2006.11.1(Wed)

イコールカードDS

 近頃Licがはまっているパズルゲームがある。DSで遊べる『イコールカードDS』が、それだ。

 パッケージには“さんすうパズルゲーム”と書かれている。その名に違わず、たしかにこれは算数、というか計算のひらめきが要求されるなかなか手強いゲームだ。ルールは単純で、0〜9までの数字と、+−×÷の演算記号が書かれたカードが何枚か並べられるのだが、すべてのカードは裏返すと“=”になる。つまり、どれか一枚のカードを裏返すことで、左辺と右辺を“=”で結ぶことができたら、問題をクリアしたことになるのだ。

 カードの並び順は自由に入れ替え可能。この自由度の高さが、このパズルに絶妙の味わいを与えているような気がする。
 Licに勧められて私もちょっとやってみたのだが、途中まではそこそこ簡単。だが、徐々に問題が複雑になってくる。同じカードでも、成立する式の数が複数あったりすると、だんだん脳がとろけはじめるのであった。しかもこれ、難問の場合、パスはできるけれど、正解を見ることはできない。自分の答えが正解かどうかはわかるのだが、自力で解けない問題の正解はけしてわからないようになっているので、そこがものすごく悩ましい。

 これを毎日続けていたら、脳年齢も一気に若返りそうだが、途中で詰まってしまったら半端じゃなく悔しい思いをすることになるので、寝る前にはやらないほうがいいかもしれない。夢の中に出てきそう。


2006.11.2(Thr)

ドライヤーの使い方

 お風呂上りのみこりんの髪をドライヤーで乾かしてやるのは、私とLicの役割だが、ドライヤーの扱い方には両者で大きな違いがあった。
 私は、ドライヤーを細かく左右に振りながら、髪の方にはあまり手を入れずにやってしまう派。それに対して、Licはドライヤーは振らずに固定し、髪の毛の方を左手でぱさぱさと揺らす派。どっちの方が上手に乾かせるかといえば、Licの方なのだった。

 私のやり方だと、ドライヤーを小刻みに揺らしてはいるものの、同一箇所に結構な時間温風を当てなければならず、これがみこりんには熱いらしい。それだけ熱くなるにも関わらず、乾き具合は今ひとつ。なのでみこりんには毎回、「あついー」と言われてしまうので、どうにかしてLicの手法を真似してみようとするのだが、長年体にしみこんだ癖は抜けず、うまく左手でぱさぱさとできない。気が付いたらドライヤーの方を左右に振ってしまっているのだった。

 たぶんLicのやり方が正しいのだろう。なにしろ私は首の回りが敏感なので、美容院(散髪屋)さんで髪を切ってもらうことが出来ない。首に布を巻かれるのがダメなので、髪を切るのはずっと自力でやってきた。だから本職さんがどうやってドライヤーを使うのか知らない。いや、正確に言えばみこりんがやってもらってるのを見たことはあるのだが、その当時は自分のやり方がおかしいとは気付いてなかったので、じっくり観察してなかったのだ。

 Licが乾かしてやった翌朝は、みこりんの頭もさらっと整っているのに対して、私がやった翌朝は、みこりんの髪の毛は爆発気味なことが多いのも悩みの種だ。近頃ではみこりんも朝のブラッシングは自分でやるようになったので、爆発状態を直そうと苦戦しているのがちょっと可哀想。寝癖直し用のスプレーはあるが、これを使うと髪の毛があとで臭くなるとかで、みこりんはLicに教わったとおり、手を水で濡らしてぱたぱたと髪につけ、爆発を押さえ込もうとしている。
 でも、どうしてもいうことをきかない頑固な寝癖には、これだけではどうしても無力な時もあり、やむなく私が寝癖直しスプレーをしゅっしゅっとしてやるはめになってしまうのだった。

 でもやはり匂いは気になってるようなので、できれば寝癖直しスプレーは使わない方がよさそうだ。Licのドライヤーさばきを、なんとかして会得せねばなるまい。
 案外私が覚えるより先に、みこりんが自力でドライヤー使うようになる方が早いかもしれないけれど。


2006.11.3(Fri)

明治村にて

 目覚め。はっとして枕元の目覚し時計を確認すると、午前9時…。一瞬、腹の奥にひんやりと冷感を覚えたが、今日が祭日で仕事は休みであることを思い出し、心の底から安堵する。
 みこりんがいつのまにか布団の中に潜り込んでいて、本を読んでいた。私とLicを起こしに来てくれたのであろう。でもなかなか目覚めないので、仕方なく本でも読んでいる、といったところか。

 今日は秋のハイキング大会がある。先日モンキーパークに行ったばかりだが、あれは関連会社合同のやつ。今日のはLicが勤める会社単独で毎年行われている方の行事だ。
 開催場所は、明治村。これをみこりんが知った時には、あまり乗り気ではなかったはずなのだが、今朝のみこりんの様子を見ている限り、行く気満々なようである。
 明治村は、いわゆる屋外型巨大博物館系なテーマパークに属するため、みこりんの好きな遊具類はない。たぶん最初にみこりんが示した反応は、これによるところが大なのではないかと思っているのだが、あとでWebサイトでも調べたのだろう。そこそこ興味が出てきたらしい。

 受付時間まであまり余裕がないので、少々急いでクルマで出発。目的地までは、およそ50分くらいかかるのだが、途中、工事渋滞があって焦ったりもしつつ、どうにか間に合った。
 受け付けでお菓子の詰め合わせと、粗品をいただく。先日の菓子袋よりも、こっちの方が微妙に高級品が入っているもようだ。みこりんが中身をチェックして、なにごとか納得したようにうなずいていた。

 さて、明治村だが、じつは来るのは2回目である。一度目はLicの妹達も一緒で、みこりんはまだ保育園な頃のこと。日記によれば2001年11月4日となっているので、今からちょうど5年前、みこりんが4歳の頃、か。
 みこりんに「覚えているかい?」と聞いてみた所、「わすれたー」とのこと。まぁ、無理もあるまい。4歳の頃だものなぁ…

 帝国ホテルのロビーを抜け、芝生へ。前回来たときには、この広大な芝生の上でみこりんは転がりまわって遊んでいたものだが、今日はおとなしく花壇の縁に腰掛け、露天で買ったコロッケ(食道楽のコロツケー)などを食べ。
 このコロッケ、当時の小説『「食道楽(しょくどうらく)』(著:村井弦斎)に載っているレシピを元に再現してあるそうだが、たしかにちょっと普通のとは違っていた。みこりんが表現してくれたところによれば、「ハヤシライスのコロッケみたい」だそうな。確かにビーフシチュー系なクリームをコロッケにしたらこんな感じになるかな?といった雰囲気だった。
 美味であった。

 パンフの地図によれば、端っこの方にレンガの迷路があるらしい。それを目敏く見つけたみこりんが「そこに行きたい」というので、とりあえずの目標地点をそこに定めて歩き出す。
 でも基本的に変わった建築物を探検するのが好きなみこりんのこと、途中に建っている建物には、いちおう入ってみたりして。

 ステンドグラスの美しい聖ザビエル天主堂も健在だった。教会には普段あまり縁がないので、みこりんも物珍しそうに観察している。キリスト教って何?というみこりんの質問は、なかなか難しく、いずれ宗教についても教えてやらねばなるまい。

 ところでこの明治村には、『百鬼夜行抄』(作:今市子)の飯島家のモデルとなった蝸牛庵(幸田露伴の家)が移築されている。前回訪れた時には知らなかったので、さらっと流してしまったが、今回はそういう目で見てみると、なかなかそれっぽい雰囲気がしてくるようで、興味深い。
 古い木造家屋特有の、ぎしぎしと鳴る床や畳、ほの暗く狭い廊下や、少し低い天井など。何かが出ても不思議に許せてしまいそうな、情景だ。そして足の裏を通じて伝わってくる、木目の浮き出た床板や縁側の心地よさ。
 子供の頃、父方の実家で味わった記憶がかすかに呼び覚まされ、しばし懐かしい気分に浸る。父方の実家は代々宮司をやっているので、家もかなり古く、子供の頃の私にとってはちょっとした探検ごっこが出来る楽しい場所だった。迷路のような廊下の途中に、隠し部屋みたいなのがあったり、軒下のからからに干乾びた土にぽっかりと小さな穴が開いていて、そこに蝉の抜け殻があったりしたのも覚えている。そう、ちょうどこんな感じの場所だったかな。と、しゃがみこんで縁の下を覗き込んでみると、まるで当時のシーンが再現されているかのように、蝉の抜け殻が落ちていた。みこりんに教えてやったら、これもまた面白がってくれた。

 みこりんは和式トイレにも興味津々の様子だった。学校にも和式トイレはあるので珍しくはなかろうと思ったのだが、何かがみこりんの好奇心を刺激しているようで、トイレを覗き込んでは、なにごとかぐふぐふと笑っていた。
 ……あぁ、そういえば学校にあるのは和式は和式でも水洗式トイレだ。それに対してこちらのは汲み取り式。いわゆる、ぼっちゃんトイレ。以前、みこりんとトイレの花子さんの話をしていた時に、昔はぼっちゃんトイレだったので、下から妖怪がにゅぅっと顔を出したりしたものだよ、なんていう話をLicと共にしたような。

 さて、いよいよレンガの迷路到着。
 昔流行った巨大迷路とは違って、こちらは子供用なので大人目線だと見通しが良くて迷路になってないのだが、子供目線だといい感じに向こうが見えないようになっている。結局、4回くらい迷路にチャレンジしたみこりんであった。

 で、明治村といえば、やはり明治時代のコスプレである。今日はわりと衣装(明治村内で用意しているもの)に着替えて散策している人が目に留まった。じつは袴姿のお姉さんにはとても弱い私なので、これはなかなかポイント高かった。Licの情報によれば、自前の衣装を持ち込んでコスプレを楽しむ剛の者もいるとか。ん、その気持ちはなんとなくわかる。この場所では、その手のコスプレ(明治、大正、昭和初期頃)をしていても、ぜんぜん違和感ないし(でも自前のコスプレする時には、こちらのFAQにも注意が必要。過去、マナーの悪いコスプレイヤーがいて、問題になったらしい)。

 ぐるっと一回りして、最初の入場口まで戻ってきたときには、だいぶ太陽も傾き、肌寒くなってきていた。晴れとはいえ、11月だ。夜ともなれば、ストーブがあってもおかしくない季節。
 というわけで、日が昇っているうちに撤収だ。それにしても今日はよく歩いた。みこりんは「明日、きんにくつうになるかもしれんね」と言っていたが、なってもおかしくはないかな。

 *

 帰宅後、みこりんは車中ですでに熟睡状態だったので、引き続きコタツで眠り。私もいつのまにか意識を失っていたようだ。はっと気付いた時には、すっかり夜も更け、Licが一人寂しく晩御飯の仕度をしてくれていたのだった。

 Licと二人であつあつのポトフを食す。これもまた、格別に美味であった。


2006.11.4(Sat)

裏世界

 ヴァナ・ディールの世界に“裏世界デュナミス”が初めて実装されたのは、2004年2月のこと。この世界への突入に必要なアイテムが、1個100万ギルというのに圧倒されたことを今でもよく覚えている。参加者で頭割りすれば、一人あたり数万ギルで済むとはいえ、当時の私にしてみればそれでもたいそう高額に思えたものだ。しかし、この裏世界でのみドロップする特殊な装備品、通称“AF2”は秀逸で、2年以上経過した現在にあってもなお、憧れの品であることに変わりはない。つまりそれだけ入手確率は低い、ということだ(直接ロットしなければ入手不能だし)。

 毎週定期的に裏世界で戦っているLicは、それでもそこそこの種類をゲットしている。だがそのために費やされた時間は相当なもので、なかなか大変そうだ。
 そういうこともあり、私はこれまで裏世界とは無縁な静かな生活をおくってきたのだが…

 この日私は、初めての裏世界突入のため、3年前、ヴァナ・ディールの地に初めて降り立った国にいた。Licつながりで参加する機会を得たのだが、野良で募集しての突入というのもなかなか珍しい。私と同様に、裏世界初めてという人も結構いて、少々緊張してみたりなんかして。Licがやってるのを背後で見たことはあるけれど、見たことがあるのと実際にやるのとでは大違い(だと思う)。
 まずクリアを目標に、と思いつつも、AF2が出ればいいなぁ、なんてことはちょっとは考えたけれど、案の定、私の希望するジョブのAF2はライバル多し。そもそもドロップ率の低い品なので、ロットできるだけでもラッキーかなと、どこか実感のないままいよいよパーティ編成も終わり、リーダーからひととおり説明を受ける。

 そして、突入。はじめてみるムービーにじっくり見入ってる余裕もなく、裏世界へ。
 おぉぉ、これが裏か。なんかBGMがどぅんどぅんと陰鬱な感じ。
 戦闘自体は、リーダーの的確な指示のおかげで壊滅的状況に至ることもなく、比較的順調に進んでいった。ちょっと半壊しかけた瞬間は焦ったが、みんなレベル75保持者なのでそのへんの動きは臨機応変に耐え。

 途中、希望のAF2が出た。手装備、こ、これがそうか。その性能とグラフィックに改めて感動したりしつつ、ロットイン。…低い。案の定、ロット負け。
 ドロップしただけでもラッキーと思ったら、なんだか妙に無欲になって、楽しんでいる自分がいた。

 *

 いよいよラスボス登場。
 手馴れた釣り役の人だったこともあり、無難に倒して、クリア。
 占有時間ぎりぎりまで、ドロップ品狙いで残った敵を倒していると、希望のAF2がまたしてもドロップした。残り時間あと3分という状況だったので、さくっとロット。
 希望者が続々とロットしてゆく中、なぜか最大値をたたき出している自分にようやく気付く。こ、これはもしかして…、もしかするのか?

 希望者のロット終了。希望者以外はみんなパス。これで、ロット値の一番高い人に戦利品はやってくる。

 私はAF2をゲットしていた。
 嘘みたい。ぜんぜん実感が湧かないんだけれど…
 私の代わりに隣でLicがぱちぱちと拍手してくれてたのが、なんだかうれしかった。

 *

 パーティが解散したあと、確かにアイテム欄にAF2が入っていることを改めて確認し、おそるおそる装備してみた。

 ………、あぁ、やはりこれはいいものだ。
 静かな感動に打ち震える。
 しかし、疲れた。久しぶりの長時間の戦闘は目肩にこたえる。
 でも、これで今年の運、すべて使いきってたりして。


2006.11.5(Sun)

たまスク

 「本屋に行きたい」と、みこりんが言うので、いつもの店に出かけた。
 どうやら『ポケットモンスター ダイヤモンド』の攻略本が欲しいらしい。マップが意外に広いので、どこに行けばいいのかちょっと煮詰まっているもよう。同じゲームを持ってる友達は、ほとんどの子がすでに攻略本を持ってるらしく、その情報量の違いに、やや焦りみたいなのも感じているようだ。
 その気持ちは、なんとなく理解できる。子供には子供なりの情報網というか、知らないとちょっと恥ずかしい無駄知識みたいなのは、私の子供のころにもあったような気がする。

 本屋に着くと、みこりんはまず『小学3年生』が売り切れていないか確かめに行った。まぁ月の始めのお約束みたいなものだ。
 ちゃんと在庫はあったようで、付録がはさまって分厚くふくらんだ雑誌を抱きかかえて、みこりんが戻ってきた。そして次はゲームの攻略本コーナーへ。私が案内せずとも、すでにみこりんがそのコーナーのありかを知っていたのにちょっと驚く。見てないようで、しっかりチェックしてるらしい。

 目的の攻略本は、3種類あった。いずれも同じように平積みにされており、帯の売り文句や、表紙に書いてある表現は似たり寄ったりで、ぱっと見、甲乙つけがたい雰囲気。いずれもビニール袋を被っているので、中を確かめてみるわけにもいかない。
 ケータイでAmazonにでもアクセスして評価など見てみようかと一瞬思ったが、みこりんが真剣な表情で3冊を比較しているので、やめておく。こういうのは自分で選んだものが一番いいだろう。

 みこりんは、まず表紙に書いてある内容を比べてみていた。ポケモンの入手方法やマップ等、これはどの本にも共通している。次に、みこりんは本の厚みに着目していた。ふむふむ、なるほど。たしかにそれは重要な要素の1つだ。
 「これは一番分厚いけど、こっちのもそんなに薄くないね」
 そう言うと、しばし迷った末に、「こっちのにする」と、中くらいの厚みの本を手に取っていた。一番分厚いのよりも、お手頃感のある方を、でも一番薄いのはちょっとイヤ、みたいな感じだろうか。
 じゃ、それでいこう。私の目から見ても、特にそれがひどく劣っているようには見えなかったので、そのままレジに向かった。

 たまごっちの本にも新作が出ていたらしいのだが、今日はいらないとみこりんは言った。珍しいこともあるものだと思ったが、その理由を聞いて納得。たまごっち本体に、今度新作『たまごっちスクール せーとぜーいんしゅーごっち!』が発売されるのは私もかすかに知ってはいた。で、その新作の本がちょうどこの特集本になってるらしい。
 みこりん的には、本を買うのは、本体を手に入れてからでも遅くないという思いがあるようだ。新作『たまスク』を手に入れることが前提になってるところが、なにやらすごい。これにもみこりんなりの理由があって、『たまスク』はクリスマスにサンタさんからもらうのだという。
 「たまスクの発売日って、いつだったっけ?」と、さりげなく探りを入れてみると、11月後半らしい。やはりクリスマス商戦にもってきたか。んー、また入手難になりそうな予感がひしひしと。

 サンタさんでも手に入れられないかもよ?なんてことをみこりんに言ってみたのだが、「サンタさんは自分で作ってるんでしょ?だから大丈夫」と、みこりんは妙に自信たっぷりだ。そ、そうか、クリスマスプレゼントはサンタさん、自分で作ってることになってるのか。そういえばそんな感じの絵本を昔、読んで聞かせたような記憶があるようなないような…

 どうにかして『たまスク』手に入れねばなるまい。


2006.11.6(Mon)

“まめっち”

 秋も深まり、そろそろ雪の気配ただよう今日この頃。音楽教室から戻ってきたみこりんが、うれしそうに「新しいパジャマ買ってもらった!」と教えてくれた。
 どちらかというと暑いのよりは寒いほうが好きなみこりんだが、いつも掛け布団を蹴飛ばして寝ているのはさすがにまずいだろうということで、ちょっとほかほか系な冬用のパジャマを、Licに買ってもらったらしい。

 “まめっち”のパジャマだと、みこりんは言った。ほほう、たまごっちな絵柄のパジャマか。
 “まめっち”は、みこりんの好きなキャラだ。それでこんなにうれしそうなのかと思っていたら、じつはまだ秘密が隠されていたのだった。

 風呂上りのみこりんが、新しいパジャマをさっそく着たいので商品タグを切ってと言った。というわけで、袋からパジャマを出し……

 お!?
 こ、これは…。“まめっち”の着ぐるみではないか。
 正確に言えば、全身着ぐるみタイプではなく、上半身用にベストが付属しており、そいつのフード部分が“まめっち”の顔になってるのだった。
 なるほど。小さいころからみこりんは、着ぐるみ系な被り物が好きだったなぁ。
 初めての着ぐるみは、そう、Licによる自作品。日記によれば、1999年11月のこと。…7年前か。この着ぐるみは、その後、数年にわたってみこりんに愛用されることとなった。あの頃のイメージが、今でもみこりんの記憶の深いところに残っているのかもしれない。

 この夜、みこりんはいつになく早々と「おやすみ」を言って、自室へと消えていった。
 あとでこっそり見に行ってみると、“まめっち”になりきったみこりんが、ベッドの上ですやすやと寝息をたてていた。掛け布団は、相変わらず掛かっていない。いかに着ぐるみが二重構造になっているとはえ、明け方は格別に冷える。
 そっと掛け布団を掛け直してやると、もぞもぞと体を丸め、布団の中で居心地のいい位置を無意識のうちに確保するみこりんであった。


2006.11.7(Tue)

不審者

 夕方、ケータイにメールが着信。そっと開いて確認すると、学校からの緊急連絡メールが、Licから転送されてきていたのだった。

 昨日の夕方、近くの小学校で不審者が出たとのこと。下校途中の女の子を家までストーキング、そして襲い掛かってきたらしい。幸い、女の子は家の中に逃げ込み難を逃れたようだが、一歩間違えば大変な事態になっていたであろう。
 まったく…、変質者が近くに住んでいるかと思うと物騒なことこのうえない。

 田舎ゆえ、人家もまばら。ずっと不審な男が付け歩いていても、誰かに通報されることもなく、助けを求めて逃げ込む家もない。
 普段からできるだけ集団で下校するようになっているとはいえ、一人になる区間はどうしても出来てしまう。いやほんと、通学路には死角なく監視カメラを設置すべきなんじゃなかろうか。その映像をリアルタイムにインターネットで中継すれば、仕事中の親でも自分の子供の背後に気を配ってやることができるだろう。
 そもそも通学路は公道なのだから、カメラで撮られて困るような行為をする方が悪いのだ。

 みこりんの学童保育は今年度まで。とりあえず、来春からはGPS付きの子供用ケータイを持たせる予定。


2006.11.8(Wed)

思考停止の怖さ

 『外相による核論議容認発言をどう思いますか?』(Yahoo!投票より)

 “問題ない”と答える人が半数を超えている。左傾マスコミや自称進歩的知識人とやらによる洗脳工作も、かなり解けつつあるようだ。

 この問題のポイントは、まさに『核議論容認発言』であり、まちがっても『核容認発言』ではないところにある。ここ重要。ここを読み違えると、ぜんぜん意味が違ってくるので、強調しておこう。
 ま、とにかく日頃、言論の自由だ、報道の自由だ、思想信条の自由だと声高に叫ぶ連中が、こういう系統の議論になると、とたんに「ダメなものはダメ」と思考停止する異常さに辟易してる人たちが増えてきたってことだね。よい傾向だ。

 大いに議論すればよい。日本が“核”あるいは“軍事力”アレルギーから脱却したとき、はじめてアメリカも中国も、本気で日本と向き合うようになるだろう。ほうっておいても自分から耳を塞ぎ、口を塞ぎ、目を閉じるような国には、注意を向ける必要もないのだ。
 実際、日本が核武装して一番困るのは中国、そしてアメリカ。外交カードとして“核議論”を使うのは、ノーテンキに「せんそうハンターイ」と叫ぶよりもよほど効果がある。中国は本気で北朝鮮の核開発を頓挫させることだろう。アメリカは日本に対する安全保障について、更なる約束をしなくてはならなくなるだろう。

 その昔、カンボジアPKOに陸上自衛隊が派遣されることになったとき、車輌に取り付ける地雷防御用のシールドが兵器にあたるとして、外務省はリストから外させた。国内左傾勢力の反対の声に過剰に配慮した結果がこれだ。幸い、事故は起きなかったが、自衛隊員の身が危険にさらされることになった。

 湾岸戦争終了後、ペルシャ湾に海上自衛隊の掃海部隊が派遣されることになったときも、とにかく「ダメなものはダメ」の一点張りで、まともな議論もなされぬままきてしまった。

 まずとことん議論し、知らなければ、何もわからないし、決められない。責任の所在も曖昧にされる。
 大いに議論すべし。


2006.11.9(Thr)

水星太陽面通過

 水星の太陽面通過が観察できるということを、昨日の寝る直前までは覚えていたのだが…、習慣とは恐ろしいもので、起床から出社、そしてメールチェックが終わるまで、いつものように過ごしてしまい、そのまま仕事に突入して気が付いたときには夕方だった orz...

 帰宅して、みこりんに太陽の観察を学校でやったかどうか聞いてみると、「やってないよ」とのこと。太陽の観察板はみんな持ってるらしいのだが、先生からも特に今日が「水星の太陽面通過が観察できる日」というのは教えてもらってなかったようだ。
 肉眼でどこまで見えるのか、という問題はあるかと思うけれど、そういう現象が起きてるんだという目で見ると、好奇心も刺激されまくりなんではなかろうか。私が小学生だった頃は、たしか部分日食の日に、クラス全員で太陽の観察を授業の合い間にやった記憶がある。理科の授業中じゃなかったけれど、そういうのが許されるだけの余裕はあった。
 現在の小学校では、ゆとり教育のあおりを食らって、そんな余裕すらもてなくなってしまっているんだろうか。なんてことを考えてしまう。小学校に限らず、高校の単位未履修問題が次々と発覚してゆくのを見るにつけ、受験戦争と呼ばれた時代に学生やってた私達の方が、まだ精神的ゆとりはあったのかもしれない。

 というわけで、みこりんにはさっそく水星の太陽面通過の話を聞かせてやった。すると、「見たい!」と興味津々の様子なので、Webをチェック。
 あぁ、いっぱいあるね。写真から動画まで、至れり尽せりだ。リアルタイムで見逃しても、いくらでも記録が保存されていて、それを世界中から検索でき、いつでも参照できる時代か。好奇心旺盛な子供にとっては、ある意味、すごい贅沢な環境かもしれない。でも、本当の贅沢は…、やっぱりリアルタイムな体験だとは思うけど。

 目に留まった動画を再生。みこりんは食い入るように画面を見つめ、「これは何?」と、小さな黒い点のようなものを指で指した。
 そいつが水星なんだよ、みこりん。するとみこりんは「わくせいって、どんなんあったっけ?」と言った。「まず太陽に一番近いのが、この水星」と私は画面を指差し、次に「金星、地球、火星、木星、土星…」と続けると、みこりんが「すいきんちかもくどってんかいめい?」とあとを引き継いで言った。そうそうそれそれ。でも冥王星は今は惑星とは呼ばなくなってしまったから「すいきんちかもくどってんかい」かな。なんか語呂が悪い。

 「今日しか水星って太陽の前を横切らないの?」と、みこりんはちょっと不思議そうに言った。んー、いやずっと太陽の周りを回ってるんだけど、地球から見た時にね、ちょうど太陽の方向に水星があるっていうタイミングはなかなかなくって…。と、説明を加えてみたのだが、言葉だけでは今ひとつわかりにくい。何かモノを使って動きを示してやったほうがいいかも…。しかし今夜はみこりんの音楽教室の日。そろそろ出かけないといけない時刻だ。詳しい説明はまた今度。

 ところで次の機会は26年後。昔なら26年なんていうのはどうってことなかったが、最近では26年というと、なんだかちょっと怖い。もしかしたら生きてないかも!?なんて考えてしまう。みこりんは26年というのは長すぎて現実味がない感じだったけれど、その時にまた、みこりんと今日のように一緒に語ることができれば幸いである。


2006.11.10(Fri)

刻印

 Licの爪は、ほどよく長い。一見すると、キーボードなぞ打てそうにないほど伸びているのだが、器用にカチャカチャと高速打鍵は健在だ。
 私は爪がキーに当たる感触がダメなので、短く切り詰めているタイプ。それだけに、Licが伸ばした爪でどうやって高速にキーボードを打ってるのか?というのは、長年の謎だった。爪先のコントロールを誤って別のキーを打ってしまったりしないのか、あるいは爪がコツコツとキートップに当たって痛くないのか、など、気になることは多い。

 そこで今夜、改めてLicに聞いてみたところ、「普通に打ってるよ」との回答を得た。普通に…、そこが一番謎なところなのだが、普通に打つとまず爪が当たるんじゃないのだろうか。そう思ってると、Licは続けて言った。それによれば、爪の先はキーとキーの間に潜り込ませるので、大丈夫らしい。
 しかし私は知っている。家でLicが使ってるPCのキーボードは、キートップの刻印がほとんど消えてしまっていることを。しかも消えているだけならまだしも、よく使う“S”周辺とか“K”周辺のキートップは、ことごとく表面がぎざぎざに削れているのだ。まるで岩に刻まれた波紋のように…。
 プラスティックが人体との接触でここまで削れてしまうには、いったい何億回の打鍵が必要なのであろうか。やはりLicの爪はまずキートップと接触し、その表面をわずかに削った後、キーとキーの間に滑り込んでいるに違いあるまい。
 おそるべき爪の威力。

 刻印がなくてもキーの位置はだいたい指が記憶しているため、チャットに重大な支障は出ていないようだが、“E”と“R”とか“I”と“O”のように微妙に隣り合ってる場合、たまに打ち間違ったりすることもあるようだ。そこで、今、Licのキーボードには、黒のサインペンで新たに手書きの刻印が施されている模様。

 しかしそれも、じきに消えてしまうことだろう。
 我が家に新しいキーボードが登場するのも、時間の問題かもしれない。


2006.11.11(Sat)

裏、2国目

 先週に引き続き、ヴァナ・ディールの世界にて“裏”に突入。今回も、同じ主催者さんによる野良集団だ。参加人数は前回よりも、10人ほど増えている。“裏”にもいろいろな場所があり、今回突入する箇所では、忍者用脚装備のAF2が出る。こいつがなかなか優れものらしく、希望者多数。Licもソレに希望を出していたが、20人くらいはいると思われるライバルの中から勝ち抜くのはなかなか容易ではなさそうな予感。
 逆に私が希望しているジョブの装備品は、今回希望者は少なめで、おそらく約2名ほど。チャンス到来か。でもドロップそのものが非常に悪いので、あまり過剰な期待はしないでおこう。参加できるだけでもめっけもの。

 野良集団なので、時間どおりというわけにはいかず、やや遅れ気味に突入は開始された。
 それでも敵の選択、進入経路など、適宜適確な指示があるため、危なげなく順調に撃破しつつ進んでゆく。人数が多いので、前回よりも楽かもしれない。ただそれに比例してグラフィック描画と計算処理に要する負荷は重く、私のPCでは時々数秒間操作不能になるほどの高負荷状態に陥ってしまった。…まぁ、いまどきのPCとは比較にならないほど低スペックのPCなので、ある程度予想されていたことではあるのだが。私のよりも2倍ほど高性能なPCを使っているLicでも、たまに同じような状況になるらしいので、これを解消するには最新のパーツにすべて取り替えてしまうしかないのだろう。なかなか頭の痛い…、いや懐に痛い問題だ。

 前半に1つ、後半に1つ、希望者多数の忍者用AF2がドロップした。怒涛のロットインでメッセージ欄が高速スクロールしてゆく。最終的に誰がゲットしたのかさえ確認できないほどの状況だったが、Licは2度のチャンス共に、負けてしまったようだ。残念。
 ちなみに私が希望していた品は、結局一度もドロップしなかった。やはり私の運は、先週で使い切ってしまったのかもしれない。

 制限時間にはだいぶ余裕をもってラスボスを倒し、クリア達成。余った時間をドロップ品狙いで狩って狩って狩りつづけ。ついに残り時間30秒のシステムメッセージが流れる。戦利品欄を埋める大量のドロップ品に、みんな一斉にロットインしたものの、さすがに40人超えてるとそれだけでもかなりの時間を要するため、およそ数十万ギルに相当する戦利品の数々は“裏”からの強制退出と共に、時空の闇へと消えていった。
 でも肝心のAF2は流れなかったので、問題なし。

 ところで、来週もこの“裏”は開催されるらしい。次回でラストとのことだが、主催者さんの苦労は計り知れないものがあるにちがいない。気心の知れた仲間内でも大勢を指揮統制するのは大変だろうに、それをどこの誰ともわからぬ野良でやってしまうところがものすごい。しかも主催者さん特典があるわけでもなく、ほとんどボランティアのような…。ありがたやありがたや。


2006.11.12(Sun)

猫と日曜日

 気が付けば、庭の南天に赤い実が鈴生り状態になっていた。今週は雨模様の天気が多かったのであまり庭を見ていなかったが、いつのまにやら季節は冬に突入しつつあるようだ。寒さに弱い鉢物を、そろそろ取り込んだほうがいいかもしれない。

 部屋の中では、にゃんちくんが座敷に差し込むまばゆい日光を全身に浴びて、気持ちよさそうに寝転がっている。時々、畳で爪研ぎし始めるのが珠に傷だが、くつろぎまくっている猫の姿は、見ている方も癒されるので気持ちが良い。そのうち自分の尻尾にじゃれつきはじめたりなんかすると、それがみこりんが笑いのツボにはまってしまって辛抱たまらんとでもいうように笑い転げる様も、じつによい。
 おだやかな日曜の昼下がり。

 やがて、にゃんちくんが私の膝の上にやってきた。猫の体温は人よりも高いので、寒い季節にはうってつけだ。そんな様子を見ていたみこりんが、私の隣にあぐらをかいて座り、膝の上に座布団を一枚敷いて、にゃんちくんを誘い始めた。直接膝の上に乗せるのはまだ若干抵抗があるらしい。でも座布団越しとはいえ、にゃんちくんを自ら乗っけてみようと思うまでに、みこりんのにゃんちくんに対する警戒心は薄れている。
 うっとり目を閉じてくつろいでいたにゃんちくんは、そんなみこりんの声が聞こえたのかどうか、ふいに体を起こすと、膝伝いにみこりんの方まで歩いていき、その小さなスペースでころんと丸くなったのだった。猫には人の心が通じるのかもしれない。そんなことを思ってしまう瞬間だ。

 座布団を敷いているとはいえ、みこりんの膝の上はちょっと狭かった。にゃんちくんが長々と伸びきってしまうと、頭とかお尻とか、落ちそうになっている。それでも器用にバランスをとって落ちそうで落ちないあたりが、猫らしい。
 にゅーっと前脚を伸ばして、ぐぐっと爪を出し。この爪が出てくるのを、以前のみこりんなら怖がってにゃんちくんをぽーぃしてしまうところなのだが、今日は怖さよりも好奇心というか愛らしい気持ちの方が勝っていたようで、にゃんちくんは思う存分、みこりんの膝の上を堪能できている様子。みこりんもにゃんちくんの天然毛皮の手触りが思いのほか上質なものだとわかって、すっかり虜になってしまったようだ。

 *

 いつのまにか眠ってしまっていたらしい。私の横には、同じくねそべっているにゃんちくんがいた。

 秋深し 猫も人も 昼寝好き

 おそらく、この光景をみこりんが見ていたなら、このように詠んだことだろう。ちなみに、みこりん本人がこの時どこにいたかというと、2階の寝室でやはりお昼ね中だったのであった。


2006.11.13(Mon)

入賞

 いつものように2時間残業して帰宅。みこりんとLicは、まだ音楽教室から戻ってきていないようだ。無人のリビングに入ると、テーブルの上に賞状が1枚、置いてあるのに気が付いた。
 手にとって読んでみると、それがみこりん宛であることがわかった。いったい何の賞状だろう。右端のタイトルを確認する。そこには、短歌で入賞したことを称える文字が書かれてあった。

 そういえば、昨日みこりんは「もしかすると賞状がもらえるかもしれない」みたいなことを、言っていたような気がする。たしかその副賞として図書カードが付いて来るとかいう話だったような。

 見事みこりんの予想は当たったというわけだ。

 みこりんの学校では、特別講師を招いて俳句や短歌を教えてくれるサービス(?)がある。1年生の頃から、それに積極的に参加していたみこりんは、わりとこの手の創作活動を楽しんでやっているようだ。ちょっと前にも、特別講師から「なかなかよろしい」というコメントの入った自分の短冊を持って帰ってきており、今も冷蔵庫に貼ってある。
 図書室の利用もクラスの中では抜きん出ているらしく、読書量はなかなかのものとか。先週も、そこそこ分厚い本を借りてきていたが、あっというまに読破してしまっていたことを思い出す。私は本を読むのはかなり遅いのだが、Licは私の3倍くらいは速い。みこりんの読書傾向は、Licに似ているのかもしれない。

 やがて、みこりん達が戻ってきた。賞状を指差し「すごいねぇ」と言うと、みこりんは「ぐふふふ」と笑い、副賞の図書カードを見せてくれた。早くそれを使いたくてたまらない雰囲気が全身から発散していた。
 Licが、買ってきた額に賞状を装着している。昔はガラスが普通だったが、近頃は透明プラスティックになってるらしい。落下時の事故防止のためだろうか。それにしても、こうして額に飾ると、賞状は一段と風格が出る感じ。

 みこりんによれば、賞状は校長室で授与されたらしい。私の子供時代は、この手の賞状授与は全校集会の時に、全校生徒の前でやってたものだが、みこりんの学校ではそういうのはやらないんだとか。他の学校でもそうなのだろうか?

 まぁしかし、怪談モノばかり読んでるわけじゃないというのが改めてわかって、ちょっと安心。


2006.11.14(Tue)

謎の虫

 みこりんと二人、設定温度43度の湯につかり、ぼーっと脱力していると、ふいにみこりんがこう言った。
 「おとーさん、はりがねむしって知ってる?」

 は、はりがねむし…。どきりとする。ついに来たか。子供なら、一度は疑問に思うであろう、あの生物の名を聞いて、私は覚悟を決めた。話してやろう、ハリガネムシのことを。

 子供がハリガネムシを目にする機会は、たいていがカマキリの死体と関連している。みこりんも、ハリガネムシがカマキリの中にいるということは知ってるようだ。学校で、実物を見たこともあるらしい。その時、男の子から“ハリガネムシ”という名を教えてもらったのだという。
 しかし、虫とはいっても、あまりに他の虫型生物とはかけ離れたその姿、その生態。ちょっと気色悪いところなどが、子供の好奇心を鷲掴みにするのかもしれない。

 ハリガネムシは、成長の過程で生物に寄生することを、まずみこりんに話してやった。なぜカマキリの中にいることが多いのか?というみこりんの疑問には、私も正確には答えられない。しかし、“水”が関係しているらしいということを告げると、「じゃぁ、カマキリがトンボとか食べるからかな?」と、みこりんは言った。なるほど、その可能性はあるかもしれない。

 「はりがねむしって、どうやって出てくるの?」と、みこりんはちょっと心配そうに聞いてきた。どうやらみこりんは、ハリガネムシが自分の中に入ってきたら怖いと感じているようだ。たしかに得体の知れない不気味な生物ゆえ、その不安はよくわかる。実際、ハリガネムシはヒトにも寄生するらしいし…

 私は、みこりんにハリガネムシがカマキリの体から出てくるさまを、語って聞かせた。
 「ハリガネムシに寄生されたカマキリを、水の近くに持っていくとね…」
 「う、うん」
 ここで私は2秒ほど、間をとった。そして…

 「ぴゅるるるるるるるるるるるるぅーーーー!!!」

 みこりんの体が、びくっと軽く3cmほど浮き上がった。よしよし、狙いどおりだ。

 「と、カマキリの体から出てくるんだよ」
 みこりんは一瞬あり得ないという顔をしていたが、びくっとさせられたのが悔しかったのか「もぅー」といってバシっと叩く真似をした。

 ハリガネムシの成体が水の中にいることを知ると、みこりんは「もう川に入らんとこ」と呟いていた。私も実際に成体のハリガネムシを見たことはないのだが、目撃談などを読む限り、そうとう怖そうだ。手足も何もない、ただの棒というか紐みたいなやつが、川の中で足に触れる…、なんてのを想像するだに恐ろしい。

 しかし、怖いという思いは、かえって好奇心に火を点けるもののようだ。みこりんはすっかりハリガネムシの虜になったかのように、知りたがった。かなり怖い思いをするかもしれないよと、私はみこりんに言ってみたのだが、それでもみこりんの決心は揺るがない。そこで私は、Webで調べてごらんとアドバイスした。
 風呂から上がって歯も磨き終わり、いよいよ寝るだけになった状態で、みこりんはPCのブラウザから、“ハリガネムシ”と検索エンジンに入力。そして検索実行。
 ずらっと出てきたたくさんのページの中から、私は最初にランクされているやつを選び出し、表示させてやった。

 一緒に読む。
 怖い。けど、ちょっと面白い。
 みこりんも、途中でケタケタと笑ったりもしていたのだが、最後はやっぱり怖くなったようで、2階の自室へ引き上げていくのに私の手を引いて途中まで連れていかれたほどだった。
 願わくば、今夜みこりんの夢にハリガネムシが出てきませんように。


2006.11.15(Wed)

青でお願いします

 夜、珍しく固定電話が着信を告げる。こういう場合は、たいてい何かの勧誘だったりすることが圧倒的なので、今度もそうかなと思っていたのだが、Licの応対を聞いている限り、どうやら普通の電話っぽい。自治会の連絡網だろうか、あるいはPTAの…。

 受話器を置いたLicが、突然私に「青、でよかったよね?」と言った。
 一瞬、何のことだか理解できず固まってしまったのだが、5秒くらいして「あぁ!」と思い出していた。「うん、そう、青でいい」私はそう答える。たぶんみこりんには気付かれていないはず。「青って何の青?」という追究は、なかった。

 みこりんがサンタさんにプレゼントしてもらう予定の『たまスク』をゲットすべく、Licが最寄のスーパーで予約したのが月曜日のこと。その時には色の指定はできないとのことだったらしい。しかし、みこりんの希望はできれば水色、それがなければ白というものだった。色はわりと重要な要素なので、大丈夫かなとちょっと心配だったのだが、さきほどの電話は、おそらく色指定が可能になったものと見て良さそうだ。
 ただ、“水色”ではなく、“青”というのが少々ひっかかるところ。もしや水色と青って、違うものを指してたりは…。要確認(さきほど確認してみたところ、青=水色のようだ)。

 ところでLicは、サンタさんにNintendo DS Liteをお願いしているらしいのだが、こっちは相当ハードルが高い…。軒並み“在庫なし”って、いったいどうなっておるのか。ほとんど転売屋に買い占められてるんじゃなかろうなぁ…


2006.11.16(Thr)

黒の衝撃

 ヴァナ・ディールの世界において、みこりんのキャラで育てているチョコボは、なんと黒チョコボに成長していた。私とLicのは、いたってノーマルな黄色いチョコボ。それに比べると、だんぜん黒い方が精悍で渋い。しかも走行速度重視の育成パターンにしているため、外観にも変化が現れており、尻尾の羽根が普通のよりもボリュームがあって、足の爪も太く逞しい。
 かっこよすぎ。

黒チョコボ

 でもまぁ姿かたちは普通な私の黄色チョコボでも、呼び出し可能エリアであれば、どこからでも呼び出し騎乗できるというのは、なかなか乙なものである。これまでは、例えばアウトポスト・テレポを使って遠く離れた地まで一瞬で移動できたとしても、そのあとは目的地までひたすら走るしかなかったのが、マイチョコボのおかげで移動はかなり楽になった。たとえメンタル重視で育てたが故に、足の速さはいまいちな私のチョコボであっても(途中でどんどん他のチョコボに抜かされたとしても)、その個体差がちょっとうれしい、みたいなところがある。
 今後のバージョンアップで、チョコボ本体への装備品(鞍とか、羽飾りとか)の追加が可能になれば、もっと個性豊かになると思うのだが…。

 みこりんも自分の黒チョコボが気に入ってるらしい。けれども、今はどっちかというと『ポケモン ダイヤモンド』の方に意識が向いてるようで、黒チョコボに自ら騎乗し、お散歩に出かけるというのはあまりない(私が知らないだけで、こっそりお出かけしてるのかもしれないが)。
 ただ、チョコボで旅するイメージは頭の中にいろいろあるらしく、そのことはエレクトーンで次回に発表するオリジナル曲のタイトルに『チョコボ』というフレーズを盛り込んだりしてるところにも現れている。優雅に、流れるように、風のように荒野を駆け抜け、旅するイメージ…、らしい。

 みこりんの黒チョコボはメス。私の黄色チョコボはオス。そろそろ交配可能な時期なので、2世がどんな資質を引き継ぐのか見てみたいと思っているところだ。


2006.11.17(Fri)

発火

 Windowsのセキュリティアップデートは毎月の恒例行事だが、社内のPCにはそれなりの調査(社内で使っている他のアプリケーションソフトにヘンな影響が出ないか等の確認)が行われてから実施されるため、だいたい1ヶ月遅れくらいになることが多い。今日のアップデートも先月の重要なものに限られていた。

 自分の管理しているPCを順に起動して実行していくのだが、中には滅多に使わないようなPCなんてのもある。性能的に時代遅れになったやつとか、特殊なソフトウェアを使うためだけに存在してるようなやつとか…。そういうのも1台1台電源を投入して、動作チェックも兼ねつつ、セキュリティアップデートを施してやる。

 どうということのない作業のはずだった。ところが、そういう定型業務の中にも事故の芽は、こっそりと隠れている。
 そのPCの電源スイッチを入れた時、妙な違和感を覚えた。モニタが一瞬何かを表示しかかって、そのまま沈黙してしまったのだ。モニタの電源は入ったまま。デスクの脇に床置きしているPCに目を転じてみると、電源投入時には確かに点灯した青いLEDが消えている。…はて?もう一度、スイッチに手を伸ばしかけた時、ツンと鼻に刺激臭を感じた。

 ゴムが焼ける時に発するような、いやな臭いだった。その臭いは、あるイメージと脳内で結びつく。はっとしてPCの背面を上から覗き込んだ。
 臭いはさらにきつく、そして、私の目にはぶすぶすとくすぶり始めた白煙が…。

 燃えてる…

 一瞬、火災報知器が作動し、スプリンクラーが盛大にシャワーを浴びせ掛ける図が脳裏を駆け巡った(実際は、そんな敏感な設定にはなってないけど)。
 このフロアだけでも100人以上のエンジニアが仕事をしている。ショートしてブレーカーが落ちたりしただけでも、大変なことになるのは必至。な、なんとかせねば…

 咄嗟に電源ケーブルを引き抜き、PCをデスクの脇から引っ張り出していた。
 ダッシュで自分の机まで戻り、引出しからドライバーを抜き出し、駆け戻る。
 ネジをゆるめ、PC本体のサイドカバーを取り外してみた。

 幸い、火は消えたらしい。煙が発生している箇所は、もうなかった。念のため、各パーツに手を触れ、異常がないかどうか確認してみると、やはり電源が異様に熱くなっていることがわかった。先ほど煙が立ち昇っていたのも、そのあたりだ。
 ケーブル類に焼け跡などは見つからないため、おそらく電源内部で発火したのだろう。

 とりあえず、電源は取り外しておくことにした。外した電源は、燃え移るもののない広い場所に置き。PCの方は、しばらくケース両サイドのパネルを外したまま冷やしつつ様子をみる。

 1時間ほど放置してみたが、特にこれ以上何か起きそうになかったので、PCの方はいったん片付けることにした。電源は継続してそのまま広い場所に置いておく。たぶんこいつはもう使えないだろうし。
 しかし、他の部品に異常があって、その結果として電源から発火したのか、電源そのものに異常が起きたのか、この状態では分からない。

 分からないが…、実際問題ハードディスクさえ無事ならPCがどうなろうと支障はないわけで。このまま廃棄処分が濃厚かな。保障期間も過ぎてるし、ショップブランドだし。
 同じ所属の人に、現象の報告と、同時期に買った同じタイプのPCは他にもまだあるので、注意喚起がてら、メールしておいた。
 いやしかし、派手に燃えなくて、ほんと、よかった…。


2006.11.18(Sat)

演奏会

 5年前の獅子座流星群は、見事であった。あの時は、四捨五入して30歳という微妙な若さと、真夜中の3時頃ということもあり、時間まで起きていられたが、今年の見ごろは夜明け前、4時か5時頃というわけで、いったん寝てから起きてみる、という方法を試してみた。その結果……

 私が目覚めたときには、すでに日は昇り、夜はきれいさっぱり去っていたのだった。やはり、起きられなかったか…。
 ところが、ここで驚くべき事実が判明する。なんとLicは恐るべき執念で明け方に目覚め、みこりんと共に、流星群を堪能したらしい。私は死んだように眠っており、起こすのは断念したもよう。
 みこりんによれば、そこそこ流星は見えたそうな。「ところで流星って何?」と、みこりんが問うので、簡単に説明を試みると、映画『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』で表現されてたような映像(地表に落下してくるすごいやつ)を思い浮かべたらしく、「あんなのが落ちてきてたの!?」と、びびっていたのが面白かった。いやいや、あんなでかいのじゃなくて、もっとちっこくて、しかも途中で燃え尽きるから大丈夫と言うと、ようやくみこりんも安心したようだ。

 *

 さて、今日は午前10時から小学校の体育館で、ちょっとした演奏会が行われる。演奏するのは、地元の高校の吹奏楽部。みこりんはこの案内があった当初から興味津々で、速攻で申し込んでいたのだが、直前まで申込者数はかなり少なかったとみえて、PTAの連絡網で参加案内が回ってきたほどだった。

 定刻より10分前に、学校到着。駐車場に指定されていた運動場には、それでもすでに50台くらいは停まっていた。1学年に2クラス程度しかない小学校なので、思ってたよりは参加者が増えたらしい。みこりん情報によれば、申し込んだのは自分のクラスでは2家族しかいなかったと言っていたので、もっと閑散としたのを想像していたのだが、心配するほどのことではなかったようだ。

 体育館に入ると、すでに吹奏楽部の面々はすたんばっており、それぞれ楽器の微調整に余念がない。舞台だけでは足らずに、体育館の前1/3ほどまで、演奏者席が設けられていた。残りが聴衆席になるわけだが、椅子が用意されていたのは大人用のみで、子供達は、大人席と演奏者席との中間に敷かれたマットの上で聴くようになっていた。
 低学年の子もいるので、大人と同じく椅子に座ってしまうと、前が見えない可能性が高く、こうして大人と子供を分けたほうが、子供にとっては間近に演奏者を見ることができてよい、ということなのだろう。みこりんがどんな表情で演奏を聞くのか見てみたかった気もするが、まぁ仕方あるまい。

 紹介と挨拶のあと、演奏は始まった。さすがに高校レベルの吹奏楽部は使用する楽器の種類も豊富で、様々な音色が混ざり合い、折り重なり、いい感じだ。部員は総勢50〜60名といったところで、女子高かと思うほど、女子ばかりだった。男子はその存在が希薄で、かろうじて2人ほどの姿を見つけることができたのみ。すごい逆ハーレム状態だ。でもこれだけ圧倒的な人数差があると、かえって居辛かったりしそうな…

 それにしてもやはり生演奏は、ダイナミックでよい。全身に伝わってくる音波がなかなか心地よく、ついうっかり2〜3分意識を失ってしまうほどであった。音による全身マッサージといったところか。
 木管楽器、金管楽器、それに打楽器が少々。弦楽器は、でっかいコントラバスが1つ。私的には、木琴・鉄琴系を一人で担当してた女の子が、飛び抜けて上手く聞こえた。まろやかで小気味良い音を出している。人数の多いフルート、クラリネット系が、時々音を外して異音を発しているのとは対照的だった。

 プログラムによれば、終演時刻は午前11時半ということになっていたが、11時になるかならないかという頃、「それでは最後の演奏です」とアナウンスがあった。…妙に早いが。もしやこの展開…、あれか、あれをやるのか。
 そんな予感をひしひしと感じつつ、最終演奏終了。ぱちぱちと鳴り止まぬ拍手。そのうち、「もーいっかい!」という感じの手拍子に変わった。案の定だ。
 すかさず、「それでは最後にもう1曲…」とアナウンスが入り、演奏再開。
 でも、アンコールは一度きり。この演奏が終わると、子供たちの前に部員が横一列にずらっと並んだ。そして、子供たちは、それぞれ手に花を一輪持ち、お姉さん達の前にそれぞれ並んだ。

 合図と共に、いっせいに花束贈呈。拍手に包まれる体育館。ふむ、ただの演奏会かと思っていたが、細かい所に演出が施されているようだ。たしかにこれをやるのに、聴衆席ががらんがらんの空白だらけでは白けてしまう。かなり動員されたのだろう。
 そして解散。

 先に靴を履いて玄関口で待っていると、みこりんがやってくるのが見えた。運動場に停めたクルマまで歩く間、みこりんは「あのおっきいバイオリンみたいなのがすごかった」と、やや興奮気味に話してくれた。みこりんよりも大きな楽器なので、よけい印象に残っているのかもしれない。ドラムも女子がやってたし、ちょっとかっこよかったね。
 みこりんがこの先もエレクトーンを続けるのか、あるいは新たな楽器に挑戦するのか、それはまだわからないが、音楽は好きそうなので、まぁそのうち自分にあった道がみつかるといいかな、と思う。


2006.11.19(Sun)

家電量販店にて

 朝から陰鬱な雨が、静かに降りしきる日曜日。
 膝の上でくつろぐにゃんちくんの表情にも、どこか翳りがあるような…

 午後になっても、雨は降り止まず。出かけるには不向きな日だが、Licのクルマがオイル異常のランプを点灯させたらしいので、12ヶ月点検も兼ねてカーディラーまで。私が顔を出すと、新車を勧められるのは確実なので、ちょい手前にある家電量販店で降ろしてもらった。Licとみこりんは、あとから合流の予定。

 まず、AVコーナーをチェック。アダルトビデオではなく、オーディオ&ビジュアルの方のAVである。
 近頃は単品コンポ復活の兆しがやや見えつつあり、とのことだったが、たしかにAVアンプだけではなく、普通のプリメインアンプ等も少数だが展示されていて、なにやら懐かしい気分に浸る。展示の主役は、ホームシアターシステムだが、その構成品に用いられていたスピーカーが、いわゆる5.1chセットと呼ばれるものではなく、単品のスピーカーを組み合わせることで成り立っていたのが興味深い。20年ほど昔のオーディオ全盛期は、こういうのが普通だったのだが、いつのまにか姿を消して久しく…。
 しばしサラウンドシステムを堪能する。
 あぁ、やはりちゃんと調整された5.1chは、いいものだ。我が家のAVシステムも一応フロントとリアの2+2構成にしてあるのだが、かなり音量を上げないと効果は薄い。防音されたリスニングルームがないと、住宅街ではちょっとこのデモルーム並の臨場感を再現するのは難しそうだ。
 そういう意味では、ヘッドフォンで5.1chを再現するというSONYのコレなどには、かなり興味を惹かれてしまう。こいつなら真夜中でも隣近所に気兼ねなく没頭できそう。

 30分ほどAVコーナーを彷徨ったあと、PCコーナーで約10分。こっちはメーカー品ばかりなので、あまり見るべきものはなし。そのままぐるっと回ってさらに30分ほど、ゲームマシンコーナーを散策。DSは本日入荷ありだったらしいが、またたくまに完売状態になったようだ。
 ところで…、だんだん気になってきたのだが、Licとみこりんはどうなったんだろう。クルマ屋からここまでは徒歩1分ほどだというのに、遅すぎやしないか。というわけで、ケータイで生存確認のメールを送信。5分ほど待ってみたが、返信がないので、もう1周してくることにした。

 AVコーナー→PCコーナー→ゲームマシンコーナー…。いまだLicから応答なし。あんまり同じ場所をうろうろしてると、挙動不審者に見られそうな気がしてきたので、休憩椅子に腰を落ち着け、今度はメールではなく、直接交信を試みた。…のだが、留守電モードになってしまった。おぉぉぉ。

 しかし今度は電話を切ったあとに、やや遅れて着信があった。電話に出てみると、「もしもし」と、みこりんの声がした。まだクルマ屋にいるらしい。でも、そろそろこちらに向かうらしい。安堵した私は、も一度AVコーナーに吸い込まれていくのであった。

 5分後、無事、Licとみこりんと合流。みこりん達はゲームマシンコーナーにいた。
 そこに展示されていたWii用の新作ソフトに、たまごっち系のものがあって、みこりんはそれをクリスマスプレゼントに欲しいなぁとか言い始めているようだ。Wiiにはちょっと惹かれるものはあるのだが、果たしてクリスマスまでに買えるんだろうか。そのんへんがかなり心配。というか、『たまスク』はもういいのか、みこりん。

 ちなみにクルマの方はバッテリーとタイヤに異常が見つかったらしい。出費のかさむ季節の到来である。


2006.11.20(Mon)

雨に弱い…

 雨の朝、出勤のためクルマに乗り込み、エンジンスタート。シフトレバーを1速に入れて、クラッチを戻しつつ、アクセルを踏み込み、発進。何度となく繰り返してきたこの動作だが、今朝はどこか違和感があった。クルマはちゃんと動いてはいるのだが、エンジン音がなんとなくおかしい。ばらついているというか、リズミカルではない。それにエンジンの回転を上げても、パワーの方がついてこない不自然さ。…この感じ、ずっと昔、同じようなことがあったような気がする。

 私がまだ20の頃だ。当時の私の足は、バイクだった。春3月、ふと思い立って、旅に出た。バイクに野宿道具を積み込み、夜、四国から本州へと上陸。まだ本四架橋はできておらず、フェリーでの移動だった。そのまま本州を北東に向けてひたすら走り…。
 高速は一切使わず、どこまで24時間で行けるのか、というのをやってみたかったのだ。

 地図では繋がってるはずの道が、冬季のみ遮断されていてえらく遠回りさせられたりなんかしつつ、真夜中、ようやく東京に到達。その辺りで雨が降り始めた。
 国道をさらに北へ。降りしきる雨の中、茨城に差し掛かった頃だ。それまで順調に回っていたバイクのエンジンが、突如パワーダウン。発進加速で重量級のトラックに負けてしまうほどであった。
 おかしい。どこか故障したのかもしれない。このままトラック野郎達にあおられまくりというのも面白くないので、市街地へと入り込み、見知らぬ公園にて停車。24時間でどこまでいけるかの旅は、ここで終了した。

 無人の公園で夜明けを迎え、地元のバイク屋さんで診てもらったところ、プラグが1本死んでいることが判明した。4気筒エンジンで1気筒死んだらどうなるのか、というのを身をもって知った瞬間だった。

 …そう、あの時のエンジンの感触にとても似ている。アクセルを吹かしても、一向に回復してこないパワー。そして耳障りなエンジンノイズ。
 でも今は出勤途中なので、そのまま運転を継続し会社到着。帰りにクルマ屋さんに持っていくことにした。

 *

 クルマ屋さんのピットにて、「これです、原因は」と見せられた私は、ちょっとびっくりしていた。なにしろ1本のプラグケーブルから“バチバチ”と激しく放電が起きており、オレンジ色の火花がエンジンへと吸い込まれていたのだ。
 これではプラグ本体への給電が十分に行われず、死んだも同然。やはりあの感触は正しかったのだ。

 プラグケーブルの交換部品の取り寄せに2日ほどかかるというので、そのままクルマは入院となった。そして、案の定、新車のお勧めをされてしまったのであった。プラグケーブル4本とプラグ4本の交換で約2万円。それに加えて来春の車検を通すには、いろいろと他にも交換しなくてはならない箇所がありそうだと言う。15万か、それ以上はかかりそう…。
 んー、でもお勧めのVitzはなぁ…。個人的に、いまいちこう乗ってやろうという気が起きないのが最大の問題かも。
 出費のかさむ季節の到来である。


2006.11.21(Tue)

真夜中の異変

 昨夜は、みこりんが大変なことになっていた。機嫌よく寝ていたはずの、みこりんの部屋から異音が聞こえたのが22時頃。それからおよそ明け方まで40分から1時間ごとに、みこりんは嘔吐を繰り返した。

 最初は給食による食中毒を疑ったが、それならば学校から何か連絡がありそうな気もする。吐く以外に特に異常はなく、その他の大部分の時間は、みこりんも普通に眠りについている。少し寒気を訴えているので、いずれ熱が出てくることは予想されたが、これまでのところ、それ以上何か起きそうにはなかった。
 もしかすると胃腸風邪、かもしれない。そんなことをLicと話しつつ、明け方まで見守った。

 私が覚えているのは午前5時ちょっと前までなのだが、Licはもしかするともっと起きていたのかも知れない。私がわずかな睡眠から目覚めた時には、Licは疲れた表情で眠りの中にあった。
 みこりんは少し微熱があるようだが、吐き気はおさまっているらしい。でも食欲はぜんぜんないようなので、引き続き水分を定期的にとらせて脱水症状にならないように気をつける。

 ほぼ徹夜状態ゆえ、仕事は休みにした(出勤途中で事故りそうだったし)。
 いきつけの小児科は、午前中、予約でいっぱいだった。飛び込みで診てもらおうと思うと、2時間、3時間待ちはまぬがれない。それよりも、午後からの比較的余裕のある時間帯を選んだ。

 それまでの間、私はちょいと買い物に。Licからのリクエストで、みこりんでも食べられそうな口当たりのよい冷たいゼリーとか、アイソトニック飲料とか、家にある体温計が異常な数値を示すようになっているので、新しいやつを物色したりとか。
 結局、体温計は液晶バックライト付き、予測+実測式で、予測時間は20秒からというけっこうな値段のするものをチョイスした。いや、本当はもうちょっと安いのがよかったのだが、それらはすべて売り切れていたのだ。さすが風邪の季節。残っていたのは、この高いやつか、安価な実測式のみのやつ。だが、子供用に実測式はあまり実用的ではなかった。しんどい時に10分間も、脇に体温計はさんだままじっとさせておくのは心苦しいものがある。

 午後、Licが病院に連れて行った。

 しばらくしてLicからメールが届いた。点滴していくとのこと。やはり胃腸風邪だったらしい。
 点滴は時間がかかる。その間に、干しておいたシーツやら布団カバーやらを取り込んだり、洗い物をしたり。

 夕方、みこりん達が戻ってきた。点滴して、かなり楽になったようだ。私も胃腸風邪のひどいやつにやられたことがあるが、点滴は結構効いた。吐き気止めも入ってるみたいで、すぅっと楽になったのを覚えている。

 そして夜、みこりんは静かに眠っている。でもなんか妙に静か過ぎるような……?
 同じような懸念を抱いたLicが、そっとみこりんの額に手を当てて…、すぐさま新品の体温計でチェック。20秒後、「たいへんや!」ということになった。体温計は、39.4度を表示していた。

 熱さましを飲ませ、「みこりん?」と問い掛けてみると、とろーんと夢を見ているかのような表情のみこりんは、上の空だった。まぁ無理もあるまい。39度超えたらオトナでもかなりしんどい。
 熱の方は、薬が効いてくると共に、徐々に下がっていくのがわかった。日付が明日に変わり、2時過ぎまで見守っていたが、今夜は吐き気もなく(あらかじめ吐き気止めの座薬を使っていたこともあり)、途中で起き出す気配はなさそうだ。しかし安心はできないのでもうちょい起きておこうと思っていたのだが……、いつのまにか意識は薄れ、闇の中へ。
 こうして、長かった一日は過ぎていったのだった。


2006.11.22(Wed)

ist

 みこりんの隣で目覚めたときには、すでに午前7時30分。やむなく半日休暇にした。
 午前中、みこりんとLicは、点滴のため病院へ。私は再度押し寄せてくる猛烈な睡魔に抗しきれず、みこりんの寝ていた布団で丸くなり、そのまま眠りの世界へと。
 夢も見ずに寝た。

 お昼前、みこりん達が戻ってきた。点滴は今日で終わりだという。左手にぐるぐる巻きにされていた包帯も、とれていた。みこりんはほどよく元気になっていたが、まだ食欲はあまりないようで、いつものはちきれんばかりの勢いはない。でも、熱とか吐き気がおさまったのは、幸いだ。

 *

 2時間残業して、退社。帰りにクルマ屋さんに寄り、修理の完了した愛車を受領。「支払いは?」と聞くと、今回は応急修理にしてありますので無料ですとのこと。来年早々の車検を通すには部品交換が必要だが、それまでに新車への買い替え検討をよろしくお願いしますと、そういうことのようだ。
 まぁたしかにそこそこ古いクルマだし、車検に20万近くつぎ込むよりは、乗って安全な新車の方がいいのでは、というのはよくわかる。ただ…、Vitzというのがなぁ…。

 店内に現物限りということで破格値のついたistが展示してあった。先日の日曜日、Licが12ヶ月点検のために立ち寄った際に、このistはちょっといいかもしれない、みたいなことを言っていたのを思い出す。
 外観は、たしかにVitzよりはかなりまし(あくまで個人的見解)。ドアを開け、シートに座り、ハンドルを握ってみる。ふむ、なかなかしっくりくるな。メーター類は、ダッシュボード中央にあるタイプだが、タコメーターと速度メーターの2つのアナログ表示は、ほどほどに見やすい感じ。

 試しに、このistならどの程度の支払いになるのか試算してもらうことにした。値段はこっちの方がやや高いが、趣味じゃないクルマに金を使うよりは、ちょっと高くても気に入ったやつに使う方がなんぼかましだ。もちろん値段差が倍とかでは、そもそも買えないけど。

 結果は、そんなに悪くはない数値だった。7年ローンというのがちょっと気にはなるが、物持ちはいい方なので10年以内にクルマを買い換えることはたぶんない。
 ところで、と私は、切り出した。「アレにオートマじゃなくて、マニュアルはありますか?」
 店員さんは、やや動揺を隠しきれない様子だった。「え…、マニュアルはですね、近頃あまり…、ちょっと…」
 そうか、もうオートマしか造ってないのか。残念。

 試算用紙と、カタログを頂戴して、店を出る。応急修理を終えたサイノスは、黒い塗装ということもあり、夜の闇に溶け込んで、どことなく儚げな表情だった。
 エンジンキィを回し、エンジンスタート。アイドリングのばらつきは消えていた。アクセルをぐっと踏み込むと、その通りに加速する。あぁ、ちゃんと直ったようだ。でも、応急修理なんだよなぁ…。

 車検まであと2ヶ月とちょい。Licとも相談してみよう。


2006.11.23(Thr)

祭日の朝

 ふっと目が覚めた時には、まだ真夜中だった。いつのまにかみこりんの隣で寝入ってしまっていたらしい。ホットカーペットの電源は入っていたので、床に触れていた部分はほんわか暖かだったが、爪先とか床から距離が離れるにしたがって冷え冷え状態になっていた。今宵はまた格別に冷える夜である。

 布団にくるまって眠っているみこりんの額に手を当て、異常がないことを確認し、さてどうしたものかと考える。午前4時。夜明けまでにはかなり時間があった。
 カレンダーでは祭日だが、今日は通常通りに仕事がある。安全のため、このまま起きて朝を待つ、という選択肢もあったが…、睡眠不足のまま仕事に突入して無事に19時まで耐えられるかどうか不安が残る。やはり寝直すべきだろう。そう結論付けて、2階の寝室まで、そっと移動。真夜中に目が覚めてしまったのは、床の上で雑魚寝してしまったからだろう。ちゃんと布団で眠れば、この妙な疲れも吹き飛ぶに違いない。
 目覚ましをセットし、布団の中で体を丸め。ところがずっと無人だった寝室には冷気が支配しており、なかなか寝付けず…

 *

 みこりんの声で目覚めた時には、すでに時計の針は午前8時を回っていた。

 やってもうた orz...

 じたばたしてもしょうがないので、さくっと午前中を有給休暇にして、みこりんのために朝食を用意する。Licは、リビングのみこりんの布団で苦しげな表情のまま眠っていた。かなり疲労が蓄積している模様だ。こちらの方もちょっと心配。

 みこりんは昨日からは想像できないほど、食欲が回復していた。
 生物を飼う上で、ちゃんと餌を食べているかどうかというのは最重要チェック項目の1つだが、それはヒトにも当てはまる。この様子ならば、明日は学校に行けるかもしれない。まだ口の中に、胃腸風邪特有のヘンな味は残っているらしいが、吐き気はほとんどないようなので、大丈夫だろう。ほれぼれするほどの回復力。これが若さというものか…。

 午後、出社。洗濯物がよく乾きそうな陽気だったが、ずっと建物に篭っているので、その恩恵はほとんどない。
 重厚長大産業ゆえ、現場ほどではないがエンジニア達の平均年齢も年々上がっており、フロアの中は加齢臭に満ちている…、らしい。帰宅すると、近頃はLicとみこりんの両方に作業服をくんくん嗅がれて「くさいー」と指摘されてしまう今日この頃。そんな異臭に気付かなくなってしまっている自分が、ちょっと怖い…


2006.11.24(Fri)

復活のみこりん

 みこりん、3日ぶりに学校へ。途中、祭日を1日挟んだので、実質学校を休んでいたのが2日ですんだのは、幸いだった。しかし、みこりんによれば授業がいきなり進んでいて、びっくりしたとのこと。休むタイミングによっては、致命的な遅れを出しかねないだけに、そこが一番気になっていた部分なのだが、はたしてみこりんはついていけるだろうか。
 どのくらい進んだのか教科書のページで聞いてみると、みこりんが「教科書は使ってないよ」と言ったので、ちょっと意表をつかれた。そ、そうか、独自のプリントで授業を進めているのだな。しかし休んでいた間のプリントは渡してもらってないので、どれだけの空白ができたのか不明。これは先生に言ってプリントもらってこないといけないなぁ…、などとみこりんと善後策を話しあっていたのだが、みこりんはどうも私では学校の授業内容をみこりんに教えてやることはできないと思ってるらしく、プリントをもらってきても意味ないじゃんと言っている。でも「じぃじなら教えてくれるかもね」と、みこりんは言う。“じぃじ”とは、私の父のことを指しており、現役時代は小学校の教員をやっていた(今は定年退職)。そのことをみこりんは知っているので、そんなふうに思っているらしい。

 小学校レベルの算数や国語などは、私でも大丈夫だと力説してみたのだが、いまいち信用されていない感じ。…うーん、日頃、みこりんの宿題の結果から、特に私が何か口を挟まなくても大丈夫とあえて距離を置いてたのが逆効果になってしまったか。
 でもあんまり親から勉強のことを言われるのは、自分の経験上からもあまりよい結果は得られないようにも思うので、このくらいが丁度いいのかもしれない。よほど困難な壁に直面した時に、助言する程度で。幸い、みこりんの理解力は普通以上にあるようだし(このへんの見極めがなかなか微妙ではあるものの)。

 まぁそれはそれとして…、もう1つの懸念事項をクリアにしなければ。というわけで、みこりんに今一度、クリスマス、サンタさんからプレゼントされたいのは『Wii+たまごっちのソフト』なのか『たまスク』なのかを、さりげなく聞いてみる。
 『たまスク』の手配は完了しているが、もしも『Wii』なんてことになったら計画に甚大な影響が出てしまうことは避けられない。どうか『Wii』じゃありませんように。

 みこりんは言った。
 「Wiiは…」
 「Wiiは?」
 ちょっとドキっとしつつ。
 「きっとそのうち売れ残ってお店にいっぱい置くようになるから、買うのはその時でいい」
 やはり欲しいらしい。でもいますぐにはいらないらしい。ややほっとしつつ、「じゃぁ、『たまスク』でいいんやね。色は、水色でよかったっけ?」
 「“うらたま”の色と、おそろいがいいなー」
 な、なんとぉ!?
 みこりんの持ってる『うらたま』は、白だ。ってことは、白?水色ではなく?もう水色(青)って指定しちゃったよ、お店に、と心の中でショックを受けつつも、平静を装いながら、「みこりん、“水色がいいなー”って言ってたじゃん」と、思い出させてみたところ、「…うん、やっぱり水色がいい」ということになった。
 ふぅ…。あぶないあぶない。「サンタさんも作るのに時間がかかるから、色は途中で変えられないと思うよー」と、さらに念を押し。

 それにしてもWiiが売れ残るというのは、みこりん独自の情報網による判断なんだろうか。みこりんの学校では、そういうことになってるのかな?気になったので聞いてみたところ、特にそういう情報があるわけではなく、みこりんの勘らしい。さらにつっこんで聞いてみると、どうも同時発売の“たまごっち系のゲーム”が面白くなさそうだというみこりんの直感もおおいに影響してるそうな。みこりん曰く「まめっちが可愛くない」とのこと。どうやらキャラクターデザインが微妙に違ってるようだ。“まめっち”は、みこりんのお気に入りキャラである。これが“可愛くない”というのは、たしかに重要事項だ。
 このようなキャラデザの違いは『えんたま』と『うらたま』でもあったらしく、あの粗いドット絵にもかかわらず子供のチェックは相当鋭いということを改めて思い知らされたのであった。私の目には、全部いっしょに見えるのだが… orz

 はたして、みこりんの言うようにWiiは本当に売れ残るようになるんだろうか。PS3は、初日こそオークションの転売ですごい値段がついてたらしいが、はやくも定価割れまで落ち込み、人気急落傾向らしいが…。『夢に見たことが本当になる』みこりんの予想だけに、気になるところだ。


2006.11.25(Sat)

裏、4国目

 先々々週先々週、とヴァナ・ディールの世界において“裏”に突入したわけなのだが、じつは先週も同じ主催者さんによる“裏”への挑戦が行われた。私も参戦したが、狙いのAF2は結局ドロップせずに終わったのだけれど、無事クリアすることはできた。
 この“裏世界”には、基本4国と呼ばれるものと、それ以降の、より難易度の高いステージが用意されている(その後の拡張でさらにステージは増えた)。先週までの3回の挑戦で、私は基本4国のうち、3国をクリアしたことになる。そして今週末、つまり今日だ、ついに最後の1国へと突入する。4週連続の野良“裏”主催者さん、おそるべし。

 とはいえここまでくると、野良といっても、先週、先々週あたりも一緒にやったなー、という感じの人が増えており、半固定メンバーみたいな感じである。ちなみに今日挑戦するところが、基本4国の中では最難関らしい。私が狙ってるジョブのAF2はここではドロップしないため、クリアできればラッキーかも、というノリでの参戦だ。

 魔法詠唱を封印されてしまう技を繰り出してくる敵が出るため、そいつよりも先にこちらが魔法詠唱封印を仕掛けることが重要であると、突入前に説明があった。私も事前に調べておいたので、その敵の名前は記憶してある。姿は、鳥だ。鳥を発見したら、躊躇せず魔法詠唱封印魔法“サイレス”を入れる、と。そんなわけで、位置取りもやや最前線よりに。
 突入。

 前半は比較的順調に進軍。しかし、半ばあたりで、さくっと1回全滅。少しのミスが命取りになるので、油断できない。
 残り時間がちょっと微妙らしいのだが、全滅してしまったため、予定では倒しておくはずだった敵がそこここに残っている。すべて倒していたら間に合わないので、敵に察知されないよう慎重に進軍開始…、するも途中で敵が1匹近づいてきて、隊列が分断されてしまった。
 こういう時に限って敵はなかなか去らず。お約束のパターンだ。
 結局、察知されてしまって強行突破。どうにか切り抜けたものの、残り時間がかなり微妙になってしまったらしい。主催者さん側に、やや焦りの色が。

 とはいいつつも、手馴れた歴戦のつわものらしく、絶妙のタイミングで敵を釣り、本隊まで引っ張ってくるあたりはさすがである。このとき最初に敵に発見される囮役を、ずっと主催者さんが担当していたのだが、囮役は倒す必要のある敵以外を本隊から引き離すという役目があり、それゆえ最後はいつも圧倒的多数の敵により、遠くで孤独に袋叩きにされ死亡、という運命にあるのだった。

 このような犠牲を払いつつ、どうにか時間内にラスボスを倒し、無事クリア。いやほんと、これでクリアできなかったら主催者さんに申し訳ない。
 残り時間、例によってドロップ品狙いで余った敵を狩り。で、気が付いたらものすごい数の敵に囲まれていて、本隊は半壊状態に…。全員の蘇生もままならないうちに、時間切れで、裏から強制排出となった。戦利品枠に残っていた大量のドロップ品は、今回も時空の彼方へと消えていってしまったが、AF2は希望者の手に残っていたので問題なし。なによりクリアが目的だったし、それを達成した今、そんなことは些細なことであった。

 さて、これで4国クリアとなったわけだが、この野良“裏”、もしかして次なるステージに進んでしまったりは……。


2006.11.26(Sun)

雨の日曜日、再び

 日曜日ごとに雨が降ってるような気のする今日この頃。出かけるには不向きな天候だが、今日中にやっておかねばならない事があったので、午後から街へと出かけた。
 久しぶりに『たまカップ』をやってみたいらしいみこりんも一緒だ。Licは連日の看病疲れが一気に来たのか倒れこむようにして眠っていたので、無理に起こさず。

 本日の立ち寄りポイントは3つ。それらを最短コースで結べるルートを脳内で導出し、クルマを走らせる。
 まず、『たまカップ』を設置してあるスーパーからだ。出かける前に眠っているLicから聞き出した情報によれば、今夜の食材は冷蔵庫に入っていないらしい。Licの熟睡レベルから推測するに、おそらく夜まで目覚めないであろう。というわけで私が夕食を作ることにして、みこりんに何がいいか聞いてみると、「カレーがいい」との答えを得た。
 私がカレー用食材を買い集めている間に、みこりんは2階のオモチャ売り場にて『たまカップ』を堪能する。買い物が終われば、私がみこりんを迎えに行くという取り決めの後、別行動へと移行する。

 肉、カレーのルー、旬のキノコに玉ねぎジャガイモ、そしてニンジン…。ニンジンは冷蔵庫の中に何本か余ってたような気がしたので、念のためLicにメールしてみたのだが、応答なし。というわけでニンジンも買い。本日限り50箱限定の1箱250円という破格値のついた、ジャガイモと玉ねぎにかなり惹かれるものを感じたのだが、ここで余計なものを買ってしまうとLicの立てているであろう購入計画に支障が出るかもしれず、手を出さずにおく。
 以上で買い物終了。みこりんを迎えに行くと、まだ列に並んでいるのが見えた。日曜の午後ということもあり、『たまカップ』待ちの子供の行列はほどほどにある。近くの休憩椅子に座り、ケータイのPCブラウザでしばし掲示板などに目を通しつつ待つことにした。

 10分ほどして、みこりんの『たまカップ』終了。新しい冬用カードがゲットできたらしく、大事そうにカードフォルダに仕舞い込んでいた。

 スーパーから、次の目的地であるコンビニ“セブンイレブン”に移動。なぜ“セブンイレブン”なのかといえば、四国に住む弟からの依頼による。
 とある支払いでコンビニ払いを選んだらしいのだが、そのコンビニの種別選択で、どこをどう間違ったか“セブンイレブン”を指定してしまって困っているという電話があったのが、金曜の夜のこと。聞けば、四国には“セブンイレブン”は一軒も存在しないのだという。このままでは本四架橋を渡って、わざわざ本州まで“セブンイレブン”探しの旅に出なければならない。そう言う弟のために、私が代わりに支払いをすることになったのであった。
 バーコードを印刷した請求書でもあるのかと思ったが、そういうのは特になく、やたら長ったらしい識別コードをレジで唱えればOKなのだそうな。ちゃんとその識別番号はメモってきたので大丈夫のはず。

 レジの兄ちゃんにコンビニ支払いであることを告げると、「番号をどうぞ」と促された。メモ片手に間違わないよう、頭から順に番号を読み上げてゆく。しかし途中で入力を誤ったようで、「すいません、もう一度お願いします」ときた。再度、番号を唱えなおし。
 結局、3度ほど識別コードを詠唱せねばならなかった。料金と引き換えにもらった領収書には、特に氏名は記載されておらず、印刷されているのは識別コードと金額のみ。しかも事前に聞いていた支払額と、微妙に違ってる金額だったし、なにやら不安を覚える。はたしてこの識別番号は正しいのだろうか。というかそもそも口頭でこのような識別番号の詠唱により決済を行うインタフェースは、ミスが発生する可能性大のような…。支払い側の詠唱ミス、レジでの入力ミス。バーコードでは発生しないミスの可能性が2箇所もある。
 “セブンイレブン”が何故バーコードを使わず、識別コードの詠唱という手段をとってるのかは謎だが…。

 若干の不安を残しつつ、最後の立ち寄り先である本屋に向かう。
 bk1の新刊お知らせメールによって、買うべき本のほとんどはAmazonに発注済みだが、やはり見逃しているものはそこそこあり、優先順位の高いものから選りすぐって現物を1冊購入。オンライン本屋の送料無料になる1500円を超えない範囲ならば、こちら(リアル本屋)のポイントカードを使う方が割がよい。
 みこりんはみこりんで、ついに『たまスク』の特集本を買う決心をしたらしい。さきほどのスーパーで発売されたばかりの『たまスク』の現物を目の当たりにし、好奇心を刺激されまくっているのだろう。
 じゃ、とーさんとみこりんの、この2冊でいいかな?と、みこりんに確認していると、絵本コーナーに並んでいた“サンタクロースの秘密”を描いた本に激しく興味を惹かれたようで、しばしぱらぱらと中を確認した後、「これも買っていい?」と控えめに聞いてくるみこりん。みこりんの本にはできるだけ上限を設定しない方針なので、これも買い。

 *

 帰宅後、さっそく夕食の仕度にとりかかる。みこりんは買ってきた本に没頭中。Licは、みこりんの布団にくるまり熟睡中。ひとときの静けさに包まれるリビングルーム。

 材料をすべて炒め終わり、鍋にぶちこみ煮込んでいると、ふと本から顔を上げたみこりんが言った。
 「おとーさん、ばんごはんは?」
 「ん。カレーでしょ?ご飯はもう炊けてるよー」
 私がそう言うと、みこりんは急に心配そうな顔をして「具、つくらないとー」と言った。
 一瞬なんのことやらわからなかったのだが、どうやらみこりんは先ほどまで私が食材を切ったり炒めたり煮込んだりしていたのに気付かないほど、読書に熱中していたらしい。すでに具が煮込みの最終段階にあることがわかると、みこりんは心底ほっとしたような声で「よかったー」と言った。

 *

 ところで、カレーに限らず、玉ねぎを刻むと、指に特有の匂いが残る。手をしっかり洗っても容易には消えず、にゃんちくんの鼻先にひょいとその指をもっていくと、恐縮したような表情をするのがそこはかとなく可愛らしく。
 でもこの玉ねぎの匂い、なんとかして消せないものか。ちょっと癖になりそうで怖い。


2006.11.27(Mon)

猫にまたたび

 にゃんちくんの爪研ぎ板が、だいぶくたびれてしまっていたので、新しいのを買ってきてやった。裏表の両面が使えるタイプの2枚入り。紙で出来ているため、あまり耐久力はないのだが、にゃんちくんはわりと気に入っているらしい。でも今回は夜の餌の時間と重なったため、にゃんちくんの意識は餌にのみ集中しており、爪研ぎ板がおにゅうになったことにはまだ気付いていないようだ。

 ところでこの爪研ぎ板には、粉末状の“またたび”が付いている。
 いつもはこの付録の存在を、つい忘れてしまって活用することなくゴミ箱行きになっていたのだが、今日はたまたま目に留まったので、新しい爪研ぎ板の上にぱらぱらと撒いてみることにした。
 付録なので、わずかな量しか入っていない。ところが、にゃんちくんはこのかすかな匂いに反応し、さっきまで餌のことしか考えてなかったとは思えぬ真剣な表情で、周囲の匂いをくんくんと鼻で嗅ぎ、ついにはその場所を特定し、爪研ぎ板の上にしゅたっと乗っかったのであった。
 おそるべし、猫の嗅覚。

 爪砥ぎ板の上で、にゃんちくんはぺろりぺろりとその表面を数回舐めると、おもむろに爪をがしがしと研ぎ始めたのであった。
 暗闇の中でひたすら爪を研ぐ猫の図。…野生に戻ったかのようなワイルドさだ。
 しかし、餌の準備が終わると、爪砥ぎ板のことはすぱっと忘れたかのように板から飛び降り、はぐはぐと一心不乱に食べ始めるのだった。ん、今日も元気そうでなにより。

 しばらく後、満足して丸まっているにゃんちくんのそばを通りかかったとき、足元に何かの破片のようなものが落ちているのに気がついた。「…な、なんだ?まさか、うん○?」
 おそるおそる触れてみると、それが爪砥ぎ板の一部であることがわかった。

 新しい爪砥ぎ板がよほどうれしかったのか、にゃんちくんはそれで爪を研ぐだけでは飽き足らず、激しくじゃれついた…、のかもしれない。しかし、紙とはいえハニカム構造にも似たこの頑丈な立体構造の板を、どうやって削り取ったのだろう。

 おそるべし…、猫の底力。


2006.11.28(Tue)

河童再召喚

 みこりんのクラスで、今年2人目の肺炎による入院患者が出たらしい。クラス全員でお見舞いの手紙を書いたようなのだが、みこりんは自分の胃腸風邪が完全には治ってないので、「私は元気です」という一文を入れないでおいたそうな。妙に細かいところにこだわるみこりんであった。

 普通の風邪で休んでいる子も2人ほどいると、みこりんは言った。風邪の季節、油断大敵である。

 なんてことを思っていると、さりげなく「ずるずる」、と、みこりんが鼻をすすっていた。…「え!?」
 昨日までそんな症状なかったのに。
 夜中、毛布をけりけりして冷え冷えになってるからに違いない。というわけで、昨年買った“河童の全身着ぐるみ”をタンスの最深部から召喚。まめっちの上半身型着ぐるみでは不十分だったようだ。

 緑色の河童に変身したみこりんは、足のところがだぶついていて短く見えることを指摘していたが、着ぐるみとはそういうものなのだよという私とLicの説明で、あっさり納得したらしく、安心したように寝室へと引き上げていった。
 基本的に、みこりんは着ぐるみタイプの衣装が好きなのだろう。この後、1時間ほどしてこっそりみこりんの様子を見に行くと、河童になりきったみこりんの寝姿を確認することができた。うん、これならば暖かそうだ。みこりんが風邪ひきませんように。


2006.11.29(Wed)

MX440→Ti4600

 家で私が使っているPCのビデオカードは、GeForce8シリーズが登場した今となっては、もはや骨董品レベルのGeForce4 MX440SEである。登場時期が同じころのFFXIレベルの3D空間を再現するには、これでも特に激しく不都合というわけではないのだが、LicのPCに装着してあるGeForce6600GTによる天候エフェクトやら影表示やらのエフェクト類をすべてONにしたリアルな3D空間を見てしまうと、どうしても見劣りしてしまうのも事実であった。

 ビデオカードを新調する時は、CPUから何からすべてを一新する時と、一応自分の中では決めてあったのだが、ひょんなことからGeForce4 Ti4600を入手する機会があったので、さっそくPCの筐体を開け、交換してみることに。
 同じGeForce4シリーズとはいえ、MX440とTi4600では、車に例えるならカローラとレクサスくらい?の違いはあるかもしれない。MX440はローエンド普及品タイプ、Ti4600はハイエンドな一級品。
 基板の造りからして、重さ、でかさ、ごっついヒートシンク等、違いは目に見えて明らかだった。古いとはいってもハイエンドな物は、やはり一味違う。

 さっそくFFXIを起動。
 天候エフェクトなど、これまでオフ状態にしてあったものを軒並みアクティブに切り替え。そして、街から遠く離れた高原までテレポ…

 ………。
 すごい。テレポイントでくるくる回転している多面体の場面でもぜんぜん重くない。MX440の時には、鉛を100トンほどぶら下げられたような気がしていたのに、もはやそんな束縛はどこにもなかった。
 そして遠くまで見通せる美しい山々。空をゆったりと流れてゆく白い雲…。風の流れまで見えてきそうだ。

 没入感の次元が違う。これは一度味わうと元には戻れない世界な予感。

 Vista向けに開発されているという噂のFFXI後継MMORPG“FFXIII”は、もっとリアルな3D空間なのだろう。普通のPC1台分(もしくはそれ以上)の値段が付くハイエンドなビデオカードには、これまで手を出すのを控えていたが……、必要不可欠なパーツになりそうな感じ。


2006.11.30(Thr)

チョコボ100日目

 ヴァナ・ディールの地において育てている私のチョコボは、そろそろ育成期間100日が目前に迫ってきた。3ヶ月ほどで引退するという説もあったので、毎日どきどきしながら様子を見に行ったものだ。しかしとりあえず、今のところそのような兆候はなさそうだが。

 Licのチョコボは、はや2世の育成に移っている。初代チョコボは特殊能力を2つ覚えての引退だったという。まさに、満を持しての引退だ。
 それに比べて、私のチョコボはまだ特殊能力を1つも覚えてはいない。ある程度成長してしまうと、各種能力値の上昇傾向が非常に緩やかになってくるらしく、特殊能力を習得するのに必要な条件を満たすのが困難になってくる。ゆえに、とっとと初代には見切りをつけて、2代目、3代目の育成に突入している人も少なくないようだ(飼育のための情報もだいぶわかってきたことだし)

 このまま延々と育てていくとどうなってしまうのか。いつかは強制的に引退イベントが発生するのか、はたまたそのような制限なく無限に飼えてしまうのか。そのへんを見極めるのもいいかな、と思いつつも、やはり特殊能力を覚えさせて、騎乗専用チョコボ、掘り専用チョコボ、レース専用チョコボと、多彩に取り揃えるという誘惑はかなり強烈。あぁしかし、一度引退させてしまうと、呼び出しはできるものの、もう世話することはできないのだ。このへんの仕様が変更されて、複数飼育を可能にしてくれるといいんだけど…。悩ましいところである。


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