2007.6.1(Fri)

バッタとトカゲとみこりんと

 みこりんの門限は、通常、午後6時となっている。この時間になると、自治体の広報スピーカーからチャイムが鳴り響くので、外で遊んでいる子供らにもわかりやすい。
 ところが今日は、いったん帰宅したものの、まだ外でお友達が何かに熱中して空き地の草原にいるらしく、みこりんも様子を見に行ってみたいらしい。
 ふむ…。ちょっとだけ迷ったが、近所だし、そんなに遅くなるわけでもないし、まぁいいかと、許可してやった。未知なるものへの探究心でうずうずしていたみこりんは、許可が出るや否や玄関を飛び出し駆けていってしまった。元気なことよ。

 15分くらい経って、みこりん帰宅。季節は夏へと移り行く途上にあり、この時間でもまだ外は余裕で明るい。
 みこりんは少し興奮した声で、こう言った。

 「あのね、バッタつかまえたんよ!ショウリョウバッタと、ヒシバッタ。ヒシバッタの方がびょんびょん跳ねてちょっと怖かったけど、ちゃんと触れたよ」

 みこりんは保育園な頃から、虫全般がちょっと苦手だった。中でも、バッタ、特にオンブバッタは異様に怖がり、オンブしてる姿を庭で見つけようものなら半径1m以内には接近できないほどだった。そのみこりんが、バッタをしかも素手で触ったのだと言う。

 快挙である。

 いったい何が、みこりんをそこまで突き動かしたのか。
 聞いてみると、どうやらお友達と一緒にバッタ獲りしてたのには理由があった。そのお友達はカナヘビを自宅で飼っているらしく、その日々の餌用に、活きのいいバッタが必要だったのだ。
 みこりんはバッタは怖いが、カナヘビに代表される小さなトカゲは結構平気である。しかも、お友達の役に立てる。みこりんは燃えていた。

 そのうち自分もカナヘビ飼ってみたいと言い出しそうな気配が濃厚だったが、自力でバッタを準備できるならばチャレンジさせてみてもいいかもしれない。

サーバ移転

 うちのサイトのドメイン更新期限がそろそろやってくる。それにあわせてレンタルサーバの更新期限も1ヶ月遅れでやってくる。
 サーバを借り替えるならば今がチャンス。そこで、いろいろ調べた結果、レンタルサーバはさくらインターネットレンタルサーバ“スタンダード”に決定、ドメインもこちらに移管することにした。

 これまで使ってきたレンタルサーバには、2001年7月10日に引っ越してきた。当時としては、50MBで年間10,000円(月換算だと1,000円以内)と、そこそこリーズナブルな価格設定だった。もちろんこれより安いレンタルサーバ屋さんもあったのだけれど、安かろう悪かろうの噂があったりしたのであえて選ばず。
 以後、そのレンタルサーバ屋さんにて運用してきた。特に大きな不具合もなかったのだが、50MBというサーバ容量は、徐々に効いてきて、植物の画像などをばっさり削除せざるを得ない状況に至って、移転を決意した次第。

 さくらインターネットのスタンダードプランでは、サーバ維持費はこれまでの半額の年間5000円。ドメインの維持費も、ほぼ半額の1800円。それでいて、サーバ容量は1GBと、これまでの20倍だ。メールの容量制限も、これまでは2MBなどと厳しい状況だったが、移転後はデフォルトで200MBが設定されている。100倍…、ほとんど無限と思える領域。うらしま太郎な気分をひしひしと味わう。

 ドメインの移管手続きが今日、完了したので、さっそくDNSの設定を行い、新しいサーバに、全コンテンツをお引越し。FTPの接続速度、転送速度ともに、これまでの約3倍以上はありそうで、ちょっと感動してしまう。まるでローカルディスクにアクセスしているかのようだ。
 その高速性のおかげで、引越しは10分以内に終了した。全ファイルサイズ約45MB、6年前の引越し時には、たしか1時間以上かかったような気もするが…、もはやそのような状況はありえないことになっているのだろう。

 CGIがらみのファイルのパーミションを変更し、動作チェック。うまく動いていることを確認。
 以上で、レンタルサーバの引越しは完了した。


2007.6.2(Sat)

対戦

 「Wiiで『Wiiスポーツ』やりたいな」という義妹夫婦が、午後やってくる予定なので、時間まで表玄関にてミニバラの手入れなど。
 今年は何故かチュウレンジバチの幼虫がまったく発生しなかったため、葉っぱを食われなかった。いつもなら葉っぱに緑の幼虫が鈴なりで、ほぼ丸坊主になってしまうところだが、なんとしたことだろう。こ、これも温暖化…、なのか。面妖な。
 虫の食害はなかったものの、葉っぱが黄色っぽくなってやや落葉してるものもあり。花柄摘みを怠っていた報いだろうか。というわけで、ちょきちょきと花柄(というかすでに花びらは落ちて種子がすくすくと大きくなり中のがほとんど)を摘む。

 みこりんは玄関先で“虹色カナヘビ”を見たとかで、目下、懸命に捜索中である。
 “虹色かなへび”とは?
 みこりんに聞いてみると、尻尾の色が虹のように輝いているカナヘビなのだという。もしやそれって尻尾が再生したばかりのカナヘビかな?と思ってはみたものの、庭にはカナヘビ以外に普通に黒っぽいトカゲもいるので、そいつのことを言ってる可能性もあった。たしか黒っぽいやつの尻尾は、レインボーカラーに輝く美しいものだったはず。

 表通りは、団地内の道路なのであまりクルマ通りは多くない。時折、クルマの音を聞きつけては、みこりんが「来た?」とクルマの方を見やるのだが、どれもハズレ。
 しかし、午後3時を回ったあたりで、ついに義弟夫婦と小さな姪っ子の乗ったクルマが到着。

 姪っ子は、もはや余裕で寝返りはするし、ひょっとしたら座るんじゃないかと思うくらい背筋もしゃきっと伸びる。はいはいは、まだちょっと無理っぽいが来月には高速でさかさかと這ってそうな感じだ。この時期の子供の成長は、じつに早い。そしてよく泣いた。とても元気そうだ。

 ところで我が家にはWiiコントローラが1個しかない。せっかくの多人数参加可能ゲームなんだが、コントローラが1個ではいまひとつ勝負に燃え要素が…
 その代わりと言ってはなんだが、うちのDS2台と、義妹夫婦が持参してきていた1台の、計3台のDSによる『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』を使っての対戦は、かなり燃えた。特に“対戦お絵かき”は、その出題内容の巧みさにしてやられてしまった。
 お題で示されたものを、記憶を頼りに絵で表現するのだが、『水戸黄門』っていきなり出題された時には、思わず吹いた。続いて『越後屋』ときて、呼吸困難に陥るほど笑わされた。越後屋って、よく時代劇とかに出てくる悪代官に“金の菓子”をプレゼントする役…、っていうのはオトナは分かってるけど、みこりんは頭上に「?」マークがぽんぽんと沸いていたようだ。無理もあるまい。でも「バカ殿みたいなやつ」というアドバイスで、なんとか勝負に加わることはできた。このゲーム、勝敗は参加者全員による投票数で決まるので、受け狙いが派手にすべったりすると、がっくりきたりもするのだけれど、相手の書いてる絵がリアルタイムで自分のDSで見えるというのは、なんというか「あぁゲームやってるんだなぁ」という実感がひしひしとする。
 燃えた。燃え尽きた。やはりゲームはシンプルな対戦ものがいいね。

 そんなこんなでややほっておかれた感のある姪っ子は、盛大に泣いて自己アピール。どんなに激しく泣いていても、母親の胸に抱かれるとぴたっと泣き止む。おそるべき、母の愛。そういや、みこりんの時もこんな感じだったなぁ、などと昔を思い出してみたり。
 こうして土曜日は去っていったのであった。


2007.6.3(Sun)

『とかげ (2)』

『とかげ 第2巻』(作:灰原 薬) 月初めのお約束ということで、『小学4年生』を買うべくみこりんと本屋に出かけた。私は私で新刊で出ているはずの『とかげ (2)』(作:灰原 薬)を探す。前作の1巻が早々に店頭在庫なしになっていたことを思うと、少々不安ではあったのだが新館コーナーで平積みになっているのを無事確保できた。表紙絵からやや黒さが減ってしまったのがちょっと残念。ちなみにエロではない。

 ところで今月の『小学4年生』には、みこりんが先月号を買った直後からずっと楽しみにしていたある記事が載っているらしい。家に戻ってから、みこりんはさっそくその記事が載っているページを探し、開いていた。
 その記事とは、来月から公開されるポケモンの映画を見ることでゲットできるという“ダークライ”の入手方法である。みこりんもチラシ等で“ダークライ”を映画館でゲットできるというのは知っていたのだが、『小学4年生』に掲載される入手方法は、それとはまた違ったものだと信じていた。みこりん的には、ポケモンの映画そのものにはあまり興味がないらしく、映画館に行かなくても“ダークライ”がゲットできるかもしれないという期待はかなり大きかった模様。

 一応、みこりんには「“映画館に行きましょう”って書いてあったりして」とは言っておいたのだが……、その言葉通りの記事だったことに動揺を隠し切れない様子。まぁ、世の中、そんなうまい話はないってことで。

 『とかげ (2)』は、話の流れがちょっと見えてきた感じで続巻に期待。ただ、人によっては多少“いらっ”とくるかもしれない箇所があるような気もするので、それなりに忍耐力はいるかも…。私は“絵”に惹かれた口だから、物語そのものにはかなり寛容な気持ちでいられるのがかえって良かったような。

夕刻の散歩

 午後4時。みこりんが近所を散歩しようというので、外に出る。
 みこりんは自転車。私は歩き。ぽてぽてと、坂道を登り、団地の外周に沿って散策。

 この団地は山の斜面に張り付くように、東側の麓から頂上付近まで楕円形に構成されている。今歩いているのは、その西側から南側に向かう円周沿いである。右手方向には、ひたすらずっと山が続いていた。
 その途中でみこりんは、山際の雑草に埋もれるようにしてひっそり生えていた木苺に気がついた。
 今が食べ頃と、ルビーのように輝く木苺の実。野生のものらしく、果実そのものはさほど立派なものではない。でも、その宝石のような輝きは、あっという間にみこりんの心を虜にしてしまったようだ。
 草の中に分け入り、1つ手に取ってみている。

 「食べられる?」と聞くので、「よく洗ったら大丈夫」と答えた。私が子供の頃は普通にそのまま摘んで食べたものだが、今は空から降ってくる雨にもいろいろと混じってる状況ゆえ、念には念を入れ。
 さっそく収穫モードに入るみこりん。私は手のひらを差し出し、赤い実を受け取る係り。改めて周囲を見回してみると、さっきまで気がつかなかったが、この辺には木苺が群生しているようだ。しかも山肌をちょっと上がれば、そこに生えている木苺の実は、下にあるものより随分と大きい。ただ、足元には野バラが生えてたりするので、接近するのは少々気合が必要だった。
 それでもみこりんは、木苺の魅力に取り付かれたように、急な斜面をよじ登っていった。

 木苺の実は、やがて私の手のひらいっぱいに収穫されていた。でも、赤い実はまだまだあった。こんな身近に、これほど木苺が採れる場所があったとは。みこりんはいったん家に戻り、何か入れ物を持って来ようと言った。たしかに、こうやって手に乗っけたままでは何やら落ち着かない。というわけで、家に引き返し、手頃なサイズの容器を探す。私がザルなど持ち出してみたところ、「それは大きすぎ」とチェックされてしまったので、無難にみこりんが選んだ小さなタッパにしておく。

 蚊に食われまくりつつ、ひとしきり木苺摘み。高い場所にあるものは、私が手を伸ばし、収穫。痛みやすいので、そっと撫でるようにして実に振動を与え、ぽろっと落ちてくるやつを手で落ちないように受け止める。そうやって二人で集めた木苺の実は、小さなタッパの半分ほどになった。家族3人分には、十分な量だ。
 みこりんも満足したようで、お散歩再開。

 夕刻の太陽が山の向こうにあり、団地と山の境界線上に生えている木々が、逆光に輝いていた。葉と葉の細かな隙間から、光線が無数に伸びている。その向こうにはどんな光景が広がっているのだろう。
 みこりんは、その向こうが知りたくなったらしい。先ほど木苺摘みをした時のように、山の斜面に足をかけた。3mほど上れば、向こう側が見える。

 滑り落ちないように、枯れ木に足をとられないように、慎重に山肌を登り…

 やがて、山の境界線へとたどり着く。
 向こうには何があるのか。みこりんと私は、見た。想像では、ここでぱっと視界が開けることになっていたのだが…、そこにあったのは、ひたすらどこまでも続く深い森であった。
 ヒトの目線では木々よりも高くにはいけなかったのだ。

 …これほどの山奥だったとは。
 なんかこう、いまにも木々の向こうに熊の姿でも見つけてしまいそうな感じ。

 みこりんもちょっとこの景色は想定外だったらしく、しばし固まってしまっていた。
 そして、徐々に怖くなってきたのだろうか。森に背を向け、先ほど登ってきたルートを逆にたどって降りてゆく。
 硬いアスファルトを踏みしめ、ヒトの住む領域に戻ってきたことを実感すると、安心だ。

 午後6時のチャイムが鳴るまで、みこりんと人気のない公園でブランコをこいで過ごした。

 *

 水で洗った木苺の実は、口の中でほろ苦い味とともに、遠い記憶を呼び覚ます。子供の頃に食べた、懐かしい味そのまんまであった。時代も場所もまったく違うのに、変わらないものがある。そのことが、ちょっとうれしかった。


2007.6.4(Mon)

溶連菌

 “溶連菌”という何やら怪しげな単語が、Licからのメールにあり、どきりとする。学校で流行っているので、みこりんも病院で検査してもらったという。検査結果は土曜日まで待たないと分からないので、みこりんが今感染しているかどうかは不明だが、今朝、「喉が痛い」と言っていたのを思い出す。私も今朝は喉の痛みと頭痛がひどく、風邪かな?と思ったりしていたのだけれど…
 それにしても溶連菌、菌というからには何かの病原菌なのだろうと思われるが、あまり聞いたことのない名前だったので、さっそくサーチエンジンで調べてみる。

 溶連菌、正式にはA群β-溶血性連鎖球菌というようだ。これによって引き起こされる感染症を、溶連菌感染症と呼んでいるらしい。しかも比較的ポピュラーな病気とか。
 主な症状は…、咽頭炎・扁桃腺炎、口蓋の点状紅斑・点状出血斑など。
 喉の痛みというあたり、みこりんの症状に一致する。家族内での感染もあるということから、もしかすると私のこの喉の痛いのも、ひょっとすると溶連菌感染症だったりするのかもしれない。

 帰宅してみると、みこりんの声は嗄れ嗄れであった。咳もある。鼻もずるずる。一見すると風邪の諸症状のようだが、発熱はなかった。結果が出るまで溶連菌によるものなのかどうかは分からないが、とりあえず薬として抗生物質が出されていた。
 みこりんは“溶連菌(ようれんきん)”というネーミングがかなり怖いらしく、「もし治らなかったらどうなるの?」と、眠る間際まで心配していた。たしかに得体の知れないものは怖い。「薬を飲んでたら治るよ」と言ってみたものの、私も溶連菌感染症の実例を身近に見たことがないので、いまひとつ不安はある(風邪と思ってたのが実は溶連菌感染症だったという可能性はあるけれど)。

 ただ気になるのが、こちらの情報。

 “溶連菌感染症は学校保健法によって定められた伝染病であり、溶連菌感染症に罹患した学童は、適切な治療が開始されてから24時間は登校することができない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 検査結果が出る土曜日までは、そのまま登校ということになってしまうのだけれど、その間にどんどん他の子にも感染が拡がっていったりはしないのだろうか。溶連菌感染症については“条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患”とされているようなので、いいのかも?


2007.6.5(Tue)

ナメゴンとなめこ

 風呂場からピピピピと呼び出し音がすると、たいてい、みこりんがナメゴンを発見した時が多い。私はナメゴンの所在をみこりんに聞き、その姿を確認すると、ティッシュ2枚重ねで捕獲し、窓の外へナメゴンだけポイっするのである。しかしみこりんはナメゴンの本体だけでなく、その糞が点々とタイルに貼り付いてたりする場合にも私を呼び出すので、こちらもきっちりとティッシュでぬぐってごみ箱にぽい。

 ちなみに、ナメゴンというのは『ウルトラQ』の第3話『宇宙からの贈りもの』に登場する宇宙怪獣の名前である。ウルトラシリーズ第1作『ウルトラQ』の放送は1966年のことなので、もちろん私もリアルタイムで見てはいないのだけれど、なぜかこの怪獣の姿形と名前だけは奇妙に記憶しているのだった(そのお姿は、“模型のページ あしからず!”さんのところの作品が素晴らしい出来なのでこちら参照してください)。
 平成産まれのみこりんは、もちろんナメゴンが何なのかまったく知らない。でも、その語呂からだいたい想像はついてしまうようで、特に「それって何?」と聞かれた記憶はない。
 でも今年からみこりんはアレのことを「ナメゴン」ではなく、「なめこ」と呼ぶようになった。………もしかして、私が知らないだけで平成には平成の常識みたいなものがあって、アレのことを「なめこ」と呼ぶのが普通だったりは……?その可能性はなきにしもあらず。

 なめこ…、なにやらちょっと可愛げな。


2007.6.6(Wed)

SELENE

 JAXAが今年夏に打ち上げる月周回衛星セレーネ(SELENE:SELenological and ENgineering Explorer)の愛称募集がちょっと前に行われていたので、私も応募していたのだが、その結果が判明した。

 愛称“かぐや”

 私が応募した愛称も、たしかこれに類するものだったはず…。やはりみんな考えることは同じか。月だものなぁ。

 アポロ計画で得られた月の画像、中でも月の地平線よりやや上にぽっかりと浮かぶ青い惑星地球の写真は秀逸だった。子供心に、「月に行ってみたい…」と思わせるに十分な魔力を秘めていた。あれに匹敵するような映像を“かぐや”が伝送してきてくれたら、私的にはもうそれだけで十分かもしれない。
 無事にミッションが達成できますように。


2007.6.7(Thr)

『Project SEVEN』

『Project SEVEN』(著:七瀬 晶) 18時36分、みこりんを音楽教室まで送り届け、そのまま駐車場にクルマを停めた。木曜日は個人レッスンの日、月曜日はグループレッスンの日。それぞれ場所が違うのだが、こちらの建物は比較的新しく、ガラス張りで中が透け透けなエントランスは明るい色調の木をふんだんに使って、なかなかおしゃれ空間になっている。私のようなおっさんには激しく似合わない雰囲気。なので駐車場のクルマで待つ。ここは駐車場も広いので、のびのびとできるのが有難い。おまけに太陽はまだ沈んでおらず、いい具合に外も明るいので読書には最適だ。
 シートを奥まで引いて、思いっきり後ろに倒して寝転がり、本を取り出し物語世界に没入する。

 読んでいるのは、図書館で借りてきたProject SEVEN』(著:七瀬 晶)だ。“サイバーパンク”という80年代後半に流行ったフレーズがあえて使われているあたり、わかった人が書いたならたぶん当たり、そうでなかった場合は…。

 幸い、これは当たりのような気がする。
 むしろソフトウェア開発現場の生々しい一端が垣間見えて、とてもリアルに感じられてしまう。まさに他人事でない臨場感というやつで、未来世界においてもプログラマは3Kのままなんだねぇ…、とちょっと哀しくもあり。でもまぁそういうオトナの事情のどろどろした雰囲気は、女子高生ハッカー“奈々”の若さ溢れるエネルギーで相殺されているので問題なし。

 読みふけっているうちに、だんだん視界が狭くなってきたような気がして顔を上げると、日没間近であった。これ以上眼を駆使すると、明日に響きそうなので読書終了。
 まぶたを閉じて、みこりんが戻ってくるのを待った。予定ではあと数分のうちにレッスンは終わるはず。

 じっと待っていると、そぉっとドアが開く感じがしたので目を開けると、みこりんがいた。「おかえりー」と声をかけたものの、なにやら様子がおかしい。反応がないのだ。
 送り出した時には、ご機嫌だったみこりんが、戻ってきたときには“どよーん”としている。…何かあったんだろうか。うまく演奏できなかった、とか?
 聞いてみたい気もしたが、みこりんはそのままシートに座り、膝を抱えて眠りこけてしまったので、そっとしておくことにした。

 まぁ、いろいろある年頃だ。あとでこっそりみこりんから話してくれるのを待ってみても遅くはあるまい。


2007.6.8(Fri)

ローマ字

 夕方、みこりんの待つ家に戻ってしばらくすると、猛烈な雨。ついでに雷様が、どかどかと電撃を地に放って、大気がちりちりと帯電しているかのよう。
 この有様に、ケージから出してやっていたにゃんちくんは、とっとと秘密の隠れ家に引き篭もってしまい、夜遅くなるまで我々の前から姿を消したのであった。
 明日も、そして明後日も、雨らしい。もしかして、梅雨なんだろうか。

 ところでみこりんは今日、国語の時間に初めてローマ字を習ったとかで上機嫌だった。ローマ字というものの存在は以前から知っていて、「早く教えてくれないかなー」と待ち望んでいただけに、その喜びもひとしおであろう。
 ローマ字変換表という一枚の紙を見せてもらったところ、まさにそこにはPCのキーボードの写真があった。たしかに日本語入力のローマ字モードは、ローマ字を覚えるにはうってつけの素材にちがいあるまい。みこりんもこれまでは“かな入力”でぽちぽちやってきたが、これからはローマ字入力でばしばし打ち始めるようになるのだろう。
 子供の記憶力はものすごいものがあるので、アルファベット程度のキー数ならば、ものの数日で高速打鍵間違いなし。…でも、何を素材に入力の練習してるのか、ちょっと気になった。国語の教科書だろうか。毎日PCで日記でも書かせれば上達する子も多かろうと思うのだが、PCが一人一台体制になってないので、ローマ字の学習期間が終わったら忘れてしまう子続出だったりして。

 ちなみに学校のPCは起動時にどんな画面になっているのかみこりんに聞いてみたところ「数字の9と8があったような…?」と言っていた。…うーん、まさかとは思っていたけれど、公立の小学校のPC環境ってそういうものなのかも。


2007.6.9(Sat)

検査結果

 はたしてみこりんの症状が溶連菌によるものなのか、検査結果を聞くために病院へ向かう。山1つ越えた隣の団地内にある診療所なので、土曜日ともなれば結構な混み具合であった。このあたりでは珍しく婦人科が開設されているのも、ポイント高いのかもしれない。
 待合室はすでにいっぱいで、スリッパすら在庫切れのありさま。私とみこりんは素足のまま、診察室に近い廊下の端っこに座って順番を待つ。

 みこりんの咳は相変わらずひどく、みこりんにしては珍しくもぞもぞとじっとしていることができない様子。体の倦怠感なんかもあるのだろう。でも熱は平熱。
 私とみこりんが座り込んだ目の前には、どこかへと続く扉があり、そのドアはブラインドのようなひさしがついていて、見る角度によってはその向こうが見えてしまうという構造をしていた。
 好奇心を抑えきれないみこりんが、そっと覗いてみたところ、普通に階段があったらしい。この診療所は個人経営なので、2階は居住区になっているのかもしれない。なおもみこりんが観察を続けていると、看護士さんがぱたぱたとやってきてそのドアを開け、奥に置いてあった箱の中から何かを持ち出している様子。どうやら新しいスリッパを解禁することにしたらしい。
 さっそくおにゅうのスリッパをゲットして、足裏が冷たくなくなった。

 そんなことをやってるうちに、ほどなくして名前を呼ばれたので診察室へ。
 ここ1週間のみこりんの様子を先生に説明する。それを聞いていた先生は、検査結果を教えてくれた。やはり溶連菌が検出されたらしい。咳も喉の痛みも、溶連菌感染症によるものでしょうとのこと。
 抗生物質が、対溶連菌の本格的なやつに変更となった。今後2週間飲み続けなければならない。なかなかしぶとい菌である。

 先生が直接みこりんに状態を尋ねてくれたのだが、みこりんは恥ずかしそうにのらりくらりとしただけで返答できず。んー、ここらへんがみこりんの今後の課題だな。

 *

 午後、またしても猛烈な雷雨にみまわれる。光ってすぐドゴーンと雷様が落ちてくるのでみこりんの怖がりようも尋常ではなかった。「おへそ大丈夫かな?」と心配しつつ、魔法の人形“照る照る坊主”の作成にとりかかる。私とみこりんで分担し、合計4体できあがり。それを持って、みこりんは玄関、南側の窓2つに、それぞれテープで照る照る坊主を貼り付けていったのだった。

 そして夕方。ようやく空に青い領域が戻ってきた。風の流れが速いので雲の動きも刻々と変化してゆく。天気予報によれば、今夜から明日にかけて、またしても激しい雨と雷にみまわれるそうだ。
 成分がティッシュ100%の照る照る坊主に、これを撃退する能力は……、きっとない。
 明日も、雨、か。


2007.6.10(Sun)

バーベキュー

 降り続いていた雨が、やっと途切れ、遅ればせながら太陽が顔を出した夕方4時頃。みこりんが自転車に乗って、近所をぐるーっと回って戻ってきたと思ったら、開口一番「バーベキューしたい」と意気込んでいる。どうやらお友達のところが、ちょうどバーベキューの準備に取り掛かっていたらしい。
 うちにもバーベキュー用の焚き火台はあるので、準備さへ出来ていればいつでもバーベキューOKなのだが、あいにく今は燃料である炭を切らしてしまっていた。おまけに食材も買ってきてないし、先ほどまで降り続いていた雨で庭はぐじゅぐじゅになってるし、勢力を回復しつつある雑草もどうにかしないといけないし…、ということもあり、みこりんに来週ではどうかと妥協点を探ってみたのだけれど、みこりんは今どうしてもバーベキューやりたい気分120%といったところのようで、叶えられそうにないとわかると自室のベッドに突っ伏してしまった。

 んー、庭のコンディションは良くないが、Licと二人、手分けして準備すれば今からでも大丈夫かもしれない。私が炭を買いに行き、焚き火台で炭に火をつける係。Licが食材を買ってくる係。
 いまだ突っ伏したままのみこりんに「炭買いに行くよ」と声を掛けたら、いそいそと起き出して来た。
 Licとほぼ同時に2台のクルマで目的の品を買いに出かける。炭は出来るだけ早くゲットしたかったので、最近オープンしたばかりのもっとも近いドラッグストアに寄ってみた。アウトドアシーズンにはやや早いが、もしかすると炭売ってるかもしれない。

 自動ドアを抜け、特設売り場っぽい方を目指すと、期待したとおりの光景がそこに。
 山と詰まれた炭の箱。そしてポリタンクやらシートやらといったアウトドア用品の数々。ちょっと目移りしそうになったが、今は時間との勝負なので、とっとと炭の箱だけを抱え上げ、レジで清算。私が現金を払ってる間に、みこりんは炭の箱を抱えて駐車場目指して歩いていた。
 Licに“炭ゲット”のメールを送り、家へと戻る。

 さて、焚き火台はアルミ製なのでずっと庭に置きっぱなしでも錆びることはない。そいつを庭の真ん中まで移動させ、周囲の雑草をさっくりと抜いて空間をつくる。
 この焚き火台は、逆ピラミッド型をしており、一番底の部分には10cm四方くらいのごつい網がセットされている。ここから空気を取り込めるので、火の回りなども良いというのが売りの1つだ。
 さて、では着火にかかろう。といっても炭のみで着火させるのはかなり困難ゆえ、着火用の火種として新聞紙を用意する。うちでは紙媒体の新聞は取ってないため、たまーにポストに入ってるサンプルである。しかも一日分しかない。ここで着火に失敗してはあとがないので、慎重に新聞を敷き詰め、燃えやすそうな形状をした炭を厳選してその上に並べ、ライターで火をつけた。

 紙が燃えてる間は盛大な炎が上がるものの、それも一瞬。紙が燃え尽きると、団扇で扇いでも炭の端っこがちょびっと赤くなって煙を上げてる程度だった。うーん失敗。新聞紙一枚で着火できず。
 これまでは茎の太い雑草の枯れ枝をキープしといて、そいつらを火種に使ったからあっというまに炭にも火が回ったものだが、薄い新聞紙ではそれと同等の効果を得ようと思えば、もっとねじって大量に投入するしかないか。
 というわけでみこりんに新聞紙を一枚ずつ手渡してもらいつつ、それをぎゅっとねじり炭の間に突っ込んで着火。団扇で絶妙な風を送り込み、炎をごうごうと燃え立たせる。

 団扇の扇ぎすぎで汗だくになった頃、ようやく炭が炎に包まれるようになっていた。成功だ。
 あとは炭をどんどん足し、まんべんなく焚き火台の中が燃えるようにして、と。
 団扇をばっさばっさと打ちふるい、炭全体に火をまわす。炭から炎が上がってると火力強すぎだから、炭独特の落ち着いた感じになるまでちょっと待ち。
 私がそうやって着火している間に、みこりんは自発的に焚き火台の上にかける網を洗ってくれていた。

 焚き火台の火も落ち着いてきた頃、Licの食材の方も準備が終わり、大皿に盛られてウッドデッキに運び込まれてきていた。
 まずかぼちゃのスライスから網の乗せてみる。続いて玉ねぎ。中央の隙間に肉。…でも、火力がまだ強すぎたみたいであっというまに黒焦げになってしまいそう。
 肉が炭にならないように、救出。串刺しソーセージとか、茹でとうもろこしの輪切りとか、あっと気付いたときには片面焦げ焦げになったりしつつも、それなりにバーベキューっぽくなってきた。

 みこりんはウッドデッキに敷物を広げ、その上に数週間前からお気に入りの椅子として置いてある水槽台の成れの果てに座り、堪能中。小さい頃からみこりんは、こうやって外で食べるのが好きだったなぁ…、なんてことを思いつつ、私も食いっぱぐれないように食べ。
 Licが用意した食材は、いつもの量より少なめだったらしい。ひょっとすると肉足りないかも?な心配もあったが、結果的に、皆お腹ぽんぽこりんで十分な量だったことがわかる。みこりんが食べるようになった分、私やLicの摂取量が年齢と共に減っている?のかもしれない。

 夕暮れ。宵闇があたりを包む頃、焚き火台の中の炭は、いぃ感じに赤く染まり、まだあと1回分くらいのバーベキューをこなせそうだ。ちょっと炭入れすぎたっぽい。もったいないが、今夜はこのまま燃やしてしまおう。それにしても今日買ってきたこの炭、灰になるとなぜか生木のように茶色くなってくるものが混じっていてちょっと不思議だった。こんな燃え方する炭があったとは。

 こうして今年初めてのバーベキューは、終了した。


2007.6.11(Mon)

似ている曲

 エレクトーン発表会を2週間後に控え、みこりんが当日(土日の2日間ある)のプログラムをもらってきていた。その中に演奏曲も書かれてあるわけなのだが、映画公開で今が旬な『パイレーツ・オブ・カリビアン』系な曲が、かなりあることをみこりんが1つ1つ指差して教えてくれた。じつはみこりんも、この曲がとても気になっているらしい。そう、あの“彼こそが海賊”だ。

 じつを言えば、私もこの曲にはちょっと惹かれるところがあった。なんというか、主旋律の雰囲気とか曲調が、私的一押し映画の『ザ・ロック』で迫力シーンを盛り上げてくれたサウンドの数々に非常に似通っているのだ。まさにちょっとだけ編曲してみました、みたいな具合に。
 とても他人が作ったとは思えない……

 気になって仕方がないので、サーチエンジンで調べてみた。

『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』の音楽担当
クラウス・バデルト(Klaus Badelt)
『ザ・ロック』の音楽担当
ハンス・ジマー(Hans Zimmer)

 一見、違う人のように見えるが、さらにクラウス・バデルトとハンス・ジマーで検索をかけると、ハンス・ジマーが率いる映画音楽製作を専門とするメディア・ベンチャーズ(現在はリモート・コントロール)にクラウス・バデルトも所属していることがわかった。いわゆる師弟関係ってやつ?『パイレーツ』の方の音楽も、じつはジマーがいろいろ楽曲を提供しているとか。ある意味、似ていて当然というか、そういう系統の音楽を作ってる人たちってことか。
 なるほど。納得。


2007.6.13(Wed)

音飛び

 これまでカーステの6連装CDチェンジャーに装着していたCDは、オリジナルのCD盤だった。しかし数年来同じ曲ばかりではさすがに変化が欲しくなり、ちょっと前からお気に入りの曲を集めてCD-Rに4枚ほど焼いて、入れ替えてみているのだが、ここでちょっとした問題発生。

 CD-Rは、普通のCDより音飛びしやすい、とか、レンズの汚れに弱いとか、いろいろとよくない話は聞くのだけれど、たしかにちょっとした衝撃で、あっさりと再生不能に陥り、次のCD-Rへと切り替わってしまう。で、次のCD-Rも、段差を踏み越えたりしただけでまた次のCD-Rへ…、といった感じ。
 1枚だけ普通のCDも残してあって、これだけは音飛びなし。というわけで、変化を求めてCD-Rにお気に入り集を作ってみたのに、結果的に満足に聞けているのは1枚の普通のCDのみという哀しいことになってしまっているのだった。
 まぁ、その副作用で、これまでよりもさらに安全運転を心がけるようになったのでよしとしようか。できるだけがたがた揺れないように、そぉっとソフトに運転しないとすぐCD-Rが飛んでいくから……。


2007.6.14(Thr)

CCCD

 仕事帰り、レンタルCD屋に立ち寄ってみた。みこりんに『パイレーツ・オブ・カリビアン』のCDを借りてきて欲しいとお願いされていたのだが、映画音楽特集の棚には、3作すべてが貸し出し中であることを示す、ブランクケースが寂しげに並ぶのみ。
 店内のPOPによれば、ただいまCD絶賛サービス期間中らしく、3本まとめてなら通常よりも安い値段で借りることが出来るようだ。
 …これの影響かもしれない。

 ところで1作目と2作目のサントラが、CDに似て非なるモノ、CCCDというのがわかってどうしたものやらと悩む。CCCDではなぁ…。みこりんは眠る時に聴く用のCD-Rを欲しがっているので、ちょっとこれは問題あり(CD規格のやつも後から出た模様。でもこの店には置いてなかった)。

 というわけで帰宅後、iTunesで検索してみた。みこりんが気に入ってる曲は、例の“彼こそが海賊”なのだから、ピンポイントでこいつだけ買ってしまえばいいんじゃ?と思ったからだ。
 ずらずらっと検索結果に並ぶパイレーツ系な曲達。その中で人気ナンバーワンが、目指す曲だった。が、その演奏時間約1分30秒というのに一瞬軽い目眩を覚えた。
 ちょっと短すぎ。リピートで30回くらい流せばちょどいい感じだが、さすがにそこまで連続で聞くとみこりんがトリップしてしまいそう。

 次点の3作目のサントラに収録されている“Drink Up Me Hearties”を試しに聞いてみたところ、例の曲のサビの部分が含まれていることが判明。こっちは4分ちょいあるのでいい感じ。3作目のサントラはちゃんとしたCDだから、こっちをレンタルしてくれば大丈夫っぽい予感。


2007.6.15(Fri)

Error loading operating system.

 私の所属部署では、でかいプロジェクトが佳境を迎えているため、必要なPCの数も不足しがち。ついに私の管理下にあるPC2台も、戦線に投入されることになってしまった。
 これまでに徴発されたマシンの数6台あまり。さすがに今回ので、余裕はなくなった。これ以上もっていかれたら、こっちの仕事に影響が出てしまう。

 セキュリティ確保のため、徴発されるPCのハードディスクは、オリジナルは抜き取り保管し、何かてきとーにハードディスク見繕ってきてOSをインストールの後、貸し出すことにする。てきとーに見繕うにも、玉数がこれだけ減ってしまうと、頼れるのは5年くらい前に買ったLinuxマシンだけである。こいつはファイルサーバのバックアップ用として考えていたので、同じ型番のハードディスクを3本内蔵していた。
 ここから2本を抜き、それぞれのPCに1本ずつ装着すれば万事OK、のはず。

 筐体を開け、ハードディスクを抜き差し。Windows2000sp4のインストールディスクを用いて延々とインストール作業の実施。ハードディスクはすっきりとパーティション全削除の後、再度パーティションを割り当て直しフォーマットしてと。
 1台目、特に問題なく終了。マザーボードのチップセットのドライバやらビデオカードのドライバやらをインストールして、あとはお好きにどうぞという状態。

 続いて2台目のPCにとりかかる。ハードディスクの交換、そしてOSのクリーンインストール。
 ここまでは順調だった。ところが、インストールの途中で再起動が求められるシーンがあるのだけれど、その再起動時に“Error loading operating system.”のメッセージが表示され起動しなくなってしまった。脳裏をよぎる、遠い日の記憶…。これと同じことを私は、以前経験していた
 あの時はこういうエラーの時のお約束、fixmbr やら fixboot やらを試したものの症状は治らず、結局、ブートディスクとして使うのを諦め、データ保存領域として現在も現役稼動中である。

 しかしながら、今回はどうしてもブートディスクにしなければならない。
 回復コンソールから fixmbr, fixbootを試みるも改善せず。こんな時のための強い味方“Ultimate Boot CD”を使って起動し、各種ツールを駆使して復旧を行ったのだが、現在のパーティションがすでに不正であることがわかっただけで、復旧に至らず。妙なところはNTFSでなければならないファイルシステムがFAT12になっちゃってるところだ。これはたしかfixbootを実行した時に、こうなったんだった(2007.6.19追記:今回の場合は、こちらのサイト“FIXBOOTコマンドを実行するとパーティションブートセクタが壊れることがある”で記載されている現象が起きたと思われる)。
 幸い、徴発されるPC2台は、まったく同じ構成のショップブランドPCのため、正常に動いてる方のハードディスクのパーティションブートセクタをコピーして、こっちの問題ありの方に上書きしてしまうという手もあった(2007.6.19追記:同じくこちらのサイト“パーティションブートセクタの回復方法”の下のほうに記載されている“他のパーティションブートセクタをコピーする方法”参考)。で、さっそく実行。
 でも症状改善せず orz...

 最後の手段として起動しないハードディスクを、正常な方のPCのスレーブにつなぎ、マスターに入ってるWindows2000で起動。コントロールパネルの管理ツールを使って、スレーブのディスク状態を調べてみると、なにやらあやしげな10MBぽっちのパーティションがあった。なんとなくこれが原因のような気がする。
 思い切ってその領域のパーティションを削除してみた。これでどうかな?

 何回目かのハードディスクのつなぎ直し作業。正常な方の筐体をきっちりしめて元に戻し、問題ある方のハードディスクを2台目のPCのマスターに繋ぎ、Windows2000sp4のインストールディスクを使って、改めてインストール作業開始。もちろんハードディスクは全領域に新たに1つのでっかいパーティションを作成した。

 そして再起動…………

 お!LCDにWinの起動画面が表示された。成功だ。

 なんかすごい脱力。


2007.6.16(Sat)

ゲームプログラマーへの道

 唐突にみこりんが言った。「ゲームプログラム作りたい!」

 ………え?
 一瞬、頭の中が白くなって即座に反応できず。
 念のため確認してみる。「どんなゲーム作ってみたいの?」と。
 ゲームといってもピンきりである。文字だけで表現するものから、ド派手なグラフィックに凝ったやつまでいろいろ。それに応じて難易度も変わってくる。はたしてみこりんが作ってみたいというゲームは、どんなものなのだろう。

 するとみこりんは説明を始めてくれた。ふんふん、マリオみたいなキャラが出てきてキーで操作できて、敵キャラが出てきてコインもゲットできる…、ってそれはスーパーマリオそのものでは。
 横スクロールの2次元グラフィック。恐れていた3次元グラフィックばりばりなやつでなくてほっとしたが、それでもいきなりスーパーマリオはちょっと難しいんではなかろうか。しかし、いきなり頭から無理って決めつけるのもよくないだろう。みこりんの場合、算数やパズル方面への理解力は高く、うまくフォローできれば小学4年生とはいえプログラム言語の何たるかはわかってもらえそうな気がする。

 とはいってもどこから教えてやるべきか。なかなか悩ましい。ちなみに私がプログラム言語…、というかコンピュータに興味を持ったのは中学2年くらいの頃。ちょうどNECからPC-8001と呼ばれる“パーソナルコンピュータ”が登場した時代のことだ(まだパソコンという言葉も一般的ではなかったような…)。かれこれ25年くらい昔のことになる、のかな?あの頃の私がもっとも不思議に思っていたのは、計算機であるはずのコンピュータで、どうしてゲームができるのか?どうやって画面に絵を表示したり、敵キャラに弾が当たって壊れたり、などという芸当ができるのか?ということだった。
 その謎は、所属していた科学部の部室兼理科準備室に常備されていた雑誌(たしか『子供の科学』だったような)の、コンピュータの特集を読んだときに氷解した。私が一番知りたかった、プログラム言語(アセンブラ)によるグラフィック描画の仕組みそのものずばりの解説が載っていたのだ。
 曰く、“描きたいグラフィックのビットパターンを書き込めば、それがそのまま画面に表示される”。もやもやーっとしていた頭の中が、さっと澄み渡った瞬間だった。CPUとプログラム、そしてそれに付随する“そういう仕組み”が用意されているから、画面に好きなようにグラフィック表示できる。“そういう仕組み”は、グラフィックのみにとどまらず、キーボード入力、プリンタ出力などなど、他にもいろいろ当てはめることができるということがわかってからは、俄然プログラミングに興味が湧いてきた。親に無理いってPC-8001を買ってもらい、アセンブラとBASICによるプログラミングの日々…

 みこりんが少々不安そうに、「マリオみたいなのを動かすのって難しい?」と聞いてきた。みこりんも画面にどうやったらキャラクターを表示させることができるのか、疑問に思っているようだ。やはり目に見える部分に興味が向くのは子供の常なのであろう。
 私が少年の頃に理解したのと同じように、みこりんにも“そういう仕組み”のことを話して聞かせる。すると、みるみるみこりんの表情が晴れやかになっていくのがわかった。みこりんにも“ひらめき”が訪れたらしい。
 とはいってもスーパーマリオは画面に表示するだけではダメで、コース上に様々な障害物がある。このアルゴリズムを最初から自力で考えるのは、少々難しいだろう。
 そこでさり気なく、「文字で遊ぶようなやつはイヤ?」と聞いてみた。コマンドラインでテキスト出力だけのゲームならば、プログラム言語の基本機能だけでなんとかなる。空間を作り出さねばならないプログラムよりは難易度低い。
 「文字だけって?」と、みこりんが不思議そうな顔をするので、コマンドプロンプトを起動して、何個かコマンドを打ち込み、テキスト表示される様子を見せてやる。
 しかし、みこりんの興味を引くことはできなかった。…まぁ、無理もないか。今時の子供にこれはちょっとインパクト足りなさ過ぎた。プログラミングには熱い創作意欲が欠かせない。本人が興味を持ってないものを無理に薦めても、長続きしないだろう。かといっていきなりスーパーマリオというのも、ちょっと難易度高すぎる。そもそもプログラムって何?ってあたりから教えてやりたいところだが…、みこりんのPCにソフトウェア開発環境は入ってないし…

 開発環境は今では無料で入手できるものがよりどりみどりなので、入手することは問題ない。が、みこりんにも理解できそうなプログラム言語って…、しかもスーパーマリオが作れるやつ。
 やっぱC/C++かな?自分が長年慣れ親しんだものが真っ先に思い浮かぶのは、止むをえまい。あるいはC#で.NETというのも悪くはない。いやもちろんC++Builderでもいいんだけれど。みこりん的には、Flashで作られたWeb上で動くゲームをイメージしているようなので、Flashという選択肢もありだ。

 まぁとにかく、プログラムを作るというのがどんな雰囲気なのか実際に見てもらうとしよう。
 というわけで、C++Builderをチョイスしてインストール(これは私が使ってるやつ)。みこりんもちょっとわくわくして見守ってくれていたのだが、インストール途中で“Cドライブの空きがない”というメッセージが頻発する。ドライブのプロパティを確認すると残り十数MB!もともとみこりんのPCのCドライブは5GBしかパーティション切ってなかったので、これまでも何かでっかいソフトをインストールするたびにだましだまし使ってきた。仮想メモリを別ドライブに割り当てたり、圧縮ドライブにしたり、etc...
 だが、いよいよ限界のようだ。

 一応インストールできたのはできたのだが、Cドライブが限界ぎりぎりなのをどうにかしないとなるまい。このPCには各種アプリケーションソフトがインストールされているため、パーティション切り直しの再インストールというのはできれば避けたいところ。やはり、パーティション操作ツールを使うしかないかな…。
 などとオトナの事情をあれこれ考えつつ、みこりんにも出来るだけわかりやすく現状の問題点とその解決策を話して聞かせる。原理はともかく、今すぐプログラムを作る環境が整ってないことは理解してもらえた…、と思う。
 みこりん用にどんな開発環境がいいのか、もうしばらく考えてみるとしよう。


2007.6.17(Sun)

パイレーツ系なプレゼント

 やけに周囲が静かなのに気がついて、ふと目を開けると、時計の針は正午前にさしかかろうとしていた。カーテンを透かして届く、まばゆい光りに、どことなくほっとしつつ、階段を下り、リビングへ。

 誰もいない。

 廊下の向こうから、にゃんちくんが甘えた声で「にゃぁ」と鳴いた。ケージから出してやると、しばし足元ですりすりと謝意を表明した後、疾風のように姿を消した。お気に入りのテレビラックの裏側にでも潜り込んだのだろう。こうなったらあと数時間は出てこなくなるので、一人静かなリビングにてPCを起動。さて、今日の世界情勢は、と…

 ニュースを追っかけるのにも飽きてきた頃、Licからケータイにメールが届いた。みこりんとハンバーガー屋さんでランチ中らしい。欲しいものを問われたので、ノーマル仕様のハンバーガーの出前を1つ頼み、静かな昼の刻が過ぎ行くのをまったりと堪能する。

 夕方、みこりんとLic帰還。ハンバーガーは長蛇の列だったらしく、今回はパスということに。それよりも、もっとすごいプレゼントがあった。みこりんがなんだかわくわくした表情で「はい、とーさんの」、と言って手渡してくれたでっかい紙包み。
 さっそく開封してみれば、中に入っていたのはTシャツと、パイレーツ系なコスプレをしたスティッチ柄のトランクス、そして涼しそうな靴下だった。あぁ、なるほど道理でみこりんがわくわくしていたはずだ。このスティッチを選んだのは、みこりんなのであろう。しかもパイレーツ系。あの曲が、よほど気に入ってしまったとみえる。

 あとでこっそりみこりんが教えてくれたことによれば、この父の日のプレゼントを買うために、Licと二人、そぉっとお出かけしたのだそうな。
 ありがたや、ありがたや。

睡蓮鉢にメダカ

 さらに夕方。西日がとても暑そうな黄金色に染まる頃、図書館の本を返すべくクルマを走らせる。みこりんは宿題やってなかったので居残り。
 閉館時間まであまり余裕がないので、今回は返すだけにして、帰り道、ホームセンターへと立ち寄ってみた。

 以前から気になっていたメダカを買うのだ。ウッドデッキに置いてある睡蓮鉢には、睡蓮は植わってないが、ミクロソリウムが葉焼けの危機を脱しつつあり、徐々に環境が回復中。その水中には無数のボウフラが乱舞する、ボウフラ達のパラダイスになっていたのである。それにまじってなんだかよくわからないミジンコのような生物とか、それこそ顕微鏡レベルで調べるとものすごい数の微生物が暮らしているのは確実なこの睡蓮鉢。
 しかしさすがに蚊は放置しておくと自分の首を絞めることになるので、メダカの導入が不可欠だった。

 ヒメダカ1匹28円。これを5匹買うことにした。10匹だとちょっと多いような気がしたので、5匹。もしこの5匹でもボウフラの勢力が弱まらなければ、さらなる追加投入もありうる。
 睡蓮鉢つながりでホテイアオイも1株ゲット。今年はミクロソリウムを植え込んであるので、あまり水面を覆い隠すタイプの草はいらないのだけれど、ホテイアオイは花が美しいので、特別に1株だけ投入する。1株とはいっても増殖力旺盛なので、あっというまにホテイアオイだらけという状況もありなところが、なかなかスリリングである。

 あとは黄花コスモスを2株買った。今の季節、庭の花といえばユリくらいなものなので、彩りを考えて。種からいっぱい育ててみたいのは山々だが、毎朝の管理時間がとれそうにないので断念。

 *

 帰宅。いよいよ太陽が山の向こうに沈み始め、徐々に宵闇が降りてくる時間。
 庭の東側にある菜園の世話でもやっておこうと、ウッドデッキを横断したところ、突如、頭上で激しい羽音がブンブンと聞こえ、何かが頭にごんごんと当たる。なんだかよくわからないものの、虫に襲撃されているという直感があったので、ダッシュで反対方向へと逃げ、両手で頭の上を払って虫を追い払う構え。
 しかし、いったい何ヤツが襲い掛かってきたのか。羽音がやや静まったのを確認して、そっと視線を空中に向けてサーチ。ほどなく1匹の蜂がひっかかった。アシナガバチだ。今もホバリングを続けながら、こちらの様子を油断なく覗っている。
 そういえば、菜園に向かう途中のサンルームの庇部分に、アシナガバチが巣を構えていた。でも、あの高さにある巣なら毎年できるので、あまり問題視してなかったのだが、今回のやつはどうしてこれほど戦闘的なのか。その謎を調べるため、再度、蜂の巣がある場所まで引き返す。

 蜂の巣は、拳大にまで拡張されており、働き蜂も10匹程いる。で、私がそぉっと近付いてみると、私の頭部が巣から50cmほどに迫ると、皆一斉に羽を震わせて威嚇を始めた。そんなことを何度かやって試して、毎回同じような結果になったので、間違いなくこれは蜂が威嚇しているのだとわかった。よくよく巣の位置を調べてみると、例年の巣よりも庇の下の方にあるため、ヒトの接近が彼らの絶対防衛線を越えてしまうことになってしまったものと推測される。
 うーん、困った。私はともかく、Licやみこりんに蜂が襲い掛かっていったら一大事。しばし考えた末、あれを使うことにした。

 アースジェット、強力タイプ。1mの距離からでも余裕で遠隔攻撃が可能な優れもの。しゅーっと一拭き。一斉に散らばってゆく蜂達。戻ってくる様子はない。それを確認したのち、巣を撤去した。私がもっと早くにこの決断をしていれば、犠牲は最小限で済んだはずだ。中途半端な仏心がアダになってしまったか。

 *

 菜園では、降り続いた雨の影響もあり、土が見えないくらい細長く柔らかな葉を持った雑草に覆い尽くされていた。トマトはものすごく育っていて支柱がひしゃげている。
 まず、雑草を抜いた。土がほくほくのため、抜く作業はとってもラク。またたくまに雑草の山が出来上がる。あちこちで群生しているドクダミの花は、今がちょうど見頃らしく、可憐で清楚な白い花が凛と輝く姿は美しい。でもちょっと多すぎるので、間引き間引き。

 あらかた整理がついたところで、夏野菜の脇芽つみと、トマトの支柱を増強しておいた。キュウリは、最初の1本を収穫して以来、次がなかなか育ってこない。例年だとこのまま病気→消滅といったコースをたどるのだが、果たして今年はどうだろうか。梅雨の短さ、夏の酷暑、水不足、これらは昨年と似た展開になるっぽいのだが…

 南側のメインの花壇に黄花コスモスを植え込み、睡蓮鉢にビニール袋ごと浮かせておいたヒメダカ5匹を、水中にそろりと放つ。
 少し離れた位置に立ち、「私は木」と自己暗示をかけつつ視線だけは鋭く睡蓮鉢に注ぎ込み、経過を観察。

 投入直後こそ、「な、なんじゃここは!」といった感じに焦っていたヒメダカ達であったが、落ち着いてくるにしたがい、あたりが餌の宝庫なことに気付いたらしく、さっそくばくばくと手頃なサイズのボウフラを胃の中に収めまくっている。さすがボウフラの天敵、メダカ。去年のメダカは水が合わなかったか、すぐに死んでしまったが、今回のやつはなんだか元気そうだ。期待できるかも、しれない。ついでにまたトンボのヤゴも期待したいところ。うまく食物連鎖がつながるといいんだけど。


2007.6.18(Mon)

プール開き

 みこりんの通う小学校では、今日が“プール開きの日”。みこりんも前日から用意していた水泳バッグをいそいそと持参して、私のクルマに乗り込み学校へと向かう。

 空模様は……、かなり微妙。いつ降ってきてもおかしくない状況のように見える。みこりんもそれがちょっと心配らしい。

 私は最初、みこりんはプールに入れなくなるかもという状況を心配しているのかと思っていたのだが、どうやら違っていたようだ。
 みこりんが心配していたのは、このいかにも雨の降りそうな空の下、プールバッグ持参してきてる子は少ないんじゃないか?もし持ってきてたら物笑いの種になってしまうのではないか?ということだった。

 でも、学校に近づくにつれ、プールバッグ持参の子供の姿をちらほら見かけるようになってくると、みこりんは笑顔に戻り、心の底からほっとしているようだった。
 みこりんも、そういう心配するのだなと、妙に新鮮な驚きをもたらしてくれた朝であった。


2007.6.19(Tue)

夜の猫

 みこりんも寝静まった夜のこと。ふと傍らを見やれば、にゃんちくんが床の上で平べったくなっていた。
 白系な体色をしているので、まるで餅がてろーんと伸びてるような感じなのがちょっとツボを刺激する。しかもにゃんちくんの胴体の下に何があるかといえば、みこりんの黄色い帽子。偶然にしては出来すぎなので、これは最初からにゃんちくんがみこりんの帽子を狙って覆いかぶさった、というのが正解なのだろう。……ひょっとして、そこって涼しいんだろうか。

 平べったいにゃんちくんの姿が妙にそそるので、充電中だったケータイをそっと手に取り、カメラモードに変形させる。カメラを起動し、液晶画面に映るにゃんちくんの姿を確認してみたが、ちょっと距離があったようで少々小さい。

 今、にゃんちくんは耳も伏せられ、極楽気分で眠っている…、ように見える。
 そこで、そっと近づいてみることにした。音をたてないように、そぉっとそぉっと。

 静寂に包まれた夜ゆえに、わずかな身じろぎひとつでも、やけに大きな音に聞こえるのが心臓に悪い。
 もうちょっと…、あと少しでベストポジション。

 いつのまにか、にゃんちくんが大きな瞳をかっと見開き、こちらを見ていた。

 …ぜんぜん気付かなかった。恐るべき猫族の用心深さ。
 私はその場で全身を凍結させる。息も1分間に2回くらいの感じにした。そうやって身動きせずひたすら待っていると、にゃんちくんが再び餅のように平べったくなったのである。思わずカメラ(ケータイ)を握る指に力が入ってしまう。今、写さなきゃ。

 やや焦りつつ、シャッターを切った。
 かしゃ。という電子音で、今度こそにゃんちくんは完全に起きてしまっていた。そしてこういう時に限って、手ぶれである。片手をぐっと伸ばした状態でケータイを保持していたのがまずかったか。しかも蛍光灯下だし。
 もう一度私は自己凍結に入ったが、この後、にゃんちくんは私が起きている間、二度と平べったくなってはくれなかった。
 次の機会がもしあるとしたら、その時には、作動音のより小さなビデオカメラで挑戦してみようと思う(光学15倍だし)。


2007.6.20(Wed)

“ホームページ”

 みこりんが自分の“ホームページ”を作ってみたいらしい。子供用の検索サイトでいろいろな子供が作ったサイトのリンク集などを見ているうちに、好奇心を刺激されまくった模様である。
 ブログツールを使えば、みこりんでも簡単に日記サイトを作ることはできそうだが…

 私「日記みたいなのではいかん?」
 み「日記みたいなのって?」
 私「んー、…こんな感じ(とブログツールで構築されたサイトを見せつつ)」
 み「…………」

 どうやらみこりん的には、ブログ形式のサイトではなく、伝統的な“ホームページ”(エントランスに各コンテンツへのリンクが貼ってあるようなタイプ)がよいらしい。
 画面の隅々まで手作りしたいというのが、みこりんの希望のようだ。一応念のためにブラウザで表示させているページのソースを表示してやり、「元のページはこうなっててね」などと軽く説明したが、まだみこりんにこの仕組みは高度すぎたようだ。なによりもローマ字だらけのソースに、みこりんはびびっていた。…、まぁ、気持ちは分かる。
 かといってWordでHTML化させると目眩がしそうなソースになってしまうしなぁ…、と、これは私の心の中の呟き。
 Dreamweaverは持っているが、私は根っからの手打ちマニアなのでほとんど使ってない。でもみこりんのように入力したそのまんまの形でページにできるやつ、となるとこういったツールを使うのが手っ取り早いような気もする。でもその前にみこりんのPCのCドライブに空きをつくらないと、インストールもままならないのでなんともかんとも。

 ところで、みこりんが妙に自己紹介のページに興味津々なのが、私にとっては興味深かった。控えめなタイプのみこりんだが、自分を知ってもらいたいという願望は強いのかもしれない。


2007.6.22(Fri)

GPartedでリサイズ実施

 夜も更けてきたので、みこりんPCのハードディスクのパーティションをリサイズすることにした。現在5GBでかつかつ状態のCドライブを、15GBほどに広げられれば、ファイル達もゆったりくつろげることだろう。
 というわけで、みこりんPCをリビングの中央に移動させ、かぱっとカバーを取り外す。あらわになったマザーボードに物置部屋から持ち出してきたケーブルをざくっと挿し、CDドライブを接続。そして、昨夜のうちに焼いておいた、GPartedのLiveCD(0.3.4-7)を使って起動した。

 GPartedが認識しているハードディスクの構成は、基本パーティションが1つ、これがCドライブに割り当てられている5GBの領域。空き領域を示す白い空間は、まさに針のごとく細い。見るからにきつそう。残りは拡張パーティションで、その中にすっぽりと倫理パーティションが1つ収まっている。
 Cドライブをリサイズするには、まず論理パーティションの頭の方を削り、それに合わせて拡張パーティションの頭の部分を下げて、空いた隙間に基本パーティションをぐぐっと広げる、という手順になる…、はず。
 その手順通りにGPartedのリサイズ画面で操作を1つ1つ登録し、リサイズ結果予測図が期待通りになっていることをくどいくらい確認した後、いよいよ“適用”ボタンを「ぽちっとな」と押してみた。

 ハードディスクのアクセスランプが真っ赤に点灯しっぱなし、というのは見ていてとてもどきどきする。“適用”してからかれこれ10分くらいじっと推移を見守っているのだけれど、作業中を示す青いバーが左右に行ったり来たりするばかり。そのうちだんだん瞼が重くなってきて…………

 はっと気付いたときには、丑三つ時であった。
 おそるべき催眠光線だった。まだ頭がくらくらする。しかしそんな眠気を吹き飛ばすような画面が、目の前にあった。なぜかGPartedが終了しており、LiveCDに使われているLinuxのデスクトップ画面だけが、ただ静かにそこにある。
 ………これって、もう作業終了になったから自動的にGPartedが終了した…、わけはないな。異常終了した気配が濃厚である。とりあえず再度GPartedを起動し、ハードディスクの分析を実行させてみる。

 …………

 30分ほど待ってみたが、分析終了せず。ということは?つまりパーティション操作に失敗してハードディスクが大変な状態になってしまったのだろうか。しかしなんだかすっきりしないものがある。私が意識を失っている間に、いったいどんなメッセージが流れていたのか。とても気になった。

 時間も時間だったので、このままハードディスクを分析状態にしておき、私は眠りにつくことにする。次、目覚めたときにはそれまでの情景が幻であったかのように、ちゃきっと完成したリサイズ結果になってたらいいなぁ…。


2007.6.23(Sat)

エレクトーン発表会“アンサンブル部門”

 朝、目覚まし代わりにセットしておいたケータイのタイマーが鳴り響き、起床。土曜なのになぜ目覚ましが必要かといえば、今日はみこりんのエレクトーン発表会の日だからである。
 年間通していろいろな発表会があるのだけれど、毎年この時期にあるやつは、金賞(昨年は優秀賞と呼んでいた)をとったら地区大会に進めてしまうので、みんなそれなりに気合が入っており、わりとレベルも高い。ちなみに昨年は7月2日の日曜日、朝の9時からおよそ10時間ぶっ通しで開催され、かなり体力を消耗したものだが、今年はアンサンブル部門とソロ部門を、それぞれ土曜日と日曜日に割り振ってあるので、少しはラクになるはず。でも、みこりんは両方にエントリーしているので、緊張が2日に増えるという意味では、やや不利かもしれない。

 会場は昨年と同じく、山深い場所に建てられている多目的ホール。空いている道で信号もほとんどないという好条件であっても、クルマできっちり30分かかる距離にある。
 天気は真夏のような青空と、高原の涼しい風がミックスされて、異様に気持ちが良い。昨夜までの雨が、幻であったかのよう。しかも今回は併設されている体育館での催し物がないこともあって、混雑はなし。狭いと思っていた駐車場も、余裕で停めることができた。

 午前中、リハーサルが行われる。みこりん達のグループ(6名)が演奏するのは、春の発表会で披露したヨハン・シュトラウス2世作曲の喜歌劇『こうもり』序曲。この曲のためにお母さん達が夜なべして縫ってくれた“バットマンスーツ(マントのみ)”に身を固め、颯爽と会場内に消えてゆく。
 ステージの様子はロビーのモニタTVに出力されており、ここからでも様子はわかる。でもやっぱり生の臨場感の方がいいので、保護者一同ぞろぞろと会場内へ移動。
 リハーサルが何の目的で行われるかというと、演奏曲用にエレクトーンに記憶させているデータの楽器音やレベル等を、実際のホールで聴いた時に違和感がないように微調整するためだ。先生達の指示で何度か気になる部分を演奏し、データをその場で変更して外部メモリを最新状態に置き換える。電子楽器であるエレクトーンならではの光景かもしれない。

 *

 12時半開場。学年の小さい順に演奏するため、今年小学4年と5年からなるみこりん達は、昨年よりちょっとだけ遅い登場となった。それでも全エントリー数からすると、まだ1/3が終わったところだ。プログラムの記載によれば、高学年や中学生が多いことがわかる。他の発表会だとこの構成比率は逆転する。

 『こうもり』は春の発表会で演奏している曲のため、私も比較的安心して聴いていた。出だしは順調。すぅっとメロディが両耳から伝わって、頭の中心付近で透明感を保ったまま融合する。
 違和感がない。昨年はこの状態を維持したまま演奏を終え、結果、見事優秀賞に輝いたみこりん達だが、果たして今回はどうだろう。…なんてことを考えたからかどうかはわからないが、途中で一度つまづいてしまった。小さなミスでも、他のグループの演奏もかなりハイレベルなため、どうしても目立ってしまう。んー…、惜しい。

 みこりん達の演奏が終わると、あとはひたすら観客モードで演奏に聴き入ることとなる。みこりんもほっとしているかな、と思いつつ。
 そうやって聴いていると、「こ、これは…、すごい」と思う演奏がやはりあって、曲の雰囲気などは全然違うのに聴き心地感はわりと共通しているのだった。アンサンブルらしく重なり合う音と音がぐるぐると脳内を巡り、軽く神経が痺れたような具合になる。終わったあとも、しばらくはその心地よい余韻が残る…。「んー。まんだむ」と思わず顎に手をやってしまいそうになる至福のひととき。
 その演奏グループが結果的に今年の金賞(去年でいうところの優秀賞)に選ばれたりしたので、“すごい演奏”というものにはメタな定義が可能なのではと思ったりもし。言語で表現するのはちょっと難しそうだが。しかし金賞が3組とは、太っ腹な。地区大会のエントリー数がどんなことになるのか、ちょっと興味あり。

 明日はソロ。みこりん家ではあまり練習してなかったので、私もどきどき。


2007.6.24(Sun)

エレクトーン発表会“ソロ部門”

 子供は日々大きくなってゆくが、エレクトーンのサイズは可変ではない。ゆえに、小さい子供がエレクトーンを演奏する場合は、足鍵盤に高下駄を履かせて対処する。この高下駄のことを“補助ペダル”と称するのだが、みこりんはぎりぎり補助ペダルがなくても演奏できるまでに大きくなっていた。しかし、これまでずっと補助ペダルを使って練習してきたため、突然それをなくしたらどうなるか。想像するだにどきどきである。

 それはみこりん登場の数人前で起きた。男の子の力強い補助ペダルの操作に、補助ペダルが耐え切れず、設置位置がずれて音がでないというアクシデント。3度ほどやり直していたものの、状況が改善されないため、急遽、補助ペダルは楽屋奥に戻されてしまった。…ど、どうなってしまうのだろう。

 演奏順が変更され、補助ペダルなしで演奏する予定だった子供が先に登場した。その次も、その次の子も。
 もしやこのまま補助ペダルなしでいってしまうのでは…、と思い始めた頃、ようやく補助ペダルが復帰となった。が、先ほどの男の子は登場せず、その次に弾く予定だった子が繰り上がって演奏開始。女の子だから、かもしれないが、補助ペダルの操作はとても柔らか。補助ペダルは微動だにせず、問題なし。

 やがて、みこりんの名前が呼ばれた。これまでのところ、補助ペダルは無事である。途中で壊れませんように…。
 今回演奏するのは葉加瀬太郎作曲の『交響詩「希望」第三楽章 ロード・オブ・ホープ』、一般的には『FINAL FANTASY XII』のメインテーマとして知られる。先週まで、みこりんの家での練習を聴く限り、正直、大丈夫かな…、と不安があった。しかし、今週はわりと調子よく弾けていたのでなんとかなるかな、とやや不安は払拭されつつあったのだけれど、本番では練習時に間違えないような箇所で3回ほどミスってしまっていた。……、これは残念。いい曲なので、みんなに聴き入ってもらいたかったが…
 でもまぁ演奏順が急に変わったりとハプニングがあったので、心が乱れたとしても無理からぬところはある。ただ、みこりん自身もやはり納得しかねるミスだったみたいで、“どよーん”とした感じだった。その雪辱を次の発表会で晴らしてくれることを切に願う。

 最後に、補助ペダルと調子の合わなかった男の子が再登場となった。驚くべきことに、補助ペダルは外されていた。先生の判断で、この補助ペダルでは無理ということになったのだろう。しかしいきなり補助ペダルなしで本番に臨んで大丈夫なんだろうか。20cmほど足鍵盤の位置が下がるので、感覚がぜんぜん変わってしまうというのに。

 そんな心配をよそに、男の子は見事に演奏しきってしまった。あとでみこりんから聞いた話によれば、男の子は他の子が演奏している間中、補助ペダルなしのエレクトーンで演奏すべく、突貫で練習していたそうだ。道理でラストの登場になったわけである。
 わずか20分そこそこの間に、感覚をつかんだということなのか。たいしたものだ。

 こうして今年の6月の発表会は、終了した。今日は雨、明日の空模様もあやしいらしい。


2007.6.25(Mon)

百鬼夜行抄(9)

百鬼夜行抄(9) 『百鬼夜行抄 (9)』(作:今 市子)、読了。独りで読んでいると、突然ぞわぞわぞわぞわぞわぞわっと首筋から後頭部にかけて、体毛がぴんぴんと逆立ってしまうような場面がある。状況的“怖さ”というやつ。視覚よりも共感力によって感じ取る臨場感のなせる技。

 “人と妖魔は深くかかわってはならない”

 関わってはならないとわかっていても、その代償がみこりんに関係することだったりしたら、私は取引に応じてしまうだろう。…いや、実際に取引に応じてしまったのかもしれない。夢というにはあまりにリアルで記憶が鮮明、しかしリアルかというとそれもちがう。夢と現実の狭間の中で見る、夢のようで夢ではない出来事。

 私はこんな約束をしていた。みこりんが二十歳になるまでは、みこりんの安全を保証し、私の命も継続する。しかし、二十歳を過ぎたら、みこりんの安全を脅かさないことの代償に、私の命で補おう、と。

 夢。そうなのかもしれない。でも、妙にリアルな夢だった。
 そんなことを思い出させる本であった。


2007.6.26(Tue)

“みこりんのホームページ”作成編

 夕方、定時で帰宅できたのでみこりんと共に、“みこりんのホームページ”の作成にとりかかった。とりあえずDreamweaver起動。最新版のCS3ではなく、Ver.8だ。
 虫眼鏡がいりそうなちっこい文字がいっぱいのマニュアルは、いちおう脇に置いてあるが…、置いてあるだけで読まずに操作開始。

 まずはタイトル入力。…まだ名称については考え中らしいので、仮に“みこりんのホームページ”として打ち込み、センタリングして色変えて文字サイズ変えて。
 みこりんにもわかりやすいようにデザインモード(いわゆるWYSIWYGな編集モード)で入力していたのだが、どんなコードに変換されているのか確認してみたところ、align="center" なんていうのが生成されていて驚く。たしかオプションで使わない指定にしたはずなのに。要素に対して指定したスタイルも、後から追加したスタイルが別のクラスになってしまってたり…。やはり日頃使い慣れてないツールというのが痛い。それにWYSIWYGとはいっても、XHTMLとCSSの知識がなければ、正しいコードになるよう操作するのも難しい。みこりんが一人で使うには、ちょっと本格的すぎた。

 他のツールを探すのは後回しにして、おかしなコードになっちゃってる部分はコードエディタの方で直接修正しつつ、先に進む。みこりんにページ構成を聞いてみると、今のところトップページから1段深くなってる程度らしいことがわかったので、さくさくとインデックスを打ち込み、それぞれのページを作成してみた。
 なにはなくとも、まず自己紹介というみこりんのために“自己紹介”のページと、エレクトーンのことについて語りたいというので“エレクトーン”のページと。
 みこりん的には、めいっぱい画像で修飾したい意向のようだが、スタイルの方はおいといて先にテキストを考えるように言う。するとちょっとだけ考えて、みこりんはローマ字入力で日本語を打ち込み始めたのだった。おぉ、さっそく授業で習ったローマ字の成果が、いまここに。

 ぽち、ぽち、……ぽち、…………ぽち、ぽち、…ぽち

 2行くらい打ち込み終わったところで、ローマ字入力終了。ひらがなモードに変えて、さらに4行くらい打ち込むみこりん。
 ローマ字入力よりはちょっとだけ速いけれど、まだまだ慣れないことゆえ、途中で力尽きてしまった。しかし文章を考えるのは大丈夫らしく、今度は鉛筆を手に、紙にさらさらと書き始めるみこりん。

 ほどなく、ほぼ1ページ、書き終わり。あとはこれを私が入力すればいいらしい。
 みこりんのキーボード入力の練習も兼ねて、自分でちょっとずつ打ち込んでみるように言うと、もっともっと書きたいことがあるようで、今日の分は私に入力して欲しいということだった。なるほど。

 みこりんの情熱がどこまでのものかしばらく見守る予定だが、もしかすると近々どこかでサーバを借りねばならないかも?しれない。


2007.6.27(Wed)

犬とともに生きる“Soundness”

犬とともに生きるスローライフ&冒険を提案――「Soundness」発表会

ビジュアル・ファーストは6月27日、犬とともに生活するオンラインゲーム「Soundness」の発表会を催した。そのタイトルどおり、ゲーム内で健全性は保つことができるか? 一般へのサービス開始は7月27日を予定している。

ITmedia 2007年06月27日 17時49分

 たしかに、ビジュアル・ファーストのWebサイトを見てみると、ゲームとはちょっと方向性が違うビジネスソフト作ってる会社のような……、と見せかけて、さり気なく“Kennel Manager”(犬の飼育・展示会・記録管理システム)なんていうソフトを売ってる!記事中にある“冒頭挨拶に立った代表取締役社長・渡部浩氏自身、十数年来のブリーダーとして活躍しており、ボーダーコリーのブリーダーとして日本一にも輝いている。”というのは、伊達じゃなさそうだ。

 で、この犬とともに活きる“Soundness”は、紹介文の“細部まで描かれた「Soundness」の世界では、風のゆらめきや時間、季節の移ろいを感じることができ、リアルな世界が構築されている。このリアルを追求した1.2キロ×1.2キロの街「プラナスシティ」でプレーヤーは、時に犬と散歩し、時に街をひとりでショッピングを楽しむことができるようになっている。”というところだけ読むと、なんとなくリアルな世界のヴァーチャル版みたいな印象を持つ。けれども、なぜかダンジョンもあり、愛犬と共に敵と戦うこともできるとか。

“犬と冒険すると、普段の衣裳から鎧や装備に切り替えることができるようになる”

 というシステムは、一見あり得なさそうな気もするのだが、ヴァーチャルな世界ゆえに、案外すんなりとはまってしまいそうな予感もする。
 ちょっと興味あり。


2007.6.28(Thr)

目玉がポンッ

 みこりんが目の痒みを訴えている。学校ではリンゴ病が流行ってるらしい。リンゴ病で目が痒くなるかどうかは定かではない。でも、プール入ってると結膜炎やらいろいろと目の病気にはなるかもしれない。

 私は私で、相変わらず目がすっきりしない。目の奥に圧迫感があって、ぐぐぐぐっと常に押されてるような感じ。そのまま目玉が飛び出ちゃうんじゃないかと心配になるほど、それはリアルな恐怖心を伴ってイメージされる。それに加えて猛烈な肩こりと首の痛み。仕事中も、じっと座ってるのが異様に苦痛。時には椅子に座らず、床の上で膝立ちしてキーボード打つこともある。目線とモニタの位置が悪すぎるのだ。それとキーボードの高さ。固定的な事務机と事務椅子では対処不能。

 とにかくこの目の違和感だけでもなんとかしたい。もしかして怖い病気の前兆だったら…、と思うとそれなりに心配。目が見えなくなったら、クルマの運転できなくなってしまうため、ここのような田舎では死活問題である。
 というわけで、週末、眼科に行くことにした。もちろん、みこりんも一緒に。
 怖い病気ではありませんように………


2007.6.30(Sat)

眼科にて

 前回、この眼科病院にたどりついたのが2005年の9月のこと。約2年ぶりだ。駐車場は満車で、隣接する薬局の方に停めさせてもらい、待合室へと入る。駐車場同様、ここも混んでいた。
 みこりんと二人、座れる場所を探して、着席。なぜかこの場所だけ妙に空いていたのが気になったが、その理由はほどなくして明らかとなった。この部分は南に面しているため、太陽の直射がもろに差し込んでくるのだった。…ひどく暑い。

 後頭部をじりじり焼かれながら、徐々に意識がぼーっとなって来る頃、ようやく名前を呼ばれた。まず検査を行うらしい。前回同様、目玉に風を当てるやつとか、視力検査とか。
 この視力検査の結果、私の右目の視力は0.6まで低下していることが判明する。2年前測った時には0.8だったので、0.2のダウンである。左目は1.2以上を維持しているため、その差は開く一方らしい。道理でディスプレイの文字が以前にまして読みにくいわけだ。

 ここでいったん待合室に戻り、再度名前を呼ばれるまでの時間を利用してみこりんにも受診を薦めてみたのだけれど、目の検査というものにどうも怖いイメージをもってるらしく、かなりしぶっている。みこりんは目薬が怖い。だから目の検査も怖い。という負のスパイラル。説得途中で名前を呼ばれたので、診察室へ私一人で入る。みこりんは、すでに一人で待つことは可能だった。

 薄暗い診察室で、先生に症状を説明すると、背後にあるレーザーポインタ(のようなもの)を交互に見つめつつ、目の奥を診察してもらった。もし私が恐れている病気ならば、ここで何らかの異常が見つかるはず。
 しかし、何もなかった。病気の兆候はないらしい。つまり、今の目の圧迫感のようなものは、頭痛とか、肩こりとか、そのへんのものからきている可能性もあり得るということのようだ。
 最後に、左右の視力差が気になったので質問したところ、私くらいの視力差はどうってことはないらしい。ふむふむ。

 念のため、ビタミン剤の目薬を処方してもらって病院をあとにする。
 結局、みこりんは今日の診察はパスということになり、薬局で目薬だけ買って、チャレンジすることになった。それを試してもなお、痒みが止まらないようなら、みこりんも観念して診察を受けてくれることだろう。
 それにしても…、こうやってどんどん身体機能がゆるやかに低下していくさまを実感するというのは、胃の中に氷がどかっと溜まったような、言い知れぬ不安のようなものがある。…まぁ、みこりんが今年10歳の誕生日を迎えるわけだから、私も歳をとったという、ただそれだけのことなのだけれど、ちょっと心の準備ができてない今日この頃であった。

シャーベットとべっこう飴作り

 おやつの時間、みこりんは昨夜“Yahoo!きっず”で調べておいた、シャーベット作りにとりかかっていた。用意するものは、ジュース、氷、そして、塩。
 この塩というのに、みこりんはかなり惹かれている様子。もちろんシャーベットに混ぜるのではない。冷却用の氷に混ぜることで、温度をさらに下げるために使用する。こういう特殊効果をもったアイテムに、みこりんはかなり弱い。

 いそいそと氷の上に塩を振っていたみこりんだが、あいにく塩の在庫がちょっとしかなくて、急速冷凍にはいまひとつ効果がなかったらしい。それでも、ボールの大きさを変えてみたり、水の量を減らしてみたりと、試行錯誤を繰り返している模様。なので、私もあえて多くは語らず、見守ってみる。
 やがて、みこりんは塩を使うのを諦め、別の手段を考え出していた。氷を入れたボールの中に、ジュースを入れた小さなボールを浮かべたその状態のまま、直接、冷凍庫の中にしまっておこうというのであった。なんてダイレクトな。

 小一時間後、シャーベットは無事、完成していた。

 *

 そして夕方、みこりんはさらなるチャレンジを試みている。今度作ろうとしているのは、べっこう飴らしい。どうやら学校の科学クラブのお友達が、クラブの時間にべっこう飴を作ってたようで、それに触発されたっぽい。

 用意するものは、砂糖、そして水だ。みこりんが独自にネットで調査したところによると、砂糖と水の割合は、砂糖が大さじ3杯に対して、水は小さじ1杯らしい。みこりんのために、大さじと小さじを手渡してやると、自分でてきぱきと調合開始。
 小さな鍋の中に、それらを投入し終わると、私の出番だ。さっそくコンロに火をつけよう……、と思ったが、砂糖と水の状態にやや不安を抱く。大さじ3杯に対して小さじ1杯というのは、極端な違いがあった。砂糖てんこもりに、水ちょろっと部分的にかかってる感じ。これで火を点けたら、いきなり焦げたりしないだろうか。

 みこりんもやや不安に思っていたようで、もう一度ネットで調べなおし。
 やはり、この割合で間違いはないようだ。とはいっても、あまりに水の量が少なすぎるように思えたので、小さじ1杯分、追加してみた。あんまり状況はよくなったような気はしなかったが、意を決して点火。火力はとろ火に調整し、菜箸でちゃかちゃかと混ぜる。
 最初はみこりんが混ぜていたが、鍋が小さすぎて火にあぶられた手が熱いというので、私が代わった。とろ火だというのに、たしかにちょっと熱い。
 まぜてみたが、なんというか砂糖が砂みたいな具合に、ちょびっとの水の粘性で不思議な物体状態になっている。ぽろぽろになりそうでいて、微妙にくっついてる感じ。うまく例えることが難しいけれど、…水銀をころころと転がしたような感じに似ているような。

 はたしてこれがべっこう飴になるんだろうか。こんな粉っぽいものが?
 熱せられた砂糖からは、徐々に水分が沸騰して蒸発を始めていた。
 水分を失った砂糖は、ぱさぱさになってきた。いよいよべっこう飴からは遠い姿に…

 「これ、ほんとに飴になるん?」やや不安を覚えてきた私とみこりんだったが、それでも手を止めず、かしかしと混ぜる。みこりんはもう一度ネットを調べに行った。そのわずかな時間の間に、驚くべき変化が起きようとは、私は想像もしていなかったのである。

 おぉぉぉ!!!
 目の前で、砂糖がゆらぁっと液状化を開始したのである。ぱさぱさの粒粒だった砂糖が、じゅるるるるっと液体へと変貌を遂げてゆく。体積が倍くらいになったように思えた。なるほど、これがべっこう飴の正体か。固体から液体への相転移。
 と私が一人納得していると、その瞬間を見逃したみこりんが残念そうに「みこりんも見たかったー」と言っている。
 そういうわけで、最初のべっこう飴をアルミホイルの型に流し込んだ後、第2陣、作成開始。

 今度のは、どうなるか結果を知っているので混ぜるのも安心だ。みこりんに、まさにその瞬間をしっかりと目撃させ、べっこう飴となった液体をアルミホイルの型へと流す。美しいべっこう色。砂糖だけでこんなものができるとは。ちょっと意外。
 ところで最初に小さじ1杯だけ入れる水。あれがもしなかったら…、砂糖はやはりこのような美しいべっこう飴になるのだろうか。途中で水は蒸発してしまうように見えるのだが、ひょっとすると水をちょっとだけ加えているというのが重要なポイントだったりは…。
 これはぜひ実験して確かめたい…、しかし、べっこう飴が大量にできてしまってもちょっとあれなので、実験は後日に持ち越し。

 冷え固まったべっこう飴を、寝る前に試食。
 …なんだか、とても懐かしい気持ちになる味がした。

凛と咲く花

ステビアに埋もれるようにして咲く“ネジバナ” ネジバナ。

 ステビアの鉢植えの中に、なんかひょろっと長いものが伸びてきたなーっと思ってたら、じつはそれがネジバナだった。ネジバナは、かなり以前、一株だけ鉢植えで育てていたことがある。本体はとうに消滅しているのだが、その種(?)が転生を繰り返しているのか、毎年、どこかから一輪だけ花を咲かせるのだ。ここ数年は、やはり主のいなくなった鉢植えに雑草と共に生えていたが、今年はそこから1.5mくらいはなれた位置にある、このステビアの鉢に出現したということらしい。

 螺旋なところが、そこはかとなく美し。


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