2008.4.2(Wed)

フェルト細工

 春休み中のみこりんは、今日一日、フェルト細工を作っていたらしい。私が帰宅した時にも、なにやらとても小さい部品をハサミで切り出している真っ最中で、手を休めることなくちょきちょきとやっていた。

 いったい何を作っているのだろう。そう思っていると、みこりんが、切り出したばかりの長さにして2ミリほどという小さな黒い物体を私に見せ、「これ、何にみえる?」と問うたのだった。

 「んー……、海苔?」

 お茶漬け海苔を、さらに小さくしたような感じに見えるのだが、それが何のパーツなのか皆目、見当がつかない。
 するとみこりんは、くしゅしゅしゅと笑いながら、「これ!」と言って、ほぼ完成間近な本体を披露してくれた。

 うずらの卵サイズな黄色いボールのような物体だった。先ほどの黒いパーツは、どうやら“眼”を表現するものらしい。うむうむ、この姿ならば私も知っている。
 リラックマとお友達な、キイロイトリだね?

 キイロイトリの他にも、アップリケでリラックマグッズを作ったもよう。ぱっと見、売り物と見紛うかのような出来栄えだ。みこりんのフェルト細工の腕も、ずいぶん上達したものだと感心しつつ、いつものようにみこりんのPCを起動させたところ、ぎこぎこぎことプリンタが勝手に動きだし、何かを吐き出し始めた。まだ何も操作してないのに!
 二人して驚きつつ、出てきた紙を手にとってみると、そこに描かれていたのは、まさに“リラックマ”であった。…面妖な。

 妙に、リラックマ付いている今日この頃。


2008.4.3(Thr)

旅立ち

 先だって、スペースシャトルで打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に無事取り付けられた、日本の実験モジュール“きぼう”の船内保管室(旧称は補給部)だが、あれはまだ“きぼう”の一部分でしかない。どっちかというと、次回、1J(STS-124)ミッション(打ち上げ日時は日本時間6月1日午前6時01分頃)で打ち上げられる船内実験室(旧称は、与圧部だったかな)が本命だ。でも個人的には、さらにその次のミッションで打ち上げられ、宇宙空間に曝露された状態で運用される船外実験プラットフォーム(旧称は、曝露部)が、メカメカしくて好き。

 とはいえ“きぼう”がまだJEMと呼ばれていた頃から、そのソフトウェア開発に携わってきた身としては、次の打ち上げ(船内実験室)こそが正念場といえよう。まさに我が身の分身ともいえるソフトが、いよいよ宇宙に上がるのだから。
 長かった…。とてつもなく。かれこれ19年か。

 そんなこともあり、社内で開発関係者限定で、寄せ書きが回ってきたのだった。なんでも、これをスキャナで取り込み、CDだったかDVDだったかに焼いて、一緒に宇宙に乗せて行ってくれるらしい。でも搭載重量(データ量)の関係で、寄せ書きに書けるのは氏名のみ。思いのたけを書く余裕はないとのこと…。かように、宇宙にモノを打ち上げるのは厳しいのだ。
 というわけで、サインペンでしっかりと名前を記入。あとは無事に打ちあがることを祈るのみ。

 開発中には、さまざまな出来事があった。よかったことも、わるかったことも。いろいろと。私もまだ20代で若かったし…
 そんな中で、今でも鮮烈に思い出すのは、やはり不具合が出た時のこと。すでにソフトはROMに焼き、基板に半田付けされてしまっており、しかもCPUも半田付け状態ゆえ、普通なら使えるデバッガの類(ICE:インサーキットエミュレータ等)が使えなかった。宇宙用の基板ではCPUソケットは使わないのである(2008.4.4追記:このような最終形態に至るまでの試験では不具合は確認されていなかったのだが、組込み系のソフト開発では微妙なハードウェアとの相性とか仕様のシビアさで、このような事態は、ままあるのであった)。
 ハードメーカー含めて対策会議が開かれることになったが、不具合がどんな時に出て、どんな状況になってるのかすら定かではない状況だった。そんな状態で、やみくもに会議をして、いったい何がわかるというのか。私は、クリーンルームに篭り、なんとかして状況を確認しようとした。同じ思いを抱いていた同期のハード技術者が、ロジックアナライザを持ち出してきて調査を手伝ってくれた。

 メモリバスをロジックアナライザで見れば、今、どのアドレスをプログラムが実行しているのかわかる。それを、アセンブラのソースコードとつきあわせてみれば、だいたいどこらへんで異常が起きているのか確認できる。
 いろいろとセンサやリミットスイッチの状態を変え、何度もチェック。4時間ほどかけて、どうにか原因を特定することに成功したのであった。
 そのデバッグの真っ最中、会議室から当時の私の上司が電話をかけてきて、どうしても会議に出ろと言ってきたときには、正直、きれた。

「バグは会議室で起きてるんじゃない!
 現場で起きてるんだ!!」

 と叫んだかどうかは、今となっては定かではない。でも、この時、同じく会議には出ず、クリーンルームで状況を見守っていた、さっきのハード屋さんの上司の言葉は、今でもよく覚えている。彼は一言、こう言った。

「会議で時間つぶしてる暇があったら、現場に来いってんだ」

 いや、まさにその通り。

 ま、なにもかも、懐かしい思い出だ。


2008.4.5(Sat)

 朝晩の気温も10度を下回ることもなくなってきたので、そろそろ大丈夫かなと、リビングに取り込んでいた玉の植物“ウミネギ”と、サボテン達を、ウッドデッキに戻してやった。
 玉の植物は、昨年は取り込み忘れて酷いことになってしまったが、今年は冬の間にひとまわりでっかくなったのではないかと思われるほどに、元気である。わさわさと伸びた長い葉っぱが、なんだかとてもおいしそう。
 サボテン達の棘々も、触れたら即、皮膚を突き破ってきそうなほどに力強い。なんとなく、花を咲かせそうな雰囲気もあり、今年は期待できそう。

 まばゆい光に照らされた庭をぐるりと見渡してみると、いつのまにやら色彩に溢れていて、驚く。花粉症で外に出られないでいるうちに、枝垂れ染井吉野とプラムは満開で、枝という枝は花盛り。生命力に満ちている。

枝垂れ染井吉野

枝垂れ染井吉野

プラムの花

プラム

 去年植えた新型のイチゴも、ピンクの花を咲かせていたので、さっそくみこりんとじっくり観察。ピンク花は、“テラスベリー紅香”と“ピンクスイート”の2種類植えてみたのだが、“テラスベリー紅香”の方が、ピンクが濃く小ぶりな花をつけている。“ピンクスイート”は、花は大きいけれども色彩は淡い。いずれも実をつけると、どんな風になるのかちょっと楽しみ。

テラスベリー紅香

テラスベリー紅香

ピンクスイート

ピンクスイート

 そして雪に耐えた球根植物ブルビネラ・オレンジ(Bulbinella floribunda Dur.et Schinz)も、いつのまにかにょきっと花芽を伸ばしており、しかも、はや開花しつつあった。
 凍結すると枯死と書いてあったので、積雪が二日ほど続いたことのあるこの冬、大丈夫なのか少々不安だった。でも、葉っぱの先がわずかに黄色く変色しただけで済んだようだ。結構、寒さには強いらしい。

ブルビネラ・オレンジ

ブルビネラ・オレンジ

 去年、みこりんとそのお友達が植えつけてくれたチューリップ“ベローナ(Verona)”は、期待に違わぬ爽やかなレモン色で、とても瑞々しい。開ききる前の、この時期もなかなかいい具合かもしれない。
 そしてその隣のコンテナにもチューリップか何かを植えたはずだったが、見た目、雑草のようなものが3本生えているだけだった…。発芽しなかったんだろうかと、その雑草のようなものをちょいちょいと2本ほど抜いたところで、ふと気付く。残った1本だけが、やたら育っていてちょっと妙だなとは思っていたのだが、頭を垂れた蕾を発見して思い出した。ラナンキュラスだ。
 手にした2本の葉と、蕾をつけた株の葉とを比較してみたところ、大きさが極端に違うものの、どう見ても同じ種類の植物であることは疑いようがなかった。そういえば、球根の大きさがぜんぜん違っていたような気もする。
 というわけで、抜いた2本をちゃっちゃと埋め戻し。どうか枯れませんように。

チューリップ“ベローナ(Verona)”

チューリップ“ベローナ(Verona)”

 そして、ほうき性花桃“照手桃”、満開。これが咲くと、あぁ、春なのだなと実感できる。
 それぞれの花の写真を撮っていると、みこりんも学研の付録で付いてきた銀塩カメラを発掘してきて、同じようにぱしゃぱしゃと撮影していた。マクロ機能はなかったはずだから、あんまり近寄って撮ったらピンボケするような気もしたが、現像してみてはじめて理解できるだろうと思ったのであえてそのままに。うまく撮れてなくても、撮ったという満足感は残ることだろう。

ほうき性花桃“照手桃”

ほうき性花桃“照手桃”


2008.4.6(Sun)

庭いぢり

 外で太陽の光を浴びないのが罪であるかのような、素晴らしい晴れ。昨日、少し庭に出てみた感じ、花粉の影響もかなり少なくなってきているような気がしたので、思い切って庭仕事をやってみることにする。

 菜園は、みこりんの報告通りホトケノザやらオオイヌノフグリといった春の野草で埋め尽くされてしまっていた。薄紅色と、水色の小さな花たちが群れて咲いている様子は、それはそれでなかなか美しくもあり、ここに手を入れるのは、ちょっと躊躇われる。花が散るまでそっとしておくのが吉。
 そんなわけで、冬の間、放置してしまっていたアジサイの剪定やら、積み上げておいた枯れ枝の類を、片付けてしまうことにした。

 アジサイの枝には、はやくも新芽がわさわさとその姿を現しつつあり、枯れ枝のような茎の色と、新芽の鮮やかな黄緑色とが、とてつもなく対照的。新芽がくるっと丸まっているところなど、なんとなくフキノトウを連想してしまい、食べてみたら案外おいしかったりしてなどと思いつつ、枝ぶりなど考慮しながら、ばさばさと枝を切り落とし。

 枯れ枝といえば、冬の間、地上部が枯れるパイナップルセージも忘れてはいけない。みこりんはその姿を見て、大好きなパイナップルセージが枯れてしまったのかと心配していたようだが、根っこはちゃんと生きていて、もうじき新しい芽が出てくるのだと教えてやると、心底ほっとしたようだった。みこりんは、この赤い花の蜜を吸うのが、小さい頃からの楽しみだったから。
 こちらの枝には、まだ新芽の気配なし。枯れた枝を容赦なく刈り込んですっきりさせた。

 最後に、今日刈り込んだ枝と、去年から庭の隅に積み上げておいた各種剪定屑を、ゴミ袋に詰める作業。これはひたすらハサミで刻んで細かくするので、意外に時間がかかる。剪定バサミも、手入れを怠っていたため、かなり力を入れないと切れないようになってしまっていて、それもまずかった。
 それでも、太い枝などは、風化してぼろぼろになっているものも多く、だいぶん助かった。…ってか、この古枝、もしかすると3年くらい放置していたかもしれない。土にでも埋めておいたら、今頃はいい具合に分解されていたかと思うと、ちょっともったいない気もする。たしか剪定してすぐ捨てる予定が、何かがあって、そのままになってしまったのだったかな。…よく思い出せない。

 夕方までかかってゴミ袋一杯分。でも、まだまだ枯れ枝は残っている。長さにして1m以上あるものが、ごろごろしているのは、いつだったか台風で折れたゴールドくれストの太い幹が、かなり混じっているからだ。これはなかなか処分するにも骨が折れる。今からでも土をかぶせてしまって、分解するにまかせてしまおうかと思ったりもし。
 菜園で立ち枯れている、トマトとゴーヤも片付ける予定だったのだけれど、ちょっと頭痛などしてきたので撤収とする。花粉の量は、以前までに比べるとかなり少なくなったとはいえ、蓄積してしまうとまだまだ侮れないようだ。


2008.4.7(Mon)

始業式

 明け方、ふっと目が覚めた。窓の外は、カーテン越しに、すでに太陽の光が届いてきている。ケータイのデジタルクロックによれば、今は午前6時前のようだ。
 出勤までには、まだまだ間がある。
 しばらく布団の中で、ぬくぬくと眠りの余韻にひたっていると、やがて階下から何かが上がってくる気配。四足のにゃんちくんとは明らかに異なる音のパターンだったので、おそらくみこりんだろう。

 がらっと襖が開いて、みこりんの声がする。私を起こしに来てくれたようだ。声の調子から察するに、かなりご機嫌っぽい。なんといっても、今日から小学五年生。新学年の新学期が始まるのだ。みこりんの気合の入りようも、半端ではないらしい。

 午前7時5分。みこりん登校。
 背中に背負ったランドセルは、もはやちょっときつそうなくらいになっている。一年生な頃には、ランドセルが歩いてるような具合だったのに、大きくなったものようのぅ…。
 つかの間、感慨に耽り、私も続いて出勤。庭の花桃の花びらが、はらはらと風に舞い散り、路上に鮮やかなピンク模様を彩っている。はやくも春は、急ぎ足で通り過ぎようとしているのかと思うと、なにやらもの悲しくもあり。

 *

 夜、新しいクラスの名簿を見せてもらった。担任は、女の先生のようだ。見慣れぬ名前だったが、みこりんが小学校入学時に赴任してきた先生で、みこりんによれば、私も絶対見ているはずだという。ふむふむ、あんまり記憶にないけど、いずれ参観日か家庭訪問で明らかになるだろう。
 クラスは2つしかないので、子供達の方の名前は、わりと記憶に残っているものが多い。でも、みこりんの一番のお友達とは別のクラスになってしまったようで、ちょっと残念そう。

 別れと出会いの季節。春ですのぅ。


2008.4.9(Wed)

セキュリティアップデートの日

 毎月恒例の、Microsoft Update の日。先月のアップデート個数が異様に少なかったので、今月のように盛りだくさんあると、なんとなくうれしい。
 これらを適用するのは当然として、今回は、他に重要なセキュリティアップデートがある。Adobe の Flash Player に対するものだ。先月だったか、ハッカーの侵入コンテストで、Vistaが陥落した際に用いられた非公開の脆弱性。あれを塞ぐものも含まれているらしい。
 近頃はWebの正規サイト改竄で狙われるセキュリティホールも、Windowsに加えて、こうしたブラウザと連動するアプリケーションも標的にされるのが標準的な攻撃手法になってきているようなので、こちらのアップデートも欠かせない。

 ただ、Adobeのサイトのアップデート手順では、そのページを開いているブラウザによってインストールされるものが異なり、自分で選べないという不便さがあるのが、ちょっと嫌。まぁ、このほうが慣れてない人にはいいのかもしれないけれど、ブラウザを複数使い分けている人用に、一度にすべてのアップデートが適用可能な仕様にしておいてほしいものだ。
 そんなわけで、いちいちブラウザを複数起動するのも面倒だし、インストールするPCの数も複数あるので、最近はアーカイブの方から、全機種、過去バージョン含めて配布されているやつを落としてきて、ローカルで必要な最新版を実行するようにしている。この方が、ファイルそのものにバージョン番号が明記されているのでファイルがごっちゃにならないし、何のアップデートをしたのか、自分ではっきりわかるので安心できる。
 ちなみに今回のバージョンは、9.0.124.0。これを確認するページは、こちら。このページなら、Shockwaveのバージョン番号も確認できるので、Flash単体の確認ページより役に立つ。

 それにしても、Adobeのサイトは、本当にメニュー階層がわかりにくくてダメダメだ。Macromediaを取り込んで以降、ちゃんと整理できてないし…。最新バージョンを記述したページは古いままで役に立ってないし…。


2008.4.10(Thr)

異動の季節

 年度を上下の2期で分けている場合、異動の時期といえば4月1日と10月1日付けというのが一般的だろう。それ以外にあるとしたら、突発的に入った仕事への対処のためとか、やんごとなき事情等がある場合。

 …というわけで、うちの所属から5月1日付けで一人、異動になることが今日、下々のものにも発表されたのであった。やはり、やんごとなき事情っぽい。実際、その人が抜けたら存続の危機になってしまうプログラムが、かなりある。つまり、異動になる人はスペシャリストなのだ。
 ソースコードを読めば何をやってるのかは他人にもわかるが、肝心要の“なぜそうなってるのか(あるいはそうしなければならないのか)”が、当人以外にわからない部分が多々有り。
 これが製品用のプログラムなら、いろいろとドキュメント類も整備されているものだが、残念ながらそうではなかった。研究用の、しかもかなり特殊なシミュレーション用途のプログラムなので、ソフトウェアの技術と共に、シミュレーション対象への深い知識も求められるため、さらにやっかい。加えて、十数年に渡って、様々な人の手が加えられてきたため、現在の担当者であるその人でさえ、「ブラックボックスで手を出せないなぁ」と言わしめてしまう部分もあるらしい。まさに、魔窟である。地図なしダンジョンである。

 それらのプログラムを5月から面倒見ることになるのは…、私。しかも、現在の仕事は引き続き継続なので、オーバーワークになるのは目に見えている。なかなかに気が重い仕事だ。
 うちの所属には、ここ5年くらい新入社員は入ってきてないし、過去十年でも3人足らずしか新しい人が入ってきてない状態で、高齢化著しい今日この頃、いったいどうせよと。
 製品開発は、ほぼ外注さんにお任せになっちゃってるし、かろうじて研究用のプログラムだけは内製でがんばってきたというのに。それも風前の灯かも…。しかし、いったん外注してしまうと、もう完全にブラックボックスと化してしまうので、やっちゃだめ(というかそもそもこれは外注に出せるような類のものでもないし)。特に、それが重要なコアの部分となれば、なおさらだ。

 さて、思案のしどころである。どうしたもんか…。いっそ、好き放題、自分好みのコードに書き換えてしまうか。時間が許せば、という非常にきつい条件付だが。


2008.4.12(Sat)

移ろう花々

 降り続いた雨のせいで、桜とプラムは、完全に散ってしまっていた。なんと儚いものよのぅ…

 そのかわり、今が盛りと枝という枝にびっしりと花開かせているのは、桜の隣に植えてあるユスラウメ。小さい苗木でもらってきて、はや10年。そんなに大きくなる木ではないのか、比較的こじんまりとまとまっているが、最初に比べるとでっかくなった。高さにして、約5倍。横幅も約5倍。縦横均等に伸びているので、形的に丸っこいのがなかなか愛らしくもあり。

ユスラウメ全景

ユスラウメ全景

ユスラウメ拡大図

ユスラウメ拡大図

 さて、レモンイエローなチューリップ“ベローナ(Verona)”も、すべての花が開いたもよう。それにしてもこれ、チューリップというより、何か別の花のような気がしてくるような花びらの開き具合である。でも、悪くない。花色が淡いので、咲き方に、このくらい派手さがあった方が、迫力があってよい感じ。

チューリップ“ベローナ(Verona)”

チューリップ“ベローナ(Verona)”

 そして球根植物ブルビネラ・オレンジ(Bulbinella floribunda Dur.et Schinz)だが、1週間かけて、下のほうから順番に花が咲いていき、もうじき頂上まで達しそうな勢いである。写真にすると花穂がかなり大きく感じられるが、実際の長さは10cm弱といったところ。1つ1つの花は、とても小さく可憐だ。これはオレンジ色にして正解だったかも。凛としてうつくし。

ブルビネラ・オレンジ

ブルビネラ・オレンジ

1週間前のブルビネラ・オレンジ

ちなみに1週間前はこんな感じだった

 木々の根元やら、側溝の脇やらで、さまざまなスミレも満開中。野生のたくましさを感じる。


2008.4.14(Mon)

真夜中、突然に

 日曜日だった昨日、遅ればせながらクルマ2台分のタイヤを、ノーマルタイヤに交換した。あいかわらず私のクルマの方は、ナットがバカになりかけているのがあって苦労したが、みこりんに全体重をかけてレンチに乗ってもらったりしつつ、どうにか終了。
 その間、マスクを装着してなかったのがまずかったか、翌日の今日になってから、ひどい頭痛に襲われているのであった。午前と、午後に、1回ずつ愛用の頭痛薬を服用するも、あまり効果なし。1時間残業する予定を、1時間ほど早く切り上げ、帰宅。
 今日はみこりんの音楽教室の日だから、家にはまだ誰もいない。簡単に片づけを済ませて、早々に布団へと倒れこむ。

 *

 ふっと意識が戻ったとき、右手に何かが触れているのに気が付いた。瞼は、まだ閉じたままだったが、やけに眩しい。あぁ、そういえば灯りを消してなかったかな…。

 右手のひらに、そっと触れているものの感触が、なんだかとても柔らかで、とても懐かしいというか、とても心休まるものだったので、しばしじっとしていた。

 いったい何が手に触れているのか。ようやく、そのことが気になり始めた。
 感触的に、どう考えても人の手のような気がするのだ。しっとりした湿り気と、柔らかな肌。ちょうど手をつないでいるかのような感じ。……んー、みこりん?そんなことも思ったが、私の右側に布団はなく、畳があるだけのはず。誰かがそこにいるはずはないのだ。

 もっとよく感触を確かめようと、右手に意識を集中して動かそうとして気が付いた。体が、動かない。それと同時に、右手の柔らかな感触も、唐突に消え失せた。

 久々に金縛りがきたか。
 瞼だけでも開かないものかと精一杯あがいてみたが、まるで鉛で出来ているかのごとく、重く、ぴくりとも動かず。首を傾けようとしても、だめ。もちろん、手足は、まったく動かすことも出来なかった。意識はかなりはっきり覚醒しているのだが、体がさっぱり起きてこない。うーん…

 そのうち、猛烈な耳鳴りがし始めた。真夏に、耳のすぐ横で…、いや、頭の中でアブラゼミが盛大に鳴いているかのように、ものすごい耳鳴りだった。鼓膜が破れるんじゃないかと、真剣に不安になった。ここまで強烈な耳鳴りは、たぶん、はじめてだ。
 そして、頭の血管が、どっくんどっくん脈打ちはじめる。頭が、なんか割れそうな感じ。声すら出せないのが、なんともかんとも。

 ここは、怖がったほうがいいシチュエーションなんだろうか。そんなことも思ったが、先ほどの手の感触は、悪い印象を与えるものではなかったこともあって、私自身は結構冷静だった。猛烈な耳鳴りはちょっときついが、久々の金縛りでもあることだし、この感じをしばらく味わうのも悪くはあるまい。

 時間感覚が消失していたので、金縛りがいったい何分ほど続いたのか、定かではない。
 しかし、起きたのと同じくらい唐突に、金縛りは解けていた。
 枕元のケータイをつかみ、時刻を確認。真夜中2時過ぎといったところ。ふむ、丑三つ時には、いい頃合か。同じく枕元に置いてあった、読みかけの『ARIA (7)』を、ぱらぱらとめくり、ほのぼのと癒される。はぁ、やっぱ『ARIA』いいね。

 で、安心したので、そのまま寝た。
 金縛りは、もう襲っては来なかった。


2008.4.17(Thr)

不審者

 新学期が始まって、そろそろ2週間が経とうかという今日この頃、みこりんが学校から持ち帰ってくる“お知らせ”の紙の中で、不審者情報がすでに5枚あるという件について orz...
 陽気がよくなってくると、それに誘われるかのごとく、不審者/変質者の類もわいてくるのだろうか。それにしても去年までは、こんなに多くはなかったような気もするのだが、今年引っ越してきた中に、そういう系統のが多く含まれていたとか?なにしろ4月は移動の季節。
 みこりんの通学路は、団地から出るとほぼ自然に囲まれた無人の道が続いているので、とても心配だ。

 地元自治体と、県警のケータイメールサービスにも登録してるのだけれど、今日はいつになくその着信が多くて不気味だった。昼間だけで12件。普段は、多くても4〜5件、何もない日もあるというのに、今日に限って10を超えた。しかもそのほとんどが不審者情報。いつもは、オレオレ詐欺や、ひったくりの情報の方が多いのに…

 ちょっと気になったので、月齢カレンダーなぞ開いてみる。ふむふむ、本日の月齢は…、11。ウルフガイなら、そろそろ不死身っぷりも絶頂期に入る頃合か。でも、やや微妙ではある。

 みこりんにボディガードを付けられるならそうしたいが、現実にはそうもいかない。生身のヒトを雇うのは、なかなか大変だ。そこで、装着者に危害を加えようとする人物を識別して、自動的にレーザーやら電撃やらを放ってくれる護身用のブレスレットなどかあれば、さぞや便利だろうと常々思っているのだが…、たぶん100年後くらいじゃないと実用化されそうにないところがなんとも悩ましい。


2008.4.19(Sat)

 休日とは常にこうありたいものだな、と思ってしまうほどの素晴らしい晴れ。ここ数日、雨が続いていたので、よけい太陽のありがたみが身にしみる。
 庭に出てみると、テラコッタに植えてあったレモンイエローのチューリップ“ベローナ”は、美しかった花びらを散らせつつあり。代わりに、ここ数年地植えでほったらかしのチューリップ“バレリーナ”が、ぽつぽつと咲き始めていた。今年は花の大きさがやや小ぶりだが、そのワイルドさもまたよし。

チューリップ“バレリーナ”

チューリップ“バレリーナ”

 午後、庭の菜園で立ち枯れているミニトマトやらゴーヤやらの撤去を行った。そのついでに、そろそろ葉っぱが目立ち始めた雑草でも抜こうと思ったのだけれど、それよりもさらにやっかいそうなものに気付いたので、そっちから先に。
 子供の頃は、その花を自分の鼻の頭にくっつけて“天狗の鼻”なんていって遊んだ蔓性の植物。その長い触手をうねうねと、プラムやらサクラやら庭を囲んだ『完璧な防壁』のネットやらに絡みつかせ、盛大に葉を展開しつつある。このままでは、絡みつかれた木は本体の葉っぱを隠され、ネットの方はその重みで垂れ下がってきてしまう。彼らの生命力というか、生長力は猛烈で、毎年根元から切り離して撤去しているものの、根っこが残っている限り、年々、新芽を無数に伸ばし、辺りを覆い尽くすのだ。今のうちに撤去しておかないと、絡まり具合は複雑怪奇で、手に負えなくなってしまうのだった。

 で、1本1本取り外しにかかる。しかし、まるでメデューサのヘビのように無数に絡まりあった蔓は、知恵の輪のごとく取り外しに困難を極めたのであった。基本は、螺旋なのだが、それらが何十本も絡まっていると、どれがどれだか把握するのが難しく、かといって力任せにぐいっと引っ張ったところで、なんとかなるものでもない。螺旋の力、侮りがたし。

 私が困っていると、そこにみこりん登場。得意のパズルを解くように、そのほそっこい指で、しゅるしゅると1本ずつ蔓をネットから外してゆく。ところどころ、剪定バサミで切らないとダメなくらい、ものすごい勢いで絡み付いている部分もあったが、どっちかというと力よりも頭を使う作業なので、みこりんの方がむしろ作業効率は高い。私は、みこりんの手が届かない高い部分をばっさばっさと刻みまくって、どうにか役に立っている感じだ。

 蔓を撤去すると同時に、地表を早くも覆い隠そうとしていたこちらも蔓性のカラスノエンドウも、ごそっと抜き。畳2畳分くらいの分量があったので、空いた空間は、みこりんにとってちょうどよい隠れ場所になっている。手前側にユスラウメと枝垂れ桜が広がっており、緑の壁に遮られた秘密の空間のような具合なのだった。

 庭の真ん中に、山と積んだ蔓。みこりんはこれをどうするのか心配していたようだが、まぁ、1週間ほどこのまま乾燥させれば体積もきっと減っているに違いあるまい。来週あたり、袋詰めでOK。
 久しぶりの庭仕事で、腕は傷々、わきわきと握る作業が多かったので、手のひらも微妙に筋肉痛。
 心地よい疲れ。
 今日が晴れで、本当によかった。

『ARIA』

『ARIA (12)』(作:天野こずえ) 『ARIA (12)』(作:天野こずえ)、読了。
 『AQUA』を読み終わったあと、少しずつ古本メインで買い集め、そろえた全12巻。絵の繊細さ、美しさは言うに及ばず、その話の中身も、終始、一貫して前向きで、膨大なエネルギーを分けてもらったような感じ。自分の中に眠った、遠い記憶を強烈に揺さぶられる力があった。

 『AQUA 1巻』から始まり、『ARIA 12巻』で完結する物語。残り巻数が少なくなるにつれて、このまま永遠に終わりが来なければよいのにと思いもした。終わらせ方は、まさに大団円。まさかゴンドラの水先案内人のお話が、ここまでちゃんとした物語になっているとは、正直、驚いた。いい意味で、予想外な逸品だった。これを読まずに死ねるかといってもよい作品である。天野こずえ、おそるべし。


2008.4.20(Sun)

ホテイさん

 2週間前には、まだ蕾も小さく、根元近くに隠れていただけだったラナンキュラスが、いつのまにやら開花。でもまだ本格的に開いていないのが、ちょっと残念。たぶん2〜3日もすれば、大輪になることだろう。
 雑草と間違えて一度は抜いてしまった他の2株はというと、枯れることはなかったが、あいかわらず小さいままで、花芽をつける様子は微塵もなし。やはり球根植物は、その元のサイズが重要ということだろうか。最初から、いびつに小さかったからなぁ…
 それにしても葉っぱの形が、カエル(ラテン語で rana )の足に似ていることからラナンキュラス(Ranunculus)と名付けられたというのも納得。たしかにみょーに似ている。薄緑色したところとかも。

ラナンキュラス

ラナンキュラス

 さて、今年は早めに睡蓮鉢に水を張り、中にミクロソリウムなど植え込んでみているのだが、水面に浮かんだ桃の花びらとかが腐敗してすぐに水が悪くなる。休日のたびに、水をなみなみと溢れさせるほどに注ぎ入れ、水換えなどしているところだが、やはり直射日光がばしばし当たってるのも、そろそろまずかろう。というわけで、毎度の事ながらホテイアオイを求めてホームセンターまで出向いてみた。
 ちょっと時期的にまだ早かったかなと思っていたのだけれど、幸い、例年、夏になったら水生植物を売ってるコーナーに睡蓮鉢が1つ置いてあって、そこで売りに出されていた。全体の大きさが、直径5cmくらいという可愛いサイズ。ずっとこのままの状態でいてくれたらいいのに。でも、ホテイアオイの生命力はすさまじく、1株でもあれば、一面、睡蓮鉢を覆いつくすには十分すぎるほど増殖する。……とわかってはいるものの、あまりに小さかったので、2株、カゴに入れた。
 袋かポリ容器がないものかと周囲を探してみたが、置いてなかったので、そのままの状態で睡蓮鉢からすくいあげ。ぽたぽたと垂れる水滴。…ほんとうに、これ、売り物なんだろうか。もしかして、ディスプレイだけなんじゃ…。

 ちょっと不安になる。

 屋外の園芸コーナーをひとめぐりして、店内へ。観賞魚コーナーで、以前からみこりんが欲しがっていたきらきらと青く輝く小さい魚(カージナルテトラ)を20匹ほど買い。
 ビニール袋に酸素パックしてもらっているそばに、“ホテイソウ、天候不順のため、入荷時期未定です”と書かれた水槽が1つ置いてあった。………え!?屋外には、あんなに置いてあるのに?
 ますます不安になったので、店員さんに確認してみる。「これ、外に置いてあったんですが、買ってもいいんでしょうか?」

 大丈夫らしい。即答されたので、間違いない。それにしても、同じホテイソウ(ホテイアオイ)なのに、売り場が違うと、扱いも異なるのか。入手経路が違うのだろうなぁ。などと、妙に納得しつつ。
 でも“天候不順のため”というのは、なかなか謎だ。いったいどこで育てているんだろう。寒さには弱い植物だから、どこか南の暖かい場所か、あるいはハウスの中か…。ハウスならば天候不順は関係なさそうだから、やはり南の方の、屋外で栽培してるんだろうか。今年は厳冬というよりは、どっちかというと暖冬ぽかったような気もするが…

 などと妄想しながら帰宅。
 カージナルテトラの水合わせの間に、ホテイアオイ2株をさっそく庭の睡蓮鉢に浮かべてみた。
 ちんまりと浮いている。やはりこのくらいのサイズのままがちょうどいいな。
 このまま水が落ち着くまで、さらに2週間ほど待ってみて、大丈夫そうなら、ボウフラ達が発生する前に、ヒメダカでも入れてみようかと思う。


2008.4.23(Wed)

『バトルスター・ギャラクティカ 第12話,第13話“コボル上陸作戦(前後編)”』

 『BATTLESTAR GALACTICA』、先々週に前編が放送され、この時にはちょうどみこりんが地上波の仰天ニュース系の番組を見たいというので、私の方はPCに録画するだけにしておいた。そして先週の水曜日、その録画しておいた前編を見、番組後のテロップで後編の放送は1週延びて今日であることを知り…。

 そして本日、いよいよ“コボル上陸作戦(後編)”。
 人類発祥の地とされる、惑星コボル。しかし軌道上にはサイロンの母艦が1隻。
 ギャラクティカ側のラプター3機で編成された上陸部隊は、結局、1機のみ半壊しつつも地上に到達。なにやらストーンヘンジっぽい遺跡のようなものが。あるいはギリシア神話系な石造りの建物っぽいものもあり。No.6に導かれるままに進むバルター博士の目には、時間を遡って遺跡が生きていた頃の光景が広がり、その神殿と思しき建物の奥に、ゆりかごが1つ。「私たちの娘」と、No.6は言った。

 一方、惑星カプリカでは、シャロン・バレリーの胎内に、もう1つの新たな生命の兆し。やはり前編のあれは、お約束中のお約束だったようだ。いよいよ新人類の誕生なのか。人間型サイロンがつくられた背景には、どうも“神”の存在があるようだが…。“神”って、誰、というか何。とても気になる。
 以前、“スターバック”が自分のものと思われる小さな神の像に祈っていた場面では、ヒンズー系な“神々”のような姿かたちをしていたようだが、単なる宗教上の“神”というより、実在の“何か”という気もする。
 大統領に命ぜられて“スターバック”がカプリカに取りに戻ったアポロの矢。古代の遺物が、実際の何かの役に立つっぽい設定が、かなりそそられる。“スターバック”の機体が、奪取してきたあのサイロン戦闘機で固定になるのかというあたりも、要注目。

 そして今回初めて内部が明らかとなった、サイロンの母艦。雰囲気的に、1作目の『エイリアン』を思い出してしまった。なんというか生物的な構造材。いまにも粘液がしたたってきそうなぬるぬる感。ひょっとして母艦そのものも、サイロン戦闘機などと同様、半生物な仕様になってたりすると実に面白いのだが。でかいし。爆散する瞬間、“でかるちゃー!”と叫び声が聞こえてきそうなところも、なかなか。
 そのサイロンの母艦を核ミサイルで破壊したシャロン・“ブーマー”・バレリーは、ついに自分がサイロンであることを自覚した…。って、めっちゃ気になるシーンで“つづく”。しかも第1シーズン、ここで終了。第2シーズン放送まで、しばしのおあずけである。ものすごい寸止め。なんというじらし方。

 うーん………、マンダム。そう呟かずにはいられない。


2008.4.26(Sat)

春の嵐

 昨日から頭痛と寒気が止まらないので、今日は布団が友である。朝から雨模様な気配はしていたが、夕方近くになると、家がぎしぎし軋むほどの風が吹き荒れ、雨戸がガタガタとひっきりなしに鳴っていた。

 まさに春の嵐。

 この分では、先週、みこりんと刈り取った蔓や雑草も、たっぷり雨を吸ってしまって、せっかくの天日干しも無駄になってしまったことだろう。やはり庭の隅っこで、土を被せて堆肥にしてしまうのがいいのかも。
 そんなとりとめのないことを思いつつ、夢うつつで目を閉じていると、時間感覚が消失したかのような状態になってくる。そしてやってくるのが、真夏の蝉の鳴き声のような、激しい耳鳴り。
 重い頭が、重力が3倍くらいに増えたように枕に沈み込んでいる。
 長い長い耳鳴り。それでも、いつのまにか睡魔に意識をふっともっていかれ…

 せっかくの土曜日だったが、こうしてあっという間に過ぎ去ってしまっていたのだった。


2008.4.27(Sun)

紫の園

 からっと晴れ。夏のように蒸し暑くもなく、いい気候だ。満開の赤いラナンキュラスが、そよ風にそよそよ揺れているさまに、癒される。
 オレンジ色のチューリップ“バレリーナ”の向こうで、ピンク色の“クリスマス・マーベル”が、ようやく開花。こちらも、今年は花がやや小ぶり。花は咲かせず、球根を太らせた方がよかったのかもと思ったが、ここ数年、消滅はしていないようなのでたぶん大丈夫なのだろう。でもその隣の植えっぱなしヒヤシンスは、今年、発芽したのは5分の1と燦々たる有様なので、油断はできないが。

チューリップ“バレリーナ”と“クリスマス・マーベル”

チューリップ“バレリーナ”と“クリスマス・マーベル”

 庭の花壇ではない部分、おもに通路として使っている南から西にかけて、今年もアジュガが一面に広がっている。もともと花壇に植えてあったものだが、徐々に花壇から離れ、こうして通路のほうで勢力を拡大中。たぶん、荒地の方が性にあってるんだろうと思う。あのペパーミントと混在して、勝ってしまうほどだから、よほどの生命力の持ち主なのだろう。
 一面、薄紫の花を咲かせている姿は、なかなかうつくし。その花に、ミツバチがひっきりなしに蜜を吸いにやってきているので、羽音が途切れることがない。そろそろ虫達も、本格的に活動を始めたらしい。

 ということは、桜やプラム、花桃にも、例によって毛虫のコロニーが出来始めているのかも。ざくっと見て回った限りでは、まだ大丈夫そうだったが、こちらも油断禁物。

アジュガの群生

アジュガの群生

みこりん部屋移動

 静かな2階の部屋は、ちょっと怖いというみこりんのために、机やらベッドやらを分解して、1階のリビングの隣にある和室へと移動。ここならば、一人で留守番してる時や、眠りにつくときでも大丈夫。みこりんが赤子の頃から小学校低学年頃まで使っていた部屋なので、感覚的にも落ち着くのかもしれない。
 空いた2階の部屋には本棚を増設して、増える一方の本を収納するというLicの案は、なかなかよいアイディアに思える。いわゆる、読書部屋か。みこりんも、私やLicの蔵書を読めるようになってきているので、押入れで死蔵しておくよりは有効活用できそうだ。

 ところで、1階の和室には、これまでにゃんちくんのソファを置いてあったのだが、今回の移動で、にゃんちくんにはリビングのコタツ机の下が新たに割り当てられることになった。コタツとはいっても、コタツ布団は掛けておらず、普通のローデスクのようにして使っている場所だ。
 にゃんちくんは、気に入ってくれるだろうか。

 和室の片づけが済んだ頃、そろりそろりとにゃんちくんがテレビの裏側から姿を現す。
 そして、しずしずと和室を目指し、歩いてゆく。にゃんちくんには、まだソファの移動のことは内緒にしていたので、まだそこに自分のソファがあると思っているのだ。

 和室の入り口までたどり着いたとき、にゃんちくんはぴたりとその歩みを止めた。中の様相が一変していることに気付いたようだ。
 そぉっと体を低くして、中を覗き込んでいる。

 じぃぃぃぃぃ…

 一度、私の方をちらっと見て、再び、和室の方に視線を戻す。
 ニワトリの頭の動きみたいに、かくっかくっと前後に動いているのは動揺している証だろうか。

 「これは何にゃ?」

 「ソファがないのにゃ?」

 ものすごく慎重に、にゃんちくんは和室へと足を踏み入れる。そして、固まっていた。
 みこりんのベッドの上なんかは、ふかふかしていていかにも猫好きのしそうな場所に思えたが、そんな余裕はないようだ。
 様子を見に来たみこりんの姿に驚いて、しゅぱぱぱっとリビングへと撤退してきた。その眼前、コタツ机の下に、自分のソファが置いてあるのを発見。ふんふんと匂いをかいでいる。

 数分後、にゃんちくんは何事もなかったかのように、コタツ机の下のソファの中で丸まっていた。どうやら大丈夫らしい。
 こうして、みこりんとにゃんちくんの部屋の移動は終了した(まだ片付けが残ってるけど)。


2008.4.28(Mon)

落ちていたもの

 平日だが、先日の土曜日、みこりんの学校では参観日があったので、本日は振り替え休日。それに合わせて、私も有給休暇を取得してある。新年度早々、所属部署では工数がないとかで、残業ゼロ、休暇取得を奨励されてしまっていることもあり、遠慮なく休む。こうして休んだ分だけ、残業時間としてカウント可能なので、悪くはない(有給休暇分の工数は別枠だから)。

 うららかな昼下がり、ふと思い出す。
 むかーし、学生時代、夏休みにバイクで北海道を2週間ほど旅していた時の出来事。サークルの仲間3人でのツーリング。
 延々と続く、黒いアスファルト。速度感覚がおかしくなってしまいそうな直線道路に、異国の雰囲気を感じていた。

 順調に走行中、突然、仲間の一人が、転倒した。
 こんなコンディションの良い路面なのに…。こけた当人も当惑しつつ、なぜバイクがスリップしたのか転倒場所まで戻ってみると…。
 そこには、ぴっちぴちの銀色に輝く生魚が、1匹、落ちていたのだった。

 ……ま、まさか。これか?こいつが原因?

 その魚が、アジだったのかサバだったのか、もはや記憶も曖昧なのだが、とにかく全長にして30cm近くはありそうな生魚だった。そして、その表面には紛れもなく、くっきりとタイヤの跡が。

 北海道、おそるべし。
 懐かしい思い出だ。


2008.4.29(Tue)

『付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います』

『付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います』(著:御堂 彰彦) 『付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います』(著:御堂 彰彦)、読了。
 以前、同じ著者による『12DEMONS』が、ほどよい読後感を与えてくれたので、買ってみたもの。みこりんも、『12DEMONS』の人だということで、興味を惹かれたのか、ぱらぱらと最初の数ページを読んでみていたようだったが、しばらくして本を置き、「ちょっと、びみょー…」と言っていた。確かに、最初の話は、みこりんにはちょい合わないかもなぁ、と思ったりもしつつ。ちなみにこの本は、“付喪堂骨董店”でバイトしている高校生の刻也と咲を話の中心とした、1冊あたり4話の短編構成となっている。

 本の冒頭にも書かれているが、骨董店とはいっても、いわゆる普通の骨董品を扱った話ではなく、“アンティーク”と呼ばれる不思議な力を秘めた品々を巡るストーリーである。
 設定としては、結構ありがちなものではあるのだが、著者が好んで用いる、それぞれの登場人物から見た一人称を交互に織り交ぜて物語を展開する手法が、わりと飽きを感じさせない独特な雰囲気を醸し出すことに成功していることもあって、読むのが楽しかった。もちろん、この手のライトノベルには欠かせない天然系美少女である、骨董店バイトの咲ちゃんの存在も、無視できない要因である。特に第4話『プレゼント』は、咲ちゃんのリアクションが、かなり初々しくてよし。

 というわけで、このシリーズ、現在まで3冊出ているのだが、残りの2冊も、さくっと注文したのであった。


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