2005.8.7(Sun)

七夕

 七夕というわけで、地元の文化会館にてささやかな行事が開催される。これにみこりんは行きたがっていた。なぜなら、“スライムの自作コーナー”があったから。定員20名のところ、30名に拡大しなければならないほどの人気ぶりらしい。学校でスライムが流行ってるのだろうか。みこりんにスライムを買ってやった記憶はないので、その存在に触れるとしたら学校しかないはずだった。

 スライムの自作コーナーは、2階の広間にあった。ブルーシートが広げられ、そこに新聞紙がぽつんぽつんと置いてある。その上には、重しのように洗濯糊のボトルが乗っていた。なるほど、糊か。なんとなくスライムっぽいな、と思いつつ、奥の方の新聞紙の前に陣取った。みこりんも興味津々で辺りを窺っている。中央では、今日の講師役である女子中学生達が輪になって、なにやら作業をしているようだった。

 開講。簡単な挨拶のあと、作業手順を書いたパネルを使って説明があった。用意するものは、紙コップに割り箸、水とお湯、洗濯糊に、ほう砂。あと色づけ用に絵の具を少々。
 ほう砂というのがポイントらしい。しきりと「これは毒なので舐めないで」と注意がある。おぉぉ、毒か、でも毒入りスライムって触っても大丈夫なんだろうか。加工してしまえば無毒になるとか?

 毒の怖さがわかってないみこりんは、すでに作業を開始していた。お姉さんにもらってきた紙コップを新聞紙の上に置き、私に洗濯糊を入れるようにと言う。紙コップには、分かりやすく、目印となる線が引いてあった。なかなか親切だ。
 糊を入れ終わったら、ほう砂の飽和水溶液を投入。割り箸でぐにぐにと混ぜていけば、あら不思議。スライムの出来上がり。

 「おぉー」と、みこりんが驚いている。私もちょっとびっくりした。こんなものでスライムが出来るとは。めちゃ簡単。
 紙コップから出して、みこりんの手に乗っけてやる。ぷるんぷるんで、ちょっとヒンヤリした感触は、なんとなくワラビ餅を思わせた。
 ひとしきりスライムの感触を楽しんだみこりんは、続いて2作目にとりかかる。今度のは色つきだ。

 みこりんが選んだのは、赤。最初、とても毒々しい感じになっていて、ちょっとこわごわなみこりんだったが、混ぜ終わると、いい具合に透明感も出てきて、美しい色彩となった。
 透明なスライムと、赤のスライム。手のひらで、ぽんぽんと丸めると、餅のようにカタチを変える。しかしそれもつかの間、やがてスライム達は重力に引かれて、のっぺらーっと平らになった。そうしているうちに、いつのまにかみこりんは2つのスライムを混ぜてしまって、巨大スライムを作っていた。最初は混ざるのを嫌がっていたのに、気持ちいい手触りに負けたらしい。

 スライム教室、終了。家から持ってきたバターの容器にスライムを入れて、大事そうに抱えるみこりん。よほど気に入ったとみえる。
 あとは屋外駐車場で、風船釣りにアカヒレすくいなどをやって、花火で〆。でも真っ昼間の花火なので、あんまり美しくない。っていうか、ぜんぜん見えない。たぶん中学生達が運営しているので、夜はダメなんだろうな、と思いつつ。まぁ、みこりんが楽しそうなので、よしとする。


2005.8.13(Sat)

たまごっち

 もうじき、みこりんの8回目の誕生日である。プレゼントは何がいい?と聞くと、「たまごっち!」。すでに1つ持っているにもかかわらず、もう1つ欲しいらしい。互いに通信できるため、2個あったほうが楽しいんだとか。そんなものかねぇ、と思いつつ、ネットで検索。

 前回買ったのも、ネット通販だった。たまたま定価販売しているところを見つけることができたのでラッキーだったが、今回はなかなか見つからない。ほとんどが売り切れか、定価の2倍から3倍くらいふっかけている。うむむ。
 みこりんはそれでも欲しいらしいのだが、さすがに2倍とか3倍出してまで買う気にはならない。今日からLicの実家へと出かけるみこりんなので、もしかしたら大きなオモチャ屋さんに実物を置いているかもしれないと言い、ネット通販を諦めさせた。それでも、安いところないか探しておいてね、なんて言われてしまったのだが。どうも今回は無理っぽいような・・・。

 こんなに値上がりしているのは、“大きいお友達”にも人気があるからとか。それに加えて出し渋りのメーカーにも原因ありだな。
 はたしてみこりんは、2台目のたまごっちを手に入れることが出来るのだろうか。


2005.8.18(Thr)

たまごっち帰還

 近頃、雷様によく遭遇する。にわかに空が暗くなってきたかと思うと、山の向こうで激しい稲光が走り、滝のように雨が落ちてくるのだ。夕立程度なら涼しくて良いのだけれど、昼夜を問わず、がらがらごろごろ唸り始めるので油断できない。屋根の上に避雷針でも付けたい気分だ。

 そんな雷にめっぽう弱いみこりんが、Licと共に実家から戻ってきた。首から真新しいプーさんのポーチを下げている。中から取り出し、見せてくれたのは、『たまごっち』だった。白いボディに赤い液晶。トイザらスでゲットしてきたという。なんてラッキーな。

 さっそく触ってみたが、赤い液晶はなんだかとても見づらい。背景が黒ならまだしも、通常の液晶画面にありがちな淡いグレイなので、いよいよ識別が困難になっているのだった。
 どうみても構想倒れのような気がするのだが、ネタに尽きてしまったんだろうか。先行きをちょっと心配してしまう。ちなみにみこりんも、この赤い液晶は見にくいと思っているようだ。本当は黒い液晶がよかったらしいのだが、店では選択肢が2つしかなく、片方は黒液晶だったのだがボディの色がイヤだったとか。ボディカバーの着せ替えができないツクリなので、仕方あるまい。

 そういう不満はありつつも、念願の『たまごっち』2個所持という願望を達成できたみこりんは、おおいに満足している……と思いきや、早くも次の野望があるらしい。じつは黒いシリーズと赤いシリーズとでは、相互に“恋愛結婚”させることが不可能なんだとか。だから黒いのと赤いのを、もう1個ずつ欲しいらしい。なるほど、こういう罠を仕掛けておいたのだな。じつにあざとい、というか子供心を研究し尽くしているというか、ぼろい商売である。まだまだ『たまごっち』の高騰は続きそうな予感。


2005.8.28(Sun)

 午前7時、時間差で鳴り響く3台の目覚まし時計。1台止めても次があり、次を止めてもさらにもう1台。そのおかげで、最後の一台を止め終えた頃には、ようやく意識もはっきりしてくる。あぁ、起きなくちゃ。
 今朝はPTAの行事で、学校の掃除をやらなければならないのだった。

 学校は広い。ゆえに、各地区ごとに割当が決まっており、うちは畑の雑草抜きということになっていた。事前に配布されたプリントには、準備してくるものとして“鎌と軍手”程度しか書いていなかったので、たいしたことないのではと思っていたが、実際現地に着いてみて驚いた。プール3個分ほどの畑は、まさに雑草まみれである。

 しかも何も栽培してない区画が全体の2/3を占めているため、とてもじゃないが人力でなんとかするのは無理っぽい。先生達もそう思っていたのかどうか、我々の眼前にぽつんと置かれた1台の草刈り機。30人近くの人手に対して、1台というのはちょっと寂しいものがあったが、こんなことなら最初から持ってくるものリストに“草刈り機”と書いておいてくれたらいいのにと思う。このへんの自治会には草刈り機くらいは用意されているものだから。

 まぁとにかく、雑草抜き開始。一時間半でどこまでやれるかわからないが、ただひたすらに草を抜く。余計な雑念を捨て、黙々と黙々と、無心となって、マシーンとなって、草を抜く。
 私は鎌を持っていないので、根っこごと引き抜かねばならない。幸いこの畑の土は、いい土だった。ほっくりほくほく素直に根っこは抜けてくれる。でも、ちょっと体勢を間違えると、腰にきてしまいそうなくらいに広い雑草の海。

 やがて積み上がる雑草の山。まるで牧草のようだ。近くの牧場から牛でも連れてきてやったら、喜んで食べてくれそうな・・・。
 いつのまにか草刈り機の音が3重になっていた。他の区域から支援に駆けつけてくれたらしい。雑草の海だった箇所は、いい具合に緑の芝生みたいになってきている。それに比べて我々人力班担当区域はというと、まだ半分近くが残ったままだった。腕時計に目をやると、午前9時まであと10分。はたして間に合うのだろうか。

 抜いては積み。抜いては積み。帽子を忘れてきたのが痛かった。直射に焼かれる後頭部から、ぶすぶすと煙が上がるのではないかと思えてしまう。とても暑い。

 終了。結局、人力班の区域は歯抜け状態のまま終わることになった。まぁ、2学期が始まったら、子供らでどうにかするのだろう。引き上げることにする。
 手を洗い、ついでに顔も洗って、配給のアイソトニック飲料をぐいぐいと空けていると、天頂付近に月が出ているのに気が付いた。抜けるような蒼い空に、月。脳内イメージで、大気圏を突き抜け、星空が透けて見えたような気がした。空が高い。夏も、もう終わり、か。


2005.8.31(Wed)

愛・地球博

 愛・地球博から戻ってくるLicとみこりんを迎えに、駅にクルマを走らせる。無人駅の待合室は、人工灯の明かりが妙に明るく、周囲の静寂と相まって異空間な雰囲気が満載である。
 ベンチに座ってふと足元を見下ろすと、この生命感の希薄な空間にあって、唯一といってよい動くものに目が留まった。

 アリである。タイル貼り、コンクリート打ちっぱなしなこの場所に、いったいどうやって彷徨い込んできたのか、菓子くずに2匹3匹と寄り集まっているのだった。
 たぶんヒトが死に絶えてしまっても、この小さな生き物だけはしぶとく生き残ってそうな、そんなたくましさがあった。足で踏みつぶさないように、ちょいとどかし。

 定刻より数分遅れで、電車がホームへと滑り込んできた。通勤時間帯以外は、一時間に1本という間隔なので、けっこう混んでいる。降りてきたLicに抱きかかえられて、みこりん熟睡中。だいぶお疲れモードのようである。
 そのままクルマに寝かし、家路を急ぐ。

 夏休み最終日、万博はけっこう混んでいたらしい。みこりんはTVの特集などを、私の知らない間に見ていたりして、かなり万博通なのだが、見たかったものは見ることができただろうか。私が大阪万博に行ったのは3歳くらいのことなので、まったくといっていいほど記憶に残ってないのだけれど、みこりん8歳、たぶん大きくなっても覚えているに違いない。どんな絵日記(夏休みの宿題)を描いてくれるのか、興味アリ。


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