっちの方が新しい。てっきりみこりんはそれを買うだろうと思ったのだが、「買わない」と言う。なぜか?
 みこりんは言った。
 「…怖い夢を見るから」

 やはり、あれは怖すぎたらしい。
 いや、なんというか、ちょっと安心した。

 替わりにみこりんが買ったのは、『おまじない』の本だった。“見たい夢を見る方法”とか、いろいろ載っているらしい。よほど怖い夢を見たのだろう。

 帰宅後、さっそく本のとおりに、おまじないの紙を準備しているようす。これを枕の下に入れて寝れば、自分の見たい夢が見られるのだそうな。
 おまじないの効果は如何に。


2006.9.11(Mon)

“首シーソー”

 夜、『新 花子さんがきた!! (2)』を読んでいたみこりんが、「これ、こわいやろう?」と言うので、何気に見てみると……

 半端じゃなく、ぞくりときた。「み、みこりん、それ怖すぎ…」
 そのシーンは、“首シーソー”という題名の短いお話(漫画形式)の中に出てくる。

 宵闇迫る学校で、先生が校庭で遊んでいる二人の子供の姿を見かける。早く帰るように声を掛ける先生。以前、同じように夕暮れまで遊んでいて急いで帰ろうとした子供が二人、急いで道に飛び出し、車にはねられ…。
 説明口調の先生。
 その時の子供は死んだ。一人は腕が取れ、もう一人は頭が取れ。

 「先生、とってー」と、飛んできた物体。両手でキャッチする先生。
 「ナーイスキャッチ」声は、その物体から…。
 展開はものすごいわかりやすい。次は絶対あれだ。その物体が、じつは“頭”だったりするのだろう。
 そう事前に予想でき、心の準備もできているというのに、次のページにどどんと描かれている“頭”というか“顔の表情”は、果てしなく不気味だった。一瞬、両腕の体毛がぶわっと逆立ったくらいに。

 こういう系統のビジュアルにはある程度、耐性が出来ていると思っていたのだが、今回はすっかりしてやられてしまった。
 でも、みこりんは「こわいやろう〜」と、なんだか楽しそうである。みこりんはぜんぜん怖くないんだろうか。とても気になったので聞いてみたのだが、「こわい〜」とは言うものの、なんかちょっと“怖い”ニュアンスが違うような気がしないでもない。怖いのを楽しんでいるというかなんというか、気色悪い怖さじゃなくて、興味深い怖さ、みたいな。

 あとでさらに詳しく聞いてみたところによれば、「本に書いてある事は本当のことじゃないから怖くない」とのこと。うーん、そういえば、以前にも同じようなことを言っていたな。
 本当のことじゃないとわかってても、怖い絵とか写真とかはあるように思うのだが、みこりんの場合は、怖いのを楽しむ余裕みたいなものがあるらしい。現実世界ではすごい怖がりのみこりんなのに。
 ちなみに、“首シーソー”を描いた青木智子さんは、この手の子供向け怪談本で結構名前が出てくるようなので、怪談本愛読者のみこりんにはある程度“耐性”が出来ていたのかも?(その次のお話“ブザーが鳴る曲がり角”の挿絵も、かなり怖かったのだが、やはりみこりんは「こわいやろう?」と、ぜんぜん余裕っぽかった)


2006.9.9(Sat)

『水惑星年代記』

水惑星年代記 表紙に惹かれて買った本、もう1品。『水惑星年代記』(作:大石まさる)、こちらは出版されてちょっと日が経っていたので、Amazonにて入手。

 この本には、登場人物がリンクしている前作があり、そちらの題名は『空からこぼれた物語』という。残念ながら、すでに絶版。しかし、どうしてもこれは読んでおかねばならないであろうという確信のようなものがあったので、ネット古本屋にてこちらも入手した。

 宇宙が好き、星空を見上げてるといつのまにか時間を忘れてる、そんな症状のある人には、たぶんこれはツボにはまると思われる。ちなみに個人的には『空からこぼれた物語』の方が、なんというか“若さ”を感じてよかったかな。『水惑星年代記』も、もちろん悪くはないのだけれど、やや洗練されちゃったなーみたいなところが、ちょっと気になったくらい。
 続巻が出るようなので、今後にも期待。


2006.9.8(Fri)

届け物

とかげ 1 探していた本は、結局bk1で買った。送料が本体価格(580円)の約半分したというのは、とりあえず見なかった事に……。Amazonには未だ在庫はなく、ユーズド商品の価格が1280円(!)というのに比べたら、ぜんぜん安いし。

 『とかげ (1)』(作:灰原 薬)、これだ。
 う、うつくしい表紙。素手で触るのがためらわれるほどに、つややかな黒。そして、もっとも惹かれるのが、その魅惑的な瞳。このカバーだけ取り外して飾っておきたいほどに。

 さて、中味はどうだろうか。表紙倒れなんてことは、できれば勘弁願いたいところだが…。

 霊の視える少年。死ねない“とかげ”。そしてまたしても環境省の特務機関か。近頃は環境省が定番なんだろうか。まぁそれはそれとして、中味の方もわりといい感じ。少女の死体に入り込んだ“とかげ”は、不気味というよりは、それとは正反対の雰囲気を醸し出していて、憎めないヤツ。重い呪いを背負っているのだが、そこはこの表紙キャラが外観なので、無問題。寺の住職も飄々としていて、よいアクセントになっている。

 どことなく夢枕獏の伝奇モノな雰囲気が漂っているような気もする。菊池秀行的な伝奇モノとは双璧をなす、どっちかというと静かな感じの。

 表紙中味ともにOK。買ってよかった。


2006.9.5(Tue)

妖怪退治今昔

 昨夜は機嫌よく眠りについたみこりんだったが、今朝もまた、“どよーん”とした黒い影をしょって起きてきた。朝になると不調ってことは、もしかして…。
 気になりつつも、出勤。

 *

 そして夜、仕事から戻ってみると、みこりんは、いつものみこりんだった。
 Licによれば、特に学校がイヤとか、そういうのはないらしい。ふむ、するとやはり寝起きが悪いだけなのかも?

 たしかに、朝とは打って変わって明るい表情のみこりんである。嬉々として日曜に買ってきた花子さんの本について、しゃべってくれている。
 「花子さん、強いよねぇ」と言うので、「そうやねー。でも昔は妖怪退治といったら、鬼太郎か、どろろんえん魔くんだったんやけどねー」なんて答えると、みこりんは一瞬真顔になって「鬼太郎って、げげげの鬼太郎?」と聞いていた。
 いかにもその鬼太郎のことだと答えると、みこりんは言った。「おとーさん、妖怪ポストに手紙出したことある?」

 鬼太郎とコンタクトを取りたい場合には、おもに妖怪ポストが使用される。しかし、そのような事をなぜみこりんが知っているのか。ひょっとして今も鬼太郎って現役ばりばりなんだろうか。そんなことを思いつつ、「いや、それはないなぁ。とーさんが知ってる頃の鬼太郎って、ちょっと怖い感じだったから」
 そう言うと、みこりんはたいそう驚いた様子だった。たぶん、みこりんが知ってる鬼太郎っていうのは、リメイクされた方の鬼太郎なんだろうなぁ…。私がはじめて鬼太郎をTVで見たときは、まだ白黒で、おどろおどろしい雰囲気が漂っていたものだ(単に私が幼すぎただけかもしれないが)。

 花子さんを呼びたい時にも、何か作法のようなものがあるらしい。そして謎の存在、やみ子さん。やみ子さんは、花子さんより強いらしいのだが…、やはりみこりんとの会話を成立させるには、私も『花子さん』シリーズを読破せねばならないようだ。


2006.9.3(Sun)

探し物

 月の初めには、地元の本屋さんに出向くことになっている。みこりんが毎月楽しみにしている『小学3年生』の新刊を買うためだ。それともう1つ、みこりん用に定期購読している『たくさんのふしぎ』を受け取るために。
 でも今日はその前に、寄る所があった。例の古本屋(というか古モノ屋)だ。

 その本と出会ったのは、先月のこと。新刊置き場に積んであったその表紙に、ぐぐっと魂を吸い寄せられた。だが、表紙につられて衝動買いして後悔したことは数知れず。散々迷った末に、結局、その本は買わずにおいた。
 しかしその後も気にはなっていたので、bk1やAmazonの書評など参考にしつつ、機が熟すのを待った。買っても後悔しない。たとえ失敗したとしても、それはそれでよい。そう思えるようになるまで待った。
 そしていよいよ買う決心がつき、Amazonで検索してみたところ、無常にも表示される『在庫切れ』の文字。bk1には在庫があった。でも、送料がかかるので1冊だけの注文は避けたい。そこで地元の本屋を数軒回ってみたのだが、あの表紙には二度と出会うことはなかった。

 古本屋の広大な駐車場は、ほぼ満車状態になっていた。誘導員が“満車”の看板を手に持って移動している。なんて数だ。こんなマニアックな店に、これほどの需要があるというのか。衝撃を受けつつも、ようやく駐車スペースを探し当て、停車。みこりんの手を引き、入店する。

 店内は人でごった返していた。私のもっとも苦手とする人ごみだ。それでなくとも週末は疲れた体でエネルギーも消耗気味なのだから、とっとと本を探し当てなければ。
 みこりんは『たまカップ』のカードをチェックしている。レアカードの値段が半額ほどに下がっていると指摘していた。ふむ、たしかに。供給量が増えたか、あるいは買い手がつかなかったか。その両方かもしれない。
 持参してきていた『たまカップ』の重複カードを、みこりんは売ってみたいらしい。100円で売られているノーマルなカードばかり、3枚。「たぶん売っても1枚10円くらいだよ」と念を押したが、それでもいいと言う。ま、こういう体験もいいか、というわけで、人ごみをかき分けつつ買取カウンターへ移動。

 買取カウンターのお兄さんにカードを3枚渡した。
 他の買取希望の人が、すごい量の本やら古着やら持ってきてるのとは、あまりに対照的な図。はたしていくらになるのか。

 「こちら1枚、5円になりますが、よろしいでしょうか?」

 5円かー。3枚で15円。でもまぁそんなもんだろうなぁ。というわけでOKする。身分証を手渡し、書類に必要事項を記入し、受け取り欄にサイン。ん?受け取り額が20円になってるけど?
 「こちら端数になりますので、5円サービスとなっております」
 なるほど。
 書類を受け取り、店内レジへと向かう。だがそこには長蛇の列が。見ただけで、頭がくらっとしてしまう。そこで、先に目的の本を探すことにした。でも、みこりんは本コーナーには行きたくないらしい。天井まである高い本棚に挟まれた、狭い空間が苦手なんだろうか。みこりんはゲームコーナー、カードコーナーと見て回り、最後にフィギュアコーナーで落ち着いた。ここなら飽きそうにないから、ここで待つのだとみこりんは言った。

 私はダッシュで本棚の間を駆け抜けつつ、ずらっと並んだ本のタイトルを高速に瞳でサーチする。ところどころ興味を惹かれるタイトルに誘惑されつつも、今は目的の本だけを探し当てるのが最優先事項。
 …しかし、なかった。私の求める本は、ここにも置いていないようだ。

 みこりんの元へと引き返し、いまだ列の途切れないレジに並んだ。意外に子供連れが多い。ラブ&ベリーのカードも売ってるので、それ目当てなのかもしれない(おしゃれな子供にはわりと興味を示すみこりんだったが、なぜかラブ&ベリーはまったく気にならないらしい。みこりん7不思議の1つである)。
 ようやく順番が回ってきて、書類と引き換えに20円ゲット。一瞬みこりんに20円渡そうかな、と思ったけれど、『たまカップ』のゲーム代は全部私かLicの財布から出てるので、そのまま財布に20円ちゃりん。みこりんに特に不服そうな様子も見られない。なるほど、重複カードがカードフォルダに入ってるのが邪魔だったんだな。

 古本屋を出た。どっと疲れがのしかかる。
 太陽はかなり西へと傾き、夕暮れの気配。昼間の暑さが急速に冷めていっているのがわかる。
 さて、次は本屋さんだ。駐車場を出て100mほどの場所にある。こちらはさきほどの古本屋とはまったく対照的に、閑散とした雰囲気。あぁ、この静けさに癒される。でもこんなに閑散としてて大丈夫なのか、という不安も少々。

 私とみこりん、それぞれに目的の棚へと散り、本を探す。
 新刊コーナーには、やはりなかった。既刊コーナーに、新刊がたまに混ざってることもあるが、探している本は第1巻、しかも(ほぼ)新人。やはり既刊コーナーにも、なし。
 探している途中で、1冊の本に目が留まった。『リーンの翼 (1)』、カバーイラストにちょっと惹かれるものを感じる(ちなみに絵は大森倖三という人の作)。背景に描かれているオーラバトラーのデザインは気に食わなかったものの、人物の方はけっこういい感じかも。本自体はビニールで包まれており、中を確認することはできない。しかし、これのルーツたる『ダンバイン』に、はるか昔少なからずはまった身としては、押さえておいてもいいんでは…
 また在庫切れになってもなんだし。というわけで、買い。みこりんを呼びに行く。

 みこりんは『小学3年生』の10月号を小脇に抱え、子供の本コーナーを彷徨っていた。何かを探しているようなのだが、まだ見つかっていないらしい。「もう少し待って」というので、小説コーナーをしばし散策。

 やがてみこりんが両手に本を持って、駈けて来た。探していた本が見つかったらしい。1つは『小学3年生』、もう1つは…、『新 花子さんがきた!! (2)』。これか。怪談系好きだな、みこりん。怖がりなのに。怖いもの見たさってやつだろうか。
 レジでピッしてもらい、帰宅。
 体の不調を訴え、寝ていたLicは、やや復活した感じ。私も本屋さんで癒されて、古本屋で消耗したエネルギーはかなり取り戻せた感じ。

 夜、『リーンの翼 (1)』、読了。………、かなり微妙。昔、初めてバイストンウェルから地上界に出たオーラバトラーに感じた、震えがくるほどの戦慄は、そこにはなかった。『ダンバイン』体験のない今の人なら、これに何か感じるものはあるのかもしれないが…、うーん。
 みこりんはみこりんで『花子さん』に夢中のようだ。こっちは“当たり”だったらしい。あとでこっそり読ませてもらうとしよう。


2006.8.30(Wed)

MOON LIGHT MILE

 仕事でちょっと煮詰まってしまったので、帰り道、ふらりと地元の本屋さんに立ち寄ってみた。『MOON LIGHT MILE (13)』(作:太田垣康男)が新刊で出たのは知っていたのだが、Amazonで買うには1冊だけだと送料かかるしなぁ…、などと思っていたので、さくっとその場で平積みになってるやつを手に取った。今日買う、今すぐ買う。

 さらに、Amazonではちょうど品切れになっていた『ネムキ 増刊 百鬼夜行抄特集号 2006年 09月号』も、雑誌コーナーで平積みになってるのを発見。これも今日買う、今すぐ買う。

 通販だと、このレジまで持っていく言い知れぬ緊張感とか、本を探し出す手間とかがやや希薄かもしれない…。

 で、『MOON LIGHT MILE (13)』を、帰宅後、さっそく読む。
 あぁ、なんというか、ちょっと『王立宇宙軍〜オネアミスの翼〜』入ってる感じもしつつ、でも基本的にこういう系統の話は大好きなので、すべて問題なし。いやリアルの日本じゃ有人宇宙飛行なんて、たぶん私が生きてる間にはとても実現しそうにないし…。せめてフィクションでは熱くなりたい。

 月、か。近くて遠い天体。これもみこりんの孫の孫くらいの世代になったら、ありふれた普通の場所になるのかも…


2006.7.24(Mon)

古本屋に行った理由

 禁断の古本屋に到着。
 ここができたのは、4〜5年前のこと。大型ホームセンターが撤退していった後に新装オープンした店なので、かなりでかい。駐車場も野球が2試合同時にできるほど広い。そして扱っている品も、古本は言うに及ばず、古CD、古DVD、古フィギュア、古レコード、古楽器、古着まで揃っている…、ということだった。
 そう、じつは私はこの店に来るのは初めてなのだ。

 来たら絶対はまってしまう。それはほぼ確信めいた予感であった。だから、あえて避けてきたのだ。しかし、そうも言っていられない事情ができた。

 私が、わかつきめぐみの作品に初めて触れたのは、1989年のこと。ちょうど就職した年だ。技術系新入社員の強化研修が3ヶ月ほど行われるということで、はるか神戸の地にて合宿中の身であった。
 平日は朝昼夜関係なく実験と勉強。休日はあったが、娯楽はなく、暇を持て余し気味。足がないとどうにも不便というわけで、バイクを持ち込んでみたところ、ちょうどいい距離にほどよい規模の本屋があった。そこで手にしたのが『So What 1巻』だったというわけである。

 学生時代、ハヤカワ文庫とか平井和正、夢枕獏、士郎正宗といった系統に偏っていた私の身を心配したサークル仲間が、下宿に大量の少女漫画系のコミック類を置いていった時期がある。その作戦はかなり成功し、私はそれまで書店の巡回コースに入れていなかった少女漫画系のコーナーに拒絶反応を示すこともなくなり、なかでも内田美奈子の作品にはどっぷりとはまってしまっていた。

 そういう経緯もあって、わかつきめぐみ作品との出会いは必然とも思えるほどしっくりときたのであった。
 研修を終えるまでに、入手可能な『So What』は揃え、研修が終わってからも本屋のチェックは欠かさないようにしていた。ところが、仕事の都合で数年間のブランクが出来てしまった。再度わかつきめぐみ作品に再会できたのは、『ご近所の博物誌』からだった。
 私の書棚には、1989年以前と、1991年〜1993年までの空白が生まれていた。

 リアル古本屋やオンライン書店&古書店で、見かけるたびに隙間を埋めるようにしてきたが、いよいよ入手困難なものが出始めて、このままでは一生出会えないのではあるまいか、とさえ思えてくるような始末。Amazonの1円出品はなんだかとても危険な匂いがするし…

 というわけで、禁断の古本屋に、ついに足を踏み入れることにしたのである。
 今日もみこりんはくっついてきていた。ここにくるまでに“たまカップ”で1戦してきたことは、言うまでもない。

 店内は、所狭しとあらゆるものがディスプレイされていた。はいってすぐに古着、古楽器。そしてど真ん中に古フィギュア各種詰め合わせ。
 カード類もあった。…、ということは…。
 「たまごっちのカードがあるよ!」と、みこりんが興奮して教えてくれた。“たまカップ”で使うカードだ。真剣に見入っているみこりん。1枚100円、定価だ。しかしその横のガラスケースに厳重に守られて陳列されていたカードは最低価格が500円からとなっていた。最高で約7000円。
 みこりんは、この中で1000円のやつと、500円のやつを1枚ずつ持っていると言った。みこりんは不思議がっていた。“たまカップ”のマシンで買うと一枚どれでも100円だ。それがなぜここではこんな値段になっているのかと。

 レアカード(というか強力なカード)は、みんな欲しがるからこんな値段でも買う人がいるんだよ。そして、ここが肝心。これらのカードは、持ってた人がお店に買ってもらってここに並んでいるのだということを教えてやった。
 「じゃあ、みこりんのこのきらきらカードって、1000円で買ってもらえるの?」
 うーん、1000円よりは少ない値段だけど、100円よりは多くもらえるだろうね。

 みこりんは今日、新しい事を1つ学習した。

 古本は奥の棚に並べられてあった。出版社別、作者別に分類されているので、目的の品は、さほど迷わず見つけ出すことに成功していた。

  • 『月は東に日は西に 1&2巻』
  • 『トライアングル・プレイス』
  • 『グレイテストな私達 2巻』
  • 『黄昏時鼎談』(1992/3版)

 以上。かなりの豊漁。狙いすましたかのように『グレイテストな私達 2巻』が残っていたことを感謝しつつ、店を出る。ここは魔力に満ちた場所だが、みこりんには少々危険な箇所も存在する。用が終わったらとっとと撤収が吉。

 残るは『ぱすてるとーん通信 1&2巻』。探さねば。


2006.6.16(Fri)

『アバラ』

 ちょっとまえに『アバラ』(作:弐瓶 勉)を買ってみたので、その感想など。
 この本との最初の出会いは、地元の本屋さんの新刊コーナー。平積みになっていたのだが、黒々とした表紙が、かなり異彩を放っていた。新刊コーナーは立ち読み禁止区域なので、その時は手に取らず。帰宅してから、さっそくWebにて情報収集。結局、今回もAmazonにて手配することにした(地元の本屋さんにもPCは置いてあったが、レジ内にあるので客は使えない。立ち読み禁止にするなら、検索手段を用意しておかないと、どんどん客を逃がすことになるのでは?)。

 届いた本のページを開き、折込の絵を見て、「あぁ、なるほど、ギーガーか」と思い、はじまりを見て「80年代のサイバーパンク・コミックっぽい」印象を受けた。いずれも私にとっては、とても懐かしい思い出があるので、悪くはない。むしろ楽しみ。
 ちなみにギーガー(H.R.Giger)の画集は、2冊持っている。貧乏な学生時代には買えず、働き始めてから買ったものだ。画集はいずれもでかすぎて本棚におさまらず、今も本棚の上に寝かせて置いてある。

 アクションシーンは実写でいうと雨宮慶太のいいとこどりしたような具合で、空間をダイナミックに活かして動くため、各コマは静止絵なのに緊張感がピーンと張り詰めて心地よい。絵の描き込みは、大友克洋や士郎正宗に比べると、ちょっと雑な感じは受けたが、その荒削りなところがこの人の持ち味かもしれない。

 ストーリーは、やや読者を置いてけぼりにする感ありだが、そこは想像力でカバーするというのが、この本の楽しみ方なのだろう。まったくぜんぜん謎、というわけでもないし。“雰囲気”を味わうには、このくらいが丁度良いのではなかろうか。

 とはいえ、読者を選びそうな本ではある。
 今回は買って正解だった。たぶん次作が出ても買うだろう。


2006.5.26(Fri)

人喰いネズミ

 夜毎みこりんに読んで聞かせていたゆりくまさん』、読了。
 物語後半、赤ちゃんがネズミに目をつけられてしまったあたりから、いい感じにホラーになってきて、個人的にはとても面白く読めた。
 ネズミが赤ちゃんを喰いたくて喰いたくて、ついに襲い掛かってきて、ゆりくまさんがどうにか撃退したものの、今度は集団で襲いに来て、ゆりくまさんはズタボロに引き裂かれてしまう…。思わずみこりんも、「ゆりくまさん、どうなっちゃうの?」と心配してしまうほどに。

 でもラストは、ほんわかとハッピーエンド。B級ホラーにありがちな、「じつは恐怖は終わっていなかったのです」的描写もなく、子供にも安心な読後感。単に擬人化されたぬいぐるみが主人公という領域を越えた、不思議なリアルさと安心感(描写こそ少ないが赤ちゃんの父母による絶対的な守護)に満ちたお話だった。

 あと10年くらい経ってから、みこりんがこのお話のことをどんなふうに覚えているのか、ちょっと聞いてみたい衝動に駆られた。


2006.5.15(Mon)

『ゆりくまさん』

 先日『チキン・リトル』を読み終えてしまったので、今夜から読み聞かせの本は『ゆりくまさん』になった。みこりんが自室の本棚から発掘してきたのだが、いつ買ったのか記憶が曖昧だ。もしかすると、実家から贈られてきた本なのかもしれない。

 絵本を思わせるラブリーな表紙を開き、目次のチェック。長すぎず、短すぎず、音読するにはちょうどよい構成かもしれない。
 読み始め。
 くまのぬいぐるみが登場する。夜のデパートを、てけてけと徘徊するゆりくまさん。…想像すると、ちょっと怖い。どうして動けるようになったのか、なぜ言葉を話せるようになったのかが、淡々と語られてゆく。なんだか妙にリアルで鳥肌が立った。
 “ゆりくま”という名前も、ちょっとあやしくてよい。意味がありそうでなさそうで、つい語源を探求しそうになる。

 みこりんもいつになく聞き込んでいるようす。
 そして、ゆりくまさんに天啓が訪れた。やがて産まれて来る女の子に逢うために、ゆりくまさんは夜のデパートを抜け出した…

 想起されるビジュアルが、記憶の底の方をちりちりと刺激する。とても懐かしいような、それでいてある意味新鮮なこの感じ。ゆりくまさん、侮り難し。


2006.5.11(Thr)

暗いの怖い…

 夜、みこりんがひとりで眠るようになって、はや1週間。夜中に怖がって泣き出すこともなく、ベッドから落ちることもなく、でも時々妙に早起きになったりはするものの、今のところ大きな問題はなさそうに見える。

 寝る前の本の読み聞かせは、リビングで。そろそろこの『チキン・リトル』もエンディングが近づいてきた予感。エイリアンの子供は、無事に両親のもとへ帰れるのか。私も続きが気になっていたのだが、みこりんもやはり気になってたようで、私がちょっと目を離している隙に、数ページにわたり黙読されてしまっていたのだった。
 「つづき、ここから」と、みこりんが指差してるのは、すでに事件が解決したあとのページ。何がどうなったのかすごく気になりつつ、みこりんの指定したページから読み始め…、ってこれもしかして最終章じゃん。
 「おーしまい」で読み終わり。起承転結のうち、転のクライマックスシーンが、スコーンと抜けたまま終わってしまった…。満足げなみこりん。はぉぉぉ。

 「おやすみー」とリビングを出て、すったかたったったーっと、2階に駆け上がっていくみこりん。先週まで一人じゃ階段も上れなかったとは、とても思えないその姿。
 つよくなったな。部屋が2階に移動しただけで、こんなにも変わるものなのか。子供の成長は、まさにあっという間だ。日々、驚きに満ちている。


2006.4.16(Sun)

『21世紀こども百科 しごと館』

 庭の花桃が満開に。みこりんが「さくらー!」と駆け寄り、花びらを1枚ぷちっと摘んで、唇に当て、ぶぃぃぃーっと鳴らしている。「それ桜じゃなくて、桃だからね」と指摘しつつ、二人でクルマに乗り込んだ。はらはらと散った桃の花びらが、フロントガラスを鮮やかに彩っている。
 発進。加速するにつれ、一枚、また一枚と花びらは剥がれ落ち、団地を抜けた時には、一枚も残ってはいなかった。昨日の雨とは打って変わって、ものすごい晴れ。太陽がまぶしい。

 『ファインディング・ニモ』を読み終えたので、次なるみこりんの就寝前に読む本を買いに、地元の本屋さんまでお出かけ。途中、ホームセンターに寄り、にゃんちくんの猫砂等を購入。ガーデンコーナーにて、夏野菜の苗がわんさかと売られているのを見つけ、ついふらふらーっと吸い寄せられ…。気が付いたときには、4つの苗を買っていた。香川県産のナス、デルモンテのトマト、京都のキュウリ、普通の伏見甘長。種まきが失敗した時の保険用だ。少なくともこの4種があれば、夏の食卓も華やかになろう。

 本屋さんにて、各自自由行動。みこりんは絵本コーナーへと消えてゆき、私は新刊コーナーを仔細にチェック。一番目立つ場所に、『F.S.S. XII』が山と積まれていた。久しぶりの新刊だからなぁ。私ももちろん買う予定だが、ここでじゃない。
 ぐるっと棚をめぐっていると、ちょっと気になる表紙を発見。『乙女ウイルス (1)』(著 鈴菌 カリオ)。立ち読み防止のためビニールを被せられているので、どんな雰囲気(話)なのかぜんぜんわからないが…、あとでWebで調べてみよう(試し読みはコチラ)。

 小説の新刊コーナーではめぼしい物はなし。みこりんがこもっているはずの絵本コーナーに向かう。
 みこりんは買うものが決まったらしい。手に握られていたのは、『チキン・リトル』だった。最近みこりんはディズニー作品(それも比較的最近のやつ)がお好みのようだ。それとあわせて、図鑑。NEOの新刊『人間いのちの歴史』と、同じく小学館の21世紀こども百科『しごと館』の2冊を比べてどっちにするか決めると言っていたが、残念ながらNEOの新刊は売られていなかった。そこで、『しごと館』の方に決めたのだが…、値段を見てちょっとびっくり。3990円!。

 みこりんが困ったような表情をしていたのは、このためか。予定では2000円くらいのはずだったから。
 ちょっと高いが…、将来の夢を考え始めたみこりんには、この図鑑はちょうどいい。買おう。

 家に着くなり、みこりんはさっそく図鑑を開いて熱心に読み始めた。私が菜園1号に買ってきた苗を植え込んで、リビングに戻った時にも、まだまだ読み続けていた。ものすごい集中力だ。
 やがて、ぱたんと本を閉じ、みこりんは顔を上げた。読破したようだ。結構分厚い図鑑だったが、もしやみこりんにはLic得意の速読の術が受け継がれているのかもしれない。
 何の職業が気に入ったのか、聞いてみたいような気もしたが、あとで本人からこっそり教えてもらうまで我慢我慢。
 予想では…、音楽教室の先生もしくは宇宙飛行士、なのだが、謎多きみこりんなので、度肝を抜かれるようなのを考えているかもしれず。楽しんで待つとしよう。


2006.4.14(Fri)

『瞳で殺せたら』

 みこりんも寝静まった金曜日の夜は、明日の憂いなく思う存分夜更かしができる貴重な時間。といっても、激しく何かに没頭するというよりは、まったりと過ごすことの多い今日この頃。例えば、FFXIにログインして街角にたたずみ、行き交う人の群れを観察し、聞こえてくる会話にさりげなく耳を傾け、といった具合に。

 ところが今夜は、いきなりFFXIへの接続が切れ、ログイン不能になってしまった。でも普通にネットサーフィンはできるので、FFXIのサーバ側に何らかのトラブルが起きているのかもしれない。
 待っていれば、そのうち回復するだろう。その間に、オンライン書店bk1の新刊情報メールで見つけた、気になる1冊をチェック。『霊感少女・再来』(著 はざま もり)。

 bk1の書籍情報のページで見た表紙絵に、なにやら激しく惹かれるものがあり、中の作画がどうなっているのか興味を持った。Lic情報によれば、いわゆる普通の少女漫画系なタッチらしいのだが。この表紙絵とLicの知ってる昔の作品とでは、かなり絵の印象が違うっぽい。
 試しに同作者の既刊本をチェックしてみたところ、何冊かが電子書籍として販売されているのを見つけた。こちらの表紙絵の雰囲気は、最新刊のものとかなり似ているようだ。試し読みできれば私の知りたいことはすぐに解決するのに…。残念ながらデータは公開されていなかった。

 オンライン古書店で在庫をチェック。……1冊もなし。
 Amazonでチェック。新品はあまり在庫なし。在庫のあるものだと1冊630円ほどの値段。
 さきほどの電子書籍版は、1冊315円でダウンロードできる(おそらく電子書籍版は、通常版を前後2巻に分けてあるのだろう)。データのコピーは可能。ただし印刷はできない。それと、データを読むことができるのは、1台のPCだけになるという制限がついていた。でもPCの変更は可能らしいので、将来的な不安はなさそうだ。

 315円か。中の作画と作品内容が、不幸にも私の趣味に合わなかった場合のことを考えると…、まぁ許容範囲内な額、かな。これがもし500円を越えていたとしたら、今回の出会いはなかったことにするところだが…。
 電子書籍として売り出されている8作品の中から、表紙絵で『瞳で殺せたら(1)』に決定。よし、買い。

 専用のリーダーで開いてみる。標準のサイズでは台詞の文字がつぶれて判読不可能だったので、最大化させてみた。私の使ってるLCDの解像度1024×768で、ぎりぎり読めるが、それでもまだ文字がつぶれている個所がある。もう少し解像度を上げた環境ならば、快適に読めそうだ。

 一読してみての感想。絵は私の趣味に合う感じ。特に女性キャラが、なかなか美しくてよい。心霊モノの怖さ度数は、あまり高くはないけれど、グロくなく、作品としてまとまっているので、それなりに安心して読める。このクオリティならば、最新刊買ってもよさそうだ。今回のチャレンジは正解だった。でも開けるまでどんな画風なのかわからないっていうのは、ちょっと…。ぜひ試し読み可にして欲しいものだ。その方が読者層広がりそうな気がするけど。


2006.3.27(Mon)

『BREAK-AGE外伝 ボトルシップ・トルーパーズ完全版』

 オンライン書店bk1には、自分の希望するジャンルの新刊本の発売状況を、メールで知らせてくれる機能がある。日々送られてくるこのメールによって、地元のリアル本屋さんではおそらく入荷しないであろう本を、うっかり買い逃すという失敗はずいぶんと減った。
 そして今夜、いつものように新刊情報をチェックしていると、懐かしい名前に出会った。

 『BREAK-AGE外伝 ボトルシップ・トルーパーズ完全版』(著 馬頭ちーめい)

 この前作が出たのが、2000年3月のことだから、かれこれ6年ぶり。すっかり忘れられていると思っていただけに、ちょっとうれしい。
 外伝とあるからには、この本編となる作品も存在していて、もともとそっちの方にハマったのが始まりだった。いまでは古本屋でも入手困難になっている可能性は高いけれど、外伝にピピっときたら、本編の方もおすすめ。


2006.3.12(Sun)

『小学2年生』

 みこりんの就寝前に読む本を買いに、本屋まで。みこりんも今月号の『小学2年生』を買いたいと、くっついてきた。
 途中、スーパーに寄り道して、“お返し”を物色。変わった形のタオルとか、ハンカチとか食べ物じゃないものも、“お返し”コーナーには並んでいたが、いまひとつぴんと来るものがなかったので、結局、おいしそうなチョコにした。これはLicの分。みこりんは何がよい?と聞いてみると、チョコやクッキーよりも、もっと欲しいものがあるのだという。

 例のたまごっちのキーホルダーかな?と思っていたら、たたたっと2階のおもちゃコーナーへと吸い込まれていった。あとを追ってみると、とあるコーナーにて熟考中のみこりんを発見。そこに並んでいたのは、お菓子やドーナツ、お弁当等のミニチュアセット。小さいもの好きなみこりんらしい選択だ。
 悩んだ末に、みこりんはその中で一番大きなパッケージを選んでいた。コンビニの陳列ケースのミニチュアだ。まず入れ物から揃えていこうという思惑らしい。
 じゃあ、それ買い。Licのチョコと同じくらいの値段だった。みこりんは“同じくらい”に結構こだわるところがある。

 本屋へ移動。それぞれ新しい出会いを求めて、棚を物色。
 途中みこりんが、「たまごっちの本、新しいの出てた」と報告に来てくれた。つまり、それも買いたいということなのだろう。でも一応「『小学2年生』と『たまごっち』の本と、どっちがいいの?」と聞いてみる。「んーーーー」と悩むみこりん。悩んだ末に、「両方はいかん?」と、ちっちゃい声で言った。
 2冊合わせて1200円。まぁいいか。本だし。「やったー」と駆けてくみこりん。しばらくして戻ってきたみこりんの手には、『ファインディング・ニモ』の本が握られていた。これは就寝前に読む本。これがそもそもの目的の品なので、買い。
 そして、毎月予約してる絵本『おおきなポケット』と。

 レジでチンしてもらってると、店員さんに「来月からの絵本どうします?」と問われた。そう、来月からは新年度。みこりんも小学3年生だ。『おおきなポケット』は対象が小学1・2年生なので、これは卒業。次回からは小学3年生以上が対象の『たくさんのふしぎ』をお願いしておいた。

 さて、こうしてそれぞれ目的の品をゲットして帰宅したわけなのだが…。私は何かひっかかるものを感じていた。みこりんが、買ってきた『小学2年生 4月号』の付録を組み立て始めたときに、その漠然とした不安はピークに達していた。
 4月号…、4月、新年度、『小学2年生』…、って、みこりん、4月号だから『小学3年生』買ってこなくちゃいかんかったんでは??

 はっとするみこりん。
 じつはみこりんも少しだけ気になっていたらしい。本屋にいるときに相談してくれてれば…
 というわけで、今度こそ間違いなく『小学3年生 4月号』を買いに行く約束をしたのであった(来月から小学3年生になるみこりん的には、どうしても『小学3年生』じゃないとプライドが許さないようだ)。


2006.3.3(Fri)

『深海生物ファイル−あなたの知らない暗黒世界の住人たち』

 とある本屋さん発行のメールマガジンにて、なかなかよさげな本が紹介されていた。

 『深海生物ファイル―あなたの知らない暗黒世界の住人たち
  著 北村雄一 ネコパブリッシング(1699円)

 ダークサイドの住人か…、ちょっと見てみたいような怖いもの見たさな好奇心を、ぐさぐさと刺激してくれる。たぶんこれは幼少時に見た図鑑の中の、グロテスクな深海魚達のイメージが、いまでも心の奥底でしっかりと息づいている証拠なのだろう。
 目が懐中電灯みたいに筒型になってる魚とか、体の半分以上口!みたいな異様に口のでかい魚とか、エイリアンを彷彿とさせるぬるぬる感をもった魚とか、etc...

 深海探査技術の向上した現在においては、さらに奇怪な生物も多数発見されていることだろう。まさに“深海、それは未知なるフロンティア”である。
 買おう、この本を。

 じつは今月『神戸在住 8巻』と『さくらの境 2巻』が発売になるのだが、この2冊合わせてもAmazonで送料無料になる1500円を越えないため、何かと抱き合わせにしなくてはなぁと悩んでいたところだったのだ。
 ところで、メールマガジンの発行元の本屋さんで買わずに、Amazonで買うというのは人の道に外れ………、なかなか悩ましい問題である。


2006.1.26(Thr)

『ふしぎの国のアリス』

 『オズの魔法使い』を読み終わり、今みこりんに読んでやっているのは『ふしぎの国のアリス』だ。毎晩、1小節ずつ読み進めているのだけれど、これが『オズ』よりもちょいと長いようで、だいたい10分くらいかかっているような気がする。そんなわけで、みこりんも後半になってくると半ば夢うつつに聞いているような感じ。

 それでも聞き慣れない単語が出てくると、すかさず「それって何?」と質問が飛んでくるので、意外としっかり聞いているのかもしれない。たとえば、「アリスは手きびしくいいました。」のところでは、「“てきびしく”って?」という具合に。
 しかし、これは質問されるかも…、とちょっとドキドキしながら「ぼうし屋が、凱歌を奏するようにいいました。」って読んでも、あっさりスルーされたりもしつつ。難しすぎる言葉は、謎と思うまもなく過ぎていくのかもしれない。

 ところで私はこれまで、ちゃんと『アリス』を読んだことがなかったりする。でもなぜか断片的に三月ウサギとのお茶会のシーンとか、女王達とのクロッケー競技とかの映像は記憶にあるのだった。昔、映画になってたやつをちらと見たような気もするけれど、始めから終わりまで通しで作品を味わったことがないため、なんとなく知ってるけど、どんな話なのかはもわっとしていて曖昧な具合。
 なので、みこりん以上にこの本を読むのを楽しみにしていたりもする。今ちょうど半分あたりまで読み進めたところ。1月が終わる頃には、私も『アリス』をしっかり味わい終えることができるだろう。そして、みこりんは早くも次の本のことが気になっているようだ。まだ何を買うかは決めていないけれど、…まぁこれは本屋さんでの偶然の出会いを大切にしようかなと思っている。


2005.12.23(Fri)

眠る前のお楽しみ

 みこりんが保育園から小学校へと進むのとあわせて、絵本も『こどものとも』から『おおきなポケット』(これは絵本というより、どちらかといえば読本タイプ)に変わった。そのあたりを境に、寝る前の絵本の読み聞かせも一段落していたのだが、最近Licがみこりん用に本を何冊か買ってきたので、ふたたび読み聞かせをするようになった。

 今読んでいるのは、『エルマーのぼうけん』だ。絵本というよりは、挿絵のはいった低学年向きの本といった感じの装丁になっている。章立ても、だいたい6ページ程度ずつになっているので、1日1章として読むと、長からず短からず、ほどよくいい感じ。
 しかもみこりんは、エルマーのシリーズの絵本版を保育園時代に読破していることもあり、けっこう興味津々に聞いてくれるので、こちらとしても読み甲斐があったりするのだった。私的にも、エルマー君のはなしっぷりが妙に丁寧口調なところとか、四次元ポケットばりに、シーンに合わせてツボをついたアイテムが出てくるリュックとか、けっこう楽しみながら読んでいるので、みこりんにもそういう雰囲気が伝わっているのかもしれない。

 ところで読んでいる間、みこりんはなぜか「うん、うん、うん、うん」と、定期的に相槌を打ってくれているのだが、なんとなく無意識のうちにそうしているような感じもあり、今後の展開に目が離せない。


2005.10.17(Mon)

ダンボール箱の中には…

 帰宅すると、Amazonから届いたダンボール箱が、出迎えてくれた。けっこうでかい。30cm四方で厚みにして15cmほど。届く予定のものは、本2冊なのだが、もしかして豪勢なオマケでもついてきたのかな、などと思いつつ手にとると、これがじつに軽い。

 リビングにて開封。みこりんがここぞと覗き込む。何が入っているのかな?
 ……やはり、本2冊だった。どちらも厚さ1cmほどの、普通の本。箱の中は、がらがら。ちょっと寂しい。みこりんも期待外れな顔をしている。

 届いたのは『世界の潜水艦―Uボートからハイテク潜水艦まで』と『3DRPGプログラミング』。いずれも仕事絡みで必要な資料である。みこりんは潜水艦の方にはあまり興味を示さなかったが、3DRPGの方では、目つきが変わった。ぱらぱらっとめくってみて、中にファンタジーRPGにありがちなパーティの図などを目敏く見つけ、「これってエミルの本?そう?」ときた。
 まぁ『エミル・クロニクル・オンライン』はオンラインRPGなので、まったく関係がないわけではないのだけれど、ちょっと違う。この本は、RPGを作るための本だ。というのをみこりんにどう伝えたものかと迷ってるうちに、いい答えが見出せず、時間切れ。みこりんの就寝タイム到来。

 どうにかして、みこりんにコンピュータを使った“プログラミング”という遊びを教えてやりたいものだが…。まだちょっと早いかな。


2005.10.14(Fri)

『おもいでエマノン』

 2〜3週間はかかると書いてあった『おもいでエマノン』が、今日届いていた。5日で到着。結構早い。
 届けてくれたのは、JBOOK。ちなみに先ほどもう一度検索してみると、発送の目安が“5日〜13日”になっていた。どこかに在庫があるらしい(絶版になってなくてよかった)。でも相変わらず検索ページだけを見ると“販売停止中”になっているのが、ちょっと気になる。

 さて、さっそくプチプチを内包した紙袋を開け、本を手にとってみた。カバーのエマノンのイラストが、わりとアップになっているので本自体が普通より大きく感じる。そのまま壁にでも飾っておきたいような感じ。しばらく本棚にはしまわず、日々眺めることにしよう。


2005.10.9(Sun)

エマノン

 昨日の雨が嘘のような、爽やかな秋晴れの日曜日。bk1から注文していた本が届いた。
 『新・特捜司法官S-A―ジョーカー外伝 (1)』、『よみきり もの (9)』、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 眠り男の棺』、そして『さすらいエマノン』だ。

 梶尾真治の『エマノン』シリーズは、過去、表紙に惹かれて買った3巻『かりそめエマノン』と4巻『まろうどエマノン』だけが、私の本棚に並んでいる。当時は1巻と2巻もまだ書店にあったけれど、まとめて買うのはちょっと気が引けたので、あとでいいかと思ったのが運の尽き。いつのまにやら本屋にその姿を確認すること叶わず。

 今回、思い出したようにオンライン書店で探し回って、2巻となる『さすらいエマノン』は、なんとかゲットできた。しかし1巻がない。
 オークションになら、出品があった。だがその値段は定価の約2倍。そこまで気合入れて買いたいほど好きな作家ではないのだが…、とちょっと悩んだりしつつ。私にとっては、鶴田謙二による表紙絵と挿絵が、このシリーズのすべてといってもいいようなものだから、オンライン古本屋でたまにヒットする昭和時代の初版本ではなく、徳間デュアル文庫版じゃないと駄目なのだ。

 とあるリンクからたどり着いた、1軒のオンライン書店。だめもとで検索をかける。ヒットするも、“取り扱い中止”の赤い文字が…。しかしあきらめきれず本のタイトルをクリックすると、おぉ、こっちの詳細ページでは“購入”ボタンが有効になっているではないか。取り寄せまでに2〜3週間かかる、と書いてある。たぶん、どちらかが誤記なのだろう。しかし注文するだけならタダなので、さっそく購入ボタンを押し、注文完了。さて、1巻『おもいでエマノン』、無事手に入れることができるだろうか。


2005.10.1(Sat)

本屋へGO

 新刊案内のメールで、『百鬼夜行抄(7)』とか『ベルセルク(29)』とか、買いたい本が諸々出ていることを知り、家族揃って本屋に向かった。Licは『新・特捜司法官S-A―ジョーカー外伝 (1)』。そして、みこりんも買いたい本があるらしい。自力でWebから必要な情報を探し当てたのだという。ブックマークしたページのリンクをたどっていくだけで、目指すページにたどり着けたのは、偶然か、必然か。そういえば昔、あらゆるWebページは数回のリンクでたどり着けるとかいう研究発表があったような。

 本屋の中では各自、自由行動。それぞれ目指す棚へと散ってゆく。
 『百期夜行抄(7)』はたぶんLicが探してくるだろう。私はレジ近くの新刊コーナーで『ベルセルク(29)』を手にとり、次の棚を目指す。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 眠り男の棺』が出ているはずなのだが、最近、SFのコーナーがほぼ消滅してしまっているので、じつに探しにくくなってしまった。

 文庫のコーナーを丹念に見て回ってみたが、結局、発見できず。『よみきり もの (9)』も、なし。
 Licが『百期夜行抄(7)』を手にしているのが見える。『新・ジョーカー外伝』の1巻はなかったらしい。
 みこりんがうきうきした表情で、1冊の本を抱えて戻ってきた。いったい何の本を買うつもりなのだろう。
 『小学2年生』と表紙のタイトルが踊っていた。今月号の付録に、たまごっちの本が付いていることを、みこりんは知っていたのだ。近頃すっかりたまごっちに夢中で、他の本をあまり読まなくなったような気がする。そこで、怪傑ゾロリの新刊でもどうかと聞いてみたら、意外にすんなりOKしたのだった。ふむ、興味はあるらしい。

 本屋に置いてなかった本は、あとでまとめてbk1に注文しておくことにする。
 文中リンクがAmazonなのに、注文するのはなぜbk1か。じつはたいした理由があるわけではないのだけれど、単に、Amazonアソシエイト・プログラムの申込みに必要な記述量がbk1よりちょっと多かったので面倒だっただけという。紹介料だとAmazonの方がお得なので、そろそろ申し込んでおいたほうが…。でもすでにbk1のブリーダープログラムのポイント貯まってるしなぁ、と悩み中。


2004.6.19(Sat)

『シン・マシン』

 朝のメールチェックで、懐かしい名前を見つけていた。大学時代のサークルの後輩からである。前作『歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)』に続き、ついに2冊目の本が出るというのだ。しかも今回は早川書房である。素晴らしい。

 というわけで、新刊紹介。

『シン・マシン』(著:坂本康宏)

 著:坂本康宏

 ぜひご一読を。


2004.6.8(Tue)

Jupiter

 火曜日は、みこりんのエレクトーン個人レッスンの日。というわけで、音楽教室までみこりんを送っていったあと、レッスンが終わるまでの30分間、私は駐車場にて待っているわけなのだが(個人レッスンに親は同席しない)、これがまた昨今の気温上昇のせいか、猛烈に暑い(もろに直射日光が当たるところしか駐車スペースがなかったのだ)。
 もちろんエアコンを効かせれば快適な車内を維持できるが、30分間もアイドリング状態で駐車場に停めておくのは、はなはだ周囲の迷惑になるであろう。ここはじっとガマンである。シートを最奥まで移動し、窮屈な足元に余裕をもたせたうえで、持参してきた本を開く。以前、買ったきりでまったく読む時間のなかった『新宿鮫VIII 風化水脈』(大沢在昌 著)だ。

 新宿付近の地図でも持参して読むのが正しい読み方なのかもしれないな、と思いつつ、ぎっしり詰まった活字を追う。額から眉毛にかけて、つつっと垂れてくる汗が、少々うっとうしい。
 それにしても暑い。このままここにいては、脳が干上がるのではないかと、不安になるほどに、車内の気温はぐんぐんと上昇してゆく(ような気がする)。……、ふと気が付いて、ドアをちょっと開けてみた。「す、涼しい!」思わず声に出して言ってしまうほどに爽やかな風が、その隙間から車内を満たす。この駐車場は隣が畑になっていて、青々と茂った農作物がすぐ近くまで来ていた。そのおかげか、コンクリートに熱せられた外気を押しやってしまうほど涼しい風が流れていたのだ。

 涼風のおかげで、なんとか30分間を耐えきることが出来た。でも、本を読むのが遅い私は、はじまりから27ページしか進んでいなかった。総ページ数484のこの本を読み切るには、いったい何回、みこりんをここに送ってこなくてはならないだろう…(いや、本はどこでも読めるんだが、ついそんなことを考えてしまう)。

 さて、レッスンを終えて戻ってきたみこりんは、夏頃に予定されている発表会の曲が決まったことを報告してくれた。「じゅぴたー」だと、みこりんは言った。ほほぅ、ジュピターというと、あれかな、ホルスト作曲の『惑星』に入ってる“木星”か。たしか今年の春の発表会では、高校生のグループが弾いてたが、あんな長いのを、みこりんが弾けるのだろうか?と思いつつ、手渡された楽譜に目を落とす。
 全部で5ページあった。作曲 G.Holst と書いてあるので、間違いなく『惑星』の“木星”なのだろう。エレクトーン用に編曲(というか抜粋?)されているらしい。これくらいならみこりんでも大丈夫なのかも。でも一度、本物を聞かせておいた方がいいかなーと思いつつ、家に到着。幸い、ホルストのCDは持っていた。私がまだ中学生の頃、『惑星』をFMラジオで初めて聞いたときの、不思議な感動は今でもよく覚えている。当時、クラシック音楽にはほとんど興味がなかったのだが、この『惑星』だけは、妙にSFチックで私の心を揺さぶったものだ。

 CDをプレーヤーにセットし、“木星”のトラックを選択、再生。「これが、ほんものの“もくせい”だよ、みこりん」と言う私に、みこりんは「リズムがぜんぜんちがぅ!」と驚いていた。どうやら、今日、先生に模範演奏をしてもらったらしい。「そんなに違う?」いぶかしむ私。なんか妙な…

 あとでLicが教えてくれたことには、木星は木星でも、“Jupiter”名で平原綾香が歌った方の“木星”なのだった。な、なるほど。


2004.2.2(Mon)

『蛇にピアス』

 今年の芥川賞といえば、もう1冊『蛇にピアス』(金原ひとみ著)がある。どんなもんかと買ってきたのが土曜のこと。で、今日、読了。

 冒頭が痛い描写なので、痛いのが苦手な私は、なかなか次のページに進めず、苦労した。でもやがて慣れ、さらさらとページは進む。実質2時間ほどで読み終わった。

 主人公の女の子が、ギャル風な設定になっていて、しかも一人称のため、凝った表現とか難しい言い回しはほとんどない。これがこの作者の作風なのか、この作品だけの特徴なのかはわからないが、わざとそうしてるのだろう。そのため、じつに読みやすいのだが、私にはちょっと物足りないところもあり。
 登場人物の設定や話の流れは、なんとなく大沢在昌の『新宿鮫』シリーズに出てきそうだな、という印象を持った。長大な本文の中に出てくる、ワンシーンを切り出してきたみたいな感じがする。そういうところも、「物足りない」と感じてしまう所以だろう。

 それにしても、『蹴りたい背中』の綿矢りさとはじつに対照的な作風だ。まぁ雰囲気からしてぜんぜん違うのは一目瞭然なんだが、ここまで見た通りだと、いかにもって感じでちょっと意外性はないかなぁ。
 次回作は、ぜひ長編を読んでみたい気はする。


2004.1.30(Fri)

『蹴りたい背中』

 『蹴りたい背中』読了。始めからじっくり読んだので、だいたい3時間くらいかかった。
 文体が、前作『インストール』のような露骨に女の子女の子した雰囲気ではなくなり、より冷静に書けている印象を持った。これが17歳と19歳の違いなのだろう。

 ハツの風変わりな思考形態が、過剰に気になる部分もあったのだが、全体的に淡々とお話が進んでいく。なんとなく深夜枠で流されてそうな名も知れぬ邦画をイメージさせる。情景描写に手が込んでいるので、脳内でビジュアル化しやすいのだろう。あるいは、どこかで見たような…という雰囲気をあえて使っているのかもしれないが。

 ラスト、にな川の家で夜明けを迎えるシーン。なぜか自分の大学1回生の時、初めてサークルの仲間と一夜を過ごした夏の日のことを思い出していた。なにもかもが白く陽炎に揺れる暑い夏の、強烈なイメージを連想させる。人によっては、「は?」と言う感じの終わり方かもしれないが、私は気に入った。
 おそらく作者の成長と共に、次作はもっと完成度の高い作品が紡ぎ出されるに違いあるまい。そういう意味でも、次が楽しみである。

 これもきっと誰かが映画化しそうな予感。


2004.1.29(Thr)

到着

 Amazonより宅配で『蹴りたい背中』到着。案外早かった感じ。
 さっそく読んでみようかな、とも思ったのだが、無性に眠いので、そのまま寝て過ごす。感想はまた明日。


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