2001.6.1(Fri)

思わぬお客様

 いつもより少し早起きした朝、のんびりと庭を散策してみたりして。
 まっさきに目に付いたのは、木イチゴの花。とうとう咲いた。薄桃色の花弁が五枚。派手ではないが、その野性的なところがいい。今年はたくさん実が採れそうだ。みこりんも何かを期待して瞳を輝かせている。そうそう、そいつが木イチゴの実になるんだよ。

 見上げると、プラムの枝に毛虫発見。丸々と太って、随分と大きくなっている。捕獲だ捕獲。そうやって木の上に目を凝らしていると、Licが突然尋常ならざる声で「あれはなに?なにがいるの?」と言う。指さす方向は、枝垂れ桜の下あたり。プラムのお隣だ。私とみこりんが立ってる位置からは、50cmも離れていない。

 いったい何がいるのだろう。特にそれらしいものは見あたらないが……と思った矢先。
 「ん?」
 何かが動いてる。木漏れ日のまだら模様で、はっきりとは分からないが、たしかに何かがいる。しかもそいつはこちらに向かって来ようとしていた。
 Licの言うように、ウズラほどの大きさの生き物だった。ぞっとする。な、なにやつ!?そいつはまるで、地の底から這い出してきたようにグロテスクなずんぐり体型だった。色は灰色、こんな生き物に心当たりはない。思わず後ずさりしそうになったとき、やっと陰から出てきたところで正体がはっきりと分かった。カエルだ。ヒキガエル。

 四つ足で、なんとも奇妙なリズムで歩いてくる。みこりんが思わず私の背後に隠れていた。無理もあるまい。私でさえ、この“動き”には少々心が騒ぐ。みこりんにとってはヒキガエルを見たのも初めてだし、なにより今までその存在すら知らなかった生物が、いきなり目の前に出現したのだ。そら怖かろう。

 ヒキガエルは、そんな我々のことなぞ意に介するふうもなく、のったりのったり目の前を通り過ぎ、ウッドデッキの下へと消えていった。いったい彼はいつからこの庭にいたのだろう。大きさからして、それほど年数を経たものとは思えない。去年、あるいは今年に入ってからの登場かもしれない。
 以前からみこりんは、カエルさんを飼いたいと言っていて、自前のプラケに水を少し張り、休憩用の小石まで入れて準備していたのだが、さすがにヒキガエルを飼おうとは言い出さなかった。「みこりん、ちいさいのがすき」…そう何度もつぶやきながら。
 でも幾分時間が経つと、ヒキガエルの存在に脳が慣れてきたのか保育園に持っていってあげたいと言い出すようになった。ヒキガエルがウッドデッキの下に隠れて十数分、たぶん、今目の前に現れたら、また私の後ろに逃げ込んで来そうなみこりんだが、見えないと気が大きくなるのだろう。

 “庭にヒキガエルがいると、ナメクジを食べてくれる”…当時の園芸仲間からそう聞いたのは7年くらい昔のこと。それ以来、そんなカエルが我が家の庭にいてくれたらと、ずっと願っていた。それが今、ようやく叶ったらしい。もしかして今年、ナメクジの被害が苗にそれほど出ていないのは彼のおかげだったりして。


2001.6.2(Sat)

『ジャックと豆の木』の豆って

 みこりんを保育園に送っていったあと、ハリエンジュの木についた毛虫を捕る。桃色タイプの樹勢が落ちているのは、やはり根っこで増えた白花タイプが勢いを増したせいかもしれない…というわけで大胆に白花タイプを剪定しようと思ったからだ。桃色タイプにはこれまで一度も種ができなかったのに、白花は今年初めて花を咲かせて、はや種ができつつあった。いかにも生存競争に強そうにみえる。

 剪定するには枝葉のいたるところにくっついている毛虫をどうにかしなければあぶなくって迂闊に近寄ることもできない。それにしても“どでかい”毛虫だ。2〜3匹、ビニール袋に詰めただけで、ずしりと重い。丸々と太って肉の量が先月までとは桁違いに増えている。
 あらかた捕獲したあとは、袋の口をしっかりと絞めて……

 玄関脇にまで生えてきていた白花タイプをばっさりやって通路を確保。でも、毛虫捕獲に予想以上に時間を食ってしまったので、後ろに控える本体については後日ということにした。これほど大きくなるまでになんとかすべきだったのだが、ハリエンジュの生長速度は恐るべきものがある。1週間で倍だ。『ジャックと豆の木』に出てくる豆とは、もしかしてこのハリエンジュ(ニセアカシア)のことなんじゃ……とか思ってしまうほどだ。

 午後、まるで夏みたいな陽気に、ついにみこりん用ベビーバスを出してやることにした。本格的なプールにはまだ早いが、水浴びするにはちょうど良い。バケツの泥水にすっぽり肩まで浸かられるよりはいいかな〜と思っていたら、いつのまにか小石運搬用の木製プランタを漬け込んでいて、やっぱり泥々になってしまっていた。泥水遊びがことのほかお気に入りらしい。
 そうやってみこりんが泥水と戯れているそばで、コスモス、ストロベリーフィールド、スイートバジル、バジル“ダークオパール”などを花壇にせっせと定植するのだった。バジル“ダークオパール”は、紫の葉を持つタイプなのだが、葉っぱはスイートなどと同じようにすっと上へ上へと付いてゆく。ところが、今年発芽した中に、葉っぱが紫で、葉の付き方が“アフログリーン”のようにこんもりまんまるく茂るタイプなのが1つだけあった。どうやらハイブリッドが生まれたらしい。この特徴を固定してみるのも面白いかな。

恐るべき再生力

 夜、ナメゴン捜索隊出動。白菜に群がるナメゴンを、片端から割り箸でつまみ上げ、地面になすって息の根を止めていく。具体的には胴体を二等分とか三等分とかにするのである。数が多いときにはその方法が手っ取り早くて重宝していたのだが、今夜は驚くべき光景を目の当たりにする。

 なんと二等分したはずのヤツが、平気な顔して半分になったまま逃げていたのである。……こ、こいつら…やはりこんなわかりやすい分断方法では、すぐに再生してしまうのか。なんとなくそんな予感は以前からあったものの、プラナリアよりは複雑そうなのでたぶん大丈夫じゃないかと勝手に思っていたのだった。やはり塩攻めにしなければダメなのか。

 これまで両断して安心していたが、もしや数を増やしただけだったのでは……。怖すぎる。


2001.6.3(Sun)

庭をいぢる

 庭で“うどん粉病”が蔓延の兆しを見せ始めている。遅ればせながら薬剤散布でもしようと秘密の棚を物色してみたが、手持ちの殺菌剤の効能には“うどん粉病”に関する記述がなかった。そういえば去年までは“オルトランCスプレー”で代用していたのだった。しかし今回は散布対象の付近にハーブが植わってることもあり、殺虫成分を含むオルトランCスプレーを使うのは避けたいところだ。

 時刻は午前10時まであと10分というところ。今からホームセンターに向かえば、ちょうど開店時間という頃合いだ。
 部屋で自分のビデオ鑑賞に耽っているみこりんに、一緒に買い物に行くかと問うてみたが、行き先がホームセンターで、しかも買い物内容が“おくすり”ということを知ったみこりんは、ビデオ鑑賞の方を選んだのだった。自分の赤ちゃん時代のビデオは、それほど面白いのだろうか。以前の買い物大好きみこりんからは、想像もつかない変化である。私が買い物に誘えばどこへでも付いてきてくれていた日々は、いつのまにか遠い過去のものとなってしまったらしい。
 そこはかとなく寂しいものを感じつつも、とっとと作業を進めるために買い物に出かける。

 開店直後だというのに、もうホームセンターの駐車場は、そのほとんどがクルマで埋まっていた。だが客の数はそれに見合ったほどではない。摩訶不思議。
 園芸コーナーの花苗は、今回特に興味を惹くものはなかった。ハンギング向きのヤツばかりに品揃えが特化する傾向は、ますますひどくなってきているような感じ。園芸専門店はともかく、ホームセンターではそういうのしか売れなくなってきてるんだろうか…。

 店内の薬剤コーナーで、できるだけ影響の少なそうなヤツを物色する。“うどんこ病退治薬”と記載された『カリグリーン』があったので、それを1箱。炭酸水素カリウム水溶剤…たしか比較的安全な薬剤として園芸誌で紹介されていたような…。そして今後のために予防用の殺菌剤『サプロール乳剤』も1瓶。あと目についた澱粉主体の殺虫&殺ダニ剤『粘着くん』を1瓶(牛乳スプレーと同じ原理で虫の気門を塞ぎ窒息死させるタイプ)。以上。
 レジに向かおうとしたところで、フェンス掛タイプのプランタが安かったので4個購入。プラムの根元ではびこっているイチゴの群れを、こちらに移植してしまおう。そうすればかねてよりの希望通り、空いたスペースにカタクリを群生させられる。いずれ買わなければならないものならば、今買おう。思い立ったが吉日だ。
 こうして出費はかさんでいくのであった。

 帰宅早々、薬剤の調合を行う。展着剤を間違って規定量の10倍投入してしまうハプニングはあったものの、順調に作業は進んだ。
 そして噴霧。
 ゴボウのA1サイズかと思うようなだだっ広い葉っぱに、霧吹きノズルを握る手も痙攣しそうになったが、なんとかお昼には間に合った。例の澱粉主体の薬剤が、いかほどのものか試しにカメムシに噴射してみたところ……効いている。かなりしつこく噴射しなければならなかったが、最後にはころりと地面に転がり伏して動かなくなった。まさに息の根をとめることができたようだ。こいつはなかなか使えるかもしれない。薬剤といいつつ、これは薬効成分で殺すのではなく、気門を塞ぐという物理的攻撃で殺すため、残留成分を気にする必要もなさそうだし。……ただ気になるのは葉の裏側にくっついた虫に噴射したら、そのあおりを食らって葉っぱの気孔も塞いでしまうんじゃないかということだ。でも特に注意書きもなかったようだし、心配することもないのかも。

 *

 午後はさっそく買ってきたフェンス掛プランタにイチゴを移植。プラムの下あたりから重点的に移動した。その奥に細々と育てているアスパラガスまでの通路が、なんとかクリアになってきた。でもまだまだイチゴの茂みは広がっていて、無数の赤い実は人間様が食べる前にナメゴンにべったべたに舐め回されたまま放置されている。じつにもったいない。早くこちらも救出してやらねばなるまい。

 そして夕方、市民農園に出向く。今日は作業は新たなトマト、キュウリ、コールラビの定植だ。このうちトマトは昨年カゴメから無償配布されていた“カゴメ77”のこぼれ種で育ったもの。たぶんF1のような気がするので、まったく親と同じというわけにはいかないだろう。どんなトマトになるのか興味津々。
 コールラビ達には寒冷紗でトンネルを作って防虫した。が、長さがちょっと足らずにキャベツ苗が1株、無防備なまま取り残されてしまった。あぁキャベツよ、許しておくれ…来週まで葉っぱが残っていますように。


2001.6.4(Mon)

逆“以心伝心”

 公共交通機関に恵まれていないため、仕事の行き帰りには車が欠かせない。幸い私とLicの仕事先は極至近距離にあるため、“行き”はクルマ1台で事足りるのだが、問題は“帰り”である。
 みこりんを保育園まで迎えにいくタイムリミットは午後5時。となれば、少なくとも午後4時には仕事を終えねば間に合わない。すると必然的に二人の帰宅時間には差が出来てしまい、いずれか遅くまで残ったほうは、仕事を終える時刻を指定して迎えに来てもらわねば、最悪、泊まり込みということになってしまうのだった。

 さてこの“お迎え”についてだが、以前からある法則の存在をLicが指摘していたのである。曰く、『お迎え時刻に間に合うように早く着いた時には、私の出てくるのが異様に遅く、逆に、お迎え時刻よりも遅れて到着した場合は、概ね定刻ぴったりに私が待っている』。

 そんな馬鹿な、と最初は偶然で片づけていた。
 しかし、ここ数日、恐いくらいに法則にのっとった現象が続いている。……これってもしや、逆“以心伝心”というやつなのではあるまいか。そんなのがあるのかどうかは定かではないが、まるで見透かしたかのようなすれ違いに、何か偶然では片づけられない“何か”を感じてしまうのであった。

 明日は…どうかな…


2001.6.5(Tue)

プロジェクトX

 第55回「激闘 男たちのH-IIロケット」〜純国産・屈辱からの復活戦〜 前編、を見た。

 体力のある企業はいいなぁ……という思いが強く残ったお話であった。
 資金もそうだし、豊富な人材と、分厚い組織と。そういうところで信念を貫く気力のあるリーダーがいれば、恐いものなし。右往左往と焦点の定まらぬまま、なんとかなるさとやってるとことは大違い、だ……。はぁ。

なんともはや…

エキスパートシステムの恐ろしい現実〜エキスパートシステムは,専門家を危機に追いやっているだけだ”(ZD NETの記事)

 そうか、アメリカのエキスパートシステムは、熟練労働者の知識をあまねくデータ化することに成功してるのか。って、知らない人が本気にしそうな記事だなぁ…(原書が本当にそういう意味のことを書いているのかどうかはわからない。記者の思いこみという可能性もある)
 エキスパートシステムに職を奪われるという発想そのものが、なんとも微笑ましい。それをそのまま記事にするほうもするほうだが。


2001.6.6(Wed)

インプラント

 今朝みこりんが「ここ、いたい」と見せてくれたのは左手のおねえさん指だった。どれどれと調べてみると、どうやら関節付近にトゲが刺さっているらしい。黒っぽい異物が確認できた。
 すでに表面には皮膚が被さってきていて、すぐには取れそうもない。しかし、なんとかせねば最悪、痕に残ってしまうかも…

 とげ抜きを救急箱から取り出して、みこりんを膝に向こう向きに座らせて、と。このとき目ざとくみこりんが、私が何かを持ってるのに気がつき「なに?なんかもってる?」と、今にも逃げ出しそうな雰囲気で聞くので、とりあえず「持ってないよ〜、手でちょっとねじねじして出してみるからね」と、とげ抜きはしばらく脇に隠しておく。

 しばらく指先でつまんで引っ張って…とやってみたが、いっこうに埒があかない。やはり時間が経ちすぎているらしい。仕方ない、アレを使うか。
 そっと椅子の隙間に隠しておいたとげ抜きを取り出し、そぉっと指先に近づける。この位置ならば、みこりんにも何やってるのかそれほどはっきりとはわかるまい。できるだけみこりんの目線を隠すように腕を動かし、とげ抜きで、ちくちくちくちくちく。皮をちょっとずつ取り除きにかかった。

 異変を察知したみこりんが、パニックを起こし掛けていたが、ここで止めるわけにはいかない。Licと二人がかりで、なんとかみこりんを固定して、治療を続行。しかしとげ抜きで皮を破るのはやはり無理がある。ほんとうなら針とかナイフとか使いたいところだが、そんなものを持ち出せば今度こそみこりんは大狂乱に陥るだろう。出来ない。危なすぎる。とげ抜きでやるしかない。

 みこりんの細っこい指を、できるだけ傷つけないようにしながらも、早く治療を終えるためにちょっとばかり大胆さも必要で、けっこう苦労してしまった。でも、ようやく異物を覆っていた皮を、0.5mmほど開くことに成功する。よしよし、ここまでくればあとは指で押し出せば……
 突然ターゲットを見失った。異物が消えたのだ。それまであんなにはっきりと肉に刺さっていたというのに。…もしや異物など最初からなかったのではないか?異物のように見えたのはただの傷口で、変色した部分がトゲのように見えただけなのでは。

 ぐるぐると不安が頭上を堂々巡りし始めた時、ようやく皮膚の隙間に異物を確認。とげ抜きによって開かれたわずかな皮の欠片の中に、すでに異物は移動していたのだ。今度こそ見失わないように、慎重にとげ抜きで皮ごと異物を取り除く。あとは消毒して薬を塗って、絆創膏貼ってやったらおしまい。ハムスター柄の絆創膏で、みこりんもご機嫌である。

 視力には自信を持っていたが、さすがに今回は拡大鏡が欲しくなった。どうやら瞳の最短焦点距離は、確実に増加していっているらしい。
 まぁなんにしてもトゲが抜けて良かった良かった。

 *

 夜、絵本を読み終え、みこりんを寝かそうとしたその時である。Licが見つけた。みこりんの足の裏に、新たなる“トゲ”を。
 最近、みこりんは身体に異物をくっつけてくることが多いようだ。これがマイクロ異星人のインプラント…だったりすると興味深いのだが、やはりこれはどうみてもただの木くずトゲだろう。さっそく指先でにじにじしてみたのだが、今度も途中で見失ってしまった。…明日にしよう。


2001.6.7(Thr)

蛍の夜

 昨年の今頃は、川辺ではすでに蛍は無数に舞い、暗闇に散りばめられたダイヤモンドのようだった。しかしその後、秋の大雨で崩れた川岸の補修工事のため、川底はさらわれ、岸辺の土砂は取り除かれてしまっている。はたして蛍は生き残っているだろうか。

 クルマを止め、ヘッドライトを消す。窓を開け、川縁を舐めるように見渡すと………いた!。ぼんやりと小さな炎が揺れるように、ふっと横切ってゆくのが見える。
 クルマを降り、もっとよく見えるように川沿いを家族そろって歩いてみた。が、どうしたことか真っ暗闇が続くだけ。さきほどのヤツも見あたらない。100mほど歩いたところで、ようやく1匹の蛍が飛んでくるのを見つけた。明滅しながら、ゆーらゆらと川の流れに沿うように。

 でも、それだけだった。蛍は1匹だけしかいないようだ。悪い予感が当たってしまったらしい。川底を洗いざらいさらって、土手を完璧にコンクリートで固めてしまえば、こうなっても不思議ではない。また元のような蛍の乱舞が戻ってくるには、あと何年かかるだろう。ひょっとすると、もう還ってはこないかも…しれない。また来年、しっかり観察しておこうと思う。


2001.6.8(Fri)

小さなひゃくいっちゃん

 今朝は勇んで虫取り網を持って保育園に出かけていったみこりん。いったい何を採ってきたのだろう。

 仕事帰りのクルマの中で、Licが報告してくれたところによれば、“ひゃくいっちゃん”が2匹ほど袋の中に入っていたという。“ひゃくいっちゃん”とは、“おたまじゃくし”のことである。みこりんは、絵本の『おたまじゃくしのひゃくいっちゃん』を知ってからというもの、ずぅっと“ひゃくいっちゃん”と呼んでいるのだ。
 袋の中には、もともと4匹いたらしい。でも、みこりんが持って帰ってきたときには2匹が圧死、残ったのは2匹だけということになっていたようだ。それもちょびーっとの水で、いまにも死にそうな感じに。

 川魚を飼っている水槽から水をつぎ足し、プラケに移したとLicは言った。妥当な処置である。それにしてもオタマジャクシか。小学校低学年のころに飼って以来だなぁ……なんてことを思いつつ、我が家へ到着。手を洗いに洗面所に入ると、そこにプラケが置いてあった。思わず覗き込む。ちょっと泥水っぽいところが懐かしい。

 か、かわいい…。オタマは体長わずか1cm足らず。灰色っぽい薄い土色をしていた。みこりんが捕まえてこれるのといえば、こういうサイズしかなかったんだろうなぁ。小さいもの好きのみこりんらしい。

 さてこのオタマたち、どこで飼うことにしようかな。熱帯魚の水槽ではどつかれまくって速攻で消滅しそうだし、川魚水槽も同様、カイヤン君&ブラックゴースト水槽は論外…となれば、もう一度片づけた30cm水槽を引っぱり出さなければなるまい。
 でもこのオタマ、どんなカエルになるのだろう。なんとなくツチガエルっぽいけれど。ぜひともカエルにまで育ててやりたいものだ。

永遠の生を

 各学校には守衛を常駐させるべし。開かれた学校といっても平日昼間に動ける大人はそれほど多くないと思うぞ。

 死にたがった大馬鹿野郎には、永遠の生きる苦しみを与えてやればよい。簡単に死刑にしてやることはない。少なくとも命を絶たれた子供たち8人分、約640年間は勝手に死ぬこと禁止。


2001.6.9(Sat)

初の大物

 梅雨入りしたような気もするが、今朝は幸い晴れてくれた。1週間ぶりに花壇を見回っていくと、爆発的な生長に驚かされる。この季節の雨というのは魔法の粉でも入ってるんじゃないかと思ってしまう。

 ダリア、黄花コスモス、百日草に蕾発見。秋明菊がはびこりすぎて、隣に植えた黄花コスモスを覆い尽くさんばかりになっていたので、部分移植を実行する。ランナーでいっくらでも殖えていくので、かなり扱いも雑になりつつ東側の勝手口付近を新たに耕し、植え込んだ。この場所は将来“水槽”の濾過槽を屋外設置できるように空けておいたのだけれど、いつのことになるかわからないイベントのために、貴重な庭の一部を利用しないまま放置しておくのはあまりにもったいなさすぎる。……と、最近ようやく気付いてきたのだった。
 さて、あとは伸びすぎて支柱が足らなくなってきたトマトなどに新たなる支柱を立てて、ちょいちょいっと新芽欠きなぞしつつ、スイカ&メロンの仕立て直し、カブの収穫、プラグトレイ苗の菜園への定植などなど、あいかわらず週末にやることは多い。

 ところで花壇にとうとう空きスペースが残ってしまった。花ものの種が、今年はあまり発芽しなかったのが主たる原因だが、昨年の苗余りを気にしすぎて空間を空けよう空けようと無意識に配慮してしまったことも、すこーしは影響しているかもしれない。なんてこった。このままでは夏の花があまりに寂しくなってしまう。不本意ながら、花苗を買ってこなくてはなるまい。

 *

 みこりんが捕虫網を、ばさっと地面に伏せた。またアリさんでも捕まえたのかな?と思ったら、みこりんの様子がいつもと違う。なんだか興奮した声で「つかまえたよ!」と言っているので見に行くと、ふかふかのクローバーの“クッション”と白い網との間に、なんと蝶が1匹入ってた。シジミチョウだ。体長1cmあまりの明るい灰色(水色)した、お馴染みの蝶である(個人的には朱色の模様が入ったベニシジミのほうが好きなのだが、最近はほとんど見たことがない)。
 みこりんは私に網を押さえておくように言い残し、虫かご(プラケ)を取りに消えていった。その嬉々とした様子に、遠い昔の自分を思い出したりしつつ、シジミチョウが逃げないように気をつけて網を押さえてやる。たしかにこいつは大物だ。日頃のアリさんとかダンゴムシとかに比べると、格が違う。なにしろ小さくても“蝶”なのだから。

 虫かごを手に戻ってきたみこりんは、自分で蓋を開け(いつもは開けてと言うばかりだったのに)、網の上からそぉっと蝶をつかもうとした。たぶん保育園でそうやってるのを見たのだろう。だがそれではせっかくの蝶の羽根が痛んでしまう。そこで私は網をひねって蝶に触れることなく虫かごへ移動する技を披露してやった。専用の捕虫網ではなく、網の短いタイプだったのでちょっと“ひねり”を加えるのが難しかったが、無事に虫かごへと移すことができた。クローバーの花と葉っぱを適当に千切って、それも虫かごへと入れて蓋をする。
 この夏は蝉やトンボも捕まえられるようになっているかもしれない。

死を

 「自分は何をしても大丈夫なんや」
 この情報が本当ならば、少年法を利用して好き放題犯罪を重ねるヤツらと、根っこは同じか。責任能力が問えないから無罪放免っていうシステムは、問題多すぎ。措置入院させるなら一生入院させとかないと意味がない。こういう暴力的な異常者は特に。

 ヤツは“死”など最初から望んではいなかったらしい。処罰されないことを利用して大量殺人に及んだとなれば、とっとと死刑にしないと同じ理屈の殺人者が増加するだけだ。昨日の“生きる苦しみ”撤回、ヤツには“死”あるのみ。異常者の“ふり”をしてまたしても無罪放免を期待してるようなクズ野郎を処分できないとしたら、そんな法律はいらん。人殺しに“人権”なぞ笑止千万。

 それにしても警備員を配置すれば閉ざされた学校になるのか?そんなことはなかろう。というか地域住民が警備員を雇ってしまえばいいのだ。そうすれば学校の閉鎖性とは対極の力を住民が得ることになるではないか。まぁ警備員=”実効ある力”を一部のメディアや教師が毛嫌いする理由は察しが付くけど。
 銃があるから大量殺人が起きるんじゃない。“その気”になれば箸一本でも大量殺人はできる。包丁となればなおさらだ。誰でも買える。安全は題目唱えてりゃ叶うようなもんじゃないと、そろそろ気付かないといけない。


2001.6.10(Sun)

野生の味

 朝飯は何にするかな、と冷蔵庫をあさっていたら、庭に出ていたみこりんがトコトコと戻ってきた。そのまま私の手をとり、「こっちこっち」と庭へと連れ出しにかかるので、ヒキガエルでも姿を現したのかと期待しつつ付いていってみると、そこにあったのは……木イチゴの“青い実”だった。
 開花から2週間以上過ぎ、そろそろ受粉したものから果実へと変貌を遂げつつあるのだ。一房およそ1ダースの実、木全体で20房はあろうか。つまり240個以上の実が成る計算だ。みこりんの瞳が爛々と輝くのもわかる。
 何度もその青い実をさすっているので、いまにも“ころん”と落ちてしまわないかと心配したが、みこりんも赤くなってさらに黒くならないとおいしくないってことは承知しているらしい。“青い実をとるのは赤ちゃん”という意味のことをこそこそと呟いたりしてる。自分は年少組さんなので、そんな失敗はしないんだぞと自分に言い聞かせているかのよう。

 その木イチゴの向こうには、枝垂れ桜の赤い実がちらちらと見え隠れ。先週にはまだまだ固くしまっていたが、そろそろ食べ頃っぽいのが散見される。赤い色から、深いルビー色へと変化して、見るからに柔らかそうだ。スーパーなどでよく見かける“アメリカンチェリー”の色彩に似ている。ただし、大きさは全然違って、普通のサクランボの1/3程度の大きさしかなかった。でもみこりんにはこの小ささがたまらなく魅力的らしい。よしよし、今朝はこいつを食してみることにしよう。

 みこりんを肩に担ぎ上げ、斜前方にぐぐっと伸ばしてサクランボへと近づけてやる。幸い、毛虫の姿は見られない。みこりんの手が、そっぉっとルビーに触れ……“ぶちっ”。初収穫成功。
 いちおう洗ってから、みこりんに手渡してやる。どんな味なのかな〜なんて見守るつもりが、ある可能性に気がつき、あわててみこりんを一時停止する。このサクランボ、ほんとうに美味いのだろうか?ひょっとしてめちゃくちゃまずかったりして。野生のサクランボは不味いという話を、遠い昔に聞いたことがあるような……
 というわけで急遽、毒味のためにもう1個追加で収穫。みこりんに「おいしいかどうか確かめるまで、まだ食べちゃだめだよ」と言い置き、再び水洗いのため台所へ。

 戻ってみると、はたしてみこりんはちゃんと言いつけを守っていた。サクランボの誘惑に勝つとは、感心感心。では、さっそく毒味をしよう。
 みこりんによぉく見えるように、前歯で「がじり」とやってみた。じゅわっと口中に広がる未知の味。思わず「ずいまー」などと口走りそうになったが、よくよく吟味してみたところ、若干の苦みはあるものの、酸味が強いだけでそれほど不味いわけではないらしいことがわかった。好意的な解釈をすれば、「野生の味」と言えなくもない。それに、わずかだが甘味もある。
 みこりんにも食べることを許可してやった。酸っぱい程度ならば大丈夫だろう。辛みとか苦みには弱いみこりんだが、果実の酸味には強そうだし(並ホオズキの実を丸かじりして平気だったからなぁ)。

 もぐもぐもぐもぐもぐ…。みこりんの動きがとまった。不味かったのか?しかしみこりんの表情は晴れやかだった。口の中に指を突っ込み、ちっちゃな種をつまみ出し、頭上に掲げる。そして、「おいしい!」と一言、報告してくれた。
 やはりみこりんの味覚には私とは違った何かがあるらしい。

 もっと食べたいというみこりんのために、葉っぱの陰に隠れたやつまで探しだし、千切らせてやった。熟れてないのもかなり残っている。で、熟れてないヤツのほうが、おいしそうなサクランボ色だったりするのでにくらしい。熟してあの味だから、熟れてないのは食べるまでもなく「まずい」のだろうけれど、この色のとおりに美味かったらなぁ……。でもまぁみこりんが満足してくれてるようなのでよしとする。まだまだサクランボで楽しめそうだ。
 ところであとからLicにも食べさせてみたところ、やはり複雑な表情をしてた。「まずくはないんだけど…」という認識では私と一致しているらしい。次に果樹を植えるとしたら、甘いサクランボのなるやつがいいなぁ。

 *

 午後、デッキで昼寝。いつのまにかみこりんも同じ枕を共有してすやすや寝息をたてていた。蚊取り線香の煙が、妙に鼻腔に心地よい。梅雨にあるまじき快適さだ。できれば来週もこんな感じに晴れますように。


2001.6.11(Mon)

はじめての倒立

 座布団に両手をついて、その少し前方に頭頂部をくっつける。そのまま両足で大地を蹴れば、三角倒立のできあがり。さきほどからみこりんが何度もトライしているのは、やはりこの三角倒立なのだろう。でも両足が完全に地を離れる前に、ころんと転がってしまう。いくらなんでも三角倒立はまだ無理なんじゃ…と思って見ていたが、あんまり熱心にやっているので、ちょいと両脚をつかんでぐぐっと引き上げてやった。
 うれしげにLicを呼ぶみこりん。新しいことをできるのが楽しくて仕方のない年頃…か。(なにもかも、みな懐かしい)…思わず沖田艦長とシンクロしそうになる。

 ふと見れば、みこりんは両手を離して頭だけで“立って”いた。私が力加減を誤れば、そのまま「くきっ」とイッてしまいそうな体勢だ。なんてデンジャラスな。足首をつかむ両手が、ぷるぷると痙攣しそうになる。
 この“頭だけで逆立ち”は、みこりんのツボにはまったらしい。何度も何度も飽きることなく披露してみせてくれた。だがさすがにそろそろ私の腕が限界だ。みこりんの細っこい首が無事なうちに、おしまいとしよう。

安全な場所

 「安全なはずの学校」というフレーズには、やはり違和感を禁じ得ない。いったい何を根拠に「学校が安全」と思っていたんだろう。日々“いじめ”の陰湿な暴力に耐える子供らのことを、すこーんと忘れてるような気がするけど。
 生徒間の安全でさえ確保されていないのに、校外からの暴力に耐性があるわけがない。

 日本で安全な場所といえば……皇居、自衛隊基地、警察署(やや疑問符つき)、国会議事堂 etc... それなりに警備が整ってるところじゃないと、とても安全とは言えないのでは。まぁそう思いこみたい気持ちはわかるけど、思ってるだけじゃ“安全”にはならないからねぇ。


2001.6.12(Tue)

やや前進

 犯罪を犯した精神障害者の扱いについて、おおむね「現状には不備があり、何か対策が必要だ。しかし慎重にすべし。」との論調で各種メディアは横並びのようである。

【参考リンク】

 ただ、犯罪を犯す精神障害者を一律“弱い存在”と決めてかかっているのは、相変わらず生ぬるい。今回の犯人が“弱い存在”だったのか?現実はその逆で、ヤツは自分の好き放題したい放題に暮らしていたではないか。重大な犯罪を犯す可能性のある者と、そうでない者との区分けが必要だろう。分けて議論しないといくらたっても収束は難しい。
 まぁしかし、以前のような硬直した“人権”論調に変化が見られただけでも前進とはいえる。あとは事なかれ主義が蔓延した国会の行方が気になるところだが、とりあえず措置入院解除の条件を見直す案件だけでもなんとかなれば、この平和ボケ日本としては上出来かもしれん。

 もっとも、今回の犯人がほんとうに精神障害者なのかどうかは、ずいぶんと怪しくなってきたが(“「人を殺しても無罪」元妻を再三脅す 宅間容疑者”[朝日新聞]とか)。だからといって見直し論議が尻すぼみになっては元も子もないけれど。

 ところで……
 “「責任は政治にも」民主・鳩山氏 児童殺傷事件に触れ”[朝日新聞]
 今回の事件に限って言えば、精神障害者(本当にそうである必要がないところがポイント)ならどれほど残忍に子供を殺しても死刑にならない現在の刑法の存在が、そもそもの原因では?犯人もそれが口癖だったというし。精神障害者を装うヤツを野放しにしない対策が必要だね鳩山君。諜報活動にはからきし疎い国情では、素人の演技すら見抜けないかもしれないけれど、医師に加えてその筋のプロを判定に付けることくらいはやってもいいんじゃないかな。


2001.6.13(Wed)

亀さんプールにとまっていたのは

 朝、いつものようにみこりんを保育園まで送っていく。手を引いて教室の前まで行くと、すでにプール前のテラスには水着に着替えた子供達がわらわらと群れていて、少々焦る。皆、プールが待ち遠しくて仕方がないらしい。
 ところで1歳や2歳の未満児クラスにもやっぱりプールはあって、こちらはビニールプールよりは少々豪華なプラスティック製の亀さんを模したものとなっている。直径約1.2mの深緑色した亀さんプールには、まだ水は張られていなかったが先客がいた。それを目ざとく発見したみこりんが、「ねぇ、あれはなに??」と指さして言った。プールの縁にくっついていたのは、茶色の虫だった。なんだか艶っとしていて生々しい。羽根はなかった。でも、なんとなくエンマコオロギのように思える。尻から突きだしたやや長めの管からして、どうやらメスらしい。まだ成虫になりきっていないレベルなんだろう。…腹部の輪っか模様がミミズを連想させて、ちょっとこわい。

 先生がいつものようにみこりんを出迎えてくれている傍で、一人の女の子が私をじっと見上げてる。みこりんよりも1つ上くらいな感じ。何だろう?と思っていたら、いきなり私の足元を指さしてその子は言った。「ねぇ、これはなに?」

 そこにはさっきのコオロギがいた。亀さんプールから移動してきたのだろう。体長3cmはあろうかというデカさなので、かなり目立っている。私がエンマコオロギだと思うと言ったら、先生もうんうんと同意してくれたようなので、足元をさらに接近してくるこの虫は、エンマコオロギで間違いなさそうである。女の子の視線は、その後もずっと虫に釘付けであった。よほど心に訴えかけるものがあったんだろうか。みこりんはこういう大きな虫はまだ怖いみたいなので、とっとと教室に入ろうとしてるのとはえらく対照的。でも来年にはこの子のように、大きめの虫にも飽くなき興味を示してそうな予感がする。というかそう願いたいものである。


2001.6.14(Thr)

RobotWars

 『Carnage Heart EZ』を入手。1997年発売だから、けっこう古いが、このゲームの売りである“戦術プログラムを自作できる”という点に、かなり惹かれている。

 “戦術プログラム”をユーザーが自作して、互いにロボットを闘わせるというタイプのゲームに初めて触れたのは、80年代初頭のASCII誌上にて掲載された『Robot Wars』(たしかこういうタイトルだったと思う)でのこと。ちなみに今現在 RobotWarsというと、これみたいなのになってるらしい。

 今のASCII誌しか知らない人だとそういうゲームの紹介があっただけかと思うかもしれないけれど、当時はパッケージゲームのほうが少数派で、ほとんどは雑誌にソースリストが掲載され、みんなそれを自分でPCに入力して遊ぶというのが基本だったのだ。

 PC-8001で動作したので、自分でもいろいろ戦術プログラムを書いて、対戦させたものである。あの頃はグラフィックなんてあってないようなレベルだったのだけど、単純な“■”(四角)とかドットで構成されたロボットの動きには、じつに生々しいものを感じていた。それに比べるとこの『Carnage Heart EZ』はシナリオモードはあるし、グラフィックの美麗さは言うに及ばず、戦術プログラム作成モードが電子ブロックみたいになってるし、えらい違いだ。でも個人的にはテキストモードのプログラミングもできるようになってればなおうれしかったかも。
 そしてどういう因果か、仕事でも似たようなソフトウェアを造る必要が出てきたりしてて、これまた面白くなってきそう。ただし仕事のは“ゲーム”じゃないのだけれど。


2001.6.15(Fri)

おおきな“ひゃくいっちゃん”

 先日のオタマジャクシに続き、今日みこりんが連れて帰ってきたのはカエルだった。保育園に行くときから「きょうはかえるさんつかまえてくる」と宣言し、入れ物として小さなプリンカップを持参していっただけのことはある。

 プリンカップを上下2つに貼り合わせて獲物をその中に入れるというのが、保育園の流儀らしい。園児の小さな手には、このくらいの大きさが丁度良いのだろう。さっそくみこりんの持ち帰ってきたそれの中を覗き込むと、いたいた、土色したカエルがちんまりと座っている。前情報どおり、尻尾もあった。変態の最終過程だ。オタマジャクシの面影は、その尻尾以外にはどこにもない。でもみこりん的にはその尻尾こそが重要ポイントらしい。あくまでこれを「しっぽがついてるから“ひゃくいっちゃん”!かえるさんじゃないの」と言う。カエルさん捕まえてくると言ってたんじゃ…という突っ込みは止めておいた。この“ひゃくいっちゃん”、来週にはどこから見ても立派なカエルになるだろうから。

 当面プラケの中で飼うことにした。水は5mmくらいの深さまで入れ、なおかつ平たい石を入れてやった。あとは飛び出さないようにフタをしっかり閉めて、と。
 さて問題なのは餌だが……、明日庭で生き餌でも探してやろうと思う。みこりん情報によれば亀さんの餌も食べるらしい。やり方を工夫すればそれでもOKなのかも?

情報発信

 小泉内閣メールマガジン創刊号が、無事届いていたので読んでみた。無難な構成だと思う。“メールマガジン”という新しいメディアを今回初めて知った人も多いだろうし、最初はこんな感じのほうがいいのかも。そのうち双方向性を活かした深い議論ができるようになれば、なかなか面白い。
 これを評して“政権が事実上、独自メディアを持つことにもなり、「情報操作につながりかねない」”とかいう人もいるようだが、既存マスメディアの著しく偏ったフィルタが完全に除去された生データを市民が得られることに、何の問題があるものか。生データにしろ、マスメディアのフィルタのかかったものにしろ、判断は個人がやることに変わりはない。必要な情報が意図的に除去されていないだけ、生データのほうが判断材料としては好都合ってものだ。“情報操作”を強調するなら、既存マスメディアにだって同じコトが言えるわけで、何を今更という感じ。
 政府だけでなく、各国会議員、政党は言うに及ばず、地方議員も含めて、こうした情報発信は積極的に行ってもらいたいものである。特に選挙前、選挙カーで名前を連呼するだけってのは勘弁してほしい。知りたいのは中身なんだから。


2001.6.16(Sat)

“が”

 お昼前、保育園にみこりんを迎えに行く。
 教室が空っぽだったので、園庭の方を見渡してみた。少し時間が早かったので、まだ多くの子供達が広い園庭に散らばって思い思いの遊びに興じている。距離にして100〜120メートル。視力に不自由していない私でも、さすがにちょっときつい。ただ、帽子の色が学年ごとに区別されているので、それを頼りに絞り込んでいくことは可能だ。
 砂場、鉄棒、ブランコ……順にサーチしていくうちに、気になる集団を発見した。帽子の色は合っている。子供の数は4名、男2に女2だ。一人の女の子の帽子は、少し変わったタイプだった。後頭部まで広く布で覆われているように見える。みこりんのは普通タイプだから、この子ではない。もう一人の女の子は、なんだか大きな乗り物を運んでいた。その動きにはなんとなく見覚えがある。どうやらみこりんっぽい。

 ゆっくりとそちら方向に歩いていくと、次第に子供達の顔がはっきりと識別できるようになってくる。間違いない、みこりんだ。しゃきしゃき活発に動いているので、まるで別人のような感じだった。
 遊びに夢中のみこりんは、すぐうしろに立っても気付いてないようだった。代わりに、変わった帽子をかぶってた女の子のほうが私を指さして「あ、みこりんのおとーさん」と迎えてくれた。すっかり顔を覚えてくれているらしい。男の子2人は、さっきからずっとシジミチョウをスコップで捕まえるのに一生懸命。…あ、どうやら捕まえたらしい。というわけで、一緒に後片づけをして、教室まで戻る。

 みこりんがお友達に「ばいばい」と手を振っていたら、さっきの男の子2人が、それぞれ手にシジミチョウをつまんで、ぐぐっとみこりんの鼻先に突きだしてきた。シジミチョウは、もはやそれがチョウとは思えないほどに鱗粉がはげ落ち、スタボロになっていたのだが、彼らにしてみれば“すごい”獲物には違いない。最初はみこりんに「あげるっ!」と言っていたのだが、みこりんがそれを拒んでいるうちに、いつのまにか「が!が!が〜!」と、追いかけっこになっていたのだった。どうも男の子たちはそれを“蛾”だと思ってるようだ。いやいやそれにしてもみこりん、2人もの男の子におっかけられとは、なかなかやるようである。ひとしきり楽しげに駆け回るのを眺め、一段落したところでチャイルドシートに装着してやる。男の子たちはクルマの傍でチョウを握りしめたまま、まだ「が!」とおっきな声で笑ってる。またな、坊主たち。


2001.6.17(Sun)

カエルの食事

 金曜日に我が家にやってきた“おおきなひゃくいっちゃん”ことカエル(尻尾あり)は、オタマの名残である尻尾も半分ほどになり、どこから見ても立派なカエルになりつつあった。日がな一日、小石に乗っかり虚空の一点を見つめるその姿は、まるで彫像のよう。でもいくら無表情を装っても、そろそろ腹がすいてくるころに違いない。プラケごと庭に連れ出し、みこりんと2人で餌探し開始。

 蛾とかバッタとか、ハエとか蚊とか、そういうのを目標に探し回ったものの、これがまたどうしたことか見つからない。いて欲しくないときにはいつもいるような気のするハエとか蚊とか、なぜにいないのだ。餌として与えるのにもっとも抵抗感のない虫なのに、このままでは遺憾ながらついさっき見つけたオンブバッタの赤ちゃんが“餌”ということに…

 (数分後)
 …仕方ない。赤ちゃんバッタで試してみよう。
 割り箸で軽〜くつまんで、カエルによく見えるように“ついついっ”と動かしてみた。が、カエルはまるで見えていないかのように無視を決め込んでいる。食い気ゼロ。しばらく待ってみたが、変化が見られなかったので赤ちゃんバッタは解放してやった。
 Licはアブラムシとかちっちゃな羽虫とかを餌にしようと試みていたが、それはいくらなんでも小さすぎのような。でも、そのLicがついにやってくれた。ハエをゲットしたのである。普通のイエバエ、大きさも手頃だ。さっそくプラケのフタを開けて、ハエを中に放ってやった。あとはカエルが食べるに任せていればいい。

 ぶんぶん飛び回るハエ。しかし、やっぱりカエルは微動だにせず。もしや変態が完全に終了するまで断食する…んだったりして、と奇妙な考えまで浮かんできてしまった。とにかく今日一日、このままにして、様子を見るとしよう。

突然の進歩

 今宵のみこりんはひと味もふた味も違っていた。お風呂での出来事である。いつもはちょっとでも顔面をお湯が流れると、火がついたように泣き叫ぶのだが、なんと自分から洗面器のお湯を頭から「さばぁ」とかけている!しかも自力でシャンプーしたのち、リンスまでまんべんなく髪と地肌に擦り込み、仕上げのお湯も、自分で頭からかぶってた。な、ななななんとしたこと。これは本当にみこりんなのだろうか!?

 その後も驚異の連続だった。自分から率先して体を洗い、歯磨きも自発的に行った。私の出る幕は、ほとんどなし。……別人のようだ。
 風呂上がりのタオル拭きも、すべて自力でこなしてしまったみこりんは、とても昨日までのみこりんとは思えない。ひょっとしてみこりん、今夜宇宙人にさらわれていってしまうのではないか、などと意味なく恐怖したりして。あるいはこういう可能性もある。ちょっとだけ未来のみこりんが、なんかの拍子に体はそのままで、精神だけ現在のみこりんと入れ替わってしまったのだ。そういえば昼間、みこりんの姿が数分間確認できなかったことがあったような……

 子供は突然に進歩する。というのは赤ちゃんの頃から、いろいろ思い当たることがある。今夜のも、そういう瞬間だったのかもしれない。


2001.6.18(Mon)

夜行バスそして…

 朝からみこりんは明らかに“そわそわ”していた。そして夜、みこりんは自分用のリュックをしょって、時計をずっと気にしてた。なにしろ今夜はみこりんにとって初めての夜行バス体験、なおかつ目覚めれば明日は“ねずみーらんど”…もとい“ディズニーランド”に到着なのだった。まぁ興奮するなというのが無理かもしれない。

 迷子札をしっかりチェックし、みこりんにその使用法を何度も繰り返し説明してやった。でも実際迷子になってしまったらそんな余裕などなさそうだけど、一応念のため。迷子用の簡易GPSデータリンク装置があったら便利そう。

 駅まで2人を送っていった。ひとり家に戻り、にゃんちくんをケージから出してやったりしていると、ケータイがメールを受信。Licからだ。みこりん、ハイテンションでいまだ眠らず、と書かれていた。明日寝不足で肝心の昼間に熟睡したりしなければいいのだが。


2001.6.19(Tue)

幸運な偶然

 午後の仕事を早々に切り上げ、明日の出張のために一路東京へと向かう。だが前泊が許可されたわけではない。今回は、たまたまみこりん達が東京ディズニーランドに遊びに行ってて、近くにホテルも押さえてあるので、それに便乗させてもらうのである。なんて Good timing...しかも明日の出張先は東京ビッグサイト。東京ディズニーランドとは目と鼻の先だ。これまたラッキー極まりない。

 東京着は夕方のラッシュまっただ中。人混みに早くも打ちのめされつつ、京葉線ホームを目指してひたすら歩く。あいかわらず中途半端な動く歩道には乗らずに、自前の脚でちょっと早足。発車時刻が迫っていたので手近なヤツに飛び乗ったら、“通勤快速”とやらで降りたい駅をすっとばしてずぅぅっと先まで止まらないことを発車に知ってしまった。…や、やってもうた。と一瞬血の気が引きそうになったが、幸い東京を出てすぐの八丁堀が奇跡のように停車駅となっていたので救われた。きっと私のようなうっかりモノ対策に違いあるまい。
 閑散とした八丁堀でいったん降りて、今度こそ間違いなく各駅停車に乗り込み、舞浜まで。雨はほとんど降っていない。出がけの土砂降りで濡れた靴の中も、ちょこっとだけ乾いてきたような感じ。

 舞浜着。ケータイでこちらの位置を逐次報告しつつ……という説明はもはや不要だろう。やがて暗闇の中からみこりん登場。ぴかぴか金色の光が回転する電飾玩具を手に、近付いてくる。なんとなく現実離れした雰囲気が漂っていた。

 ホテルでは、みこりんやっぱりハイテンション。非日常の世界にどっぷりと浸りきっているのだろう。明日が仕事でなければ…と、つい思ってしまうが、またいつかゆっくりと訪れてみたいものである。


2001.6.20(Wed)

測量展

 昨夜はみこりん、2度ほどベッドから消えた。床がカーペットとはいえ、どうしてそこまで無音で落ちることができるのか、謎だ。しかも落ちたまま寝てるし。…そんなこともあり、ちょびっと寝不足なまま朝を迎える。

 Licとみこりんは再びディズニーランドへと吸い込まれていき、私は一人、東京ビッグサイトを目指す。臨海副都心線は、やはりビジネスマンと普段着のコンパニオンという取り合わせだった。
 今日は測量系の展示会と技術発表会を聴講し、GIS(地理情報システム)に関する最新動向の調査をすることが目的である。

 展示会、発表会と参加してみて気付いたのは、組み込みソフトウェア開発環境展などよりも、女性の数が多かったことだ。もちろんコンパニオンのねーちゃんはその数に加えていない。客として来ている方の女性比率がけっこう高かったように思う。測量というと思いっきり土木系な方面のような気がしていたのだが、最近はそうでもないらしい(とはいっても1割いたかどうかという低い水準での話し)。

 ところでGISというとカーナビのように地図を利用した情報システムというイメージがあったのだけれど、地図というものに対する見方がぜんぜん違っていたようだ。GISで用いられる“地図”というものは、たんに座標位置を記載したデータというだけでなく、その物体に関する様々な属性(たとえば築何年とか家賃いくらとか)までもリンクしてデータ化しているのだった。それゆえに“地図”とは呼ばずに“地物”と称しているのだとか。なかなか興味深い試みだ。近年、地図屋さんが復興してきているという意味の本当のところがわかったような気がする。

 夕方、仕事終了。東京駅で無事合流したあと、家路へと。ぐっすり熟睡していたみこりんが、なんかおかしいと気付いたのは最寄りの駅を降り、クルマに乗り込んでから。みこりんはまだまだ遊び足りなかったらしい。ただひたすらに「とーきょーのおうちがいい。とーきょーのおうちにいきたかった」と泣いていた。よっぽどあのホテルが気に入ったとみえる。次はキャンプ&テント生活の魅力も教えてやりたいものである。


2001.6.21(Thr)

珍果

 国華園から2001年夏秋用のカタログが届いていた。今回は変わったフルーツ特集のようだ。さっそくチェックしてみよう。

 以前から珍しい果物苗を掲載してきた国華園だけれど、今回もまた奇妙なヤツが登場していた。その名は“ノニ”。ハワイ産の苗木で、1本4800円。飛び抜けて高価というほどではないが、注文するには少々勇気がいりそうである。
 ところでこの果実には100以上もの効能があるとされているらしい。ちょいとサーチエンジンで調べてみたところ、山のようにノニ関係がヒットした。どうやらその筋では結構有名なものだったようだ。さすがに目の付け所が違うな国華園…と思いかけたが、ここなど読んでみるにつけ、どうやらノニの果実は通常生食はしないらしい。かなり味や匂いが強烈そうだ。だから成分抽出したり結構面倒な手順を踏んで錠剤あるいは粉末として売られている……。

 国華園でノニを買って育てても、いざ果実を利用しようと思ってもそう簡単にはいきそうにないみたい。でもこうしてカタログに“ジュースで朝・夕食30分前おちょこ1杯が目安”なんて載せてるし、モデルのお姉ちゃんもどす黒い液体に口を付けてるみたいだし、ひょっとして国華園ではこいつを生ジュースでぐいぐいやってるのかも。…青汁とどっちがまずいのか気になるところだ。

 “ノニ”の他には、“カラント”ってヤツが気になった。果実の色が赤・白・黒の三タイプ用意されていて、このうちの黒がブルーベリーよりも目にいいとかでTVでも紹介されたらしい。でも私的には赤の輝くような色彩に惹かれる。透明感溢れるクリスタルレッド。枝垂れるように小粒の実が鈴なりに。…なかなかこういうタイプと色をした果物は少ないように思う。
 1株2800円ならば1本くらい買ってもいいかな。


2001.6.22(Fri)

あわただしく週末へ

 “ガンダムバトルオンライン
 そ、そうか、シミュレーションゲームだったのか…。プレイヤーがMSを操縦して対戦できるんだとばっかり思いこんでいたので、かなり落胆。

 あ、いろいろ書こうと思っていたけれど、なんだかとりとめがつかなくなったので削除。

 ところで全然関係ないけれど、最近妙に上松美香というアルパ奏者のことが気になる。一度生で演奏を聴いてみたいものだ。


2001.6.23(Sat)

魔法の粉

 みこりんが保育園から大事そうに持って帰ってきたのは、プリンカップに入った“サラ粉”だった。“サラ粉”とは、さらさらの粉状をした土という意味で使われているらしい。神社の縁の下あたりで蟻地獄が巣を構えてそうな感じの土といえば、それがどんなものなのかわかっていただけることと思う。この地域独特の言い回しなのか、みこりんの通う保育園オリジナルの言葉なのかはわからないが、園児達はこのサラ粉がたいそうお気に入りのようだった。

 このサラ粉でどうやって遊ぶかといえば、泥団子にまぶして手で磨き、つるっつるのきれいな団子に仕上げるのである。うまく磨ければ高級吉備団子かと思うくらいに“おいしそう”な団子が出来上がったりする。そういう極上品は、彼らの宝物として長く奉られることになるのだった。
 みこりんもさっそく泥団子をこねて、サラ粉をまぶしにかかっている。私はその傍らで、菜園に倒れ伏したどでかいゴボウの地上部を仕立て直していた。2年目を迎えるゴボウ達は、地上2m以上のたくましい姿となり、イガグリのようなトゲトゲのある蕾を無数にくっつけている。もうじき花が咲きそうだった。結局、ゴボウとして食べ損なってしまったなぁ……なんて思っていると、突然みこりんの絶叫が静寂の庭に轟き渡ったのであった。

 何事かと駆けつけてみると、どうやら泥団子が割れてしまったらしい。サラ粉をまぶした状態で団子が割れると、もう一度作り直しになる。しかしながら、みこりんの持ち帰ってきたサラ粉は、さっきの団子ですべて使い切ってしまっており、そのことでみこりんは半狂乱に泣き叫んでいるのだった。
 近頃は梅雨のまっただ中ということで、こうした乾燥しきった“純度の高い”サラ粉は貴重品になってるらしい。保育園でもすべて取り尽くして、今日のが最後の割り当てだったと、みこりんは訴えている。
 サラ粉か。我が家にも、じつはサラ粉が採取可能な場所がある。ただ、やはり昨今の雨で、かなりの部分が湿気てしまっており、極上の部分は使えない状態だ。…しかし、と私は考える。うまくすればサラ粉を精製することは可能かもしれない。そのことを確認すべく、サラ粉の産出ポイントに向かった。

 東側の軒下の一部が、問題の箇所だ。やはり極上品は無理っぽい。でも、石ころやら雑多なノイズの混じった部分の乾き具合は申し分なかった。ここの土をふるいにかけたら、もしかするとサラ粉になるかもしれないな。…みこりんの泣き声が止んでいるのに気づく。そういやさっきLicが「食い意地張ってて良かった」とか言い残して消えていったような…。すでにみこりんは部屋でおやつでも食べてるのだろうか。まぁいい。こっそりサラ粉を山のように作って、置いておこう。みこりんの驚く顔が目に浮かぶのぅ。

 プラグトレイ用の土を作ったのと同じ要領で、排水溝ネットを使って土をふるう。みこりんが持ち帰ってきたものよりは、多少、粒が大きいけれど、手触りはなかなかに心地よい。これならば十分“サラ粉”として使えるにちがいあるまい。およそ500ccほどサラ粉の山をつくり、そっとウッドデッキの上に置いてみた。みこりんはリビングでクッキーをぼりぼりと囓っている。それがよほど美味かったとみえて、なかなかサラ粉のことを思い出さない様子。そこで、何気なくウッドデッキのほうに誘導するべく、サクランボ採ってこようとか、カエル見てこようとか言ってみたものの、クッキーの余韻に浸りきって至福の表情のままくつろいでしまってる。あやうしサラ粉。

 やっとこさ庭に出てみる気になったみこりんのあとを、そっとついていく私。気付くかな、気付いてくれるかな〜とドキドキしながら見守っていたが、まるでわざとそうしてるかのように、サラ粉を置いたあたりには近寄らないのだった。あぁぁぁぁじれったい。なのでダイレクトに「みこりん、サラ粉あるよぉ」なんて指差してしまうのだった。

 狂喜乱舞はしてくれなかったが、ぐふふふと内心喜びを隠しきれない様子のみこりんに、私はほっと胸をなでおろす。さぁ思う存分、団子を丸めたまえ、みこりん。……あ、別の遊びを始めよった。大きめのトレイにサラ粉を入れてやっていたので、ぺったんぺったん手形をつけるのに最適だったらしい。ま、まぁいいか。喜んでくれてることだし。

 *

 夕方、家族そろって歯医者に治療に向かう。今日で私の治療は終了。なんと晴れやかな気分だろう。だが外に出てみると、しとしと雨………あぁっ!!サラ粉、外に出しっぱなしだ!


2001.6.24(Sun)

チープなサンダル

 サンダルを買いにスーパーへ。ところがなかなか目当てのタイプが見つからない。私が探しているのは海の家とかに格安で並べられてるような単色一体成形モノのチープなやつ。せいぜい500円とかそういうヤツが欲しいのに、どれもこれも小綺麗にまとまってしまって、どうもよくない。足の甲の部分が布だと、水に濡れたときなかなか乾かなくてうっとうしいし、草履タイプの鼻緒があるやつは指が痛くなる。かかとまでホールドするようなのも、庭履きには少々面倒。ささっとつっかけて、するっと脱げるものじゃないと……

 結局、目的のサンダルは発見できず。うちにある2足のサンダルは、もうかれこれ10年以上は使ってるので、最近破損がひどく、そろそろサンダルとしての用を果たせなくなる。いずれも海辺のキャンプ用に買ったものだが、着脱の容易さ、濡れてもすぐ乾く安上がりな素材、安さ、紫外線に強く脱色したり脆くなったりしないなど、いずれをとっても便利なサンダルだった。ふたたびこのチープなサンダルに出会えるだろうか。今度見かけたら5〜6足買いだめしておかねばなるまい。

花火

 火を付けるまでは、みこりんの花火熱は相当なものであった。一緒にロウソクに先っちょを近づけ、発火の瞬間を待ち望む。夜空は薄曇り。晴れていれば夜空に赤く輝いているはずの火星も、今夜はしょぼしょぼと弱々しい。

 先に軽快な噴射音と共に火炎を吹き始めたのは、私の手にしたほうだった。その瞬間、みこりんが転がるように背後へと逃げて行ってしまった。どうやら花火に驚いたもよう。一年ぶりなので、花火がどんなものか忘れてしまってたんだろうか。さっきまでの花火熱は、もはやどこにも感じられない。いくら誘っても、後ろの方に隠れたまま出てこようとはしなかった。
 線香花火なら大丈夫だろうと持たせてやってみたのだが、ぱちぱちと大きく爆ぜはじめるといきなり手を離してしまった。こいつはかなりの重傷らしい。さてさて、どうしたものか。

 とりあえず花火の楽しさを思い出してもらおうと、私は次々と火を付けていった。子供用の花火セットでも、1人でするには多すぎる。
 半分以上を燃やした頃、ようやくみこりんがそばまで寄ってくるようになった。火炎放射のように吹き出すタイプはあいかわらずダメみたいだったが、線香花火ならば私の手を経由して間接的に触れるようになったようだ。よしよしその調子。

 線香花火をやり尽くしたあと、火炎放射タイプも残りわずか、その頃になって、新たな種類の花火があることに気がついた。パーティ用のケーキなどに刺さってバシバシはじけてるタイプのやつだ。線香花火よりも派手に火花が散るので、みこりんには無理かもしれないと思いつつ、握らせてみると、これが意外に大丈夫だった。燃え尽きるまで、1人で握りしめることができたのだ。やっとこさ花火の記憶が蘇ってきたのかもしれない。次回まで覚えててくれますように。

 花火第一弾はこれにて終了。


2001.6.25(Mon)

手押し車なしで

 “中国で新たな2足歩行ロボット誕生”(ZD Net)

 ほほぅ、それはめでたい。というわけでどんな2足歩行ロボットなのか見に行った。見に行った…。見に………

 “哈爾濱の大学生、二足歩行ロボットを開発”(人民網日本語版)

 甘いっ!!甘すぎるぞ。なんだその巨大な手押し車はっ!そんな見え見えのつっかえ棒を用意しては、せっかくの木人…もとい2足歩行ロボットのインパクトが半減以下じゃ。先輩である先行者を見よ。これほどの素晴らしいパフォーマンスを披露してくれているというに、えぇぃ情けない。喝!喝!喝っ〜!大学生ともあろうものが、小学生並みの自由工作でお茶を濁してはならん。えぇぇならん。

注:先行者パフォーマンス画像はGIFアニメ職人悠さんの手による作品です。

 ちなみに日本のアマチュア作品だと、こんな具合。
 “Silf-H1


2001.6.26(Tue)

夜の主

 ガレージから庭へと続くドアが、どうしたことか開け放たれていたというので、暗がりの中、猫が侵入した形跡がないか点検をしていたときのこと。弱々しい懐中電灯の向こうに、かすかに枯れ葉を踏むような音が聞こえた。息を詰め、じっと耳をそばだてていると、やはり何かが闇の向こうに潜んでいる気配だった。

 物音をたてないようにそっと接近する。相手が猫ならば、人間ごときの隠密行動など無意味とは思ったが、もしや仔猫かもしれないという予感もあり、念には念を入れておくのにこしたことはない。そぉっとユスラウメの枝をどけて、懐中電灯を向けた。

 いない……と思いかけたとき、私は音の正体を知った。ヤツだ。ヤツがいた。夜の食事に出てきたのだろう。前回初めて発見したときよりも、心なしか太って見える。そうだこうしてはおれん。カメラカメラ。

 我が家の庭の主をここに記す(体長20cm弱)。

我が家の庭の主、ヒキガエル

ナイトビジョンで捉えた映像……(嘘)


2001.6.27(Wed)

ぶらさがった玉

 朝、サンルームのドアを開放していると、ふと目に留まったものがある。
 『完璧な防壁』に絡みつくように伸びてきている大玉西瓜の蔓の途中に、テニスボール大の“実”がぶら下がっているのだった。たしか先日の日曜にはピンポン玉サイズだったはず。順調に大きくなっているようだ。うまい具合にぶら下がっているため、ナメゴンの被害にも遭わず、外皮の模様は美しく輝いている。ただ、重力に引かれて、やや縦長になりつつあるのが気になるところ。
 この調子でどんどん大きくなっていくと、いつか重さに耐えきれず落果してしまったりはしないだろうか。編み笠みたいなヤツで下側を支えてやったほうがいいのでは…。まぁとにかくこの1個だけでも巨大になれば、元はとれる。無事に育ちますように。いつぞやのように途中で生長が止まったりしませんように。


2001.6.28(Thr)

AAAクラス

 さて今日は東京方面へ出張である。新幹線の友として持参したのは今回も谷甲州の航空宇宙軍史『終わりなき索敵』。この回は上下2巻に別れているので、上巻のほうを持ってきた……はずだった。のだが、ページを開くといきなり第3章とか書いてある。よくよくタイトルを確認すると、下巻なのだった。やられた(いや、間違えたのは自分なんだけど)。
 下巻から読み始めるほど豪胆ではないので、そっとカバンに仕舞い込み、目を閉じた。そのまま深い深い眠りの世界に落ちてゆく。あぁ今日も一日、暑くなりそうだ。

 東京着。JRを乗り継ぎ市ヶ谷下車。そこから向かうのは某衛庁。受け付けのお姉さん方が驚異的なまでに美形だったことを、ここであえて記録しておこう。受付嬢とは本来そういう見目麗しき女性を配置するものだが、今回はこれまでのどんな受付嬢とも比較にならないほどの完璧さであった。容貌、声、仕草、振る舞い、応対、どれをとってもAAAクラス。特にその愛くるしい鼻のカタチと軟らかそうな唇の艶が素晴らしい。思わぬところで感動してしまい、なんだか得したような気分だ。今日の仕事はうまくいきそうな予感。

 *

 予感は違わず、トラブルなく無事仕事は終わった。夕方まで小一時間以上余っていたので、庁内の売店をしばしうろつく。場所柄、いろいろ面白いものを売っていた。“海軍さんのカレー”にも惹かれたが、子供用飛行服はそれ以上に魅力的だった。オレンジ色のツナギで、USAFタイプ。市価よりも1000円安いところが、さらに購買意欲を高めてくれる。
 だがそれでも3500円という値段なので、Licとケータイメールでしばし相談。めでたく合意に達したので1着購入した。3〜4歳向けだから、来年も大丈夫だろう。航空祭の時にでも着せてやれば素晴らしく似合うに違いない。年賀状用のネタにもぴったりだ。
 あとは帽子があればなぁ……


2001.6.29(Fri)

人形違い

 昨夜からCSチューナーのリモコンを探しているというのに、杳としてその姿は見えず。このリモコンがなくても、Licのプログラマブルリモコンによって基本操作は可能なため、絶体絶命のピンチに陥っているわけではないのだが、やはり使い慣れたヤツがいい。
 どこかに置き忘れたにしては、妙である。立ち寄りそうな場所はすべて探した。それでもなお発見できないでいるのだった。

 みこりんの部屋も探した。おもちゃ箱とか袋の中、引き出しの中まで、過去みこりんがこっそり隠すのに使った場所は全部見た。でもやっぱり見つからない。みこりんに直接聞いてみたが、知らないという。
 仕方ない。こうなったら奥の手を使うか。

 「リモコン見つけた人には、人形焼き1つプレゼント!早いもの勝ち!」

 私は高らかにそう宣言した。人形焼きとは、昨日の出張の帰りに買ってきた“キティちゃんの人形焼き”のことである。
 みこりんの動きは素早かった。明らかに心当たりがあるとしか思えない、迷いのない動き。まったくすっとぼけるのもうまくなったものだ。

 階段を上り、寝室へと入るみこりん。私もすぐ後をつける。いったいどこに隠したのか見届けてやらねば。
 やがてみこりんは立ち止まった。そして躊躇せず衣装ダンスの扉を開ける。普段滅多に使うことのない場所だ。扉の隙間から覗き込むと、……あった。リモコン発見。

 発見者みこりんは、しかし、賞品のことを忘れてしまっていた。ようやく思い出したのは、歯磨きも終わってからのこと。また明日ね、と言うと、みこりんはなんだか不服そうである。今すぐ食べたいのかと思ったが、どうも違うようだ。理由を聞いてみたところ、みこりんは餡が苦手なのだった。だから人形焼きはいらないという。どうやらみこりん、“人形焼き”を“お人形”と勘違いしていたらしい。いったい何のお人形が欲しかったんだろう。とりあえず、明日のお散歩で手を打つことが出来たが、みこりんがお人形を欲しがるのも珍しいのでちょっと気になっているのである。

ピートを忘れるなんて…

 深夜はSkyPerfecTV!を適当に流している。そのうち『夏への扉』の表紙が画面に出てきたので、つい見入ってしまった。言うまでもなくハインラインの傑作SFの1つだ。そのストーリーを解説してたのが、前島亜美奈ちゃん。パンドレッタの一場面だ。

 よし合格。


2001.6.30(Sat)

睡魔

 雨。激しい雨。雨垂れの音を聞いているうちに、いつのまにか眠っていたらしい。徹夜明けには少々酷な空模様だ。
 午後には雨も小降りになったが、今度は腹が膨れて睡魔にやられた。食べてすぐ寝てしまったらしい。はっと気がついたときには、家の中には誰もいなかった。いつのまにか夕方になっていた。テーブルの上には書き置きが一枚。「旅に出ます…」!?いかん、まだ寝惚けているようだ。もう一度読み返すと、今度は「お買い物に行ってきます」になっていた。

 気力が少々足りないけれど、思い切って水槽の水換えを始めることにする(→ お魚日記へジャンプ)。

 思いがけず作業が長引き、しばらく洗面所を水換え道具が占拠してしまって、手を洗いに来たみこりんを風呂場へ誘導せねばならなかった。風呂の蛇口はシャワーとカランとの切り替えタイプ。みこりんが不安げに言う。シャワーにならないように水を出すにはどちらに回せばよいのか、と。どうやら以前にシャワーを間違えてかぶってしまったらしい。たしかにアレは心臓に悪い…。

 左だと教えてやったが、じつは右に回さねばならないことにあとから気がつき、かなり焦る。幸いみこりんは右と左の区別に悩んでいて事なきを得たが、じつにアブナイところだった。

 明日晴れたらみこりんとお散歩だ。


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