2007.3.1(Thr)

春三月

 2月はあっというまに去り、とうとう年度末。今年の冬は、そこそこ寒い日もあったが、みこりんが楽しみにしていたほどの積もる雪は滅多に降らず(1回くらい)、スタッドレスタイヤも宝の持ち腐れ状態だった。とはいえ、過去、3月に季節外れの大雪に見舞われたことはあるので、油断大敵。でも、このまま春になってしまう予感がひしひしとする。

 春の陽気に誘われて、裏の空き地で発情した野良猫が無気味な声で鳴きながら、夜、徘徊するようになった。これがみこりんには怖い。そのせいかどうか、眠る時には枕元の時計付きCDプレーヤー&ラジオ(昔ならラジカセと表現する装置だが、今時のやつにはカセットプレーヤーが付いてないので、なんと呼んでいいものやら悩んでしまう)で、6月のエレクトーン発表会で弾くことになっている曲『交響詩「希望」第三楽章 Road of Hope』(作曲:葉加瀬太郎)をリピート&スリープモードにしてかけている。
 この曲は、たいそう気に入っているようで、何度聞いても飽きないらしい。たしかにみこりん好みな雄大な曲である。ちなみにこの曲は、ファイナルファンタジーXII メイン・テーマの一節。プロモーションムービーで聞くと、さらによし。

 そして夜、なにげなくAmazonで“火浦功”を検索してみたところ、『未来放浪ガルディーン外伝1 大出世。』に“ショッピングカートに入れる”マークが付いているのに気づく。詳細ページに飛んでみると、なんと在庫あり。しかも残り「1」。ひょっとして他のやつもいけるのではと、『ガルディーン』シリーズを超高速に調べてみた。
 『未来放浪ガルディーン1 大熱血。』、『未来放浪ガルディーン2 大暴力。』ともに買える状態になっている。これまでずっと在庫なし状態だったのに、いったいどうしたというのだろう。いやいや、そんなことを考えている間に“在庫なし”になってしまうやもしれず、やや焦りつつ、それぞれショッピングカートに入れる。そして、買う。なんか、妙に緊張した。

 『ガルディーン』シリーズは大学時代に1巻、2巻を買っていたものの、卒業と共に、いろいろ処分した本の中にそいつもまじってしまっていたらしく、行方不明になった。その後、何年かして角川スニーカー文庫で復活したのを本屋で見かけたものの、ここで油断してしまって今日までゲットすること叶わず。…、じつに長かった。20年ぶり、か。
 しかし、『ガルディーン』シリーズにはまだ、3巻と外伝2巻が存在する。いまのうちに古本で買っておかないと、数年後には入手不可能になってそうな…。


2007.3.2(Fri)

ギガの世界

 今宵はLicとみこりんが、ご馳走を食べに出かけているため、家の中がさびしい。というわけで、にゃんちくんとひとしきり遊んだ後は、家庭内LANを少々いじってみることにする。

 用意するものは…

  • ギガビット対応イーサネット・カード
  • ギガビット対応スイッチング・ハブ
  • ギガビット対応LANケーブル

 まず、PCをバラしてくっつけないといけないイーサネット・カードから…、と思ったが、LicのPC2台を置いてあるその奥に、とぐろを巻いている様々なケーブル類や、降り積もった埃の山のようなものが存在するのを見て、ここから片付けることに変更。

 絡み合っているケーブル達を、ぶちっと強引にひっぱがしそうになる衝動を抑えつつ、やわらかく解きほぐし…
 雑巾を水で濡らし固く絞ってきて、ほどけたケーブル類を、磨き上げるように拭く。

 床置きの2つのテーブルタップの上にも、空いている箇所に埃が積もっていたので、一度全部電源ケーブルを引き抜き、丹念に拭いた。ここから火花が散って引火でもした日には、大変である。
 で、その下にある床は……、見なかったことにしたいくらい、埃というか、得体の知れないふわふわしたものが敷き詰められていたので、そこも雑巾でざっくりと拭いた。んー、たしかちょっと前にここはLicが掃除してたような…。ふわふわパワー恐るべし。

 雑巾を5回ほど洗わねばならなかったが、まぁとにかく足を踏み入れても平気なくらいにはきれいになった。
 この掃除とケーブル類の整頓だけで、蓄えていたエネルギーの90%ほどを使い切ってしまったような気もするが、ここは1つ深呼吸でもして、作業を続行。スイッチング・ハブから取替えにかかる。
 LicのPC側に1つ、私のPCの方に1つ。そしてその間を結ぶ、長いLANケーブルを張りなおし、個々のPCに接続する短いLANケーブルをそれぞれ何本か挿し。
 ここまで準備が終わると、いよいよPCに新しいイーサネット・カードを接続できる。この作業に入る前に、新しいイーサネット・カード用のデバイスドライバを各PCにインストールするのと、オンボードのLANを機能停止にしておくといろいろ不都合がなくていい。

 *

 家庭内LANがギガビット環境に変貌を遂げ、Licが用意しておいてくれた特製チャンポンメンを温め直し、二口ほどすすったところで、玄関方面から何やら物音が…。

 「ただいまー」と、元気にみこりんが戻ってきた。早っ、と思って時計を見上げてみれば、すでに22時を回っている。
 感覚的には1時間くらいのつもりが、実時間では4時間あまり経過していたようだ。そのわりに空腹感がそれほどでもないのは、なんだか奇妙な気もしたが、実時間よりも体感時間の方に肉体が反応するのは、もしかするとより自然なことなのかもしれない…。

 ところで、今回使用したLANケーブルはエンハンスド・カテゴリ6の品である。10ギガビットイーサネットまで可のケーブルだ。…しかし、こうやってどんどん家庭内LANを高速化していっても、家から外に伸びてるやつがこれに追いついてくるにはあとどれほど待てばよいのだろう。もしかすると追いついてこないかもしれないが、この世界の常識は数年後にはあっさり破られてしまうことは多々あり。願わくば、5年後くらいには『ブレイク・エイジ』級の娯楽が家庭で可能なほどになってますように。


2007.3.3(Sat)

10円セール

 “CD&DVDいずれもレンタル料10円セール開催”の、お知らせメールを受信したのが約1週間前のこと。最寄のレンタル屋が改装オープンするにあたり、土日限定の大盤振る舞いに打って出る、らしい。
 10円…。13枚借りても130円。これはきっと…、開店待ちの行列ができているにちがいない。人ごみがものすごく苦手な私にとっては、そのような環境に身を投じるのは苦行以外のなにものでもないが、10円という響きにはそれを凌駕する心地良さがあった。

 というわけで、午前10時過ぎ、家族揃ってレンタル屋に出発。すでに開店時刻を過ぎているため、あらかたの商品を借りられまくったあとの、閑散とした店内など思い浮かべつつ、駐車場に着いた。
 ぎっしり並んだ車の列に、しばし唖然とする。んー、やっぱりこうくるか。そりゃそうだ、みんな10円のチャンスを逃すはずはない。どうにか1台分の隙間を見つけて、駐車。みこりんは、自分が借りたいDVDの名前を繰り返し唱えているが、はたしてこの状況では残っているかどうか、かなり不安。

 駐車場の様子から想像していた通り、店内はものすごい人であった。普段は多くてもレジ待ち行列5人程度のところに、今は100人以上が連なっている。陳列棚の奥の方まで、行列はうねうねと伸びていた。
 そんな状況だったので、とてもみこりんを連れて移動できる空間はなく、みこりんに「ほら、その隙間から入っていっておいで」と、一人送り出すのが精一杯。子供一人ならば、どうにか入り込める余地があるかないかといったすさまじさ。みこりんはひきつった表情ながらも、借りたいDVDによほど執着があるらしく、果敢にアタックしていったのであった。
 強くなったな、みこりん…。

 人波に消えてゆくみこりんを見送ったあと、私は比較的人の少ないアダルト方面からDVDコーナーへと潜入することに成功し、最深部で一息つくことが出来た。さすがに行列の最後尾はここまで伸びてはいなかったようだ。
 さて、物色開始。

 わりとDVDの数は残っていた。なんか妙だな、と思っていたら、最後尾を指揮する店員さんが「お一人様、音楽系5枚、映像系5枚までとなっております」とアナウンスしているのが聞こえた。メールにはそんな条件は書いてなかったはずだが、おそらくここまでの人が一気にやってくるとは店側も予測していなかったのではなかろうか。急遽、そういうルールになったのだろう。道理で、がばっとオトナ借りしてる人の姿がないわけだ。

 5枚と制限がつくと、シリーズものを一気借りするのはほぼ不可能。ばらばらに5枚となると、なかなか選ぶのも難しいものだ。しかもみこりんが借りる分も考慮しなければならないので…。なんて考えていると、みこりんがどこからともなく現れた。どうやら目的の品がどの棚に並んでいるのかわからないらしい。改装オープンで店内の商品の配置がごっそり入れ替わっているため、みこりんの機動性の高さをもってしても探しきれなかったようだ。
 とはいえ、私が一緒に探してやれるほどの隙間はない。私はみこりんをはげまし、再度、送り出すのであった。

 *

 人の熱気と、人波独特の圧迫感で、頭がぼぅっとしてくる。んー、そろそろ限界か。みこりんは首尾よく自分の借りたいDVDとビデオを1つずつゲットしており(よその子が店員さんに、あるDVDの在り処を質問してるのを聞いて、その作品傾向の類似度から推測して目的の棚を見つけたらしい)、Licも比較的空いていたCDコーナーで、まるで新品のように美しい『FINAL FANTASY XII』の初回限定版サウンドトラックや、私向けにangelaの『I/O』などを借りてくれており、これ以上この場に留まる理由もなさそうに思える。でもまぁとりあえず10円なので、某声優のCDとか栗山千明関連の映画のDVDなど、咄嗟に思いついたものを2つほどつかんで、レジの行列に合流したのであった。

 レジまであと数人というところで、Licが中古のPS2版『FINAL FANTASY XII』が1980円になってるのを見つけ、これも買い物カゴに加わった。
 そしていよいよレジでピッしてもらったところ…、お会計「2060円になります」
 「…は?……いやいや、それでOK」頭がぼーっとしていたので、その金額が異様に安く思えてしまい、一瞬動きが止まってしまったりもしつつ、どうにか支払いを終え、外に出る。

 あぁ、空が青い…。3月上旬とは思えぬおだやかな風が、心地良かった(でも花粉舞ってるからあとで怖いことに…)。

体力測定

 うちの場合、テレビの横に、PS2を縦に置いてある。そしてさらにその隣に、今日、新たな仲間が1つ加わった。
 10円レンタルと、本を買いに行ったはずが、なぜか帰宅したときには『Wii』も一緒だったのだ。

 縦置きにして、電源ON。本体はコンパクトだが、隠れたところにあるACアダプタがかなり巨大。がんがん発熱しそうで、背後に隠しておくのがちょっとためらわれるほどにでかい。そんな私の心配をよそに、みこりんがさっそく“Mii”の作成にとりかかっている。

 “Mii”とは、いわゆるアバターである。“Mii”に対応したソフトならば、そのソフトに“Mii”が登場してくるらしい。みこりんでもさほど困らない程度の各種パーツが取り揃えられており、ほどよく擬人化された私とLic、そしてみこりんの3人分の“Mii”が、やがて出来上がった。
 ここまで単純化するかと思うほど、ものすごい簡素な手足と胴体。でもかえってそれが、顔の表情を際立たせる効果があるのかもしれない。昨今のリアルな3次元空間に慣れた目で見ると、やや物足りないような気もする…。でも、これはこれでいいのかも…。みこりん的には、十分OKらしい。

 ではさっそくWiiリモコンとやらの威力を体感してみよう。本体と同時に買ってきたソフトは『Wiiスポーツ』のみだが、これで基本操作はほぼ網羅しているはず。
 まずみこりんが体力測定に挑戦。
 先ほど作った“Mii”が登場している。最初の競技はボーリングだった。
 胸の前にリモコン持って構え、Bボタン押し、実際の投球モーションで投げる寸前にボタンを離す。みこりんはこのボーリングを以前からやってみたかったらしく、なかなか投球フォームもさまになっている。しかし、ボールを放す直前に腕の振りが左方向にぶれるようで、玉は途中までまっすぐ進むものの、ピン直前でするっと左に逸れていってしまった。
 んー、惜しい。でも、何度か試しているうちにコツをつかんだらしく、そこそこピンを倒せるようになってきた…、と思ったら、次の競技へ。

 今度の画面はテニスコートだった。50球打ち返せばいいらしい。
 みこりんはバドミントンの要領で実際にラケットを持っているかのように、リモコンを持つ手を構え、向かってくるボールに合わせて足を踏み込み、振る。プログラム的にはリモコンの上下方向の位置はとってないっぽい挙動だが、ついついボールに合わせてボレーしたり、スマッシュしたり。みこりんの動きも、さきほどのボーリングよりかなり激しい。

 そして最後が野球。何本ホームラン打てるかというもの。
 バットを振る要領は、さきほどのテニスと似ているが、視点がキャッチャー付近にあり、ボールの遠近感がいまいちとれない。テニスの場合は斜め上から俯瞰する感じだったのでタイミングがとりやすかったが、これはまっすぐ突っ込んでくるボールの大きさだけでタイミングをとらねばならず、見ているこっちまでぐっと力んでしまうほどドキドキする。
 みこりんはかなり苦戦していたようだが、それでも若いだけあり適応力は我々よりも高く、ほどなく何本かスタンドに叩き込めるようになっていた。

 体力測定、終了。
 気になる結果は………、みこりんの肉体年齢“87歳”。これにはみこりんも動揺を隠し切れず。私にもやってみるよう言うので、チャレンジしてみたところ…、私の肉体年齢は“68歳”と出た。バッティングはみこりんに比べてぜんぜんダメだったのだが、テニスでどうにか挽回した感じ。みこりんさらにショック。
 最後にLicが挑戦。テニスのフォームがみょーにきれい。たぶんリモコン持ってる手を、ちょいとふるだけでOKのはずなんだけれど、画面に引き込まれてついつい本物のラケットを握ってる気になってくるのが不思議なところ。“Mii”のチープなモデリング侮りがたし。ビジュアルをリアルにするだけがシミュレーションじゃない、ってあたりを痛烈に思い出させてくれる。ちなみにLicの肉体年齢は“69歳”。みこりんさらにさらにショック。


2007.3.4(Sun)

カセットテープ・デジタル化計画

 朝から地球の重力に変動があったのではないかと思われるほど、体が重い…、だるい。リビングの床に長々と平べったくなってみたが、回復のきざしなく。
 みこりんが昨日借りてきたDVDの続きを借りに行きたそうにしていたが、ちょっと今日は無理っぽい。

 夕方になっても症状が改善しないので、念のため体温計で体温を測ってみたところ、私は平熱+α、Licがやや微熱、みこりんがLicよりもさらに微熱という結果に。
 みこりんに「大丈夫?」と聞いてみたところ、本人は普通に平気らしい。たしかに体温は一日の間でも上下変動はあるしなぁ…、と思いつつも、私の不調の原因が花粉ではなさそうだという気がし始めていたところだったので、ちょっと心配。

 気晴らしに、みこりんがCD化してほしいと持ってきていたカセットテープを、PCに取り込むことにした。
 このカセットテープは、19年前、私が大学時代にCDから録音したものだ。『みんなのうた ベスト・アルバム』、この中に収録されている『おはようクレヨン』や、『風のオルガン』は、今聞いても名曲だと思う。おそらくみこりんも気に入ってくれたのだろう。

 私のPCにはカセットテープのデジタル化のため、常時、AKAIのカセットデッキ“GX-R60”が接続されている。この装置も大学時代に使っていたやつなので、相当古い。が、ノイズリダクション“dbx”で録音したテープの再生には、こいつが必要なのだった。

 カセットテープのPCへの取り込み、つまり録音には、フリーソフト版の“SoundEngine”を使っている。これまで使っていたのはバージョン2.954だったが、サイトの方に新しいバージョン2.99があったので、こちらを試してみることにした。
 ところが、なぜか録音ボタンをクリックすると、再生タブに切り替わってしまい、うまく動かない。しばらく試行錯誤してみたものの、どうやらこれはソフトのバグっぽい感じがしたので、旧バージョンに戻して録音開始。こちらはまったく問題なく動作した(2007.3.11追記:現在の最新バージョンは2.991[2007.3.6登録]のようだ。もしかするとこのバグ?は修正されたかもしれない)。

 アナログ音源の再生は、毎回きっちり同じというわけにはいかず、録音レベルや左右バランスの調整を細かに設定しても、いざ本番となると、微妙にそれらがずれてしまったりして、なかなか気を使う。十数回、設定をやり直したものの、まだちょっと合わしきれてない。でもこれ以上微調整する気力がそろそろ尽きかけていたので、本番録音開始。
 録音中はずっとヘッドフォンから耳を外さず、おかしなノイズなどがないことを確認しつつ。

 A面が終わると、カセットテープを裏返してB面の録音。この裏返すという操作が必要な記録媒体は、現在ほとんど残ってないので、A面とかB面とかいってもいまどきの人には通じないのかも…。実際、みこりんはなぜ裏返すのかかなり疑問に思ってるようだし…。
 B面まで無事に終わると、それぞれでっかいファイルが1つずつ、計2つ出来上がる。あとはこれを曲ごとに切り分けねばならないが、いちいち手動でやるのも面倒だ。というわけで、私が愛用させてもらっているのが、フリーソフトの“wavez”だ。かなり古いソフトで、しかもβ版だったりするけれども、今のところ不都合なく使えている。
 無音部分と想定する、レベルと時間を設定して、自動分割開始。比較的ノイズの少ない音楽ファイルならば、だいたいこれ一発で曲単位に切り出してくれるので、なかなか便利。ノイズが多かったりすると、うまく無音部分を抽出できなかったりもするけれど、まぁそのときはSoundEngine使って手動で切ってしまえばOKなので、あまり問題なし。

 最後の仕上げに、切り出したファイルに曲タイトルをつけて、出来上がり。あとは適当なツールでCDに焼くだけ…。でも今日はちょっと疲れたので、ここでおしまい。


2007.3.5(Mon)

不調は続く

 みこりんに「おはよう」と言ったつもりが、己の口から出たのがこの世のものとは思えぬしわがれ声だったので驚く。喉が、いぃ感じに痛い…。昨日の不調を引きずってるようだ。でも、みこりんは元気そうなので安心する。
 多少のだるさはあったものの、動けないほどではない。そのまま仕事に出かけた。

 午後…。15時を過ぎたあたりで、急激に悪寒のようなものに襲われ、しばし席を外す。
 人気のないエレベータ前の休憩場所で、ソファに座り、真横に立っている自販機で買った炭酸飲料をちびちび舐めつつ、回復を待つ。胃のあたりの不快感は胃腸風邪っぽい気もしたが、きりきりと痛む頭と、嗄れた喉、全身の倦怠感、これらはちょっとここ最近覚えのないものばかりだ。体が発熱している気配もあり、症状が回復する兆しはなかった。

 17時30分、じっと座っていることが耐え難くなってきたので退社。駐車場までのわずかな道のりを、途中1回休憩いれつつ、どうにか歩ききり、クルマのシートに座り込む。
 さっき、すーっとする胃薬を飲んだせいか、多少ラクになったような気もする。いまのうちにとっとと家に帰ってしまおう。

 *

 みこりんとLicは音楽教室のため、家の中はしーんとしている。
 体温計を脇の下にはさみ、待つこと20秒。体温チェック。

 「37.6度…」

 おとなしく寝ていよう。
 しかしこのあとも、ぐんぐん体温は上昇し、結局、眠る前には38.4度を越えたりなんかしつつ…。んー、これは、まずい。


2007.3.6(Tue)

A型

 目覚めた瞬間に、発熱時特有のいやな“匂い”が喉の奥のほうでしているのがわかったが、とりあえず体温計で測定してみる。待つこと約20秒…、やがてピピと終了を告げる電子音が鳴ったので、確認。

 38.6...orz

 念のため3度ほど計測してみた。やはり、平均的に38度の半ばを超える程度はあるらしい。
 有給休暇は残りゼロだが、こうなってしまってはいかんともしがたい。病院に行かねばなるまい(診断書が必要だ)。というわけで、Licに連れて行ってもらった。

 火曜日の午前中ということもあり、待合室はわりと空いていた。ほどなく名前を呼ばれたので、診察室へ。先生に日曜日からの経過を説明する。
 ふむふむと聞いていた先生は、やがて「近くでインフルエンザになった人はいますか?」と問うた。みこりんが先月インフルエンザにかかったので、そのことを話すと、「ちょっと間が開いてますね」と、しばし考え。しかし結局、私もインフルエンザの検査を受けることになったのであった。

 検査室にて、鼻の奥からぐりぐりっと綿棒で検体を採取。ぐりぐりされてる最中はちょっと痛いが、そのあとは妙に鼻がすぅすぅと通って気持ちいい。しかしこのインフルエンザ検査、私が子供の頃にはなかったような…。当時はどうやってインフルエンザと風邪の区別をつけていたのだろう。ちょっと不思議。
 結果は15分ほどで出るらしい。その間、じーっと待つ。
 途中、看護士さんが試薬の変化を見に来て「あー、A型っぽいですねー」とおっしゃる。時間はまだ7分ほど残っているが、もう変化が現れているらしい。私もトレイに乗せられている試薬を見てみた。スティック状のケースの中央に白い窓が開いていて、そこに“A”、“B”、“Γ”(これがΓなのか、ただの「なのかはよくわからず)の3つの目盛りが打たれており、今はちょうど“A”のところに黒っぽい縦線が浮かび上がってきつつあった。なんとわかりやすい。
 15分経過を知らせるキッチンタイマーが鳴ったところで、検査終了。A型確定である。

 インフルエンザ用の薬を出してくれることになったのだが…、タミフルについては、私に“いる/いらない”の判断を求められてしまった。最近も“タミフル”を処方されていた子供が異常行動をとって死亡した事例があったばかりなので、こういうことになってるのだろうなぁ。
 タミフル服用に伴う異常行動は特に思春期の子供に集注しているようなので、オトナは大丈夫らしいのだけれど。それにしてもタミフルを服用中のインフルエンザに罹った子供が異常行動をとって死ぬ事例は昨年あたりから結構報道されていたので、今更な感じはある(子を持つ親なら当然知っていてしかるべき情報の1つだと思う)。でもこのことから異常行動の原因がタミフルであるとするには、まだ根拠が薄い。タミフルを飲んでないから安全とは言い切れない…

 結局、タミフルは処方していただくことにした。これで病気欠勤が1日でも少なくなるなら大助かりだ。病気欠勤1日で、残業代8時間分相当のお金が消えてゆくため、長引けばかなり懐に痛い。

 *

 病院から戻ってからは、ひたすら寝て過ごした。午後はLicも仕事に行ったので、家の中はとてもとても静かである。昨夜は私に構ってほしいらしいにゃんちくんが「にゃぁにゃぁ」とよく鳴いていたが、今日は怖いくらいおとなしい。…まぁ猫だから昼間は眠ってるのかもしれないけれど。

 私が家にいるため、今日はみこりんも学童保育には行かず、歩きで下校してくる。下校予定時刻は午後4時半。その5分前には起き出して、玄関のカギを開けておくのを忘れずに。

 夕方、みこりん帰還。私は起きたついでに、FFXIの世界で栽培している鉢植え80鉢の世話などしていたら、ちょうどそこにLicから電話がかかってきて、電話に出たみこりんにより私の所業はすべてLicに報告されてしまったのであった。
 帰宅してきたLicに、「寝ときゃー」とつっこまれたのは言うまでもない。


2007.3.7(Wed)

謎の音

 今朝も体温が微妙に37度台を上下しているようなので、休暇とした。
 じーっと寝ているのはとても退屈だが、かといって本を読んでいられるほど体調万全でもないので、ひたすら体力の回復に望みを託す。

 静かな家の中だが、時折、気になる音が聞こえてくるのに気が付いていた。
 耳をそばだてて待っていると…

 きりきりきりきり

 かすかな音だが、たしかにそんな感じの音がしている。乾いた物体同士がこすれているかのような音。
 音の発生する方向を突き止めようと、さっきから音がすると同時に耳を集音機のようにじわじわっと動かしてみているのだが、これが不思議なことに方向感覚がまるでないのだった。なんというか…、頭の中に直接その音が届いているような。

 そんなことをやってるうちに、いつのまにか本気で眠ってしまっていたらしい。はっと人の気配を感じて目が覚めた。
 「みこりん?」
 私が寝ているのは2階の寝室。みこりんの部屋はその隣にある。階段をさわさわと上がり、廊下をすすーっと移動していくような音を聞いた……、ような気がしたのだが。
 今日もみこりんは歩きで帰ってくることになっていた。帰宅時間は昨日より1時間ほど早い午後3時半。枕元の目覚し時計を見やれば、まだその時間ではないことがわかった。

 邪悪な気配は感じなかった。どちらかというと、無邪気な、子供が遊んでいるような雰囲気に似ている。でも、部屋の外に誰かがいるはずはなく、「気のせいか…」とも思う。
 今日は風が強い。外壁を風がこすれる音が、そんな感じに聞こえた可能性はあった。

 結局、廊下の物音は二度と聞こえなかった。ただ、きりきりいう音はその後もときおり聞こえてきた。これはなんとなく外の雨どいに月桂樹の幹がこすれてできる音のような気もするが…。月桂樹は秋頃に剪定したはずなので、雨どいにこすれるほどは伸びてなかったような。
 そのうちみこりんの帰宅時間が迫ってきたので、布団から起き上がり、玄関のカギを開けて、リビングで待った。

 「ただいまー」と、みこりんが元気よく戻ってきた。玄関のカギが開いていたことをみこりんが不思議がっていたので、私がみこりんの帰宅時間に合わせて開けているのだと教えてやると、みこりんはちょっと残念そうにこう言った。

 「みこりん、家のカギ持ってるから開けられるのに…」

 …おぉ!そういえばそうだったな。去年みこりん用にカギを作ったんだった。すっかり忘れていたよ。
 明日はちゃんとカギを閉めて待っているとしよう。


2007.3.8(Thr)

帰り道

 今朝はほどよく平熱にもどったので、出勤。でも、大事をとってLicと共に夕方早めに帰宅した。
 今日もみこりんは学童保育には行かず、歩きで帰ってくることになっている。予定では、私達が帰宅する1時間前には戻ってきているはず。念のため、Licが家に電話してみたところ、ちゃんとみこりんがでたらしい。

 春からはみこりんも小学4年生になる。学童保育の対象は小学1年〜3年なので、みこりんが学童保育に行けるのも、今月が最後。4月からは、学校が終わればみんなと一緒に下校して、家に戻ってくることになる。

 晴れの日に一人で留守番するのは、たぶん問題ないだろう。でも、風の強い日や、雨の激しい日などは、怖がって一人ではいられないかもしれない。荒れた天気は、みこりんの鬼門だ。
 でも、基本的に家の中にいるぶんにはあまり心配はない。問題は、やはり帰宅途中のこと。ここのところあまりそういう事件は起きていないが、あいかわらず通学路周辺で変質者が出るという話はぽつぽつとある。暖かな季節になれば、冬の間、なりを潜めていたヤツ等もぼこぼこと沸いて出てくるに違いない。

 下校時はクラスごとに方向が同じ子供達を集団で帰らせるようにしているらしいのだが、実態はそううまくはいってないようだ。子供とはいえ、話の合わない子というのはやはりあって、たまたまそういう子しか残ってなかった場合は集団下校にならず、個々ばらばらに歩いて帰っているっぽい。

 …うーん、とても不安。


2007.3.9(Fri)

Amazonの使い方

 保育園な頃から数字には妙に関心を示していたみこりんだが、小学4年を来月に控えた今日この頃、数字や算数に関する書籍を買いたいと言う機会が増えた。最初は図書室にある本で満足していたっぽいのだけれど、先生がいろいろとそういう系統の本を持っているのを見て、他にはどんな本があるのだろうと自分でいろいろネットで調べているうちに、はまってしまったようだ。

 Amazonの使い方を教えてやったのが、だめ押しになったかもしれない。普通にヤフーキッズで検索する分には、出版社や書評のページを見て「あぁこんな本もあるんだ」と思うだけだが、Amazonなら見つけたその場で買おうとおもえば注文できてしまうところがみそである。しかも“この本を買った人はこんな本も…”で、芋づる式にずるずるーっと似たような傾向の本が次々と沸いてくる。本の底なし沼おそるべし。

 とはいえ、みこりん名義のキャッシュカードはないので、実際に買う手続きをするのは私。みこりんが「この本が欲しい」と画面に表示させている本のタイトルを暗記しつつ、自分のPCから私のアカウントでAmazonにアクセスして、暗記した書名で検索、そして買う。みこりんのPCから私のアカウントで入ればもっと簡単だが、Amazonのアカウント管理にちょっと難があるようで、“最近チェックした本”等のデータがアカウントを超えて混じってしまう場合が少々あるため、それはできない。で、いちいち私のPCにて記憶を頼りに書名を入力しているという次第。
 しかし記憶を頼りにというのが結構面倒なのも事実。長い書名とか難しいタイトルのやつとかは、コピペできれば簡単なのに…。というわけで、みこりんにはウィッシュリストの使い方を教えてやった。そして公開範囲を“お友達限定”に設定し、お友達として私とLicを指定。こうしておけば、私のPCからでもみこりんが買いたい本のリストが参照できる。

 ただ、Amazonのアカウントにはペアレンタルロックの機能がない(ひょっとしてある?)ようなので、本を検索中にみこりん的にはブブーなやつがヒットしてしまう可能性はなきにしもあらず。そのへんがちょっと心配だが、参照履歴は一目瞭然なので、これをこまめにチェックすることで対処するとしよう。

 そんな算数好きなみこりんだが、最近の悩みはずーっと前に学習した引き算の筆算の仕方を忘れてしまっていること、らしい。足し算の筆算ならば、繰り上がりは同じ加算なので間違わないという。でも引き算の場合、繰り下がりは下の桁に加算したのち、減算が来るので、ちょっと混乱しているようだ。
 教科書で復習すべしとは言ったものの、一度私も見てやらねばなるまい。


2007.3.10(Sat)

こってり甘い

 『ノワール』のオープニング曲は“コッペリアの柩”という。曲中にもその言葉が何度か出てくるのだが、私にはそれが“こってり甘いひつじ”に聞こえて仕方がない。そういうこともあって、この曲を歌うALI PROJECTには興味を持っていたので、レンタル屋さんに寄ったついでにこの曲が入ったアルバム『COLLECTION SIMPLE PLUS』を借りてみた(先週の10円セールの時に思い出してればよかったんだけど)。

 ジャケットに写ってるボーカルの女性は、かなり情熱的というか実際の歌声からは想像できないほどに妖しい雰囲気を醸し出している。本当にこの人が、あんなにも可愛らしい声を出すんだろうかと、ちょっとそのギャップの大きさにとまどってしまうほどに。
 実際に歌ってる姿を見ると、案外違和感なかったりするのだろうか…。興味あるところだ。

 Licが選んだCDは、SNoWの『初雪』だった。『地獄少女 二籠』のオープニング曲が入ってるやつ。こちらは新作なので、二泊三日。もしくは当日返却。普通に考えれば二泊三日で月曜まで借りて、仕事の帰りにでも返却するのが一番手間がかからないのに、その時の私は何を思ったか2枚とも当日返却コースを選んでしまっていた。
 当日返却だと50円安くなる。2枚で100円。でも、返却のためには、わざわざクルマで往復30km走らねばならない。おそらく必要なガソリン代だけで100円は確実にオーバーするだろう。……咄嗟の判断に弱い私であった。


2007.3.11(Sun)

『MOON LIGHT MILE (14)』

MOON LIGHT MILE (14) 『MOON LIGHT MILE (14)』(作 太田垣 康男)、読了。
 宇宙(月)の覇権をめぐるアメリカと中国のせめぎあい。フィクションとはいうものの、現実世界でも中国の背後にはロシアがついているので、宇宙に限定すると案外いい勝負になるかもしれない。実際、中国は月面に赤い旗を立てる気満々のようだし、そう遠くない将来、月資源を巡っては一悶着ありそうだ。

 ところで双方の宇宙軍による戦闘が描かれるのは、今回で2回目と記憶しているが、中国軍はそうでもないのに、アメリカ軍の戦闘艦が妙に不恰好にグレードダウンしてるのはなんとしたことだろう。図体がでかいだけの鈍ガメで、武装も貧弱、装甲も少々のデブリには耐えるが、砲撃されると一撃で破壊されてしまう程度の柔らかさ。そんでもって乗員の数が不必要なくらいに多い。これでは戦闘艦というより、兵員輸送艦なんじゃなかろうか。
 大人数のレスキューという本作の根幹に関わるシーンを作り出すにはうってつけだったのだろうけど、なんだかしっくりこなかった部分だ。前回、アメリカ軍のそこそこ使える宇宙戦闘機を登場させてるだけに、その時との落差の大きさにがっかり感は否めない。でもまぁ中国軍の宇宙用軍服のデザインセンスはとてもよい。まるで60年代のB級SFに出てきそうなストレートさが、かの国らしくて微笑ましい。これでアメリカ軍のスマートなロボット兵に対抗して、中国軍が“先行者”もどきなロボットを繰り出してくれたら、さらにツボなんだが…

 今後の展開に期待。


2007.3.12(Mon)

お返しはマシュマロ

 もうじき14日。というわけで、Licが気を利かしてみこりん用のプレゼントをこっそり買ってきてくれていた。
 プレゼントの中身は、みこりんが今使ってるポシェットがかなりくたびれてるので新しいやつと、マシュマロだという。…マシュマロ、か。じつは私もすでに14日用のプレゼントはネット通販で手配済みだったのだが、その品というのが牛柄のマシュマロなのである。おもいっきり被ってしまった。

 でもまぁ、私が発注してるのは1箱なので、プレゼントが2つに増えたのはある意味よかったのかも。私が買った方はLic向けのプレゼントにすれば、見た目不自然じゃないし。そうしようそうしよう。


2007.3.13(Tue)

爆発する…

 先日の日曜日、今週末に予定されているエレクトーン発表会のために髪を切ってきたみこりん。でも、もともと髪の毛の量が多いので、お風呂上りのドライヤーにも、コツがいるらしい。Licが美容師さんに教えてきてもらったというので、私も昨日の夜、Licに実演して見せてもらっていたのだが…。

 いざみこりんを鏡の前に立たせて、ばさばさと手で髪を揺らしながら地肌の乾燥からとやってみたものの、これがなかなか難しい。もともと私はドライヤーの方を振ってしまうタイプなので、髪の毛の方を動かすという動作にまず慣れてない。で、妙な具合に髪が乾いてきたところで、これが一番大切と教わった後ろから前へなでつけるように髪を整える…。
 整えているはずなのに、どうしたことか髪の毛はどんどんタンポポの綿毛みたいにぼよよんと膨らんでいくではないか。鏡で自分の姿を見ているみこりんも、「ばくはつしとるで、おとーさん」と不安げだ。

 いろいろと修復を試みたのだが、うまくいかず。…失敗におわってしまった。
 爆発状態のみこりんの髪の毛は、その後、Licの手により、魔法のように収まっていったのであった。んー、なかなか女の子の髪というやつは難しい。


2007.3.14(Wed)

「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのですよ!」

 「足がついていない」
 「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのですよ!」

『機動戦士ガンダム』第42話“宇宙要塞ア・バオア・クー”より

 昨夜のこと、私がたまたま見ていたニュースサイトの映像を背後から覗き込んで、みこりんが言った。
 「それ何?ロボット?」
 なかなか勘のするどいみこりんである。
 これはNASAが開発中の宇宙ロボット『ROBONAUT』。ちなみに、足はない(移動機構は状況に応じていろいろ取替え可のようだ)。

 頭部が某映画に出てきた某キャラにそっくりなので、みこりんも親近感を覚えたのだろうか。盛んに「すごいすごい!」と興奮している。
 「人間の代わりに宇宙に行くの?」と聞くので、「ロボットだからね、ヒトが行けないようなところでも行けちゃうんだよ」なんて応えていると、ふいにみこりんがこんなことを言った。

 「じゃぁ、クローン人間も、そう?」

 く、くろーん人間…。まさかみこりんの口からそんな単語がするっと出てくるとは予想してなかったので、かなり意表をつかれてしまった。
 動揺をみこりんに悟られないよう「クローン人間は…、人間と一緒だから、ロボットみたいには行けないかなぁ」などと、答えてみる。
 みこりんは「クローン人間って宇宙でも平気なんじゃないの?」と、やや不思議そう。

 うーむ、これはもしかしてみこりんの言ってるクローン人間というのは、アンドロイドのことを指してたり?あるいは人間離れした機能を持ったクローン人間の登場する本でも読んだのだろうか。
 クローン人間とは、というあたりからじっくり説明しようと私が身構えた時、みこりんは歯磨きのためにとっとと洗面所に消えていったのであった。…平日の夜は何かと慌しい。週末にでも、再度クローン人間の話題でもふってみるとしよう。


2007.3.15(Thr)

BILLY'S BOOT CAMP

ビリーズブートキャンプ
 もともとアメリカの軍隊で行われていた、短期間で体を絞り込むための集中トレーニング方法。アメリカ陸軍、エリート養成プログラムの専属トレーナーを務めてきたビリー・ブランクスが、軍隊式トレーニングを基に、女性でも気軽にできるよう独自に開発したエクササイズのこと。

 Licの職場で何故だか流行っているらしい。私もテレビショッピングで見かけたことがある。ぼったくりというほどの料金でもないので、興味があったら買ってみる?なんて言ってたのだが、まずは手始めにということでLicが1日目のDVDを借りて来ていた。で、昨日から挑戦中のLic。

 ほぼ休憩なしで50分くらい、音楽に合わせてずーっと体を動かし続けている。基本形ということで、わりとシンプルな運動が多い。しかし、スクワット1つとっても、かなりきつそう。ビリー先生は簡単にさくっとやってみせてくれているが、ひざをつま先より出さずに腰を落とす、いわゆる“空気椅子”体勢のスクワットは、本気でやったらものすごいハードなものだ。
 そしてストレッチの重視。やはり基本は柔軟な体ということだろう。体が硬ければ思うように動かすこともままならない。実際、Licはかなりこのストレッチに苦しんでいるようだ。

 私はここ数日、仕事が遅かったので夕食も遅く、Licがブートキャンプをやる時間にはちょうど食後ということもあって、見てるだけにしていた。…のだが、ためしにちょっとだけビリー先生のやってるように体を動かしてみたところ……

 3分と続かず、ダウン。呼吸が苦しい。ビリー先生、これ、まじ、すごいです。

 こんなのを1週間続けたら、絶対、癖になりそう。男ならば若い頃、無性に筋肉を鍛えたくなる時期が大概あるものだが、あれは筋肉を酷使することによってある種の恍惚感を得ているのではないかと思っている。そう、ビリーズブートキャンプは、あの感覚にとてもよく似ているのだ。

 果たしてLicは1週間続けられるだろうか。そして、“闘う体”を見事手に出来るだろうか。要チェック。


2007.3.16(Fri)

エンセラダス:Enceladus

“土星の衛星・エンセラダスに生命存在か…NASA”

 エンセラダスの表面は氷点下約200度だが、地球の南極にあたる部分で火山のように水蒸気が噴出しているのが、米探査機カッシーニによるこれまでの観測で昨年確認されている。その後の分析で、水蒸気に窒素ガスが混じっていることが新たに判明。この窒素ガスは、アンモニアが熱分解したものとみられることから、外部の研究者も加わったNASAの研究チームは「地中に高温高圧の場所があり、熱水の中で有機物が豊富に合成されたはずだ」と結論づけた。

 アンモニアの熱分解にはかなりの高温が必要なことから、この熱源について研究チームは、〈1〉放射性のアルミニウムと鉄が700万年余で急速に崩壊し、衛星内部が熱くなった〈2〉その余熱とともに、他の放射性物質の緩やかな崩壊が今も続いている――とみている。

2007年3月13日11時52分 読売新聞

 ちょっと前に見かけて気になっていたニュース。読売以外で日本語の記事にしてるところがないようだけれど…。というわけで、NASAのカッシーニ・ホイヘンスのサイトから、これのソースと思われるニュースリリースを探してみた。

“A Hot Start Might Explain Geysers on Enceladus”

"Deep inside Enceladus, our model indicates we've got an organic brew, a heat source and liquid water, all key ingredients for life," said Dr. Dennis Matson, Cassini project scientist at NASA's Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif. "And while no one is claiming that we have found life by any means, we probably have evidence for a place that might be hospitable to life."

Jet Propulsion Laboratory - News Releases - March 12, 2007

 おぉぉ、なかなかこれは有望かも?今後の調査も要チェック。

 ちなみに最近のカッシーニから送られてきた映像でお気に入りは、これ。“The Great Crossing”、んー、衛星がくるくる回ってる。素晴らしい。


2007.3.17(Sat)

スプリング・コンサート

 玄関先に植えてあるコブシの木に、ぽっと白い花が、1つ2つ3つ。いよいよ開花が始まった。花桃の蕾も、じわっと緩みつつあり、来週には木全体が、ぶわっと桃色に染まることだろう。まさに春爛漫直前といった感じの植物達に触れ、季節の移ろいを実感する。
 これで花粉症さえなければ最高の季節なのに。
 顔の半分以上をマスクで覆い、足早にガレージへと移動し、みこりんが助手席に収まるのを待って、発進。今日は音楽教室の発表会がある。今日明日それぞれ午前午後の、都合4部構成になっているのだが、みこりんの出番は初日、午前の部だった。

 会場となるいつもの文化会館まで、クルマで約12分。集合時間まで8分の余裕をもって到着したが、みこりんはそれでもどこか不安があるようなので、クルマを駐車場に入れるよりも先に降ろしてやった。ててててっと駆けてくみこりん。
 駐車場は入り口に近い部分はすべて埋まっていたので、ちょっと離れた場所に停め。歩いていくと、子供達が外の広場でわらわらと集まっているのが見えた。どうやら出演グループごとに集合しているらしい。みこりん達のグループは…、と探してみたが、発見できず。
 しばらく状況を観察していると、ロビーの方で集合写真が撮られているもよう(建物の入り口付近は全面ガラス張りなので、中が丸見え)。担当講師ごとに分かれての記念撮影のようだ。すでにみこりんはあそこにいるのかもしれない。

 広場をぐるっと回りこんで、ロビーを見通せるガラス壁まで来てみると、いたいた、みこりんがひな壇の真中辺りにいるのが見えた。ひな壇は3組ほど形成されていたが、みこりん達のグループはなかなか撮影が始まらない。どうやら全員がまだ揃っていないようだ。その隙に、私はケータイ(カシオ W41CA)をカメラモードに変形させて、ガラス越しに、みこりん達を撮影。ちょっと距離があったのだが、1600×1200モードで撮っているため、拡大にも十分耐える。オートフォーカスの性能も、私がこれまで使っていたデジカメ専用機(カシオ QV-7000SX)より上なので、そのあたりも問題ない。QV-7000SXは、近距離の撮影に不都合はなかったが、ちょっと距離が離れるとピントが甘すぎて使い物にならなかった…(集合写真などは超苦手な部類に入る)。それを考えると、今のデジカメ(というかケータイ)は十分使えるのだが、…でも、やはり撮影時に目で見て細部まで確認できるデジタル一眼レフ+各種レンズ群の魅力は捨て難い。フィルムを使うタイプの一眼レフは今も臨戦体制で引き出しの中に仕舞ってあるが、PCに取り込む手間を考えると………。
 そんなことをとりとめもなく考えつつ、開場を待った。みこりんのグループは、結局、定刻より15分遅れでようやく人数が揃ったらしく、無事撮影も終了したようだ。

 開場。春の発表会は人数が多いので、大ホールが使われる。しかも今回は個人によるビデオ撮影は脚立の使用が禁止されているため(前回の発表会の時に、脚立で足をひっかけ子供が怪我をしたのがその理由)、撮影場所を必死こいて確保する必要もない。わりとリラックスムードで席をとれた。ビデオ撮影の方は、プロが全体のを通して撮影し、あとでDVDに焼いてくれることになっている。丁度今、うちのビデオカメラの録画機能が瀕死状態なので、このサービスはありがたい(DVD代3000円かかるけど)。
 座席のシート番号を、こちらに向かっているはずのLicにメールしておく。

 *

 オープニングが始まる前に、Lic到着。ほどなくホールの照明が落とされ、ブザーが鳴り響き、暗がりの舞台上ではオープニング曲を踊る子供達が整列しているようす。
 開会のアナウンスと共に、光が溢れ、舞台の上では小さな子供達が音楽に合わせてダンス。幼児科2年の子供達。みこりんがあの場所で踊ったのは、もう4年くらい昔のことになるのか。そんなことを思いつつ…。

 春の発表会ではすべてがアンサンブルなので、ソロの発表会よりは見ている方も気が楽だ。自分の子でなくても、間違ってつまったりしてるのを見ると、どきどきしてしまうし。アンサンブルなら、少しのミスがあってもチームで補うので、あまり目立たない。
 みこりん達のグループは6番目の演奏だった。
 専門コースとして演奏するのも、今回で最後。春からは、別のコースが始まる。どの道をゆくかは、みこりん次第。

 演奏曲は、去年の秋に決まったシュトラウス作曲の『こうもり』だ。家ではあまり練習してるのを聞かなかったのだけれど、演奏が始まってみると、普通にすらすらと弾いているようだ。しかもこれまでみこりんが演奏するときには直立不動なことが多かったというのに、今回は曲の流れに合わせて体が揺れている。これは大変な進歩かもしれない。
 ビデオカメラは持ってきていないが、一応デジカメで撮っておくかなと、ケータイからデジカメへと変形させ、構えてみる。しかし、照明が明るすぎた。絞り込みはどこでやるんだったかな?なんて迷ってるうちに、いつのまにか演奏終了。し、しまったぁ!DVDが届いたら記憶の補完しておかねば。

 *

 午前の部は、最終組のミュージカルコースの子供達による劇で〆。午後からは午後の部の子供達&その保護者達が入るので、我々は早々に退去する。
 午後、みこりんが観たがっていた映画『ドラえもん のび太の新魔界大冒険』には、Licが付き添い、私は家に戻った。

 花粉のせいかどうか、終日、頭痛が治まらず。庭弄りもままならない今日この頃。


2007.3.18(Sun)

“絹サヤの醤油炒め鰹節まぶし”

 昼食用に、何か1品増やしたいと思って冷蔵庫をあさっていると、野菜室で絹サヤ発見。ちょっと前にLicから“絹サヤの醤油炒め鰹節まぶし”が、みこりんにことのほか好評だったというのを聞いていたので、それを作ってみることにする。

 まず、絹サヤの筋を取らねばならない。1つ1つ手にとり、ぴーっとやってると、みこりんも手伝いたいというので、二人で筋取り。これで作業効率は2倍になった。
 ほどなくすべての筋を取り終えたので、ザルに入れた絹サヤを水洗い。そして油を引いて熱したフライパンで手早く炒める。しゃきしゃき感が残るように炒めすぎないよう気をつける。どっちかというと私は火を通しすぎる傾向があるので、ちょっと早いかな?という辺りで火を止めた。
 えーと、次は…、鰹節?鰹節のパックを手にすると、みこりんから「おとーさん、おしょうゆが先やよ」とチェックが入った。なるほど、そう言われてみればそうだな。
 で、醤油をざざっと回すようにかけ、余熱を利用しつつ絡め。最後に鰹節をばさばさっと振り掛けて、ざっくりと混ぜて完成。

 皿に盛り付けると、絹サヤの鮮やかな緑と醤油と鰹節の香ばしい香りが渾然一体となって、なかなか食欲をそそる。

 実食。
 ん、そこそこいい出来かも。みこりんに味について聞いてみたところ、「かーさんのとちょっと違うけど、これもおいしい」との評価を得た。どうやらLicの作るやつは、もっと鰹節が盛大に振り掛けられているらしい。ふむふむ、今後の参考としよう。

 私が5口くらい食べたところで、みこりんが皿をがしっと確保し、ぱくぱくとやめられないとまらない状態に。…結局、残りはすべてみこりんの腹の中へと消えていったのであった。かろうじて1つをLicのために残すことが出来たのは幸いである。

 *

 午後、昨日に引き続き頭痛にしてやられ。みこりんが庭で草引きしたそうにしてたが、とても庭に出る勇気はなかった。いい陽気なのに、とても残念。
 花粉症の薬があまり効いてないらしい。こうなれば生物化学兵器用防護服みたいなやつを装着すれば、あるいは…。しかしそんなもの、どこで手に入れればよいのやら。
 私が子供の頃は、21世紀になったらクルマの排気ガスや工場の煙で、外を出歩く時にはガスマスクに酸素ボンベが必要になるかも…、みたいな未来予想図が結構あったが、まさか花粉に苦しむことになるとはいったい誰が想像しえたであろうか。
 花粉、恐るべし。

練金99級

 FFXIの世界において、私のメインキャラの合成スキル(錬金術)は、昨日、98.7から0.3上がってようやく99に到達した。先週はスキル99まで上げられる素材を1ダース使って0.2しか上がらなかったので、今週はがんばって17個確保していたのだが、こういう時に限って素材1個で0.1ずつ連続アップし、わずか3個使った時点で99に到達してしまったのだった。…うれしいんだけど、ちょっと複雑、みたいな。

 この素材は特殊な場所の敵からしかドロップしないのでもともと供給量が少なく、しかも同じ錬金術スキルを上げている人にとっては、スキル99まで上げるにはこの素材を使ったレシピしかほぼ選択肢がないということもあって、買う側の競争率はけっこう高い。競売に出品されているのを見かけたら即買っておかないとまったく手に入らないという結果になってしまうため、数を揃えるのはそれなりに苦労するのだった。
 しかもここ数週間で値段が倍以上に上がった。それでも、スキル100まで上がる素材に比べるとまだぜんぜん安いので、我慢我慢。そうやって揃えた17個。…この余った残り14個、どうしてくれよう。

 あいにくこの素材を使った合成品は、用途がものすごく限定されているため、一般的にはまったく売れないといっても過言ではない。無理に合成してしまっても不良在庫になるだけなので、素材のまま競売で売り払うしかあるまい。これまでの競売履歴を見る限り、たぶんさくっと売れてしまうはず。……と思ったのだが、甘かった。
 私と同じような結果になった人が他にもいたのか、いつもは出品数が多くても5個とか6個の品が(たいていはゼロなんだけど)、昨夜から今日にかけての出品数21個。競売枠は1人7個しかないので、私も14個すべてを出品してるわけではない。それなのに、これはなんとしたことだろう。
 しかもいつもならあっというまに買われていく品なのに、今日は動きがとても鈍い。まったくといっていいほど売れてない。

 謎すぎる。

 *

 錬金術で合成できるのは、基本的に薬品類が多いが、武器や防具も作れたりする。といっても素材から作るというよりは、基になる武器や防具に特殊機能を付加するパターンが多い。
 そのような合成品の1つに、スキル97で合成可能な“アイスシールド”という盾がある。基になる盾は、ナイト専用装備の“ダイアシールド”。しかし、“アイスシールド”に加工することで、ナイト以外のジョブでも装備可能となる。私のキャラのメインジョブである赤魔道士も、その範疇に入る。

 というわけで、“ダイアシールド”を2つほど競売で買ってみた。1つあたりの買値約28万ギル。そして“アイスシールド”の現在の売値は、約30万〜35万ギル。自分で使わなくとも、競売で売れれば少なくとも赤字にはならない。もちろん合成に失敗したら素材は消滅するので懐には痛いが、そのスリリングなところもまたよし。失ったギルは、日々チョコボ屋の前で売り子してくれている猫娘が、すぐに取り戻してくれるだろう。それになにより、まかりまちがってハイクオリティ品である“アイスシールド+1”なんかが出来ちゃったりしたら、それはそれでラッキーなことだし(その確率はほとんどないけど)。

 材料を揃え、合成開始。
 しょわわわわ〜と、光り輝く合成エフェクトが始まり、ボンッと完成。ふむ、では続いてもういっちょ。
 しょわわわわ〜…、ボンッ。2つとも成功した。
 試しに装備させてみる。

“アイスシールド”を装備してみた赤魔道士の図

 でっかい盾が好みな私的には、まぁまぁいい感じである。でも性能が…、ちょっと微妙なんだけれど。しばらく使ってみるとしよう。もう1つの方は、そのまま競売へ出品した。そんなにがんがん売れる品でもなさそうなので、売れ残る可能性はなきにしもあらず。そういうスリル(?)も、またよし。


2007.3.19(Mon)

“宝石”

 みこりんが最近コレクションしているのは、“宝石”である。
 より正確にいえば、宝石として研磨される前の原石ということになるのだが、みこりんにとってそれは、誰がなんと言おうと“宝石”なのだった。
 でもクラスメイトの女子の一人に、「宝石って、プラスチックなんよ」と言われたらしく、みこりんは私に「宝石はプラスチックじゃないよね?」と確認を求めてきた。

 たしかに子供用のオモチャとして売られている“宝石を模した装飾品”に使われているのは、プラスチックやガラスで出来ているものがほとんどだろう。だからその女の子も、子供が持ってる“宝石”といえばプラスチックと思ったとしても無理はない。
 そういうことをみこりんに話して聞かせ、「みこりんも保育園の頃、プラスチック製の“宝石”がついた指輪とか持ってたでしょ?」と言うと、みこりんは遠い記憶を呼び覚ますかのようにしばし目を泳がせていたが、やがて「……おぼえてない」と答えた。
 「“キティちゃんのおしゃれセット”、覚えてない?あれについてたやつ」
 「うーん…、おぼえてない」

 どうも本気で忘れてしまっているらしい。春から小学4年生になるみこりんにとって、保育園の頃の出来事はすでに3〜8年前のこと。日々新しいことを吸収しているみこりんには、もはやその間の出来事は記憶の奥深いところに収納されてしまっているのかも。私と一緒にお散歩行った事も忘れちゃったかな…、と思うと、少々寂しくもあり。

 同じように“宝石”をコレクションしているらしい別のお友達が、自分ちの庭で水晶(石英)を拾ったとかで、みこりんも先日来、しきりと庭で宝石探しをやりたがっている。でも、庭が雑草に覆われつつあり、私が花粉症で休日ダウンしていたこともあって、いまだ実現できていない。「どんな宝石が落ちてるかな!?」と、みこりんは瞳を輝かせているが、きっとたぶん宝石っぽいやつというと、うちも石英くらいしかなさそうな気はする。
 庭に砂利でも入れてたら、何かキレイな色をしたやつが混じってる可能性はあるけれど、残念ながら我が家の庭は山土を入れてあるだけの初期状態のため、いわゆるふつーの石ころばかりのような…。とはいえ、こういうのは“探す”のが楽しいところもあるから、一度みこりんと一緒に挑戦してみるかな。

 ところで石といえば、私がみこりんくらいの小学校低学年の頃、私の実家は宅地造成まっただ中の新興住宅地にあり、山を削ってる方に行くと、いろいろと珍しいものが落ちていたものだ。
 どうやら鉱山から出たクズ石を砂利代わりにしてたらしく、きらきらと光り輝く黄銅鉱などがそこかしこに散らばっていた。たまにものすごく金色の強いやつとか、銀ピカのやつなんかもあって、子供心に「これはいいものだ!」と興奮したのを憶えている。もちろんそれらは大切に持ち帰り、宝箱の中に仕舞っていたことは言うまでもない。
 鉱石のほかにも、今の知識で記憶を探ってみれば、なぜかキクメ石(球状花崗岩ではなく、珊瑚の方)も普通に転がってたはずなので、ひょっとするともっといろんなものが落ちていた可能性はある。実際、家の近所に『鉱石研究所』と看板を掲げた建物があったくらいだから、じつはその筋の人の目で見たら宝の山だったのかも…

 なんてことをみこりんに話してみたところ、「いいな、いいなー」と、たいそう羨ましがられてしまった。「今でもあるの?」と、みこりんは期待を込めた目で私を見るのだが…、あの造成地はそれからほどなくしてアスファルトで固められ、宅地部分には土が投入されて家が無数に建ったはず。今から30年くらい昔のことだ。
 がっかり気味のみこりん。

 夏にでもなれば、川へ行こう。川岸には、それこそ無数に石がある。中にはこっそり“宝石”が混じっている、かもしれない。


2007.3.20(Tue)

長い家路

 午後8時30分過ぎ。仕事を終え、帰宅のために椅子から立ち上がると、急に吐き気がやってきた。
 …目を酷使しすぎたか。そう思いつつ、常備している胃薬等を持参のミネラルウォーターで胃の中へ流し込む。すぅーっとした成分が体内に満ちていくのを感じながら、ゆっくりとフロアを抜けて、エレベータへ。
 5Fから1Fへと、加減速の振動が気にかかる。

 この時間になると駐車場の直通門は閉鎖になってるため、正門までぐるっと遠回りしていかねばならない。それにしても、今夜の冷え込みは尋常ではなかった。昨日までの春みたいな陽気はなんだったのかと思うほどに。
 ぽてぽてとできるだけ振動を起こさないように体を水平移動させつつ、歩く。途中の自販機で炭酸系飲料を補給し、ざわめく胃を鎮めつつ正門を抜け、駐車場へ。

 ようやくクルマに辿り着き、シートに座り込むと、多少気分が楽になった。でも、すぐに動くのは危険そうなので、とりあえずLicに“遅くなりそうだ”とメールする。
 車内も冷え冷えだったのでエンジンを掛けてみたが、アイドリングの振動がシートを通じて体に伝わってくるのが気持ち悪く、すぐにエンジンを切った。

 頭の中で、夏の虫がじぃじぃと鳴いているような甲高い音が響いている。いつもならここで激しい偏頭痛もやってくるところだが、今夜はそれはなかった。でも気持ち悪いのに変わりはなく…。今日は休憩を忘れてずーっとPC画面を見つめ続けていたので、それが悪かったのかも?あるいはもしかして胃腸風邪かな?
 時々ふっと気持ち悪いのがいなくなる時がある。そこを逃さずささっとエンジンをかけてみるのだが、エンジンが振動を始めたとたんに気持ち悪さが復活してくるため、動くに動けず。
 そんなことをやってるうちに、いつのまにか時刻は午後10時近くに迫っていた。

 いかん!このままでは“明日”になってしまう。一般のカレンダーでは明日は祭日だが、会社のカレンダーではド平日。つまり出勤日なのだ。

 おまけに気持ち悪いにも関わらず、腹の虫がぐぅぐぅと空腹を訴え始めていた。
 私はお腹が空き過ぎると気持ち悪くなる体質も持っているので、まさにダブルパンチである。待ったなし。これ以上ここにいても状況は悪くなる一方なのは明白だったので、気合でエンジンキィを回し、最短距離にあるコンビニまでクルマを走らせる。
 コンビニの駐車場に入ると、即、エンジンを切り、深呼吸。あとは迅速にコンビニでおにぎりを2つほど買い込み、クルマに戻る。そのままがつがつとおにぎりを平らげた。

 残しておいたミネラルウォーターで一服すると、なんとなく気分も楽になってきたような気がする。
 帰ろう、我が家へ。

 時速30〜40km/hという超安全運転で夜道を走る。時刻が遅いことと、裏道ばかり選んでるのが幸いして、後続車は1台もいない。この状況で煽られるのは非常にまずいので、ラッキーだった。途中、ケータイが連続して着信を告げたが運転中だったので出られず。たぶんLicが心配して電話をかけてきているのだろうと思い、小休止したところで現状報告。

 途中、何度か休憩しつつも、家まで15kmほどの距離を、1台の後続車もなく走りきることに成功した。こういう妙なところで運がいいのは、ちょっと怖いような気もするが…、まぁとにかく、無事、我が家に帰り着くことができたので、よしとする。

 みこりんはすでに熟睡中。私はLicが用意しておいてくれた夕食をゆっくりと食べ、落ち着いていた。気持ち悪いのは、もはやどこかに消え去ったようだ。やはり眼精疲労からくる一時的なものだったのかもしれない。
 それにしても、今夜のような状況だと“瞬間移動”の能力が突如発現してもよさそうなものだが、そううまくは出来てないらしい。残念。


2007.3.21(Wed)

科学の耳せん

 社内には、工場もあるため、新入社員には技術職であっても耳栓が配布される。というわけで、私も耳栓は持っているのだが、これは主に工業用のでっかい機械音等を遮断する用なので、材質も硬く、長時間付けると耳が痛くなってしまう。それに遮蔽効果が大きすぎて、普通のオフィスでずっと使用するには少々難あり。
 そこでLicに買って来て貰ったのが、『科学の耳せん「サイレンシア」』。これはポリウレタン製なので、耳の穴に適度にジャストフィットし、長時間つけていても痛くならない。装着する時に、ぎゅっと指で細く伸ばしてから耳の穴に入れ、その後、自然に形状が復帰してきて穴を塞ぐという仕組みのため、硬い耳栓のように無理な力が加わりにくいところが特長だ。しかも完全防音タイプではなく、ヒトの声等はじわっと通すようになっているため、名前を呼ばれても気付かないという事態にはなりにくい。電話の呼び出し音も低めに設定しておけば問題ない。

 それにしても普通のオフィスで耳栓がいるという事態に、何故なっているかといえば、大部屋に様々な部署の人間を詰め込んでいるところに最大の問題がある。
 私の所属する部署は、どっちかというと研究用途のソフトウェア開発がメインなので、静寂な環境が望ましい。しかし、私の背後に配置されている部署は、エンジニアではあるのだが、おもに下請け管理やら他部門との調整なんかをやってるところなので、ひっきりなしに電話がかかってきてたり、下請けが納期を守ってないとかなんとかで延々と電話で説教垂れてたり、聞いてるだけでこっちまで気分がどよーんとしてくるような環境なのである。しかもやたらと声がでかい。不必要なまでに。

 このままではいつか爆発してしまう。そんな危機感もあって、耳栓を導入した次第。
 実際、これでかなりの騒音が遮断されるようになった。背後の声高な会話も、囁き程度にしか聞こえないので、ずいぶんましだ。ちなみにPC類が発する冷却ファンの音は、ほぼ無音にまで遮断されるため、じつに快適。…ただ、難点としては、耳の掃除を怠ってるとひどいことになるので、そこだけ注意。特にこの耳栓は水洗い禁止だから、汚れたら新しいのを買うしかない。そのために、もともと2セット入ってるのだろう。

 この耳栓でとりあえずの静寂は確保できた。当面これで試してみて、それでもダメだった時は…、空いてる会議室にでもPC持ち込みで退避するしかあるまい。


2007.3.22(Thr)

夜道にたたずむ生き物

 仕事からの帰り道。いつものように幹線道路を降りて脇道に入ると、辺りは急速に人家もまばらな田園地帯へと姿を変える。ヘッドライトをハイビームにしても、闇の力が強すぎて、あまり明るくなったような気はしない。

 感知式信号機のある小さな交差点で、赤のため停車。もともとこの場所に信号機はなかったのだが、普段から車通りが少ないので、油断したドライバーが何度か事故を起こした結果、感知式の信号機が設置された。
 クルマが他に一台も通過しないまま、ひたすら信号が変わるのを待つ。

 青になったので、発進。道はいよいよ寂しげな山あいにさしかかる。

 前方を照らすヘッドライトの灯りが、何かの生物の姿を捉えたのに気が付いた。道端で、じっとたたずむ小動物…。
 「猫、かな?」と思い、ややクルマの速度を緩めて飛び出しに備える。
 対象まであと10メートルという所で、私はその動物の正体を知った。猫に非ず。

 つぶらな瞳。薄いベージュのややワイルドな毛並み。そしてその動物が備える決定的な特徴…。
 2本の長い耳。こいつは、ウサギだ。
 一瞬、目が合ったような気もしたが、ウサギは逃げる素振りも見せず、小鼻をひくつかせて、ひたすらたたずんでいるのだった。

 野生のウサギだろうか。どこかで飼ってたやつが逃げたという可能性もあるが…。それにしては、毛並みが妙にワイルドだったな。
 野ウサギかもしれない。
 私が今住んでいる場所近辺では、犬猫を除外すると、これまでに野良アライグマ、野生のタヌキ、野生のテン(らしきもの)、野生のイタチ、野良ハクビシンといった動物を見かけたことがある。このような環境なら野ウサギがいてもおかしくはないような気もするが、でも、ウサギを見たのは今回が初めてだった。

 子供の頃から、野ウサギにはある種の憧れみたいなものを感じていた。もちろんペット屋さんとか、学校の飼育小屋には普通にウサギがいたけれど、あの愛らしい動物が“自然の中”で暮らしているということに、とても惹かれていたのだ。しかし、子供時代を通して、これまでの人生で一度も野生のウサギを見ることは叶わなかったのである。
 それが今夜、ついに私は野生のウサギを見た、のかもしれない。

 か、感動した。心臓のドキドキは、しばらくおさまりそうになかった。


2007.3.23(Fri)

科学的思考力

インフルエンザ14歳男子、タミフル服用せず飛び降り

 病院搬送時に熱があり、検査でB型インフルエンザに感染していたことがわかった。男子は「夢の中で何かに追われ、飛び降りた」と話しているという。

 タミフル服用後の「飛び降り」事例が相次ぎ、薬との因果関係が疑われているが、服用していない患者の飛び降り例はこれまであまり報告がないという。このケースは来月、厚労省研究班会議で報告される予定。

 インフルエンザの高熱によって幻覚や異常行動が起きることは知られている。薗部友良・日本赤十字社医療センター小児科部長は「全国の医療機関に報告を求め、薬の影響の有無を解明するべきではないか」と話す。

2007年3月23日3時1分 読売新聞

 タミフルを使ってなくても、インフルエンザで高熱を出してる子供には以前から異常行動が出る事例はあった。そんなことは2005年に“タミフル服用後に落下で子供が死亡”なんていう報道があった直後から専門家達から指摘されてたことであって、今更、驚くには値しない。

 子を亡くした親が、何かに原因を求めてしまう心理は理解できるが、マスコミがそれを煽って、冷静な科学的思考をすこーんとすっとばして“タミフル=悪”な風潮を作り上げる体質は、あいかわらずで呆れ果てる。

 タミフルと異常行動との因果関係を証明するためには、タミフルを服用してない患者と、服用してる患者との比較をしなければ意味がない。今の日本のようにインフルエンザに罹ればたいていタミフルが処方されてる状況では、何らかの異常行動が出たとしても、それがタミフルのせいなのか、インフルエンザ独特の脳への影響なのか、あるいは別の何かか、判別できんでしょう。

 とにかくまだ分かっていないことが多すぎるのだから、単純にタミフルを服用しなければ安全みたいなことになって、逆にインフルエンザ脳症で死亡する人が増えたりしたら誰が責任とるの。親としては、子供が高熱出したら油断せず注意深くあらねばならない、ということしかないのでは?熱性譫妄というのもあることだし。

熱性譫妄

 小児は、高熱を出した際に、熱性譫妄(せんもう、熱譫妄)と言って、幻視、幻覚を見て、異常行動をする子供さんがいます。例えば、壁に、実際は存在しない、アニメのキャラクターが見えると言って、笑ったり、意味不明の言葉を喋ったり(異常言動)、理由もなく怯えたりすることがあります。
 このような熱性譫妄(異常行動)は、インフルエンザ脳症を合併していなくても、見られます。しかし、熱性譫妄(異常行動)は、痙攣、意識障害と同様に、インフルエンザ脳症の初期症状のこともありますので、注意が、必要です。

インフルエンザ脳症”より


2007.3.24(Sat)

雨垂れの音

 雨の土曜日。家の外から響いてくる雨垂れの音が、みこりんを不安にさせている。荒れた天候はみこりんの鬼門だ。
 それでも一緒に温かい湯船に肩までつかっていると、少しは安心できるのか、みこりんは秘密を1つ、話してくれたのだった。

 先月産まれた姪っ子が、明日、お宮参りなので、Licの実家から義父母がやって来た。そのお迎えがてら、Licとみこりんは義妹のうちまで遊びに行っていたのだが、その道中の車内が、みこりんにはどうにも苦痛らしい…、というのは前回みこりん自身から聞かされてはいた。でも、何故か?というのは判明していなかった。
 その答えを、今夜、みこりんは語ってくれた。

 それによれば、どうやらみこりんは“乗り物酔い”するようになったらしい。以前から少しだけその兆候みたいなのはあったが、はっきりと“乗り物酔い”の症状として自覚するまでには至っておらず、“乗り物酔い”のせいなのか、たまたまお腹具合がよくなかったのか、判断ができていなかった現象だ。私が乗り物酔いしやすい性質なので、もしかするとみこりんも…、という予感はあったのだけれど。
 しかし来月から小学4年生になるみこりんの自己認識力の成長もあり、自分自身でこれは“乗り物酔い”だと判断できるようになったようだ。

 私も子供時代はこの“乗り物酔い”にかなり悩まされたので、みこりんの不安はとてもよくわかる。すでにみこりんは、バスの移動がつきものの修学旅行等の心配をしていたので、そういう場合には“酔い止めの薬”やら、“すーっとする食べ物(飴やジュース等)”が有効であり、もっとも確実と思われるのは“寝てしまうこと”というあたりの話をしてきかせる。まぁこのへんは自分に合った解決法を徐々に見出していかねばならないのだが…。少しは気も紛れただろうか。

 みこりんが先にお風呂から上がり、Licにドライヤーしてもらってる音など聞きつつ、しばし目を閉じ、湯につかり。10分ほど温まった後、私も風呂から上がった。

 *

 着替えて廊下に出ると、雨垂れの音に混じって、何か別の“音”がしたのに気が付いた。なんとなく2階方面から聞こえてきたような?そっと階段を上がってゆくにつれ、それが泣き声だとわかる。みこりんだ。
 しゅたたたっと階段を駆け上り、みこりんの部屋に入ると、ベッドの中でみこりんが両手で顔を隠すようにして泣いていた。
 ついさっきまで元気そうだったのに?いったい何が?

 ………も、もしかして、この雨のせいかな?そう問い掛ける私に、みこりんは小さく頷くのであった。

 雨や風の音が紛れるように、眠る時にはCDをかける習慣になっていたのだが、今宵の雨音はそのくらいで意識できなくなるほど弱いものではなかったようだ。
 仕方がないので、みこりんが眠るまで手を握っていることにする。そうやっているうちに、いつのまにか私もベッドの傍らで跪いた姿勢のまま眠ってしまっていたらしい。風呂からなかなか出てこない私を探しに来たLicによって、私の意識は呼び戻された。

 幸い、みこりんは眠りに落ちたようだ。起こさないように、そっと指をほどき、立ち上がる。
 それにしても…、こういう時のために電話機を新調して、みこりんの部屋に子機を設置したはずなのだが…。役には立ってないみたい。どうしたものか。

 しかしまぁ、いずれそんなこともあったねと、懐かしく思い出すようになるのだろう。年を経るにしたがって、月日の経つのがどんどん早くなっているような気のする今日この頃。


2007.3.25(Sun)

お宮参り

 天気予報では今日も雨、のはずだったが、幸い雨の気配はない。姪っ子のお宮参りを見届けるべく、義妹夫婦の住まう処に集合する。義妹夫婦双方の実家より、それぞれの両親が来ているので、うちの3人を含めて総勢10名。定刻をやや過ぎたところで、クルマ3台に分乗し、最寄の神社に向かった。何しろ産まれてまだ2ヶ月も経ってない赤ちゃんの事ゆえ、出発時間になったからといってお乳を我慢できようはずもなく。満足するまで飲み、ちゃんとゲップさせてからでないと、動けない。

 長良川河畔、城の建つ山に沿うように、その神社はあった。事前に調べた情報によれば、1900年の歴史をもつ社とか。今が西暦2007年なので、1900年前というと………、その当時の日本って何時代??Licと大いに不思議がったものだが、奈良時代より前ってことは確実なので、弥生時代…、か?ひょっとして卑弥呼とかがいた時代だったりして。なんにしても、途方もない歴史を持った場所には違いあるまい。

 神社着。
 桜がぼちぼち咲き始めているが、見頃は来週末くらいといった状況。“桜祭り”と書かれた幟が、まさに今立てられ始めたばかり。
 巨大な苔生した鳥居をくぐり、坂を上る。石畳は、比較的新しいもののようだ。みこりんが玉砂利をコンクリートで固めたような板が敷き詰められているのを、興味深そうに靴の裏でツルツルと滑りながら、歩いてゆく。たぶん昔は普通に玉砂利だったのだろう、なんてことをみこりんに話しつつ。

 上の方にも大きな鳥居があり、そのさらに上に拝殿等があるらしい。肉眼ではまだ確認できないほど上の方だ。
 ちょうどその鳥居の向こうあたりに、白無垢の花嫁さんを発見。結婚式もやってるらしい。で、その結婚式関連の建物かと思った近代的な建造物が、社務所だった。
 入り口のドアの横で、巫女さんが二人並んで参拝者が通る度にお辞儀をしている。その巫女衣装が、私の記憶にあるものとは少々変わっており、興味を惹かれた。羽織っている薄衣が、なんというか異世界の巫女、みたいなイメージ。あとで気が付いたのだが、この時、みこりんをだしに写真撮らせてもらっておくべきだったなぁと思うくらい、印象的なものだった。じつに惜しいことをした(あとで調べてみたところ、羽織っていたのは千早というものらしい)。

 待合室は、2階。待っている間、鈴の音や祝詞の声が漏れ聞こえてくる。どうやら待合室の目の前の部屋からその音は発せられているようだ…。みこりんが「何の音?」と不安がっていたので、「ここで結婚式やってるんだよ、たぶん」なんて言ってたのだが…。いや、まさかそこでお宮参りの御祓いをしてくれてるとは思いもよらず。てっきり拝殿の方まで行くのかと。

 姪っ子達の順番がやってきたので、みんなして入場。主賓を前に、私達は後ろの方に座る。たしかにこの建物内なら全天候対応だ。しかも山の上の方まで歩いていかなくてもいいので、お年寄りにも安心なつくり。…でも、風情はちょっと足りないかな。
 古びた木造建築の、凛とした空気が結構好きなので、少々残念。とはいえ、祝詞が始まると、雰囲気は出てくる。しかも“フル装備(冠、千早、鈴)な巫女さんの舞”付き。巫女さんの打ち振るう神楽鈴の音が、頭の芯の方に染み渡ってゆくのが心地良い。

 …以上で、終了。みこりんのお宮参りの時には、それぞれ玉串を捧げたりしたが、ここではそういうのは省略のようだ。御札等が配られて、退出する。
 姪っ子が妙におとなしいなーと思ってたら、熟睡中だった。祝詞の独特のリズムが催眠術になったのだろうか。姪っ子の後ろにいた別の赤ちゃんが激しく泣いてたのとは対照的。

 無事、お宮参りを終え、義妹のダンナさんの姉夫婦が合流したところで、お食事会へ。
 創作海鮮寿司は、なかなか美味であった。
 みんなが腹いっぱい食べている間、本日の主賓である姪っ子は、傍のソファの上に乗せたクーハンの中で、やはりぐっすりと熟睡中。
 寝る子は育つ。体重も4kgを超えたらしい。来年の春には、みこりんと会話できるようになってる、かな?健やかに育ちますように。

 *

 義父母を駅まで送り届け、本日の作戦は終了した。
 その帰り道、みこりんが例の古本屋(というか古モノ屋)に寄っていきたいというので、しばし店内を散策する。みこりんとLicは、ひたすら『ラブandベリー』のカードを物色していた。互いにどっちがよりおしゃれ度が高いか競争してるんだとか。いつのまにかLicもはまってるし。おそるべし、『ラブandベリー』。
 ちなみにここで選んでいったカードで、Licは285点というおしゃれ度を叩き出していたことを記しておこう。おそらく最高が300点くらいだと思われるので、これはなかなかのハイスコアではないだろうか。みこりんの方は…、かなり苦戦している模様。精進あるのみ。


2007.3.26(Mon)

錬金100級

 ヴァナ・ディールの地において、私(のメインキャラ)が錬金術を始めたのは、冒険生活に必須の薬品類を自作できるから、というきわめて単純な理由からだった。完成品を競売で買うと結構な値段がしたし、それなら自分で素材を狩ってきて自分で薬品作ればタダで使えるじゃないか、と。
 だからどっちかというと錬金術の技術を生かして生計をたてるというよりは、自給自足でまったりと、といった感じだったので必要な薬品が自作できるスキルに達すると、それ以上のスキル上げにはあまり執着していなかった…、のだが。

 転換点は、やはり昨年導入された“チョコボ育成”に伴う、短期集中スキル鬼上げであろう。そしてそのあとに来たチョコボ用餌の特需。ここで得た資金がなければ、その後のスキル上げはままならなかったにちがいない。

 一昨日の土曜日、ついに錬金術スキルが現在の上限である100に到達した。

 スキル100まで上げられる合成用素材の中でも重要な品は、競売での出品数もさほど多くなく、スキル上げに必要なだけの数を揃えるのも、なかなか大変だった。しかも束ねられないため、入手したとしても、その後の保管がさらに大変だった。キャラ1つが保管できるアイテム数には限界がある。そのために専用の倉庫キャラを作成せねばならなかったほどである。

 そうやって夏頃からちまちまちまちまちまちまちまちま…、と、集めに集めた素材は、合成8ダース分。数にして約190個。だいたいこれだけ揃えば、スキル99→100は可能ではなかろうか。私はスキル上げは材料をためて、一気にやるようにしている。その方が上がりやすいような気がするからだ(おまじないみたいなもの)。
 倉庫キャラに分散して格納していた素材を、どかっと一気に取り出し、しゅわわわ〜と合成。合成。合成。
 最初こそ、0.1も上がらずにこれは日を変えた方がいいかな、と思い始めた時、神が舞い降りた。ほぼ連続で0.1アップが続き、またたくまに99.5へ。さらに素材を倉庫キャラ達からかき集め、畳み掛けるように合成合成。

 今度も、連続0.1アップが来て、スキル100到達は、拍子抜けしてしまうほど、あっけなく訪れたのである。

 都合3ダース分の合成で目的を達してしまった。
 残り5ダース分、120個の素材、どうしてくれよう。合成で出来る品は、競売で売ると原価割れしてしまうため、やはり素材のままもう一度競売に流すしかないか。

 じつはこの素材、競売で数週間前から妙な値動きをしているのだ。ちょっと前まで12000ギルだったものが、あっというまに25000ギルまで上昇し、在庫も一気に47個とか、普段の10倍という異常さ。RMT業者が大量放出したのか、あるいは単なる偶然か。
 慎重に値動きを見極めつつ、売り抜けねばなるまい。ここらへんのかけひきが、多人数参加型ゲームの醍醐味でもある。
 ところでLicが気になることを言った。今週の木曜に“チョコボレース”が導入される。若干の新アイテムも追加される模様だ。その材料に、今回のあやしい動きをしている品がからんでいるのでは?という推測だ。……たしかに、ないとは言い切れないところが微妙。しばらく売りさばくのを止めて、様子見、かな。


2007.3.27(Tue)

不燃ゴミの日

 不燃ゴミの収集日は、毎月1回必ず設けられていたが、固定日ではなく、月によって変動する。それゆえに、ついうっかり不燃ゴミの日を忘れてしまって出しそびれた様々なモノ達は、2階の物置部屋にとりあえず仕舞っておくことになる。
 そうやって溜め込まれたモノのために、部屋が有効活用できないのはもったいない。今度こそ、今月こそ忘れずに捨てよう。そう決意した私は、リビングのカレンダーに、不燃ゴミの日が一際目立つよう、赤で印をつけておいたのだった。
 この印は、みこりんの目にも留まり、私が忘れかけていても、みこりんがきっちり指摘してくれるという効果をもたらしてくれた。

 そして、明日がいよいよ不燃ゴミの日。カレンダーに印をつけたことで、家族全員がこの日を忘れることなく、今日を迎えることができた。
 私が帰宅した時には、すでにLicにより、軽めの不燃ゴミが袋詰されている真っ最中。私もさっそく作業服のまま、物置部屋から重量物の運び出しに取り掛かった。

 一番の大物は、レーザープリンタである。10年以上昔のシロモノな上に、B4にも対応している機種なので、かなりでかい。結婚式の座席表を作る際には、こいつが役に立ったが、いつのまにか壊れてしまって幾歳月。一度は修理しようかと電器屋にも持ち込んでみたが、修理代にいくらかかるかわからないという恐ろしい状況になりそうだったので、止め。そうやってるうちに、家庭用カラープリンタの高性能化、低価格化の波が一気にやってきて、もはやモノクロレーザープリンタの出る幕ではなくなっていた(仕事で使うならともかく)。

 でかいし重いし、朝になってから準備していてはとても間に合わないので、今夜のうちに片付けてしまうことにする。
 両手で抱えて持ち上げようとしたが、腰をいわしそうになったため、いったん置き。ボディ下部に取り付けられている2段の用紙カセットが、すでに片側だけ外れていたので、こいつを取っ払ってしまうことにした。ぐいぐいと捻る。
 ばきばきと何かが壊れる音がして、カセットがずどっと落ちた。ただの用紙入れかと思ったが、電動品も内蔵されていたらしく、こいつだけ持っても結構重い。カセットが外れたプリンタ本体は、その分、先ほどよりは軽くなっており、どうにか階下へと移動させることに成功した。
 あとは不燃ゴミ用の袋に入れてしまえば……。一人で袋詰するのは無理だったので、Licに手伝ってもらいつつ、袋詰完了。かなりでかい袋だったが、これ1つでパンパンだ。用紙カセットの方は、別の袋にその他の不燃ゴミと共に入れ。

 こうして我が家から不燃ゴミは(ほぼ)一掃された。

 あとは不燃ゴミとして出せないくらいの大物が問題だ。水槽とか、水槽とか、水槽とか…。
 これらは市役所で専用のお札(有料)をもらってこなくてはならず、しかも指定の日に家にいなくてはならないため、平日仕事があるとなかなか出すのが難しい。
 4月になって有給休暇が復活したら、一気に捨ててしまおう。カレンダーに印をつけて、忘れないように。


2007.3.28(Wed)

猫と猫じゃらし

 夜、にゃんちくんの餌入れに、少し餌が残っているのを指差して、みこりんが言った。「にゃんちくん、弱ってるんじゃないの?」
 たしかに以前なら、夜の餌は残さずきれいに食べていたような気もする。…でも、猫は一度に全部食べるんじゃなくて、ちびりちびりと食べたりもする。今残っていたとしても、明日の朝にはきれいさっぱり平らげてそうな予感もあり。実際、ここ数日の記憶を呼び覚ましてみても、朝まで残ってたことはなかった…、と思う(記憶力にやや自信ない)。
 しかし、みこりんがにゃんちくんの状態について指摘するというのも、なかなか珍しいことではあるので、ちょっと気になった。
 ペットヒーターの上の猫ソファで丸くなったにゃんちくんは、私とみこりんにじぃっと見詰められているのを知ってか知らずか、タヌキ寝入りを決め込んでいる。ピンと立った耳だけが、狙いすましたように私とみこりんの方をぴたりと指向していた。

 ふと思い立って、「にゃんちくん!」と声をかけ、例のネズミのおもちゃをおもむろに眼前にぶらーんと吊り下げてみたところ…
 ものすごい勢いでにゃんちくんが猫ソファから起き上がり、超高速に猫パンチが繰り出されてきた。あっという間にネズミ(のおもちゃ)は、にゃんちくんの餌食と化す。
 自分の手元にネズミ(のおもちゃ)を引き寄せると、にゃんちくんは満足したように呼吸を整え、静かに座って、動かない獲物をじっと見詰め。

 ここで再度、ネズミを急激に動かすと、電光石火の猫パンチにより、またたくまにねずみはにゃんちくんの元へとひれ伏すのであった。
 ふむ。普通に元気そうな感じ。
 みこりんもこの姿を見て安心したのか、とっとと風呂場へと消えていった。

 獲物を見据えていたにゃんちくんが、ふいにつつっと顔を上げた。
 「?」
 その視線が私ではなく、別のものに向けられているのに気が付いた。
 ゆっくりと顔を上向かせてゆくにゃんちくん。どうやらにゃんちくんは、ネズミに取り付けられている“紐”の行方を追っているようだ。そしてとうとう、私の持つ竿の先端にまで到達した。

 じっと竿を見上げるにゃんちくん。
 ちょっとドキドキ。
 にゃんちくんは、ふっと視線を手元のネズミに落とし、もう一度、紐から竿へと視線を移動させていった。

 「あれは何にゃ?」

 そう問い掛けるにゃんちくんの内なる声が、聞こえたような気がした。
 猫じゃらしの原理を、にゃんちくんは知ってしまったのだろうか。
 「このネズミはニセモノにゃー!」…と、気付いてしまったらどうしよう。私の不安はがんがん高まってゆく。

 そろり、とネズミを動かしてみた。
 にゃんちくんの視線の動きは、まるで精密機械がびしっとターゲットを確認するかのように素晴らしいものだった。
 宙を舞うネズミに、再び猫パンチを繰り出しているその様子を見て、私はほっと安堵する。このネズミがホンモノでもニセモノでも、そんなことはにゃんちくんにとってはどうでもいいことなのだろう。ただじゃれつければ面白い。動くものには猫パンチを。
 にゃんちくんのゴーストは、そう囁いているにちがいあるまい。


2007.3.29(Thr)

チョコボ・レース実装

 今月2回目となるFFXIバージョンアップは、前回のようにダウンロードだけで一昼夜なんて事態にはならず、朝、起動したPCでさくっと終了。
 今回の目玉は“チョコボ・レース”の実装である。でも朝から遊んでいる時間はないので、いつものようにチョコボ屋前にバザー娘を座らせて、出勤。

 *

 今日は絶好の花見日和のようだが、一日中部屋に篭って仕事なので、まったく季節感なし。
 いつのまにか日も暮れて、夜。駐車場までのわずかな距離を歩く間に、道端に植えられた数本の桜を愛でることが出来たのは、幸いだった。五分咲きといったところか。外灯に照らされた花弁の色彩は、どこか儚く、それでいて鮮烈に心へと染み込んでくる。

 “あと何回、桜を見ることができるでしょうか…”

 そんな言葉を、ふと思い出したりなんかしつつ。

 *

 クルマの燃料計が故障しているのをうっかり忘れてしまい、距離メーターの数値にドキドキしながら帰宅。玄関先でぼうっと白く輝くように咲いているコブシの花は、少々鳥に食べられても平気なくらい数が増えた。開花当初は、朝咲いてても、夜戻ってみると鳥に食われ、というのを繰り返していたので今年はダメかも…、なんて思ったものだが、木の生命力が鳥の数の力に勝ったようだ。
 花桃は、じれったりほど開花に時間がかかっている。一分か二分といったところ。あと少し、もう一押し。

 *

 さて、みこりんも寝静まった夜、FFXIの世界を覗いてみると、チョコボ屋の横に新設されているレース開場の受け付け前は、そこそこの人数が集まっている模様。私もさっそくマイ・チョコボで参戦したかったのだが、あいにく今日はチョコボが怪我をしており、そのうえ、恋の病にまでかかっていたため、レース登録を断念した。これらのステータスがどの程度反映されるのか、明確な答えが出ているわけではないのだけれど…

 その代わりというわけではないが、今回のバージョンアップで追加された新しい合成アイテムを作ってみることにする。どれもチョコボ・レースに関連する品々だ。
 食べるとチョコボの各ステータスがちょこっと上がるリンゴ各種とか。レース中に使用することで、他のチョコボに様々な悪影響を与える花火とか。チョコボ本体に装備させることで、ちょこっと走りに有利になる装具とか。お天気を自在に操ることができる(かもしれない)人形とか。

 花火といえば錬金術。というわけで、現時点で判明している2種類の花火を作ってみよう。これらの花火はすでに競売にも出品されているようだが、取引自体は非常に少ない。競売所によっては出品すらないといった状況。まだみんな様子見といった感じなのだろう。
 レシピをWebで確認すると、幸い手持ちの材料で作れるようだ。材料を倉庫キャラから宅配で送り、合成開始。

 しゅわわわ〜、と合成エフェクトが始まり、ボンと完成。いきなりハイクオリティが来た。合成可能スキルが低めに設定されているらしく、このスキル差があれば、ハイクオリティ品になる確率もかなり高い。ちなみにハイクオリティだと、できる数が倍になるようだ。基本が3個、ハイクオリティで6個(もしかするとさらに9個、12個と設定されているのかも)。
 作り過ぎないように、適度にきりのいい数が揃ったところで合成終了。

 こうして完成した花火2種は、例によってチョコボ屋前のバザー娘に託してみることにする。…しかし、これ、いくらで売ろう。競売の取引自体がほとんどないので、値段設定にひとしきり悩む。
 原価割れしないことはもちろんだが、いきなりのぼったくり価格では以後の信用をなくすだろうし、かといって格安で提供すると他の練金職人さんが困るだろう。それに初物ということも考慮して………。
 悩んだ結果、既存のチョコボ用餌や薬草の現時点での流通価格などを鑑み、それをやや上回る程度の値段をつけてみることにした。性能的にはそこそこ使えそうだが、実戦でどこまで役に立つかは使ってみないとなんともいえない。できれば使えるアイテムになってほしいものだが。
 明日には怪我と恋の病が治ってますように。


2007.3.30(Fri)

チョコボレース参戦

 今宵はLicとみこりんが御馳走を食べに出かけているため、静かである。私はにゃんちくんを膝に乗っけて暖をとりつつ、昨日のバージョンアップでFFXIに実装された“チョコボ・レース”についての書き込みを、某掲示板でひとしきり読んでいた。

 評判はすこぶる悪いようだ。でも、この手の反応は否定的意見の方が書きやすいため、鵜呑みは禁物。
 では、実際に自分の目で確かめてみるとしよう。

 私のチョコボは怪我は治っていたが、あいかわらず恋煩いのままだった。しかし、これが治るのを待っているといつレースに参戦できるかわからないので、とっととレース登録をしてしまうことにする。
 出走許可証を登録NPCにトレードして登録が終わると、さっそくチョコボ屋脇に新規に建造されたレース受付窓口にて、出走申し込み。

 選べるレースは1種類のみ。これを順々にこなして勝利することが、次のステージへの参加条件となるようだ。
 ちなみに私のチョコボは2世代目。チョコ掘りのアビリティを2種類習得させ、掘りの成功率に影響すると言われているステータス“判断力”を最高クラスに育てていることからも分かるとおり、純粋なレース仕様にはなっていない。どっちかというと“掘りチョコ仕様”である。ただ、スピードに影響すると言われているステータス“力”についても、最高クラスから1段階だけ下の“相当あるよう”までには仕上げてある。

 自チョコボの騎手への指示は、最初から全力疾走、一定ペース、最後に追い上げの3通りから選べるのだが、私は全力疾走にしておいた。使用アイテムは、なし。
 そして、レース開始のコマンドで、レースが始まる。

 ふむふむ…。

 1着でゴール。
 続く第2戦でも1着。そしてその次も1着。
 結局、今日参加できるレースのすべてで1着だった。第1日目ということで、比較的ぬるい仕様となっているようだ。

 レース自体の感想としては、最初に騎手への指示と使用アイテムの選択を終えたあとは、一切プレイヤーは手出しできず、視点切替えも固定で、延々とムービーを“見せられている”という感じなのは否めない。それと、解説者の台詞パターンや観客NPCのモーションが、毎回同じというのはかなり痛い。台詞を状況に応じて可変にするのは、さほど難しいとは思えないのだが、現時点の出来だけみるとβ版にも到達していないα版のような印象を受ける。
 まぁしかし、この辺りは今後のバージョンアップで改善される可能性はあるため、ここで結論を出すのは時期尚早かもしれない。

 私的には、自分の育てたチョコボがレースに参加して1着になるというシチュエーションは、それほど悪くはないと思った。今のところ対戦相手がNPCしかいないという点で“オフラインゲームのよう”と揶揄もされているが、今後の予定で対人戦も想定されているみたいなので、今からレース仕様のチョコボ育成を始めてみるのもいいかもしれない。だいたいチョコボ育成に最低でも2ヶ月くらいはかかるので、せっかちな人向けのコンテンツではなさそうだけれど(交配でさらに優良個体に仕上げようと思ったら、1年くらいかかるかもしれないし)。


2007.3.31(Sat)

春爛漫

 ウッドデッキのテーブルに乗せてあるサボテン達と、緑の玉が可愛いウミネギに水をやっていると、目の高さにまでにゅっと伸びたウミネギの花芽に気付く。先週は確かこんな風になってなかったはずだから、ちょっと意表を突かれた。
 いつのまにか庭にも彩りが豊かになってきている。花壇ではアネモネの濃い紫がそよそよと風にゆられ、プラムの枝にはぷわぷわの白い花々が咲き乱れ。特に玄関方面の西側が顕著で、ラッパ水仙各種や薄紅色のチオノドクサ、青いムスカリ、クリーム色のコブシの花、そして濃いピンクの花桃が、いつのまにやら盛大に咲き誇っていた。暖かくなってくると植物の変化もあっという間だ。
 みこりんが「チューリップは?」と心配している。たしかにチューリップ達にはいまだ花芽は見当たらず、葉の高さもまだ半分くらいといった感じ。その隣のヒヤシンスが満開状態なのとは対照的。んー、しかしこのチューリップの開花時期は4月の中頃だったような気も…。

 今日は花粉がちょっと少ない。外に出ていてもあまり目が痒くならなかった。とはいえ、油断してるとひたすら頭痛に苛まれることになっちゃうので、適度なところで切り上げ、部屋に戻る。

 みこりんがチョコボレースを見たいというので、Licがみこりんのキャラでログインし、出走手続きをやっている。みこりんのキャラで育てたチョコボは、走りに重要なステータス“力”と“持久力”がそれぞれ最高クラスという、脳みそが筋肉で出来た走り屋仕様。ふさふさした尾羽が、その証し。私のチョコボより速いのは確実なので、よほどのことがない限り、初日のレースで負けることはないだろう。

 レース開始。みこりんは解説として登場しているヒナチョコボのサクラちゃんに、しばし気を取られていたようだが、走り始めると自分のチョコボが先頭を突っ走っているのを満足げに見ていた。でも、2回目、3回目のレースになってくると、解説の台詞と観客NPCの動きが毎回同じであることに飽きが生じたらしく、モニタの前から姿を消した。こういうところは子供は正直だから…、まぁ仕方あるまい。状況変化に合わせた可変の台詞導入は、早めに対応しないとまずいだろうなぁ。

 で、みこりんが今、何をやっているかといえば、『子供チャレンジ』の付録作成だ。どんな付録かというと…、結晶を育てるというやつ。その結晶の写真が、最近見たコレにそっくりなので、説明書をよくよく読んでみれば、やはり同じく尿素を使っているようだ。みこりんも、これが『3年の科学』の12月号付録についてきたやつと同じ結晶であることは気付いており、「同じ“にょうそ”だから、『科学』で使った粉と一緒にしてもよい?」と聞いてきた。
 合わせれば量が増えるので、みこりん的にはとてもやってみたいことなのだろうけれど、この手の薬品は下手に同じ成分が入ってるからといって混ぜるのは危険。いや、子供の付録についてくるくらいだから、たぶんそんな物騒なシロモノは入ってないとは思うけど。
 そんなことをみこりんに話して聞かせ、混ぜるのは止めさせておく。

 *

 夜、そろそろ寝ようかという時刻。みこりんのセッティングした結晶成長用の厚紙表面には、早くも結晶がこんもりと発生しつつあり。でも土台が紙だからか、なんとなく結晶というよりは…、カビ…、みたいな感じ。付録の完成度は、『3年の科学』の勝ち(比較しても意味ないけど、つい)。


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