2006.10.1(Sun)

『低俗霊DAYDREAM』

 ふっと目覚めると、外はすっかり明るくなっていた。枕元の時計を確認すると、針はすでにお昼を回ろうとしている。
 「寝過ごしたっ!」と一瞬ピンチになりかけたが、じわじわっと今日が日曜であったことを思い出し、ほぅっと安堵する。エンドレスな悪夢を見ていたせいか、曜日感覚、時間感覚がずれまくりだ。

 階段を下りてゆくと、リビングにはLicとみこりんがいた。窓の外は、雨。朝からずっと降っているらしい。昨日晴れたのは、もしかするとものすごく運が良かったのかもしれない。
 みこりんが「晴れたら、チューリップの球根植えたい」と言っているが、降り続く雨は、容易には止みそうになかった。

 風邪の治りきっていないLicが、「寒い寒い」と訴えつつ、寝室へと消えていった。リビングに残された私とみこりんは、にゃんちくんと遊びつつ、時間を過ごす。
 そこへ突如、来客を告げるインターホンが鳴った。ダッシュで逃げ去るにゃんちくん。
 みこりんは、誰が来たのかわかっているようだった。「あのね、宅急便が来たんよ」と言っている。玄関ドアを開けると、たしかにそこには宅急便屋さんが立っていた。みこりんおそるべし。どうして宅急便とわかったのか。これも夢で見たというのだろうか。

 宅急便で届いた箱は、Amazonからのお届けモノだった。先月末にぞくぞくと新刊が出たので、送料無料になるまで冊数をためて、一気に注文していたやつだ。
 箱を分解し、中身を取り出す。こんな雨の日曜日には、『低俗霊DAYDREAM (9)』がお似合いだ。みこりんがエレクトーンの練習を始めた横で、黙々とページをめくる。

 どよーんと沈んだ灰色の空が、心の中にじわじわとしみ込んで来るような、独特の静寂感は健在だった。このテンションの下がり具合が、またなんとも言えず心地よい。次回でおそらく最終巻。いい感じだ(でもすごく読み手を選ぶと思う)。
 奥瀬サキ(奥瀬早紀)の作品は、やはり20年ほど昔に『低俗霊狩り』で出会って以来、ずっと買い続けているのだが、死んでなお残る人間の執念とか怨念とか切なさとか、どうしようもなく残酷な現実世界とか、まるで砂を噛むような独特の味わいが個人的にかなりツボにはまっている。次回作にも期待しよう(参考リンク:奥瀬作品のまとまったページ)。

 ところで、読み終わった『低俗霊DAYDREAM(9)』に、なぜかみこりんが惹かれて困った。どうも表紙に書いてある“霊”という文字に反応しているらしいのだが…。トイレの友として置いてある『喰霊』は、みこりんが見ても大丈夫だが、さすがにこっちはちょっとまずい。というわけでとっとと書棚に撤収。「みこりんが見たら怖くて夢に見るよ」と言ったのも、よけい好奇心に火をつけたかも。それにしても、みこりん、怖い系好きだな。


2006.10.2(Mon)

売り子でバザー

 仕事を終え、帰宅すると、入れ替わるようにしてLicとみこりんが、音楽教室へと出かけていった。
 一人静かなリビングで、昨夜からずっとヴァナディールの地において、バザーさせていた売り子(猫娘)のカバンの中身チェック。ニンジン、野菜に、ミミズ、etc...
 以前なら一日置いておけば完売することの方が多かったのだが、この値段ではそろそろ売り切るのが難しくなってきたようだ。というわけで、競売の最終落札価格等を参考に、値下げしておく。

 だいたい栽培だけでこの1ヶ月、本体キャラが3年かけて稼ぎ出した金額の3倍強を売り上げているということ自体、何かの間違いなのだ。こんな簡単に儲かっちゃいかんでしょう。…とかいいつつ、今夜もまたバザーするんだけど。なんだか複雑な心境ではある。

 この金で何を買うか。以前だったら、Licのキャラに似合う高級素材を用いた装備などプレゼントという野望があったのだが、Licの装備はある時期から急速にハイクオリティになっていった。私がプレゼントしようかなーと思っていた装備はもちろんのこと、金で買えない優秀な装備にも不都合はしていない様子。私たちがFFXIやり始めた当時、羨望の眼差しで見ていたハイ(廃?)レベルなキャラに、ついにLicも到達したのだ。
 うーん、するとやはりここはひとつ自分用に何か買うか。でも私の育てているキャラのジョブだと、欲しいやつは金で買えない装備ばっかりだからなぁ…。じつに微妙。ちまちまと合成スキル上げに使うのも一興か。

 バザーの売り子をログアウトさせ、本体キャラでログインしてみると、昨夜ログアウトした場所とは違うところに出た。おぉぉ。しかもジョブ替わってるし。
 みこりんがLicと一緒に遊んでいたのかな。今日は土曜日の運動会の振り替え休日だから、昼間ずっと二人は家にいたのだ(おまけに天気は雨)。

 もともとこの場所に戻る予定だったので、これはこれで手間がはぶけてよかったかも。しかも市街戦始まりそうだし、久しぶりに戦績でも稼いでおこう。
 レベル1クラスの敵襲。つまり一番弱いレベルの敵だったので、特に問題なく終了。歯ごたえがなさ過ぎる。

 本国にテレポしてもらい育成中のチョコボの様子を見て、倉庫キャラの栽培状況などチェックしていると、みこりん達が帰ってきた。
 私が帰ってくる前にも一度、市街戦があったらしく、その時は私のキャラをみこりんが操作して戦っていたのだそうな。みこりんの操作はかなり的確だったという。必要な時に必要な魔法をかけ、抜刀して殴りつつ、戦績もためると。うんうん、上出来。


2006.10.3(Tue)

お弁当

 今日はもともと運動会の予備予備予備日として設定されていたため、学校では給食がない。そこでみこりんのために朝から弁当作りに余念のないLicは、その余ったパワーで私の分まで用意してくれていたのだった。
 か、感動である。たとえその弁当箱が、ドピンクで蓋に思いっきりプリティな人魚姫“アリエル”が描かれている、みこりん仕様な弁当箱であったとしても。

 弁当箱をそれぞれ持参し、みこりんは学校へ、私は会社へと向かう。今にも雨が降ってきそうな灰色の朝のことだった。

 午前中、軽く仕事用PCのセッティングなどして過ごし、いよいよ昼休み。お弁当タイム到来。
 カバンから、みこりん仕様の弁当箱を出す。他の人たちはほとんど社員食堂に移動しているため、残っている人はわずかだ。しかも私の所属するグループは、隅っこの方に陣取っているため、プリティなみこりん仕様弁当箱は、案の定まったく目立たない。
 まぁ別に見られて困るものでもないんだけど。デスクの上にはLicとみこりんの写真を飾っているので、誰がどう見ても子供のお弁当箱を何か事情があって持ってきたんだなと思ってもらえるシチュエーションだし。

 お箸もみこりん仕様なので、食べ方もちょっとみこりん仕様にしてみたりなんかしつつ、お弁当終了。いつものカロリーメイトもどきの単調さに比べると、段違い。んー、ごちそうさま。


2006.10.4(Wed)

いにしえのPC98

 今から10年以上昔のこと、パーソナルコンピュータといえば、国内ではNEC独自仕様のPC98シリーズがほぼ独占状態にあった(現在のPCと、このPC98には互換性はない)。今はすでに製造打ち切りとなっているため、現物を見る事は困難だろう。
 しかし、当時の制御装置に組み込まれているソフトウェアは、そのPC98で作られたものも結構あったりする。そういう装置は、たいてい稼動寿命が長く、じつは今でも現役で動いているものも少なくない。

 だから本来ならPC98と、その上で動作するソフトウェア開発環境なんかも、保守用に残しておかねばならないのだが、人の入れ替わりとか、置き場所の問題とか、諸々の理由で、完全には残っていないこともある。

 さきほど仕事中に回ってきたメールによると、PC98用の5インチフロッピーディスクドライブと3.5インチフロッピーディスクドライブを搭載したブツの捜索願いが出ていた。
 倉庫を点検してみたところ、5インチフロッピーディスク……、ここまで書いてきてちょっと不安になったのだけど、今時の人に“フロッピーディスク”っていう言葉、通用するんだろうか?もしかして「ソレ何?おいしい?」状態だったりは…。

 まぁとにかく倉庫の中に5インチフロッピーディスクを搭載したPC98が1台残っているのは確認した。火を入れてちゃんと動くかどうかはわからないけど…。
 しかし3.5インチのフロッピーディスクドライブとなると、困った。どこにも見つからない。10年くらい昔には、まだそこかしこにあったような気がするのだが。

 最悪の場合、高架下のジャンク屋巡りをしなけりゃいけないハメになったりして。


2006.10.5(Thr)

GM

 GM。といってもガンダムに出てくる量産型モビルスーツのことではない。ゲーム・マスターの方のGMである。
 オンラインゲーム等で各種もめごとを解決するのが主なお仕事。ヴァナディールの地においても、やはりGMはいる。けれども、滅多に人前には出てこない。GMを呼んでも、たいていは文字だけのチャットで用が済んでしまうことが多いから、みたいなのだが…

 もちろん私も未だ実物のGMを、ヴァナディールの中で見た事はなかった。
 ところが、今夜、いたのである。Licが「GMや!」と、わたわたしているのを背後で見つつ、私も自分の用を済ませてさっそくGM見物にはせ参じる。

 赤い甲冑に赤い両手剣、しかも全身がなにやらゆらゆらと陽炎のようなもやもやに包まれており、すっきりと見えないあたりがもどかしい。
 これがGMか…、はじめて見た。呼び出したと思しき相手と何やら話しこんでいるようだが、なかなか難題だったのだろうか。結構な時間、その場所に滞在していた。
 私は見物人にまぎれつつ、スナップショットをひとしきり撮り、その場をあとにしたのだった。

GMのお姿

赤い線で囲っているのがGM


2006.10.6(Fri)

 夕食はオムライスだった。ライスは半球状にきっちり固められており、その上から皿いっぱいに広がるほど大きな卵の薄焼きが被さっている。この形状からしていつものオムライスとは違っていた。
 Licが作る時には、卵の薄焼きでライスを包むように楕円形に丸まっているはずだが、これはなんとしたことだろう。しかも今夜のは薄焼き卵表面に赤いケチャップで、にこにこ顔が描かれていたのだ。おそるべき手の込みようである。

 こ、これは……、もしかしてみこりん?
 どうやらそうらしい。いつものみこりんなら、真っ先に自分が作った事を報告してくれるところだが、今夜はどうしたことか、妙に素っ気ない感じ。
 そこで、ケチャップで描いたにこにこ顔がカワイイと感想を述べてみたところ、「それ、にこにこ顔とちがう」と言われてしまった。

 顔じゃない?もしや見る方向が違っていたのか。ちょっと焦っていると、みこりんが「太陽」と教えてくれた。
 ……、あぁ!なるほど、太陽か。笑ってる太陽ってことだね。
 どうりで顔の周囲に放射状の短い線が描いてあるわけだ。何かの模様かと思っていた。

 上手に焼けてるね、と言ってみたら、「スクランブルエッグ作れるから、このくらいできるもん。とーさんも作れるでしょ」ときた。なるほど、ちょっと照れ隠し入ってる感じらしい。
 なかなか複雑な年頃である。


2006.10.7(Sat)

草の海

 ずばっと晴天。みこりんが庭を見渡し、「草がいっぱいで怖い」と言った。より正確に言うならば、「草に隠れているオンブバッタが怖い」ということらしい。

 そよそよと風に揺れている雑草は、みこりんが小さい頃、よく“傘”を作って遊んだタイプが主流だった。これまでこのタイプの雑草が庭を埋め尽くしたことはなかったが、今年は何か生育条件がびしっとはまったのかもしれない。みこりんはクローバーが好きだったのだが、あいにく今年はほとんど生き残ってはいなかった。数年前には、庭一面をクローバーに埋め尽くされていたのが、まるで幻であったかのようだ。

 「草引きしよう」と、みこりんが言うので、長靴に履き替え、新しい軍手を装着して庭に降りる。まさに足の踏み場もない状態。ちょっと放置しすぎたかもしれない。
 今週は雨が多かったので、庭土は水分を含んで柔らかく、草引きには絶好のコンディション。みこりんの力でも、さくさくとよく抜ける。私は両手で無造作に草の束をかき集め、ざくざくとひたすら抜いた。

 抜いた草は庭の真ん中に積み上げる。1ヶ月くらい前に積んでおいたチコリの枯れ枝は、半ば土に還りつつあり、ちょいとどかして見てみると、ミミズの幼生みたいなのとか、様々な小さな生物が群がっていた。みこりんも抜いた草にくっついている変わった模様のカメムシなどを次々に発見しては、「いっぱい虫おるねぇ」と言った。

 南に面した庭の半分ほどを整理した頃、みこりんがウッドデッキ沿いに作ってある花壇から、何か葉っぱのたくさんついた大きな株をずぼっと抜いていた。「とーさん、すごいの抜けたよ!」と、うれしそうだ。うん、みこりんも強くなったねぇ。でもそれ青紫蘇なんだけれど。
 「あ、そういえば、そんなにおいがする!」みこりんも気付いたらしい。とはいえ、すでに葉っぱの90%以上を虫に食われてぼろぼろなので、特に問題なし。草引きは続く。

 その後もアジュガとドクダミを間違われて抜かれたりしつつ、順調に草の海は引いてゆき、やがて…
 「終了!」
 積み上げられた草の高さは約60cmってところ。さっぱりと片付いた庭に戻った。
 ほうっと一息ついていると、みこりんが「きれいな花が咲いてる」と指差すので、そちらに視線を向けてみる。緑のコニファーを背景に、白いシュウメイギクが凛と咲いていたのだった。ぜんぜん気付かなかった。いつのまにか蕾がたくさん上がっており、来週には満開になりそうだ。

 みこりんはチューリップの球根を植えたがっていたのだが、土がじめっとしてるので、今日は乾かしておくことに。
 そんなことを言いつつ、リビングに引き上げたところ、Licが一言「球根植えたあと、水かけるんとちがうん?」

 ………、そ、そういえばそうだな。
 でも装備も片付けてしまったので、とりあえず今日はこのへんで。


2006.10.8(Sun)

本屋にて

 「本屋に行きたい!行きたい!」と、どこかでLicに言われたような気がしていたのだけれど、本人に確認してみた結果、それが私の幻聴であったことが判明した。もしかすると夢の中で聞いた台詞だったのかもしれない。いずれにしても、私の脳には、かなりガタが来ているようだ。一度、脳ドックとやらを試してみるのもいいかもしれない。

 みこりんからは月初めのお約束、『小学3年生』と、定期購読している『たくさんの不思議』をゲットすべく本屋に行きたいと聞いていたので(こっちは確実な記憶)、どちらにしても今日は本屋に出かける運命にある。みこりんが「家族みんなで行きたい」と所望したので、Licも一緒に。

 みこりんには内緒だが、私は先日の金曜日の夜、本屋に来ている。だから、何が売られていて、どんな感じなのかはわかっていた。古本屋で1巻〜9巻まで揃えた『鉄腕バーディー』の続きが、なぜか11巻だけ完売状態で入手できないことも調査済み。11巻があったならば、一気に10巻〜13巻までオトナ買いの予定だったのだが、これは急いではならないという何かの囁きなのかもしれず、じっくりオンライン古本屋の方で入荷するのを待つ事としよう。入荷したら“入ったメール”が届くので、見落とす心配もないし。

 調査済みの本屋でも、その気になれば何時間でも粘れてしまうところが、リアル本屋さんの怖いところだ。うっかり見落としていたタイトルに引き寄せられて、ビニールを被った表面から表と裏をじっくり観察してみたり。
 みこりんとLicも、それぞれに散ってゆき、独自の世界にはまっているようす。みこりんは“たまごっち”関係の本の新刊選びに余念がないようだ。

 やがて、みこりんがたたたっと駆けてきて、「たまごっちの新しい本あったよ」と、報告に来てくれた。『小学3年生』と、どっちにしようか迷っている様子。一応、本なので両方買ってもOKなのだが、とりあえずみこりんにはたまごっちの本の値段を見てくるように指示する。
 本を手に、みこりんが戻ってきた。どこに値段が書いてあるのかわからなかったらしい。渡された薄い本を裏返し、右下方面をチェック。ふむ、500円ちょいか。「2冊買っていいよ」と、みこりんに言う。嬉々として『小学3年生』を取りに戻ったみこりんであった。

 Licが「ふらふらするー、さむいー」と不調を訴え始めたので、レジにてチンしてもらい、本屋さん終了。
 次、『たまカップ』と、今夜の食材調達のため、スーパーへ。

 食品売り場の特設ブースで、日本の駅弁シリーズが売られていた。私がコレクションしている新神戸駅で売ってる蛸飯とはまた別の容器に入った蛸飯もあり、ちょっと心動かされてしまう。様々な駅の名物釜飯にもかなり惹かれたのだが、みこりんが「ちゃんと作ったのがいい」と言うので、今夜のメニューはLicの手作りシチューに決定。
 みこりんにはレンジでチンに対して、少し拒否反応があるようだ。忙しい朝のお弁当作りには、どうしても冷凍食品の使い勝手の良さに頼ってしまうところがあるのは事実で、その辺がみこりんには“飽き”のようなものを感じているのかもしれない。

 帰宅すると、案の定、みこりんは自室で『小学3年生』と『たまごっちの本』に夢中らしい。チューリップの球根植えは、明日に延期だ。


2006.10.9(Mon)

チューリップ植え付け

 みこりんとそのお友達が、ウッドデッキで“お母さんごっこ”をやっているらしい。今日も素晴らしい秋晴れの一日だ。部屋に流れ込んで来る風が、とても心地よい。

 そのうち、みこりんに呼ばれた。料理が完成したようだ。リビングからウッドデッキに降り、それぞれ並べられた2つのプレートの土料理を堪能する。
 保育園な頃よりも、確実に手先の器用さはレベルアップしているため、土料理とはいっても、なかなか侮れない品数と形態をしていた。特に庭で摘んできたと思われる各種葉っぱ類の使い方は、一流レストランの品を思われる雰囲気があった。

 ハンバーグの付け合せになっている薄黄緑色の葉っぱに、私は見覚えがあった。アネモネの葉っぱだ。土曜日の草引きの時に、何本か葉を展開しているのに気付いていたのだが、みこりん達もさっそく目をつけたか。独特の切れ込みのある葉っぱなので、使い勝手はいいのだろう。
 その他にも、アジュガ、ミント、カタバミ、桜の落ち葉などが土料理に彩を添えている。もう少ししたら、ナンテンの赤い実も使えるようになるかな、なんて思いつつ、おいしくいただく。

 食べ真似のあと、みんなでチューリップの球根を植えることになった。このお友達は、以前からよく遊びに来てくれている植物好きな子なので、こういうのはぜひやってみたかったらしい。

 みこりんが座敷から、チューリップの球根セットを2つ、持ってきた。1つが、例のミッキーマウスの絵がついている色変わりタイプ。もう1つが、ユリ咲きの詰め合わせセット。たぶん20球くらいは入っているはず。
 ではまず、植える予定のテラコッタと、木製のバスケットの土を新しいのと入れ替え。私が大きなテラコッタを担当し、みこりんとお友達には、木製のバスケットをやってもらうことにした。
 みこりんとお友達が「いっせーの、せ!」と、声を合わせて持ち上げた木製バスケットは、どうやら底が抜けたようだ。昨年はまだ大丈夫だったのに、今年の雨の多さでとうとう腐り落ちてしまったか。でも底が抜けてても、置き場所を動かさなければどうという事はない。

 培養土の袋を、お友達に切ってもらい、どさどさとテラコッタとバスケットに投入してゆく。上から5cmあたりでいったん止め。
 次、球根のセッティング。
 大きなテラコッタの方にはユリ咲きの球根を。みこりんとお友達は、最初、球根と球根の間隔を適度に空けて植え込んでいたのだが、球根の数がまだまだ残っていることに気付いてちょっと困っている様子。そこで、「土がたくさんある鉢だから、もっと詰めて植えても大丈夫だよ」と声をかけてやる。それで安心したのか、ぶすぶすと球根まみれなテラコッタが仕上がった。
 この上からさらに土をかけ、球根を覆ってしまえばOKだ。
 ミッキー印の球根は全部で8個。こちらはほどよい間隔で植え込み完了。土をかぶせ、軽くとんとんと表面をならして、チューリップの植え付けは終了した。

 あとは春を待つばかり。
 春までに、途方もない出来事が起きそうな危ない予感もするが、ここはひとつ、腹をくくって、落ち着いてゆこう。

“核”

 連休中にはやるだろうなぁと思っていた北朝鮮による核実験は、やはり宣言通り実施されたもよう。ただし、爆発の威力が弱いらしいことなど、北が言うように“成功”したのかどうかは、未だ不明。今後の調査を待つしかない。あるいは、核ではなく、通常の火薬をダミーとして使った可能性もある。

 たぶん歴史の転換点になりそうな気がするので、ぺたぺたと記事を貼っておく。

北朝鮮が「地下核実験」 朝鮮半島に重大局面

 【ソウル=久保田るり子】北朝鮮の朝鮮中央通信は9日午前、「われわれの科学研究部門は、地下核実験を安全に成功裏に実施した」と発表した。聯合ニュースは、国防省当局者の話として、同日午前10時36分(日本時間同)に実施されたと報じた。韓国地質資源研究院は同日、同地域でマグニチュード(M)3・58から3・7規模の地震波を観測した。

 盧武鉉・韓国大統領はただちに安全保障閣僚対策会議を招集、情報収集と対応に入っている。国連安保理の議長声明を無視した形の核実験強行であり、朝鮮半島情勢は重大局面を迎えた。

産経新聞 2006.10.09 15:21

 仮に成功したとしても弾道ミサイルに搭載可能とするには、まだしばらくかかるだろう。それまでがタイムリミットかな。

 *

 ところでこの連休中には日中・日韓首脳会談が行われた。中国、韓国が靖国参拝中止の条件を付けなかったために、それが可能になった。外交カードとして靖国を使うことの難しさを身をもって中国・韓国は思い知ったことだろう。
 8・15の終戦記念日に小泉元首相が靖国に参拝したことで、この問題はケリがついたのだ。他国の内政干渉が、今後明確な形で出てこなくなって初めて、靖国を国内問題として冷静に議論することができるようになる。

 日中、日韓の外交停滞をすべて小泉元総理の靖国参拝にのみ焦点を当てて批判し、逆に安倍首相の評価は上がった。このあたりもすべて小泉元首相の計算づくで、去り行く自分に批判の矛先が向くようにしたのではないかとさえ思えてくる。
 そこにきて北の核実験だ。共通の敵が生まれることで、結束は自然と固まってしまうもの。北の操り人形ともいえる南の大統領も、さすがにここにきてまで北を擁護することはできないと思うが、あの国には常識が通用しないので、今後も要チェック。


2006.10.10(Tue)

十年ひと昔

 1989年の天安門事件のことを、今の中国の若者はほとんど知らないと聞く。共産党が己に都合の悪い情報を隠し、歴史を捏造し、反政府の不満の矛先を反日に注ぎ込んだ結果とすれば、さもありなん。
 しかし一党独裁でもない韓国においても、このような状況は発生するもののようだ。金大中から盧武鉉へと続く8年間、極端な太陽政策を推進する一方で、民族主義を煽り、民衆の不満の矛先はすべて反日へと注ぎ込み…。じつによく似ている。

 だから韓国でこんな若者がいたとしても不思議ではない。というかむしろ、こういう連中の方が多数なんじゃないのか。なにしろ大統領選挙を左右させた“ネチズン”とやらのやることだから(ネチズンと聞くと、なにやらナチズムを連想させる。なんとなくやってることが似てるだけに苦笑よりも不安の方が強い)。以下、韓国の中央日報の日本語版からの引用。

<北核実験>安保不感症…一部のネチズン「民族的慶事」と歓迎

◆「北朝鮮の核実験は民族的慶事」=進歩性向のインターネット新聞などには、「7000万人の民族が慶祝すべき日」など北朝鮮の核実験を擁護するコメントが相次いだ。

あるネチズンは「いまやわが民族も核を保有し、強大国に仲間入りした」と歓迎の意を表した。 「すぐにも国慶日に指定しよう」というやや過激な主張もあった。 このネチズンは「韓半島の平和のために核を保有する必要がある。韓民族であることが誇らしく感じる日」とも書いた。

別のネチズンは「核を盾に弱小国から強力な民族に成長しよう」と主張した。 また「9日は‘ハングルの日’だが、ハングルの創作ほど光栄であり、民族の自信がみなぎる日」というコメントもあった。

一部のネチズンの間では「北朝鮮の核は韓国のものともいえる」とし「韓民族が核主権国家として世界にそびえ立つことになった」という言葉も出てきた。「北朝鮮が核開発に成功したが戦争の可能性はない」という安保不感症も多く見られた。

中央日報 2006.10.10 13:12:28

 日本による過去の侵略を事あるごとに持ち出し、その残虐性をことさら強調して戦争被害者を演じてきた彼らだが、“核兵器”とは何か、何をするものか、その実態がどんなものであるのか、“戦争”とは何か、何をするものか、その実態がどんなものであるのか、理解しているとはとうてい思えない。

 核兵器はたった1発で数万人単位(今現在では数十万あるいは数百万)の人が死に至る、最終兵器である。使ってはならない兵器だ。核兵器を戦争抑止力に使うには、たかだか数発ではまったく役には立たない。台湾規模の国家なら、それでも十分壊滅状態に陥る可能性はあるが、日本は死なない。しかも肝心のミサイル搭載の技術が確立したとは言い難い状況では、こけおどしにもならない。

 ただし、北朝鮮と海を隔てた日本と違って地続きの韓国にとっては、核爆弾の脅威はすでに現実のものなんだが、そのことに対する認識があまりに鈍いのは、かえって哀れみさえ覚えてしまう。

 根本的に韓国は道を間違えたことに、いい加減気付かねば、そろそろ後戻りできないんじゃないか。まぁ、その結果、国が消滅したとしても、日本にはさほど影響はないんだけれど、巻き込まれる無関係な子供らのことを考えると、心が痛む。というかそもそも太陽政策というのは、北の貧しい人民が飢えて死に、子供が同じ子供を食って生きながらえているという生き地獄から目をそむけ、ひたすら将軍のご機嫌取りを行って体制崩壊を防いできたシロモノ。非人道政策といってもよい。たまたま北朝鮮の貧しい家に生まれたばかりに、生き地獄を味わう子供達。こんな悪循環は、絶対に断ち切らねばならない。

 ところで、北の核実験によって日本の防衛産業が儲かるとか言ってる連中がいるようだが、防衛費がいきなり2倍とか3倍とかに増えるんならともかく、そんなことはないわけで、限りある防衛予算内でやりくりされることになるため、別に儲かったりはしないのが実際のところだ。具体例を示すが、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した関係で、迎撃ミサイルPAC-3の配備が前倒しされた(この金はアメリカに支払われる)。このあおりをくらってもともと割り当てられるはずだった装備品等の予算はカットやら縮小を余儀なくされている。まったくいい迷惑である。


2006.10.11(Wed)

“にとり”に“00157(あるいは00175)”

 起きてきたみこりんに、「怖い夢とか見なかった?」と聞いてみる。昨夜、Licに聞かされた夢の話が、少々気になっていたからだ。
 みこりんはしかし、特に何もなかったというニュアンスの答えを返してきた。
 何もなし、か。ふむ…

 Licの語った夢とは、こうである。
 朝方、半ば意識はあったらしい。いわゆる半覚醒状態というやつだろう。体はまだ眠っているので、金縛りのように感じる事もある。
 Licは妹と二人で、どこかの旅館っぽい場所にいた。部屋と部屋の間に、なぜか売店があり、そこを通らないと向こうの部屋までたどり着けないのに、商品が邪魔して通り抜けられない。仕方がないので、ぐるっと外から回り込んで、その部屋に向かった。

 部屋の中には、子供が2人いたのだという。小さな、3歳か4歳くらいの女の子と男の子。妙に静まり返っていた部屋の中で、子供達にせがまれて、Licは“にとり”と“00157(あるいは00175)”という遊びをやったのだそうな。
 “にとり”に“00157(あるいは00175)”。いったいどんな遊びなのか。Licによれば、“にとり”は、ちょいっと体を動かす程度のものだったらしいのだが、名前からしてなにやらとてもあやしげである。“00157(あるいは00175)”については、なんなのか詳細不明。謎である。何かの暗号だろうか。

 遊び終わると、子供達の姿は消えたらしい。
 ここで場面転換。Licは一人、どこかの部屋で寝ているシーン。
 寝ていると、急に胸のあたりに誰かが乗っかってきたのだという。その重さから、とっさに「みこりん?」と言ってしまったらしい。
 乗っかっている子供らしきものは、徐々に胸から首、頭の方へと移動してゆき、やがて「みこりん…?」と囁いて、襖の向こう側に消えていった。むろん襖が開いた気配はない。このへんはお約束だ。

 そういえば、過去、Licは似たような体験をしている。一人で寝ている時に、誰もいない寝室で、ボディプレスをかまされたのだ。
 あの時に比べると、まだ今回の接触はよりソフトなものといえる。

 しかし、乗っかってきた何者かに、「みこりん」という名前を知られてしまった事を、Licは恐れていた。たしかに名前というのは、重要だ。名前を言い当てられると災いが起きるので、わざと子供時代は本当の名を伏せておいたりもする。

 みこりんに何かあったらどうしよう。Licは心配していたが、夢の質から感じられる悪意はなく、むしろどっちかというと身内系な気も少しする。おそらく害をなすものではないんじゃなかろうか。私はそう思ってはいたが、やはり気にはなる。そこで、朝のみこりんへの質問と至るわけである。

 とりあれず今日のところは、特に問題はなかった。一過性のものだったのかもしれない。というか、そうであることを切に願う。


2006.10.12(Thr)

コマンドライン

 そろそろ午後のお茶の時間という頃、私宛に内線がかかってきた。ザザザとノイズ交じりなのは、相手のいる現場の回線事情があまりよくないせいだろう。声の主は、同期入社で、同じ所属に配属されたエンジニア。女性だ。私は途中、研究所に異動してた時期もあったが、お互いソフトウェアのエンジニアなので今は古巣に戻ってきている。まぁ職場そのものが組織の中を右往左往していて、なかなか安住の地がないってのが少々不安ではあるのだが。
 重厚長大産業ゆえ、技術の職場でも圧倒的に男ばかりで、これが現場なんてことになったら男率100%。そんな環境の中、彼女はよくやってきたと思う。18年前は、女性は深夜労働が禁止されていたので、2交代勤務に就けないとか、製品の納入先に出張しても、そもそも女性を想定していない現場なので、着替えルームがないとか、トイレがないとか、もうそれはいろんなことがあったらしい。

 今回は15年以上昔に納品した製品に不具合が発生したので、その調査のためハードウェアのエンジニアが現地に派遣されているのだが、ついでに納入品の一部に使われているPC98を使用したソフトのバックアップを取ってくるというのが、彼女の使命だった。

 PC98、そう、ちょっと前の日記に書いた、アレのことだ。
 こんなこともあろうかと、昨日のうちに倉庫で眠っていたPC98を起動して、ある程度の事前調査はやっておいた。バックアップに必要な圧縮解凍用のツールだとか、ファイラー(Windowsでいうエクスプローラのようなもの)とか、必要なツールはここからコピーして持参していったはずだが、いかんせん15年以上前のことなので、ツールを操作するためのコマンドはすっかり忘却の彼方。というわけで、こちらのPC98を使ってバックアップのシミュレーションをやっておいて欲しいということのようだ。
 いちおうコマンドラインのツールといっても、使い方一覧は出力してくれるため、現場で試行錯誤すればどうにかなるのだが、今日の出張の主目的がそれではないので、使える時間が限られている。できるならば一発で済ませたい、というところだろう。

 さっそくPC98起動。ピという電子音と共に、MS-DOS起動。10年以上昔のマシンなのに、ハードディスクにも異常は特に見あたらず、元気なものだ。さすが昔のマシンは頑丈さが違うな、などと思いつつ、ルートディレクトリから全ディレクトリを圧縮して1つのファイルにまとめてしまう操作を試してみる。PC98全盛期には、当たり前のように指がコマンドを覚えていたものだが(今のWindowsに代表されるようなグラフィカルなインタフェースではなく、殺風景なコマンドラインからいちいち人間が起動プログラムやらオプションの指定なんかをやってやらないと、当時のPC98で仕事はできなかった)、歳月の流れとはおそろしいものである。コマンドの使い方を思い出せない。
 そこで使い方一覧をヘルプコマンドで出力し、熟読。…ふむふむ、なんか思い出してきたような。

 サブディレクトリを含めるオプションとか、再帰的にサーチするとか、記憶の奥底で激しく反応する“何か”。お、覚えている。いけるぞ。
 ちゃかちゃかちゃかっとコマンドを入力し、実行。今のマシンに比べると、戦闘機と三輪車くらい実行速度が違うので、じつにまどろっこしい。終了するまでに、お茶を一服できてしまう。

 OK.
 できた。これでよし。やるべきことをノートに書き留めておく。今日役に立つことは、もしかすると、さらに数年後、役に立つかもしれない。記録をとっておくことは重要だ。
 いつ電話がかかってきてもいいようにして待っていたが、現場でも特に不都合なく作業は終わったもよう。
 めでたしめでたし。と言いたいところだが、本来の出張の目的であったハードウェアの不具合はかなり深刻な状況らしく、難題が持ち上がっているとのこと。全部カスタムメイドの一品ばかりなので、代替品がないのだ。修理するか、最新のテクノロジーでイチから作り直すか。修理するにも、制御ソフトの開発環境はすでになく、どうやるんだという話もあり。しかもこれを担当していた人が、現在入院中ということもあり、困った事態になってしまうかも、しれない。


2006.10.13(Fri)

神在月

 FFXIで、昨年だかのアップデートで実装されたクエストに、神在月というものがある。
 神無月はよく知られた言葉だが、神在月とは…

 陰暦の十月のことを神無月といいます。これは全国の神々が出雲の国に集まられ、神々が留守になられるからです。反対に出雲では、神々がお集まりになられるので「神在月(または神有月)」といいます。

出雲大社と大国主大神より

 ヴァナディールの地において、神々とは召還獣として契約できるイフリート、タイタン、リヴァイアサン、ガルーダ、シヴァ、ラムウのことのようで、これらの神々すべてと契約済みでないと、クエストそのものを受けられない。しかも戦闘は18人推奨ということで(神々と再戦するのだ)、なかなか人を集めるのが大変らしい。クエスト実装直後はよく『まなことりにいきませんか〜』というシャウトを頻繁に目にしたものだが(1つ勝つごとに“〜のまなこ”がもらえる)、最近はさっぱり。
 そんな状況なので、Licつながりで私にも声がかかったようだ。はたして人は集まるのだろうか。金曜当日になっても、まだ18人揃ってはいなかった。刻々と迫る開始時刻。間に合うだろうか。それともお流れか。
 それでもどうにか人は集められた。すごい。主催者の人脈広し。

 というわけで、さっそく出発。北の果てにある凍結の回廊へ。
 とりあえず突撃。そしてさくっと全滅。

全滅中

屍累々

 油断しすぎてたね、というわけで、正攻法で行くことにして、再度挑戦。
 今度はあっけなく勝利。最初のはいったい何だったかのかと思ってしまうほどのあっけなさ。やはり戦術が重要。
 時間が限られていたので、4箇所しか回れなかったけれど、来週も続きをやるそうなので、がんばろう。


2006.10.14(Sat)

ボーリング

 子供会主催のボーリング大会に、みこりんが出動していった。送っていくのはLic。出掛けに「1000円頂戴」と言われたので渡しておいたのだが…。たしかこれの参加費は子供がタダ、オトナは1000円。
 案の定、Licはなかなか戻ってこなかった。今頃はみこりんと二人、ボーリングを楽しんでいるのだろう。
 というわけで、私はにゃんちくんを膝にのっけて、今週の世界情勢などをWebでさらっとおさらい。北の崩壊も秒読みかな。ソビエト連邦が崩壊した時も、東西ドイツが電撃的に統合された時も、こんな感じだったような気がする。何かとっかかりができると、決壊したダムのように、濁流はもう誰にも止められない。

 やがてケータイがLicからのメール着信を知らせたので、何かなと見てみると、動画ファイルが添付されていた。だいたい中身の予想はできたが、さっそく再生。
 やや粗っぽい映像の中で、みこりんがボールを構え、そして流れるようなフォームで投球、カコーンとピンを倒すまでが映っていた。楽しんでいるらしい。

 世界情勢のおさらいを終えると、いつものようにヴァナディールの地にて栽培に励んでいる倉庫キャラ達を、一人ずつチェック。収穫時期になっているものは、適宜収穫。ニンジンはそこそこ採れるが、特殊なミミズの方は近頃さっぱり獲れなくなってしまった。でも競売価格はさほど高騰しているわけでもない。むしろ下がってきつつある。ふむ…、まぁ今しばらくは栽培スタイルは現状維持でいくか。

 そんなことをやってるうちに、みこりん達がもどってきた。きらきらした声で明るくしゃべるみこりんは、さながら我が家の太陽である。一瞬でその場がエネルギーに満ちてくるような、そんな感じがする。
 みこりんがいそいそとスコアシートを見せてくれた。66に79か。アベレージ72。ストライクはなかったものの、スペアが2回、ガター0回。年に1度しかやってないのに、なかなかいいかも。たぶん今なら私といい勝負だったりして。ボーリングなんか、かれこれ15年以上やってないし。

 ところで窓の外が、なにやらどよーんと薄暗くなってきつつあった。明日は地元の航空自衛隊基地の航空祭があるので、晴れて欲しいところだが…。
 夜の天気予報では、晴れになっていた。みこりんは「晴れだって!」と喜んでいたが、この季節、油断禁物。みこりんは晴れを確信しているのか、いつものようにてるてる坊主は吊るさなかった。もしかして、本当に晴れるのかもしれない。みこりんの直感は、けっこうよく当たる。


2006.10.15(Sun)

青の衝撃

 窓の外がまばゆいくらいに輝く朝。おそるべき晴天である。みこりんの通力が天に届いたのやもしれん。
 座敷の障子を半分ほど開けておくと、さっそくにゃんちくんが窓辺にごろんと寝転び、長々と伸びなどしつつ、目を細めている。見ているこちらまで心がとろけるほど、気持ち良さそうだ。

 正午から航空祭の目玉の1つ、異機種編隊飛行が行われる。足の遅い輸送機に合わせて、戦闘機が低速で編隊を組んで飛行するさまはなかなか見ものではあるのだが、普段見慣れているのでこちらはパス。次の演目、T-4ブルーインパルスによる展示飛行にすべてをかける。いや、ものすごい人出なのでヘタすると明日起き上がれないほど消耗してしまう可能性だってあるのだ。油断大敵。

 過去の航空祭では、基地内で観賞したこともあるが、今回は裏情報により基地周辺の穴場(?)に向かった。場所を選ばなければ、会社の駐車場というのがもっとも空いていてよいのだが、新しいところでも見てみたい。
 ルート選びは慎重に。主要道路は大渋滞が予想されるので、できる限り空いていると思われる道を選んでクルマを走らせる。ぐるっと基地外周に沿って回り込み、やがて山の中へ。
 しかし、みんな穴場情報はよく知ってるようで、路側帯は縦列駐車の嵐。こんなところにまでクルマがびっしりと入り込んでくるとは…。あなどりがたし。

 それでもどうにか駐車スペースを確保し、停車。みこりんとLicと、3人で歩道に座り、青空を仰ぎ見る。13時15分スタートの予定だったが、時間になってもエンジン音すら届いてこない。最初はパイロット紹介とかあるからなぁ。しばらく待つ事にする。

 Licとみこりんが少し探検に出かけている間に、こぉぉぉぉと響いてくる独特のエンジン音接近。はっと頭上を振り仰ぐと、後方から美しく青と白に塗り分けられた機体が編隊を組んでかなり低空を通過して消えてゆく。あぁ、T-4のエンジン音は柔らかくて心地よい。F-15の獰猛なまでの激しい圧倒的なパワーに満ちたのもいいが、T-4の滑らかな音は、じつに心が和む。
 航空機の行動範囲はかなり広い。いったん視界から消えた機体が戻ってくるまで、いましばらくかかるだろう。そのうちに、みこりん達が戻ってきた。先ほどの低空飛行をみこりんも間近で見られたらしく、興奮気味にすごかったと話して聞かせてくれた。

 再びエンジンの音が響き始め、東と西から互いに交差する飛行。みこりんはLicのケータイをカメラモードに変形させてシャッターチャンスをうかがっている。私も自分のケータイを構えてみた。性能的にはうちのデジカメ専用機よりもこっちの方が上なので、もしかすると撮れるかも。
 シャッターが切れるまでの微妙な間に慣れるまでがちょっと大変だったが、タイミングをつかむと、そこそこの撮影は可能らしい。2機の機体が大空にでっかいハートマークをスモークで描き、そこを斜めに射抜くようにして1機が高速で通過。“バーティカルキューピッド”だ。
 おぉぉ、絶好のシャッターチャンス。でもズームを効かせすぎていて、画面内に収まりきらず、ちょっと失敗。みこりんの方はばっちり撮れたらしい。なかなかやるな。

 30分ほど経過したところで、撤収開始。道なりにずっと駐車してるクルマ達が一斉に移動を始めたらものすごいことになるのは目に見えている。空いているうちに渋滞圏内から脱出だ。
 みこりんも実際に飛行している飛行機を間近に見られて、そこそこ満足しているようす。でも、駐機してる大きな飛行機にも乗ってみたいらしいので、近々、航空宇宙博物館の方にも足を運んでみようかなと思っている次第。

 願わくば、来年も無事に航空祭が開催されますように。

T-4ブルーインパルス


2006.10.16(Mon)

天使の枕

 ふと目覚めると、真っ暗闇だった。何時なのか確かめようと、枕元に置いてあるケータイをぱかっと開いてみたら、バックライトの眩しさに目をやられた。
 く、不覚…

 それにしても、なんだか妙に首の後ろというか後頭部がじんじんと熱い。それに比べて、左足は氷のように冷え切っていた。どうやら布団から左半身がはみ出しているらしい。
 寝癖はそんなに悪くはないはずだったが、今宵はかなり激しく動き回った形跡がある。だいたい枕からも落ちてるし…

 …枕。あぁそうだ、思い出した。昨日、新しい枕を買ったのだ。低反発素材で“天使の枕”なんて書いてあった。みこりんもそれが気に入ったらしく、お揃いで買ってきたのだが…
 この後頭部の違和感は何としたことだろう。

 ようやく目が慣れてきたので、液晶画面の時刻表示を読み取る事ができた。
 午前4時前だった。めちゃ微妙な時間だ。起床まで、あと2時間半。寝直してたら、寝過ごす可能性とても大。だがしかし、今から起きだして何かするというのも、とてつもなく面倒な気がした。冬を予感させるこの冷気に立ち向かう気力は、沸いてこない。
 というわけで、布団の中に戻り、枕の上に頭を乗せ、ぬくぬくと体を丸めて横になる…

 *

 「おきて」という声で、目が覚めた。
 ん、あぁ、もう朝か。目を開けると、みこりんが去っていくところだった。
 なんだか頭が重い。ぜんぜん寝た気がしないのだが、思い切って起き上がる。枕元の時計を確認すると、午前6時半だった。目覚ましの設定時刻よりも15分も早い。

 気合の入ったみこりんと、軽く朝食を取り、みこりんは学校へ、私は仕事場へと向かう。いつもより早めの出勤なので、道が比較的空いていたのは幸いだ。

 仕事中、首の後ろに妙な痛みをずっと感じていた。週末に肩こりがどっとくるのはいつものことだが、月曜からこれでは先が思いやられる。

 *

 2時間残業して、帰宅。Licに首が痛いのと、真夜中に目が覚めたことなどを話して聞かせていると、「それって、枕が合ってないんじゃない?」と鋭く指摘されてしまった。
 …、そ、その可能性は、あるかもしれない。せっかく買ってきた“天使の枕”なので、あえてその可能性には触れないでおこうと思ったのだが、しばらく経っても違和感が消えないようなら、長年使い慣れた元の枕に戻すことも止むを得まい。あぁしかし、“天使の枕”、手触りはすごく良かったのに。
 でも枕が新品すぎて、まだこなれてないことも考えられる。そのうち私の後頭部の形状に合わせて、微妙に変形してくれたりは…。

 儚い希望を抱きつつ、今宵も“天使の枕”で眠るのであった。


2006.10.17(Tue)

ニワトリ当番

 みこりんの小学校では、ニワトリ小屋が校庭のすみっこにあり、代々その世話は3年生が行う事になっているらしい。ニワトリ小屋は、農家の納屋みたいな具合にわりと普通の家っぽく建っていて、いったいどのくらいの数のニワトリが群れているのか興味津々だったのだが、先月の運動会を見に行ったついでに覗いてみたところ、4つくらいに仕切られた部屋のうち3つはすでに使われておらず、唯一残った右端の区画に、ニワトリが2羽、たたずんでいるだけだった。

 おそらく昔はもっとたくさんのニワトリを飼っていたのだろう。それが徐々に負担となり、1羽減り2羽減り、してるうちに、野良アライグマの脅威、鳥インフルエンザの風評被害なども加わり、現在に至る、というところか。
 みこりんは最初、ニワトリを恐れていたふしがある。鋭いくちばしで、つっつかれるのが怖いとかなんとか言っていたような。でも今は「大丈夫になった!」らしい。今朝、出掛けにそう言っていたので、たぶん間違いないだろう。
 にゃんちくんを徐々に怖がらなくなってきたのと同じように、ニワトリの対処法もわかってきたにちがいあるまい。

 ところでニワトリ当番には、ある特典が用意されている。それは、新鮮な卵を持ち帰ってくることができるというもの。以前、春頃にも一度、みこりんは卵を持って帰ってきたことがあった。しかし、その時には運悪く卵が途中で割れてしまって大変なことになった。
 だが、今宵は割れる事もなく、無事、持ち帰ってくる事に成功したようだ。

 みこりんはこの卵を使って、晩御飯は玉子雑炊が食べたいと言った。たしかに新鮮な卵は新鮮なうちに食すのが吉。というわけで、さっそくLicにより玉子雑炊が作られてゆく。昨日の晩御飯は鍋だったので、その残りが大活躍である。

 出来上がった玉子雑炊は、しっとりと汁の味がしみて、美味であった。これであと新鮮な卵が2〜3個あったら申し分ないところだが、ニワトリが2羽しかいない現状では、ちょっと難しそうだ。
 ところでそろそろインフルエンザの季節到来。鳥インフルエンザの新種が、はたしてヒトからヒトへの感染力をもって拡散してしまうのか否か、要注目。ある意味、北の不良品な核爆弾よりも、危険だ。


2006.10.18(Wed)

蝙蝠

 早いもので、来春のみこりんのエレクトーン発表会用演奏曲がもう決まったらしい。たしかに季節はもうすっかり秋。カレンダーも残すところ11月と12月の2枚のみ。今月も、はや下旬に突入か。…月日の過ぎ行くスピードが、どんどん速くなっているのは、それだけ歳を重ねた結果ということだろうか。

 演奏曲は『こうもり』だと、みこりんは言った。「CDある?」と聞かれたのだが、はて、そんな曲の入ったCD持ってたかな?いまひとつ記憶にない。
 それ以前に『こうもり』って誰のどんな曲だったっけ?という謎があったことは秘密だ。
 そんな私を尻目に、LicがCDラックをがさごそと物色中。
 やがて、「あった!」とLicの声があがる。
 見に行ってみると、Licが手にしていたのはいわゆる廉価版クラシックのCDだった。ヨハン・シュトラウスとシュトラウス父の作品集だ。その1曲目に、『こうもり』が収録されていた。

 そのパッケージを見て、古い記憶が呼び覚まされる。それは私がまだ大学生の頃に買ったCDだった。かれこれ20年ほど昔のことになる。たしか大学の生協でCD販売キャンペーンがあり、市販価格よりもかなり安く買えるとあって、普段はおそらく買わないであろうクラシックのCDも、どどんと10枚ほど買ったのだった。
 それが今になって役に立とうとは…

 さっそくCDプレイヤーにセットして、再生してみる。
 あぁ、この曲が、そうなのか。聞いたことはある。しかしこれをエレクトーンでやるのは、難しそうな…。でも専門コースになって3年目のみこりん達なら、弾けるのかも。
 …ところで、たしか年末にも一度演奏会があったような気がするのだけれど、そちらの演奏曲はどうなったのだろう。一度みこりんに確認せねば。


2006.10.19(Thr)

○○をすえる

 モノ作りの会社においては、技術の仕事といえば、まず設計。設計図面が書けない技術者なんてのはありえない、というのが、私が入社した当時の状況だった。私の所属するソフトウェア設計部門を視察した上の方の人が、「図面も書かないのか?この部署は」と驚いていたのを、今でもよく覚えている。
 より正確に言えば、図面をまったく書かないわけではなかった。だがその図面とは、ソフトウェアを収めたフロッピーディスクとか、テープとかの外観図だったので、一般的に言う設計図面とは、ちょっと趣は違っていたかもしれない。

 さて、ソフトウェア開発とコンピュータは一心同体といってもよいが、日がな一日、ずっとキーボードを打っていると、体の節々に凝りが蓄積されてゆく。コンピュータが空調のばりばり効いた専用ルームに鎮座し、その端末がソフトウェア開発室に設置されていた時代は、まだそれでも作業環境はましだった。キーボード操作を前提に作られた専用のデスク、自由度の高い専用の椅子があったので、自分にあった作業環境に調節することが出来たからだ。
 しかし、あらゆる仕事にコンピュータが一般的に使われるようになって以降、ソフトウェア開発室というものは消滅した。普通の事務机(高さ調節不能)にPCが置かれ、普通の事務椅子での作業を余儀なくされるようになった。それと共に、肩や腰の凝りは慢性化し、ひどくなる一方だった。

 こうして蓄積されてきた肩と首の凝りは、もはや回復不能なのではないかとさえ思えるようになっていた。肩凝り用の薬を処方してもらって飲んでみてはいるものの、効果はちょっと微妙な感じ。それでも以前のように、偏頭痛を伴ったり吐き気がしたりというのは減った気がするので、多少は効いているのかもしれない。

 ところで最近Licに指摘されて気付いたのだが、私は無意識のうちに左手で右肩(というか右首筋付近)に手を当てていることが多くなったらしい。たぶんそこが一番痛むので、つい手を当ててしまってるんだと思われるが、Lic曰く「その格好とてもヘン」とのこと。意識して手を当てないように気をつけていても、いつのまにか左手が右肩に乗っかっているのだ。癖とは、なかなか困ったものである。

 そんな私のために、Licがあるものを買ってきてくれた。音楽教室から戻ってきたみこりんが私に教えてくれたのだ。「おきゅう買ってきたんよー」と、“お”にアクセントを置いて発音したので、一瞬何のことかわからなかったのだが、肩凝り用ということで理解できた。Licは“お灸”を買ってきてくれたのだ。

 お灸といえば、私が子供の頃、父が母にやってもらっていたのを覚えている。もぐさを乗せ、線香で火をつけると、独特の香りが部屋に立ち込め、なんだか癖になりそうな感じだった。でもいかにも熱そうなので、自分でやってみたいとは思わなかったが…
 幸い、今夜Licが買ってきてくれたお灸は、もぐさを直接皮膚に乗せる本格的なやつじゃなくて、千年灸だった。これならもぐさの下にワンクッションあるので、大丈夫かも。

 風呂の前後一時間はやっちゃだめらしいので、寝る前になるのを待ち、うつ伏せになって、お灸開始。
 Licが取説片手に位置決めを行っているようす。症状によって、もぐさを乗せる位置が違うらしい。ふむふむ。
 やがて肩と背中、そして二の腕に、もぐさを詰めた物体が貼り付けられた。チャッカマンを手にしたLicが、その1つ1つに点火してゆく。幼い頃にかいだあの不思議な香りが鼻孔をくすぐる。なにやら妙に懐かしく、心が安らいでいくような…

 特に熱いという感覚はなかった。その部分に意識を集中すると、なんとなくじわーっとあたたかくなってるような気もするが、耐えられないほどではない。というかむしろ、気持ちよくてそのままうっかり寝入ってしまいそうだった。
 実際、半分ほど意識がとんでいたようだ。ふっと気付くと、貼り付けた物体がぺりぺりと剥がされてゆくところだった。

 こころもち、肩や首が軽くなったような…。まぁ“気がする”程度のものなのだろうが、こういうのは気分というのも重要な要素なので、これはこれでよいのだろう。
 しばらく続けてみようと思う。


2006.10.20(Fri)

ハロウィン

 帰宅してみると、ヴァナディールの世界では、私の売り子である猫娘がチョコボ屋の前でバザーをやっていた。昨夜はハロウィンイベントの実装や、新たなミッションやクエスト等などのアップデートに備えてサーバメンテナンスが行われるため、PCの電源を落としておいたのだが、メンテ終了後、Licが私の分もアップデートしておいてくれたらしい。ありがたやありがたや。

 ハロウィンイベントでは、街中でモンスターに仮装したNPCに菓子をトレードすることで特殊なアイテムをゲットできる。とはいえ100%もらえるわけじゃないので、気長に何度もトライする必要があるため、菓子が飛ぶように売れる時期でもある。調理職人のLicにとっては、まさに稼ぎ時だ。がんがん作って売り子にバザーさせているのだが、実際、見る見るうちに売れてゆく。
 でも、菓子は単価が安い。売れ行きの割りには収益が少ないのが玉に瑕。

 そして今年は新アイテム、“魔女ッ子帽子”が報酬のイベントも追加されていた。さっそくLicがゲットして装備していたので、じぃっと拡大して見てみる。おぉぉ、たしかに魔女帽子だ。とんがり帽子で先っちょがくたっと垂れてるおなじみの姿かたち。でもこれ、女キャラの魔導師や、幼児体形のタルタルにはすごく似合うけど、むくつけき野郎どもには激しく違和感が…。そんなわけで、私も自分のキャラでは取らずに、売り子の猫娘で取って装備させてみた。

魔女っ子帽子と初期装備

 …帽子以外も魔導師系な装備にしないと、いくら女キャラとはいっても、ちょっと浮いてる気がする。いちおう売り子だし、コーディネイトを考えた装備を着せてやったほうがいいかもしれない。しかし倉庫キャラなのでレベルは1。着られる装備の選択肢はとてもとても少ないのであった。

魔女っ子帽子と魔導師装備

レベル1で装備可能な唯一の魔導師装備を着せてみた

 みこりんが「おやすみー」と自室へと引き上げていったあと、Licのフレ達と一緒に、新たに実装されたミッションの続きを堪能する。“アトルガンの秘宝”のミッションは、今のところさほど難易度の高いものはなく、絶対このジョブが必要とか、妙なレベル制限などもない。ソロに強いジョブならば、一人でもこなせるらしい。
 前作の“プロマシアの呪縛”に比べると、ずいぶん親切な作りになったと思う。多人数参加型のRPGだからといって、いつもいつも良構成なパーティ戦を強要されるのも、なかなかきついものがあるので、こういう自由度の高い、いってみれば柔軟な作りのミッションはアリなんじゃなかろうか。
 次回のアップデートは12月。このまま妙な路線に曲がったりせず、今のつくりを維持して欲しいものである。


2006.10.21(Sat)

謎のモンパラ

 およそ一年前からみこりんが楽しみにしていた日が、ついに来た。勤務先とその関連会社及び労働組合による合同行事、“秋のハイキング大会”だ。ハイキング大会といっても、その実態は近郊のレジャー施設の入場料&乗り物一日パス等を会社持ちで、自由に遊んでよいというもの。
 みこりんは日本モンキーパークが第一希望だったのだが、その願いどおり、今年の開催地はそこに決まった。みこりんの願望達成能力おそるべし(ちなみに昨年の開催場所は名古屋港水族館だった)。

 秋晴れの、よい天気だ。クルマで20分ほど走れば、目的地が見えてくる。でも案の定、近くの駐車場がどこも満車だったので、ハイキング参加者専用の入場ゲートからは、かなり離れたところにクルマを停めて、ひたすら歩く。もっとも、クルマを停めた側にも一般客用の出入り口はあるので、帰りにこちら側から出てくることを忘れなければ、特に問題はない。

 特設入場ゲートで社員証と交換に、みこりん用のお菓子の詰め合わせと、入場券をもらう。みこりんが保育園な頃は、もう少し菓子袋も凝ったやつで、中身もそれなりによいものが入っていたように記憶しているのだが、年々、質より量にはしっているような気がして、ちょっと心配。みこりんも自分の好きなポテチのコンソメ味が入ってないので、残念そう。でも“うまい棒”が3本あるのを確認すると、安心したようだ。
 Licも関連会社の社員証を持っているので、菓子袋は2つになった。…ん?ということは、今年の粗品って、この菓子袋のみか?以前は菓子袋とはまた別に、洗剤等の詰め合わせも配ってくれていたのだが…。そこはかとなく厳しい経営状況に不安を覚えつつ、園内へ。

 まず抽選クイズに挑戦する。制限時間が午前中までなので、さくっと済ませておくのが吉。
 景品は、どうやら当たりが米らしい。5kgの米なので、万が一当たってしまったら持ち運ぶのに往生しそうだが、米は欲しい。園内に点在する労働組合の役員さん達の掲げる看板の問題に答え、キーワードを集め、最後に1つの文章を完成させるというものなのだが、毎年出題傾向は同じなので、だいたい答えは想像がつく。でも一応全部回ってキーワードを集めてみた。そして抽選場所へ。
 ここでも大ヒントを連呼してくれていたので、不正解になることもなく、抽選へ。
 まずはLicから。……、ハズレだったようだ。何か小さい箱のようなものをもらっていた。
 続いてみこりん。箱の中からみこりんが選び出したくじを、ぱかっと開いている役員さん。やや間があって、「おぉぉ!」という驚きの声と共に、まわりのスタッフ全員による拍手喝采。どうやら当たりを引き当てたようだ。私もついでに拍手しておく。拍手の輪に囲まれて、みこりんは「え?」みたいな表情のまま、固まっていた。何が起きたのか把握できていないっぽい。それにしても、みこりんのくじ運の良さには毎回驚かされる。この調子で宝くじの方も、そろそろ大当たりを期待したいところだ。
 あとでLicが知り合いのスタッフに聞いた話によれば、この日はなかなか当たりが出なかったらしい。当たりくじの数はちゃんと入っていたのだが、ハズレをたくさん作りすぎたもよう。

 米の入った紙袋を私が持ち、いよいよみこりん待望の乗り物めぐり。だが、もっとも期待していたジェットコースターは、無常にも『故障中』の看板が掲げられていたのであった。がっかり気味のみこりん。今年こそは身長120cmの壁を突破できると意気込んでいただけに、ショックも倍増なのだろう。
 それでもまぁ他にも乗り物はいろいろあるので、がっかり感を吹き飛ばす勢いで乗りまくるみこりん。
 園内ではスタンプラリー(これは園の企画)もやっていて、その景品がNintendo DS Liteということを知ってからは、Licもスタンプを集めるべく乗りまくっていた。私は米の番をしつつ、ケータイをカメラモードに変形させて写真係をつとめた。

 みこりんがジェットコースターの次に楽しみにしていた“モンパラ”では、2度も“モンキッズ・ジャングル”に入るほどの熱の入れようだった。みこりんは“モンパラ”がどんなものなのか、情報誌やWebサイトでいろいろ事前に調査していたらしいのだが、私は名前こそ知ってはいたものの、何をするところなのかまったく知識はなかった。
 今でも正しく把握しているか自信はないのだが、どうやら園内に新設された特設ステージのようなものらしい。その中の1つに“モンキッズ・ジャングル”と称される建物があり、中には、柔らかいボールが無数に入っていて、掃除機みたいな装置で吸い込んだり、大砲に詰めて撃ってみたり、玉入れしてみたり、たまった玉が雨のように降ってくるのを楽しんだり、アスレチックに玉が組み込まれたような感じの施設だった。親は、建物の外から窓越しに子供達の様子を観察することが出来る。完全入れ替え制で、1回の遊び時間は約15分(30分だったかも)。
 親にとっては、つかの間の休憩時間でもある。みこりんは小さい頃から、こうしたアスレチック系な遊具は大好きだったなぁ…。なんてことをしみじみ思い出したりなんかしつつ。

 ところで先ほどから私には気になっていることがあった。おそらく園のスタッフの女性だと思われるのだが、てくてくとあたりを周回しているのだった。不思議なのは、それが一人だけらしいということである。お客様係りとして周回するなら、1人ではぜんぜん足りないような気もする。
 それに特徴的なのはそのコスチュームだ。オレンジ色の制服に、黒のニーソ、そしてお約束の絶対領域。かなりツボをおさえたコーディネイトである。遊具係りや売店のスタッフとは明らかに異なったその姿。彼女はいったい何者なのか。ただのコスプレイヤーとも思えないが…。

 *

 米袋の取っ手が手のひらにくっきりと跡が残るようになってきた頃、そろそろ太陽も西へと傾き、お開きの時間が近づいてきた。駐車場に近い側のゲートへと向かう。
 途中、みこりんが屋外設置のアスレチックをじぃっと見つめているので、しばらく遊ばせておくことにする。Licと二人、アスレチック施設の外周に設けられた椅子に座り、他愛無い会話なぞ。時折、みこりんの位置を確認しつつ。

 しばらくして、みこりんが私達の元へと戻ってきた。十分堪能したらしい。
 じゃ、帰ろうか。
 猿の飼育ゾーンでテナガザルの奇怪な動きにびっくりしたり、小さな赤ちゃん猿やら放し飼いのリスザルに目を留めつつ、ゲートを抜ける。

 久しぶりによく歩いたので、クルマのシートに座ると、うっかり寝入ってしまいそうだったが、しっかり目を見開いて帰宅。長かった一日が暮れてゆく。


2006.10.22(Sun)

五目並べ

 目覚めると、すでにお昼直前だった。2階に人の気配なし。そろりそろりとリビングに下りてゆくと、コタツセットが用意されていた。発熱体は取り外したままなので、床にはホットカーペットが敷かれている。あぁ、もうそんな季節になったのだなぁとしみじみ思う。たしかに昨夜の冷え込みは厳しかった。私もついにパジャマを冬仕様にしてしまったほどだ。

 午後のひととき、みこりんがオセロしようというので対戦。
 接戦だったが、私の勝利におわった。本気モードでも十分勝負になっているところに、みこりんの成長のあとがうかがえる。
 続いて盤を裏返し、五目並べ。勝った人が相手の碁石を戦利品にできるというルールをみこりんが設けたので、相手の石がなくなるまで続けることになった。

 こちらの方は、たまに無防備に碁石が3つ並んでいても、みこりんが気付かない時があったので、「いいのかな〜?」と何度かヒントを与えつつ。
 みこりんは3を作るのに燃えていたが、そろそろ次のステップに進んでも大丈夫そうだ。そこで私は、4と3を同時に作ったら勝ちになるという法則を教えてやった。でも慣れるにはもう少し時間がかかりそう。こちらは私の圧勝で終わった。
 でもみこりんはこういう系のゲームに強いので、いずれこの状況も逆転するにちがいあるまい。


2006.10.23(Mon)

風邪の季節

 昨夜から少々鼻ずるずるだったみこりんだが、今朝も数分おきにティッシュが必要な状況だった。朝ご飯を食べる姿も、どことなく元気がなさそうな感じ。熱はどうかなと、額に手を当ててみると「とーさんの手、つめたい〜」と言われて、じっくり計らせてくれない。たしかに私は手先足先が異様に冷たくなる体質なので、冷え込んだ朝なんかには、氷のように冷たかったりすることもあり。

 ただ、みこりんが自分から「しんどい」とは言ってないので、大丈夫かなと心配しつつも、「いってきまーす」と登校してゆくみこりんを見送った。…のだが、ドアを出る瞬間、みこりんはこそっと「のど痛い」とつぶやいて消えていったのだった。

 な、なにそれ。そういうことはもっと早く言わんとダメじゃん。と思いつつも、私の出勤時間も迫っていたので、そのまま仕事に出かけ。会社からLicにケータイで、みこりんの不調の状態と、病院に連れて行ったほうがよいと思われる旨書き添えて、メールを送信しておいた。
 明日は小学校ではいわゆる文化祭みたいな催しがあるうえに、明後日は郊外学習のため、みこりんは長距離を歩かねばならないのだ。体調万全でもけっこうきついかもしれない。しかしみこりんはこの2つの行事をとても楽しみにしているので、できれば参加させてやりたいが…。

 *

 2時間残業して帰宅。みこりんはパジャマに着替えてコタツで寝転んでいた。病院には夕方行って来たらしい。
 「熱はどう?」と聞いてみると、微熱が出始めているとのこと。現在36.7度というので、とても微妙なところだが、このままぐんぐん上昇してゆく可能性もあるので油断できない。
 みこりんの額に手を乗せてみると、やっぱり今度も「とーさんの手、つめたい〜」と言って触らせてくれなかった。
 ……、寂しい。

 みこりんが保育園な頃は、1ヶ月に1回くらいは扁桃腺を腫らして熱を出していたものだが、小学校に入ってからはそういうこともなく、すっかり丈夫になったものよのぅと安心していたので、ちょっと心配。やはり日々のうがいは忘れずに、かな。私も毎年のように有給休暇を使い切ってしまうほど、よく風邪をひいていたのだが、ここ2年ほどは毎日の漢方薬と帰宅後のうがい手洗い励行で、熱を出してダウンってことはなくなった。

 今夜一晩かけて、みこりんの体内では風邪のウイルスと激戦が繰り広げられることだろう。願わくば、みこりんが勝利しますように。


2006.10.24(Tue)

やってきたダイヤモンド

 弁当作りの時間を考えて、いつもより早めに目覚ましをセッティングしていたのだが、目が覚めたのはいつもと同じような時刻。あー、やってもうた。こういう時にはじたばたしてもしょうがないので、すみやかに気持ちを切り替え、弁当はLicに任せることにする。
 みこりんもまだベッドですやすやと寝息をたてており、これ幸いと額に手を当ててみる。あぁやっと触れた。
 ふむふむ。熱は平熱っぽいな。これなら学校大丈夫そうだ。

 みこりんを起こし、軽く朝食。みこりんはお弁当がどうなるのか心配していたが、ちゃんとLicにお願いしてあることを話して聞かせた。
 集団登校の時間が迫っていたが、みこりんの準備がまだのようなので、こちらもLicに任せて、私だけ先に出勤。みこりんの「いってらっしゃい」の声に、小さな幸せを感じつつ。

 *

 2時間残業して帰宅。
 みこりんはまだ鼻をずるずるいわせていたが、特に発熱もなく、小康状態。この調子ならば明日も大丈夫かもしれない。
 そんなことを思いつつ、ふとコタツの上にあるものに気が付いて驚いた。そこにあったのは『ポケットモンスター ダイヤモンド』だ。みこりんがクリスマスにサンタさんにお願いする予定の品である。それがなぜここに?

 Licが買い物ついでに買ってきてやったらしい。在庫があるうちに買っといた方がいいと思ったから、とLicは言った。たしかに昨年のように直前になっても入手できず、また“引換券”というのもなんだしなぁ。この商品はこの周辺でも『ダイヤモンド』が圧倒的に品薄状態らしいし。
 病気の時の“桃缶”みたいなもんか。
 さっそくみこりんがパッケージを開封して、DSで起動してみている。たしかこれもネットワーク対応だったはず。あとで触らせてもらうことにしよう。

 明日のみこりんの予定。郊外学習で博物館めぐり&地元のスーパーの見学。途中3.5kmの徒歩による移動あり。熱出しませんように。


2006.10.25(Wed)

霧の朝

 「起きて」という声で、目が覚めた。だが、猛烈な眠気は粘っこく意識を浮上させまいと抵抗を試みており、なかなかすぱっと起きられない。
 「お弁当〜」と、さらに声が続く。みこりんの声だ。今日は郊外学習の日なので、弁当がいる。ぬぉぉ、起きねば、起きなければ…

 やっとの思いで布団から体を起こすと、それに呼応するかのように、Licがむくっと起き上がった。朝をもっとも苦手とするLicが、目覚まし時計よりも先に目覚めた。すごい、弁当作る気まんまんだ。これが母の底力というものか。

 6時35分起床。
 みこりんの熱は、ほぼ平熱だったが、まだ鼻がずるずるのようだ。油断大敵。しかも今日は3.5kmを歩かねばならない。はたしてみこりんは耐えられるのか。移動だけなら親がクルマで運んでも構わないと先生に言われているのだが…
 「歩ける?」と、みこりんに確認してみると、きっぱりとみこりんは「歩く」と言った。ん、その意気ならば大丈夫かも。

 集団登校の時刻には間に合わなかったが、Licはお弁当をきっちり完成させた。私の分もあった。ありがたくそれを受け取り、みこりんをクルマに乗せて、登校班を追いかける。
 妙に霧がたちこめ、しかもそれが陽光に反射し、前方の視界がよくない。所々に集団登校する子供達の姿を見かけたが、みこりんの登校班ではないらしい。でもこの視界の悪さでは、どれがみこりんの班なのか私にも見分けがつかないかもしれなかった。
 結局、途中で登校班を見つけることはできず、学校に着いてしまった。午前7時25分。登校班のみんなが到着するまであと30分近くはある。もう一度みこりんを乗せて逆戻りするという手もあったが、それでも登校班を見つけられなかった場合、私の出勤時間に間に合わなくなってしまうので、みこりんを学校で降ろしてゆくことにした。教室のカギは開いているのだろうか。そのへんがちょっと心配だったが、みこりんも3年生なので、職員室で聞くなり自力でなんとかするにちがいあるまい。

 出勤のため、先ほど通ってきた通学路を逆送していると、途中で登校班の大集団と遭遇した。先頭に立っているのは、黄色い旗を持った大人。おそらく先生だろう。さっき通った時にはいなかったはずだが…?なんだか腑に落ちないものを感じつつ、時間が時間なので、とっとといつもの出勤ルートに戻った。
 しかし先生が先導してるということは、何か“異常事態”でもあったんじゃないのか?そのことがずっと引っかかっていたのだが、その後、Licからも特に連絡はなかったので、何事もなかったのだろう。

 *

 2時間残業して帰宅。
 みこりんの様子には、さほど変わったところは見られなかった。郊外学習を楽しんできたようだ。少し安心していたら、お風呂上りに「今日はとても疲れた」と、みこりんが言った。3.5kmという距離は、みこりんの予想していたのよりもちょっとハードだったらしい。しかも先生がかなり早歩きだったようで、それもきつかったみたいだ。
 まぁ交通量の多い道路を引率してゆくのだから、なるべく早く目的地に到着できるようにという先生の思いもあったのだろう。そんなことをみこりんに話して聞かせ、「おやすみ」を言った。
 明日は、特にイベントもなく、ごく普通の木曜日。みこりんの風邪も、そろそろ収束に向かうことだろう。あるいは昨日今日と張り詰めていた気がゆるんで、どばっと熱出す可能性もあるが…、たぶんきっと大丈夫。


2006.10.26(Thr)

木曜の夜

 熱はさほど出なかったものの、みこりんの今回の風邪は喉と鼻にきているらしい。ゆえに、学校にはポケットティッシュを多めに持っていき、帰宅後のうがいを欠かさないよう、みこりん自身でも気をつけているようだ。
 特に喉をやられたことにより、就寝中の咳込みがひどい時間帯があって、自分でもしんどい思いをしているからだろう。ただ、みこりんには“布団を掛けると暑くて寝られない”という小さい頃からの特性があり、夜中に様子を見に行くと、いつも掛け布団を蹴飛ばして冷え冷え状態になっていて、これが風邪の治りを遅らせている原因の1つなんじゃないかと見ているのだが、掛け布団を掛けなおしてもすぐに蹴り蹴りしてしまうので、どうしたものかと思っているところだ。掛け布団そのものは、夏用といってもいいくらいの薄手のものなので、これで冬仕様の分厚いものなどに交換してしまうと、よけい蹴り蹴りがひどくなりそうで悩ましい。
 小さい頃はこの対策として、寝るときには着ぐるみを着せて対処したものだが(不思議と着ぐるみなら寝られるらしい)、今一度、着ぐるみが必要なのかもしれない。

 さて今夜は、みこりんがコタツでいつのまにか寝入ってしまっていた。コタツそのものの電熱器は取り外しているため(寝転んだとき邪魔だから)、熱源は床に敷いてあるホットカーペットのじんわりとした温もりのみ。“暖かい”というよりは、“冷えすぎない”程度の温もりなので、みこりんが寝入るにはちょうど良い具合だったのだろう。それでもみこりんの額付近は汗ばんでいて、その小さな手に触れてみればあまりの熱量に驚いてしまうほどだった。
 みこりんはエネルギーに満ちている。こ、これが若さというものか。

 あんまり心地よさそうに寝ているものだから、ベッドに連れて行くのがためらわれてしまったが、一晩中ここで寝かせるわけにもいかないので、22時過ぎ、「だっこするよー」と声をかけつつ、両脇に腕を回し、みこりんを抱き上げる。寝ていても私の声は理解しているらしく、抱っこされやすいように体をいい感じに移動させてくれるのでやりやすい。これを声かけずに問答無用で抱き上げようとすると、びっくりして目を覚ましてしまうことがあるので、寝ていても声をかけるというのは結構重要。

 抱っこの仕方は、ちょっと前までならいわゆるお姫様抱っこが定番だったが、これだと階段の壁に頭や足が擦れてしまうようになったので、今は縦抱きがデフォルトである。
 体が大きくなった分、それに比例して体重もぐっと増えた。階段を上がりきるだけで、息が荒くなってしまう。来年の今ごろは、もしかすると抱っこで階段上がるのはかなり困難になってるかもしれない。来年みこりんは10歳になる。…ティーンエイジャーか。早いものよのぅ。
 そんなことをしみじみ思いつつ、みこりんをベッドにそろっと降ろし、掛け布団を掛けてやった。たぶんすぐに蹴り蹴りされてしまうだろうけど。

 さわさわと頭を撫でて、「おやすみ」を言うと、みこりんはもぞもぞと横向きになり、すぐにすぅすぅと規則正しく寝息を立て始めた。
 なんだか金曜のような気がしてしまう、木曜の夜の出来事である。


2006.10.27(Fri)

PHAZER

 起きたら軽く7時20分を回っていたので、午前中を有給休暇にして、お昼からゆったりと出勤。クルマで団地の坂を下っていると、集団下校してくる小学生の列が見えた。その中に、みこりんの姿もある。今日はLicが休暇の日なので、みこりんも集団下校することになっていたのだ。

 みこりんの横を通過し、バックミラーで確認すると、こっちを振り返って見ているみこりんの姿が見えた。
 心の中で「行って来るよ、みこりん」と言いつつ、団地を下り、一般道へ。ちょうどその合流地点にコンビニがあるのだが、そこの駐車場に置いてあったバイクを見て、私は我が目を疑った。

 YAMAHA FZ250 PHAZER II型、赤と白のツートンカラータイプのマシンが停められていたのだ。太陽の光を浴びて、ボディはきらきらと輝いて見えた。
 このマシンが登場したのが1986年のこと。その後、すぐに生産中止になっているので、約20年前のバイクということになる。ちなみに私が最初に乗ったバイクが、このFZ250 PHAZERのI型(1985年製)、白いボディにブルーのラインが入ったタイプ。
 90年代には、まだそこそこ走っている姿も見たことがあったが、新世紀になってからはその記憶はない。というかバイクそのものが減っているので、バイク野郎を見かける機会自体が少なくなっているというのも一因ではあろうけど。

 私が今もガレージに保管している自分のPHAZERは、今は故障中で動けない。たぶん相当手を入れなければ再起は不可能と思われる。なにしろ昔のバイクだし。
 それに比べてコンビニ前に停めてあったPHAZERは、まだばりばりの現役っぽい。ボディの輝きからみて、かなり整備されているものと思われる。80年代後半のバイク全盛期だった頃のマシンが、突如目の前に出現した驚きというのは、若かりし日々の記憶まで一瞬に呼び覚ましてしまうものらしい。あぁ、なにやら心が和らいでゆく感じ。

 なかなかよいものを見させてもらった。これだけで今日一日幸せな気分に浸れそうだ。


2006.10.28(Sat)

ダイヤモンド

 午前中、ウッドデッキで友達と泥団子を作って遊んでいたみこりんだったが、午後はDSで『ポケットモンスター ダイヤモンド』を起動。こつこつとレベル上げに励んでいる様子。何度かポケモントレーナーに挑戦してみているようだが、相手のポケモンのレベルは20ちょい。対するみこりんのポケモンは、まだレベル13とかそんなものなので、私の目からすると到底勝ち目はなさそうに思えるのだが、みこりんにはなぜか“勝てるはず”と思っているふしがあるようだ。

 しかしさすがに何連敗もしてしまうと、このままではまずいと思ったのだろう。もう少しレベルを上げてから再戦することにしたらしい。うんうん、その方がいいと思うぞ、みこりん。

 30分後…

 「これで勝てるんよ、きっと」
 みこりんはうきうき顔である。
 ほほぅ、どれどれ。レベルを確認してみると、みこりんのポケモンはレベル18になっていた。

 んー、まだちょっと微妙かなぁ。でも黙って対戦の様子を観察してみたところ…、やはり負けてしまったらしい。ま、来週にはなんとかなりそう。

 ここで対戦はひとまず終了。みこりんがネットワーク機能のことについて気にしている。「ここで何ができるのかな?」と言っているので、実際に試してみることにする。
 Wi-Fiコネクタのドライバ(PC登録ツール)は、以前、私のPCのOSをクリーンインストールした際、消去したままになっていたので、再度ドライバのインストールから。と、その前に、新しいバージョンを確認してみたところ、更新日:2006年5月1日のやつがあったので、そちらをダウンロード&インストール。

 以前のバージョンではWindowsの共有設定をしていても、Wi-Fiコネクタを装着したマシンにアクセスできなくなるという不具合(?)があったけれど、今回のはどうだろうか。あとで確認しておこう(後日、確認したところ、まだこの症状は再現するようだ。何か解決策がありそうな気もするが…)。
 さて、さっそくDSでWi-Fi通信の設定を行い、みこりんにネットワーク機能を使ってみるように勧めてみたのだが、なぜだか恥ずかしがっているみこりん。んー、これは…

 見知らぬ誰かといきなりネット上で遭遇してしまうのを恥ずかしがってるような感じ?低学年な頃はもっと無防備だったみこりんだが、さすがに3年生ともなると、いろいろ考えるところがあるのだろう。その警戒感は大切だ。
 でも今は私が一緒なので、さくっと試してみることにする。
 このソフトのネットワーク機能は大きく分けて2つあるらしい。今、試そうとしている機能はチャット等ができる方。カウンターのお姉さんに話しかけると、いきなりぐぃっとキャラが異空間に吸い込まれ、出た先はすでにネットにつながった部屋のようだ。身構える暇もなかった。

 部屋の中には、みこりんのキャラしかいない……、いや、他にもう一人いた。さっそくそのキャラの近くまで移動していって、何かアクションを、と思ったが、これどうやって会話すればいいんだ?はたと手が止まってしまった。メニューか何か出ないのかなと、画面をタッチペンですりすりしてみたが特に変化なし。んー、困った。
 みこりんは私のそんな様子を見て、おかしがっていた。タッチパネルになってない方の画面にまでタッチしてたのがツボだったらしい。
 そうこうしているうちに、ボタンでメニューが出てくることにようやく気づく。そりゃそうだな、これ基本。タッチペンにばかり意識が向いてて、ボタンのことをすっかり忘れていた。
 で、話しかけようかな、なんて思ったら、相手がじつはNPCなことに気がついたのだったorz...

 このチャット空間には、みこりんの他に誰もいないらしい。もしかするとこれはプライベートルームなのかも?どこかにチャットルームのハブがあるのでは、と思ったりもしたが、今日のところはWi-Fiコネクタが正常に作動することを確認できたのでここでおしまい。あとはみこりんがWi-Fi通信できるリアルな友達と、遊ぶ約束でもしてくることだろう。


2006.10.29(Sun)

胴体の長い犬

 低反発マットの枕に替えてしばらくは、後頭部に妙なコリのようなものを感じていたが、さすがに近頃では頭のほうが慣れたのか、あるいは枕が頭に合うようになったのか、違和感はなくなっていた。しかし、私とお揃いの枕を買ったみこりんの方は、まだちょっとこの枕は高さが合わなかったようだ。
 というわけで、再度、みこりんの枕を買いに、最寄のスーパーの寝具売り場へとやってきた。地元のプロ野球チームがリーグ優勝したとかで、一律20%オフになっていたのはラッキーだった。

 みこりんには、あらかじめ心に決めた枕があったらしい。
 Licがその中から数種類を選び出し、「どれがいい?」と聞いている。見れば、いかにも子供の頭に優しそうな薄い枕(中身はやはり低反発素材が入っている)。しかも枕カバーにはディズニーのキャラが。スティッチにプーさんに、ミニーマウス。私はてっきりスティッチをみこりんは選ぶだろうと思ったのだが、普通にミニーマウスにしたようだ。春、ディズニーランドに行った際にはやたらとスティッチにはまっていたと記憶しているのだが…。

 みこりんの枕が決まったところで、私は別のモノに強烈に惹かれていた。
 やはりこれも低反発素材で出来ているのだが、いわゆる座布団のような感じの厚みが8cmほどのマットである。日ごろ、自宅で自分のPCを操作する時に、床にミニタワーを直置きして、その筐体の上にキーボードを置いている関係上、どうしても普通の座布団ではちょっと薄すぎる。かといって椅子では高すぎるし、もっとこういい感じに厚みのあるマットのようなものがあるといいなと思っていたところだったのだ。
 まさにこれはうってつけの品のように思えた。お試し用のベッドにそのマットを持っていき、座ってみる。…ぉ、このじわぁっと沈み込んでゆく感じがたまらん。値段は…、1000円だった。高いんだか安いんだかよくわからないが、とりあえずこれは買いかな。

 みこりんはみこりんで、枕が決まったので、さらに別の品に興味を惹かれている様子。
 みこりんが抱きしめているのは、胴体のながーぃ犬のぬいぐるみだった。いや、ぬいぐるみというか、それはいわゆる抱き枕?Licがそれを指して『シュナウザー』と称しており、何か最近の流行の品なんだろうか。それとも単に犬種がシュナウザーってことかな?
 私の謎はとりあえず置いておいて、みこりんがどうしてもその胴体の長い犬を連れて帰りたいらしいので、それも買っていくことにする。商品棚に同種のものがなかったので、お試しベッドに置いてあったその現物を買い。

 *

 帰宅後、私はさっそくマットをPCの前に置いて正座。
 ん、いい感じ。
 みこりんは胴体の長い犬をひしと抱きしめたまま、寝室へと引き上げていった。きっといい夢を見ることだろう。


2006.10.30(Mon)

まどろみの朝

 「寝過ごした…」というような、みこりんの声が聞こえた気がして目が覚めた。
 カーテン越しに届いてくる陽光が、いつもより明るく感じる…

 寝起きの脳は動きが鈍い。今が何時であるのかに思い至るまで、かるく10秒ほどかかってしまった。

 こつこつと絶え間なく回転する秒針と、そこに取り付けられている長針と短針。組み合わせると、現在時刻がリアルに認識できた。

 午前7時50分………orz...

 くぅ、またしても半日休暇を使わねばならんとは。不覚。
 とりあえずダッシュで着替え、みこりんを学校へとクルマで運び。

 胴体のながーぃ犬、シュナウザーは、確かにいい夢を見せてやってくれたようだ。

 *

 その夜、Licが語ってくれたことによれば、夕刻、午後6時半、家中の目覚まし時計が一斉に鳴り響いたという。ちょうど一回りして再起動したらしい。私の部屋に2つ(+ケータイのタイマー)、みこりんの部屋に1つ。これだけ動員していながら、今朝は誰一人として目覚められなかったとは、おそるべし。

 今夜もみこりんは、シュナウザーを大事そうに抱きかかえて眠りについた。
 よほど抱き心地がよいのだろう。Licが貸してほしそうにしていたが、しばらくはみこりんの手を離れることはなさそうだ。


2006.10.31(Tue)

戦争

 先週まで、みこりんが宿題として毎日音読していた国語の教科書の内容は、とても哀しいお話だった。
 第二次大戦終盤、日本に空襲(今風に言えば空爆)が行われていた頃の、ある家族の物語。体の弱い父までが徴兵されるその前日、家族で遊んだ“かげおくり”のつつましくも幸せな光景。そして、激しい空襲の夜。逃げる途中、母と兄とはぐれてしまった小さな妹は、たったひとり、焼け跡に戻ってくる。
 しかしいくら待っても母と兄は戻ってこない。二日経ち、女の子は弱りきった体で、目を覚ます。太陽が照りつける朝、家族で遊んだ“かげおくり”の情景が脳裏に蘇り、やがて空から父と母、そして兄の白い影が降りてくる。女の子は、家族の名を呼び、いつしか自分の体が空に浮かんでいるのを知る。

 「きっと、ここ、空の上よ。」
 と、ちいちゃんは思いました。
 「ああ、あたし、おなかがすいて軽くなったから、ういたのね。」
 そのとき、向こうから、お父さんとお母さんとお兄ちゃんが、わらいながら歩いてくるのが見えました。
 「なあんだ。みんな、こんな所にいたから、来なかったのね。」
 ちいちゃんは、きらきらわらいだしました。わらいながら、花畑の中を走りだしました。
 夏のはじめのある朝、こうして小さな女の子の命が、空に消えました。

『ちいちゃんのかげおくり』あまんきみこ作

 近頃みこりんは、「みこりんが大きくなった頃、戦争がはじまるのかな?」と言うようになった。3年前のイラク戦争の映像は、みこりんの中で今も生々しく残っているらしい。高感度カメラで中継される真夜中の対空砲火と爆発のイメージ。戦闘車輌が移動してゆくライブ映像、そして生々しい銃撃戦。
 さらに中国における反日暴動の映像。北朝鮮の弾道ミサイル発射に続いて、核実験。韓国による竹島侵略、中国の軍拡、尖閣諸島侵略を狙う中国の潜在的脅威。それに加えて連日のように発生する子供が巻き込まれる殺人事件事故…。それらが渾然一体となって、みこりんの目と耳を通じて入ってくる。
 小学3年生のみこりんにとって、それらはどこか遠い国の自分に無関係な出来事ではなく、リアルな現実的恐怖として感じ取っているようだ。無理もない。私でさえ、将来に不安を感じる時があるくらいなのだから。近い将来、日本が巻き込まれる武力紛争あるいは戦争が起きる可能性は、私が明日交通事故で死ぬ確率よりは高いかもしれない。

 やりきれない無力感にさいなまれることもある。しかし、みこりんが戦争の心配をしなくても済むように、私は私のやれることをしよう。

 *

 10月31日付・読売社説(1)[河野談話]「問題の核心は『強制連行』の有無だ」

 この社説の中に、次のような一節がある。

 慰安婦問題は、一部全国紙が勤労動員制度である「女子挺身(ていしん)隊」を“慰安婦狩り”だったと虚報したことが発端だ。慰安婦狩りをやったと“自白”した日本人も現れたが、これも作り話だった。政府の調査でも、強制連行を示す直接の資料はついに見つからなかった。

2006年10月31日2時9分 読売新聞社説より

 一部全国紙とは、言うまでもなくあの朝日新聞のことである。朝日新聞は、これ以前にも歴史教科書検定で“侵略”を“進出”に書き換えさせたなどと捏造報道を大々的に行い、中国・韓国との外交問題のきっかけを作った。そのような書き換えの事実はなかった、あれは誤報だったと、今頃になって朝日新聞はこっそりと社説の片隅で認めたが、そこにはまったく誠意は感じられなかった。歴史教科書問題は、いまだに中国・韓国から難癖をつけられ、反日運動の原動力になっている。従軍慰安婦問題も然りだ。日本人の中にさえ、いまでも従軍慰安婦の強制連行があったという誤報を、事実だと信じている人もいるのではないか。

 意図的に反日感情を捏造報道によって煽り立て、無用の対立を生んでおきながら、その口で反戦平和を能天気に唱えている朝日新聞およびその取り巻き。このような連中の好き勝手を、私はけして許さない。


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