2006.8.1(Tue)

VANGELIS

 CDレンタル半額の日、到来。さっそく以前から目を付けていたヴァンゲリス喜多郎のアルバムを、それぞれ1枚ずつ借りてきた。いずれも、みこりんにシンセサイザー音楽がどんな感じなのか聞かせてみるためである。

 仕事で遅くなってしまったので、肝心のみこりんはすでに熟睡中。とりあえず自分のために、ヴァンゲリスから。

 鑑賞中…

 …鑑賞中…

 まだまだ鑑賞中

 な、なにもかも、みな懐かしい。
 映画『炎のランナー』のテーマなんか、中学の頃、テープが磨り減るほど聞いたなー。でもいまだに映画本体はちゃんと通しで見たことないけど。
 加えて映画『ブレードランナー』から“愛のテーマ”と“エンドタイトル”。これは大学の頃、夜通し映画見ながら何度も何度も繰り返し聞いた。

 この曲を目を閉じて聞いていると、記憶だけ一瞬にしてタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。うーん、まんだむ。

 週末、さっそくみこりんにも聞かせてみよう。


2006.8.2(Wed)

戦闘

 そいつは日曜日、入り込んできたやつだった。

 ハエ。
 子供の頃は、家の中でもよく飛んでいたような気もするが、最近じゃ滅多なことでは見かけなくなっていた虫。いやもちろん養鶏場などの近くに行くと、今でもブンブンいっぱい飛んではいるけど(みこりんの小学校の近くに養鶏場があるので…)。団地の中ではあまり見かけたことはない。
 だからうちには“ハエタタキ”は常備していなかった。

 ハエはかなり敏捷に動く。飛翔中はもちろんだが、離陸時間がめちゃくちゃ早い。ゆえに、どこかで羽根を休めている隙をつこうとしても、手で叩き落すのはかなり難しい部類に入るのではなかろうか。
 もっとしなやかで長い棒でもなければ、ヤツを仕留めるのは無理かもしれない。そこで新聞紙をくるくると巻いて、即席のハエタタキを作ったのが一昨日のこと。しかし、ヤツはなかなかのものだった。普通のハエの3倍くらいは速いんじゃないかと思ってしまうほどの、見事な機動性を見せ付けてくれた。

 もはやヤツを落とすのは不可能なのかもしれない。そんな気さえしていたところだ。

 だがしかし、今、目の前でたたずんでいるヤツの背中は、妙に隙がありすぎた。
 …、罠かもしれない。一瞬のためらい。丸めた新聞紙から、少し力を抜いた。でも…。

 「そこっ!」

 やったか?。寸前までヤツはそこにいたはず。
 ところがあるべき死体は、ない。またしても逃げられたのか。
 背後で見ていたLicによれば、「いや、たしかに当たったと思う」とのこと。勢いあまって弾き飛ばしてしまったのだろうか。床の上をくまなくチェック。

 およそ1mほど離れた床の上に、ヤツを発見。どうやら無傷っぽい。やはりかわされていたのか…。おそるべし。でも、なんだか様子が変だ。今ならやれる。そんな気がした。
 改めて新聞紙を握りなおし、直撃コース。

 こうして、3日間に及ぶ戦闘はようやく終結した。だが、我が家にハエタタキが常備されることは、おそらく今後も、ないであろう。


2006.8.3(Thr)

夏の夜のスズムシ

 みこりんも寝静まった夏の夜。スズムシ達の合奏が、どことなく秋の気配を感じさせる今日この頃。
 でも昼間は猛烈に暑いので、餌として入れているキュウリの痛みも速い。腐って糸引いてるようなのでも平気で虫たちは齧ってしまうようなので、とっとと交換だ。

 古くなったキュウリを取り出し、魚粉を入れた容器も全部出し、新鮮な水を詰めた霧吹きで、しゅっしゅっと。
 虫本体には、直接水をかけないほうがよさそうなのだが、30匹以上という数の多さもあり、そんなことにはあまりかまってはいられない。でもまぁちょっと間隔を空けて、息を詰まらせない程度には気をつける。
 霧吹きを始めると、急にわらわらと逃げるように動き始めるスズムシ達であったが、壁面に付着した水滴を必死で舐めてるのもちらほらと。もしかして霧吹きよりも、水入れを中に置いといた方がよかったりは…。

 霧吹きタイムが終わると、新しいキュウリを5切れ、楊枝に刺して入れてやる。最初の頃はキュウリが土につかないように、楊枝の上の方に刺してやっていたのだが、重力に引かれてキュウリがすとんと落下したはずみで圧死した(らしい)スズムシを複数発見してからというもの、必ずキュウリのどこかを土などに触れさせ動かないように注意するようになった。たしかにキュウリとはいえ、スズムシにしてみれば自分よりもでかい物体には違いなく、気をつけておくにこしたことはない。

 スズムシ達は、もうほとんどが最終形態になっており、雌雄の区別も一目瞭然。オスの方が、ちょっと多い。メスはまだ羽根が生え揃ってないものがいて、やや成長速度に差があるような感じ。
 脱皮に失敗した個体も少なからず、いた。脱皮用の板というか、つかまる用の物体をもう少し多めに入れておいたほうがよかったかもしれない。教材に付属してきた脱皮板は、もはや小さすぎて、1匹でほぼ占領状態になってしまうほどだ。来年の課題である。

 約30年ぶりでスズムシを育てているわけだが、オスの鳴き声(声というか、音)が記憶にあるのよりも、ずいぶんと柔らかい感じなのが気になったところ。小さい頃は、耳が痛くなるほどの音量だったような…。今は眼前で鳴かれても、ぜんぜん平気。
 30年も昔のことなので、記憶も誇張されているのかもしれず。…あるいは、最近の品種はみんなこんな感じとか?

 とりあえず、夏を無事に越して、たくさん卵が生まれますように。


2006.8.4(Fri)

市街戦

 FFXI“アトルガンの秘宝”によって導入された市街戦は、わりと気軽に参加できる程度の難易度で、しかもそこそこの戦績をゲットすることができる。私の場合、ほとんどこの市街戦だけで戦績を貯めて来たようなものだが、それでもすでに2万点ほど稼いでいた。この街で“普通”に暮らす分には、十分な量である。
 私やLicが所属するサーバでは、これまで市街戦に負けたことはなく、連勝記録を着々と伸ばしていたのだが、先月末に行われた大規模なアップデートではついに、大幅に敵が強化されてしまったのだった。

 アップデート後、初の市街戦が、先週末に発生した。この時はLicが参戦しており、私は背後からモニタ観戦していたのだけれど…、まさにそれは『圧倒的じゃないか』だった。
 街を守護する5人の将軍が、一人倒され、二人倒され、やがて、最後の将軍まで倒されてしまった。“秘宝”への扉の封印が破れ、なだれ込んで来る膨大な数の敵の群れ。強烈な範囲攻撃で、一瞬のうちに何十人もの傭兵達が屍と化す様は、ある意味、突き抜けていたような気がする。
 Licも倒されては蘇生魔法により蘇って戦線復帰、そしてまた死に…、を何度となく繰り返していた。将軍すべてが倒された今、敵の殲滅しか勝利する術はない。時間無制限一本勝負である。でも、どうみても勝てるようには思えない。敵は“圧倒的”すぎた。

 それでも十数分は持ちこたえていただろうか。しかし、ついにその時は訪れた。
 “秘宝”は敵の手に落ちた。初めて見る敗戦のムービー。
 もちろんすぐに“秘宝”奪還のための討伐隊が組まれ、続々と敵地に乗り込んで行く傭兵達。ところが、初めての敗戦ゆえ、奪還戦もみんな初めてのこと。そうそう簡単には勝てるものでもなく、私は睡魔に負けてそこからの記憶はない。

 このような状態は、他のサーバでも似たり寄ったりだったらしい。あまりに敵が強すぎる、というわけで、今週、またしても調整が行われたという。
 そしていよいよ今宵、市街戦が発生した。“秘宝”はすでに、外人パワーのおかげか奪還に成功しており、小規模な市街戦は起きていたのだが、防衛戦も数を重ねるうちに敵のレベルも上がってくる。今宵の敵は最高レベルだ。

 先日の“圧倒的”な敵の姿を目の当たりにしているだけに、少々緊張する。強さが調整されたとはいえ、以前のように連勝できるほど甘くはあるまい。
 案の定、敵はそこそこに強く、一体倒すのにどれだけかかってるんだという感じ。そんなことをやってるうちに、将軍の一人が倒されたというメッセージが流れる。もしやまたしても負けてしまうのか。そんなことを思いつつも、終わりの見えない戦いは続いた。

 将軍が一人でも生き残っていたら、制限時間がくれば敵は撤退してゆくものらしい。我々は、いつのまにか勝っていた。勝ったという実感がこれほどない勝利というのも、なかなかあるまい。
 まぁでも勝ったので、よしとする。戦績も稼げたことだし。

 ゲームバランスのリアルタイムな調整とか、続々と追加されてゆく新たなマップ、ミッション、クエスト、etc...
 オンラインゲームならではの醍醐味でもある。
 生活に不自由しない程度に戦績を貯め、自作した物を売り、金を稼ぎ、街にたたずみ流れ行く会話をなんとはなしに聞きながら…、金曜の夜は更けてゆく。


2006.8.5(Sat)

スライダー

 昨年の夏から、ずっとみこりんが行きたがっていた場所がある。
 それは、隣の市にある市民プールだ。地元にプールがないわけではない。しかし、決定的に違っていたのは、“スパイラルウォータースライダー”の存在だった。

 地元のプールにあるのは、子供用の普通の滑り台。それに対して市民プールの“スパイラルウォータースライダー”は、高さ13m、長さ117m。桁違いの大迫力に見えたとしても、無理はない。
 今日も暑い一日になりそうだった。絶好のプール日和ともいえる。でも芋洗い状態なのはちょっと…。というわけで、日も陰り始める午後3時、市民プールへと出かけたのであった。

 途中、みこりん用の水着を調達。スクール水着は胸にでかでかと名前が書いてあるので、昨今の物騒な状況ではさすがにまずかろうというわけで。
 ついでにLicも新調し。
 市民プールまでの道のりは、あらかじめ調べてはおいたのだが、いまひとつ迷わずにたどり着けるか自信がない。しかし、方向感覚に優れたLicの適切なナビにより無事到着。Licの脳内ではカーナビばりの詳細なマップが構築されているに違いない。

 そろそろ夕方目前ということもあり、プールは比較的空いていた。右手方向にどどんとそびえ立っているのが、“スパイラルウォータースライダー”。待ち行列が少々あった。
 いきなりその列に加わる前に、流れるプールで体慣らし。例の吸い込まれ事件のこともあり、まず排水口を探してみたが、どうもそれっぽいものはなさそうだった。吐き出し口ならあったのだが…。Licが、いわゆるオーバーフローの仕組みになってるんでは?と言った。ふむふむ。この弱い流れからして、それはあるかもしれない。

 みこりんの持参してきた浮き輪に一緒につかまって、ゆるやかな流れに身を任せ。
 水はほどほどにぬるく、なんというかこう、癒される感じ。でもいざ自力で泳ごうものなら、たちまち腕の筋肉が重くなってくる。…弱すぎ。

 体が水になじんできたところで、いよいよスライダーに挑戦。階段の上り口に身長制限の赤い線があった。ちょっとどきどきした感じで、みこりんがその前に立つ。うわー、なんかぎりぎりだ。大丈夫なのか?
 しかし監視員さんは、あっさりとOKを出してくれた。嬉々として階段を上がってゆくみこりん。ここのスライダーは3本あって、うち1本が初心者用ということだったので、まずそれからやってみようということにしてあったのだが…。初心者用の入り口は閉鎖されていたのであった。
 すると残るは最上階にある2本のコースのみ。

 みこりんはごうごうと水が流れ落ちる最上階コースに、ちょっとびびり気味だった。じつは私もスライダーは初めてなので、はたしてこれがみこりんにとってどの程度の難易度なのかわからない。というか自分が大丈夫なのかという心配すらあった(閉所恐怖症&高所恐怖症…)。
 唯一のスライダー経験者であるLicから、まずチャレンジ。チューブ状のトンネルの中を、あっというまに滑り落ちてゆくLic。みこりんも心配そうに覗き込んでいたが、いよいよ自分の番が近付いてくると、意を決したかのようにわずかな躊躇いも見せず、滑降準備。
 みこりんは怖がりなんだけれど、案外、胆の据わっているところがある。エレクトーンの発表会にしても、本番に妙に強いし。

 監視員の合図で滑り降りてゆくみこりん。大丈夫なんだろうか。
 しかしここからでは下の様子がよく見えない。みこりんが着水したのかどうかも不明だが、次は私の番である。
 合図と共に、突入。

 3秒くらいは余裕だった。が、徐々に速度が増してくるに従い、ボブスレーやってるみたいな感じになってきた。一瞬体が浮いて、コーナーを駆け上り(下りだけのはずが、なぜか“上がった”ように感じた)、急降下して水中に没す。
 もろに仰向け状態だったため、鼻の中に思いっきり水が入って、しばらくつーんと顔の奥の方が痛んだ。こ、こんな罠があろうとは…

 みこりんはすっかりスライダーにはまったらしい。このあとも2回ほど滑り落り、ぜんぜん余裕な表情である。
 ところで並んでる子供たちを見ていると、みこりんより小さい子もいたりして、もしやここの身長制限って有名無実化してたりは。

 午後5時を過ぎ、徐々に肌寒くなってきたので、撤収。みこりんはまだまだ泳げそうな顔をしていたけれど、今日のところはこれでおしまい。


2006.8.6(Sun)

七夕祭り

 旧暦の七夕も近い日曜日ということで、今年も地元の文化会館では中学生有志による“七夕祭り”が開催される。みこりんは昨年“スライム作り”コーナーに参加したわけだが、今回は競争率のもっとも激しいと思われる“お菓子作り”コーナーにエントリーしていた。先着順なので、早めの参加希望が功を奏したようだ。

 みこりんの持ってるエプロンは、保育園時代に何かのプレゼントでもらったやつ。今でもちゃんと装着できるかどうか心配していたみこりんだったが、昨夜の試着で問題のないことがわかった時には、心底安堵したような表情をしていた。
 でもこのエプロンも今年が限界だろう。紐の長さがもうぎりぎり。
 小学3年生以下の参加者には保護者同伴が義務付けられているため、私も参加だ。私用のエプロンもちゃんとある。三角巾代わりのバンダナも、Licに装着の仕方を教えてもらったので問題なし。

 お昼過ぎ、みこりんを灼熱のクルマにのっけて、出発。

 *

 “お菓子作り”は調理室にて行われる。参加者10名、講師役の女子中学生が6名、いざという時用のベテラン女性が2人ほど。磐石の布陣である。
 今回子供たちが挑戦するのは“ホットケーキ”と“クラッシュゼリー(飲むゼリー)”だ。低学年の子もいるので、それなりに作りやすいものとなっていた。

 まずゼリーから。こいつは冷やして固める時間がいるので、最初にやっておこうという段取りである。3つある調理台に、10人が分かれて陣取り、そこに2人ずつ中学生がついて調理は始まった。
 ブドウとグレープフルーツのジュースが入ったボールに、レンジでチンしたゼラチンを投入。かきまぜて溶かす………。みこりんも一生懸命泡だて器でかちゃかちゃやっていたものの、ゼラチンはゲル状のまま一向に溶ける気配がない。他のところも同様に溶けないらしい。「あれ?」というわけで、中学生が代わってかちゃかちゃかちゃと、わりと手馴れた様子で混ぜ混ぜ混ぜ。
 でもゼラチンは、溶けることを頑なに拒否し続けていた。

 ここでベテランが助け舟を出す。そう、温めるのだ。さっそくホットプレートの電源が入れられ、ボールを乗っけてゆるやかに温度を上げつつ、混ぜ混ぜ。
 さっきよりはだいぶ溶けてきた感じ。微妙に溶け残った固まりが点在してたりはするものの、なんとかバットに移し変え、冷蔵庫へ。1品クリア。

 続いてホットケーキ。女の子達(参加者は女の子ばかり、若干1名保育園な男の子が混じっていたが、彼はお姉ちゃんのお供である)は、わりと器用に卵を割っていた。みこりんも卵割りは出来る。出来るのだが、中学3年生から見るとすごい幼く感じられるのか、コンコンと卵にひびを入れるところまでやってから、みこりんに手渡してくれていた。

 牛乳を計り入れたら、あとはひたすら混ぜ。みこりんの手つきも、なかなかさまになっている。混ぜ終えると、ミルメーク等の味付粉末の投入。抹茶、イチゴ、ココア、バナナの4種類あった。なるほど、こうやればいろんな味のホットケーキが焼けるのだねと、ちょっと感動を覚えつつ。
 混ぜ終わったら、フライパン or ホットプレートで焼き焼き。ここは中学生の出番だ。みこりん達はひっくり返すのを手伝ったり、焼けるのを見守ったり、助手を務めている。

 中学生が焼いてるのを観察していると、一人一人、微妙に焼き方が違っているのに気がついた。分厚く大きな円を描くようにたらりと流し込んで、ほくほくに焼き上げるタイプ(焼きあがり確認のため、箸でぷすっと刺すのも忘れない)。うすーく伸ばしながら、ちゃっちゃと小さく焼き上げてゆくタイプ(焼きあがり確認は特にせず)などなど。各家庭に伝わるホットケーキ焼きの秘伝を見たような気がした。みこりんも、やがてLicの手法を身につけ、こうやってホットケーキを誰かのために焼いたりするようになるんだろうなぁ…(しばし遠い目)。

 焼きあがったホットケーキを、各自皿に取り分け、フルーツや生クリームで飾りつけ。そして、いただきます。私はみこりんの皿に乗ってる4つのホットケーキが気になったので、自分のにはあえて手をつけず見守った。たぶんみこりんでは、これをすべて食べきるのは無理っぽい。生クリームのついたやつを持って帰るのもなかなか難しそうなので、余ったら私が食べよう。ノーマルなホットケーキはキッチンタオルにでも包めば大丈夫だろうし。

 冷蔵庫で冷やしていたゼリーが運ばれてきた。たっぷんたっぷん表面が揺れている。どうみてもゼリーというよりは、普通のジュースみたいな…
 もしかして失敗?やっぱ失敗?みたいな高速言語を用いた会話が、女子中学生6人の間で交わされているもよう。しかしまぁ素材はそもそもジュースなんだし、飲めれば大丈夫なんじゃない?
 お玉でコップに当分に注ぎ分けられ、実飲。

 ん、ジュースだ。
 底のほうにたまったゼラチンの固まりは、ストローですくって食べ。
 もう1種類のジュースで作ったほうは、若干とろーりとした感触があった。こっちは成功?でも彼女たちの手書きのレシピによれば、固まったゼリーをクラッシュして飲む、と書いてあるので、これでもまだ足りないのかもしれない。

 *

 それぞれのコーナーが終わると、中庭で中学生達の作った模擬店を物色。事前に券が配られているので、みんな1回ずつ全部回れる仕組みになっている。みこりんはまっさきに金魚すくいコーナーに向かった。
 暑さでへろへろ状態のちっこい金魚が横長の生簀に入れられ、すくわれてゆく。一人5匹までということだったが、みこりんが手にしている“水にぬれたら破れやすくなる紙製のポイ”では、1匹もすくえないんじゃ…。
 じつは用意されていたポイには2種類あって、今みこりんが使ってる普通のタイプと、絶対に破れないプラスチックのメッシュで出来たポイがあった。男の子達は、その破れないポイでがんがん金魚を追いかけどばっとすくってゆく。その迫力に圧倒されたか、しばしみこりん中断中。そろそろあきらめるかな?と思ってみていたのだが、あえて破れやすいポイを選択したみこりんは燃えていた。
 男の子達がいなくなると、金魚すくい再開。なんと結局5匹とも自力ですくいあげたのだった。

 満足気なみこりん。ビニール袋に入れられた5匹の金魚は、しかし、ちょっと弱弱しかった。2cmに満たない幼いサイズということもあるし、この炎天下、乱暴に扱われてればそら弱る。もしかすると全部ダメな可能性もあったが、それは今は内緒。

 水風船釣り、水鉄砲による射的、お菓子のくじ、スイカ割り。最後は花火で〆のはずだったが、みこりんは自分のすくった金魚が気になるらしい。みこりんの目から見ても、弱ってるのはわかるのだろう。みこりんから「はやめに帰って、金魚をすいそうに入れたい」と言ってきた。
 ちょうどスイカが振舞われている最中だったのだが、撤収。みこりんが食べ物よりも生き物を優先するとは…、先ほどのホットケーキがかなり効いているようだ。

 帰宅早々、金魚をまずプラケに移して、金魚水槽に浮かべる。温度あわせと水あわせを慎重に行いつつ、やがて水槽に投入した。ふらふらーっと散ってゆく赤ちゃん金魚たち。
 この水槽は、半分以上を水草の森が占めている。やがて金魚の姿は森の奥に隠され、見えなくなった。

 *

 夜、金魚を3匹ほど確認。願わくば長生きしますように。


2006.8.7(Mon)

パイン酢

 先日の土曜日のこと。プールでいい感じに疲れていたので、晩飯はパスタとピザの店で食べてゆくことになった。Licがその店に会員登録してあるとかで、花火大会特別3割引中、というのが決め手だった。

 料理を注文した後、いつものようにドリンクバーへ。そこで私は、見慣れぬ液体と出会ったのである。
 それこそが、“パイン酢”だった。

 パイン酢を詰めたボトルのそばにあった“作り方”の説明によれば、まずグラスにワンプッシュ“パイン酢”を注ぐ。そのあと、炭酸水で薄めるだけでよいらしい。ふむふむ。
 さっそく実行に移す。ぷしゅー、しゅごごごごご。

 パイン酢というからには、パインで作った酢なのだろう。
 酢、…。うまいのだろうか。うちの冷蔵庫には、ブルーベリーの酢が眠っているが、あんな感じなのかな。薄め方がとてもシビアで、濃すぎたり、薄すぎたり、なかなかおいしい配合に出会えていないのだが…。

 若干の不安を覚えつつ、パイン酢ドリンク、実飲。

 「!」

 なんという爽やかな味わい。しかも酢っぽくない後味のよさ。これは美味い。美味すぎる。
 飲み干した後、再度、パイン酢ドリンクを作ってしまったほどである。その時点でパイン酢の残りわずか。かなりの人気らしい。

 あとで検索してみたところによれば、“パイン酢”だけで500件ほどヒットがあった。(株)ディ・ハンズの“パイン酢プラス”がやたら目に留まったが、それ以外にはあるんだかないんだか、いまひとつよくわからない。今度買い物に行ったときに、酢のコーナーを調べてみるとしよう。


2006.8.8(Tue)

台風接近

 台風が接近中らしい。
 夕方、窓の外が不気味にセピア色に染まっていた。遠くの空だけではなく、すぐ目の前の庭一面がセピアのフィルターを通したかのごとく、変色してしまっているのがなんだか妖しげ。夕焼けとは明らかに異なった光の変化だ。
 そういえば、去年の台風の前にも、こんなふうになったような気がする。みこりんがたいそう怖がっていたことを思い出す。

 台風の通過予想時刻は真夜中から朝にかけて。警報が明日の朝も出ていたら、学童保育は休みになる。
 天気予報の図によれば、今のところ直撃コースだった。

 みこりんが久しぶりに一人で眠るのが怖いといって、なかなか部屋に行こうとしなかった。みこりんの怖いもの、それは、雷、台風、そして虫。
 私も台風は嫌いだ。庭の植物たちがめちゃくちゃになるから。できれば上陸せずに消滅してほしいものだが、さて…、どうなってることやら。


2006.8.9(Wed)

なす

 朝からすさまじい暑さだった。台風は結局、大幅にコースを北寄りに変えたようで、一滴の雨も降らさず去っていってしまったようだ。いいんだけど、ちょっと微妙。職場では、始業前からすでにエアコンがフル稼働だ。

 朝イチの仕事は、先日届いたばかりのNASをセッティングすること。NAS(Network Attached Storage)といえば、近頃では家庭用のラインナップも増えてきて、値段もほどよくこなれ、一般的な存在になってきたように思われる。業務用だとウン百万とか平気でするものもあるが、家庭用は数万円、高くても10万ちょい。じつに安い。

 うちの会社では、全社的なネットワークの管理やファイルサーバの設置運用は、専用の部署があってすべてそこが一元管理することになっている。しかしながら、大掛かりな組織になればなるほど、小回りの効くかゆいところに手が届く的な運用はちょっと苦手。だから、こうして所属単位の小規模なファイルサーバなんてのは自前で用意したりなんかするわけで。

 今日セッティングするNASは、思いっきり家庭用である。たぶん3万円もしてないはず。それでも300GBの容量はあるので、10人程度のグループにはちょうどよい。
 じつは3年ほど昔、やはりファイルサーバとしてNASを買い、運用していたのだが、この時のやつは50万程度の、高くもなく安くもなくといった程度の代物。それでも一応業務用なのでRAID5(1台のハードディスクが故障しても、運用を停止しなくてもよいシステム)なのはもちろんのこと、ホットスワップ対応と、それなりの性能は持っていた。
 ところがこいつが今年になって、あろうことか故障してしまったのだ。RAID5でありながら、1台のハードディスクの故障によって、まったく起動不能な状態に orz...
 RAID5の意味ないじゃん。やはり買うんだったら、それなりの値段を出して“本物”の業務用にすべきだったのかもしれない。

 だが、もう1つの考えもあった。RAID5にしていても、壊れるときは壊れるんだし、だったら安いNASを2台買ってミラーリングさせて、思いっきり消耗品扱いにしても問題ないんでは、と。壊れたら修理とか考えずに、新しいのをまた買ってくりゃいいじゃん、と。
 家庭用のNASなら、5万円も出せば容量的には問題ないし。すぐ買えるし。2台でミラーリングさせるので、片方壊れても運用には支障ないし。

 というわけで、家庭用NASの登場となったわけである。
 接続するときにワンテンポ遅かったりという弱点はあるものの、まぁこの値段(3万円)なら許容範囲だ。たぶん来年か再来年には、もっといい家庭用のが出てくるはず。その時にさくっと買い換えれば済む話だ。アカウントの管理だけはNASごとにいちいちメンバー分登録するのは面倒なので、別に運用してるサーバに一元管理でお任せ。この機能がついてるのは、かなり便利。しかし家庭用(明確にそう書いてあるわけではないけど)なのになんでこんな機能が有効になっているのか…。やはり、ひそかにビジネス用途も結構あるのだろうなぁ。


2006.8.10(Thr)

母その2

 うちの家庭内LANでファイルサーバ的役割を担っているのが、Licの使ってる“PCその2”だ。Licの“PCその1”は、もっぱらFFXIが終日動いているので、チャットや調べもの用途として“その2”は使われている。そのついでに、ハードディスクの余剰エリアを共有領域として活用していたのだが、近頃この“PCその2”に怪しい動きが…。

 いきなり画面が固まってしまって、無応答になってしまうこと多し。特に高負荷をかけたときに頻発する傾向があるので、熱暴走のような気もしつつ、そうでない状況でも固まるときは固まってしまうため、そろそろマザーボードが壊れつつあるのではないかと思われる。
 うちのPCのCPUはすべてAMDで揃えてあり、現役マシンは今となっては旧式もいいところのSocketAタイプ。私のPCとLicの“PCその1”のマザーボードも、昨年暮れに電解コンデンサがお亡くなりになりつつあったため、新品と交換済み。その時に“PCその2”にも新しいマザーボードをつけてやってればよかったのだが、予算的な問題で後回しにしたツケが今になって回ってきたということだろう。

 すでに世間の主流はSocketAM2であり、SocketAなぞ「何それ?」みたいな扱いに…。
 地元にパーツ屋がないため、この手の買い物はネット通販に頼るしかない。で、在庫を探してみたものの、これがもう非常に選択肢が少なくなってしまっている。というか、選べないといった方がいいかもしれない。
 しかしこの時期を逃すと、多分おそらく二度ともうSocketAのマザーボードの新品を買う機会はなくなってしまうだろう。もっとも、これを機に新型に移行という悪魔の誘惑は常に耳元で囁き続けているのだが…。それをやっちゃうと、ほとんどのパーツを何から何まで新調せねばならなくなってしまうので、かろうじて耐えている。ここは我慢のしどころだ。限られた資金は有効に使わねばなるまい。

 というわけで、在庫がなくなってしまう前に、とっとと注文しておこう。


2006.8.11(Fri)

異変

 やっと梅雨が明けたかと思ったら、連日の猛暑続きで、血沸き肉踊る今日この頃。熱中症には特に注意。いや実際、会社の方でも病院に担ぎ込まれて危なかった人もいたとか…。危ない危ない。

 夜になっても昼間の熱気はなかなか冷めやらず。
 異変に気付いたのは、スズムシのキュウリを取り替えようとプラケのふたを開けたときだった。

 「…、な、なんてこった!」

 屍累々。
 しかもなぜかオスばかり。メスの方が強いというのは、スズムシにも当てはまるのかもしれない。
 昨日まで圧倒的にオス過多だったプラケの中が、一夜にしてハーレム状態になってしまった。

 真夜中、届いてくるスズムシの音が、わびしげに聞こえる。
 明日からお盆休みで9連休。なんとなく、夏も、もう終わりな予感。


2006.8.12(Sat)

お盆休み初日

 お盆休み初日ということもあり、まずは盛大に寝倒す。時間を気にする必要がないということが、かくも心地よいものだったとは。
 しかし太陽の高度が上がるにつれて、急上昇してゆく室内温度。じっとしていても、汗がつつーっと胸元から脇腹にかけて流れてゆくようになってくると、横になってるのが逆に苦痛へと変わってくる。
 というわけで、起床。…あぁ、窓の外が、白く輝いている。静かな土曜日の始まりだった。

 みこりんはすでに起動しており、せっせと夏休みからの宿題を片付けている。それが終わらないと、みこりんの本当の夏休みはやってこないので、叱咤激励しつつ今日までやってきたわけだが、ついに最後のページへと到達し、やがて終了。
 ん、合格。本当はもっと早く渡す予定だったものの、みこりんには内緒で宿題が終わるまで封印していた“たまごっちのプチプチおみせっち ごひーきに”を手渡してやった。初回特典付きのやつだ。
 みこりんはゲーム売り場の近くを通りかかるたびに、“ごひーきに”のパッケージを指差しては、「初回特典って、いつまで付いてるのかなぁ?」と心配していたのだが、いざそれを目の前にして、みこりんはじつに控え目に喜びを表現していた。まぁ、宿題やってなかったという負い目もあるのだろう。でも午後にはすっかりそういうわだかまりも消えたようで、嬉々として初回特典であるDS用ポーチにDSを収納し、持ち歩いていた。

 *

 午後になって暑さもさらにヒートアップしてきたが、リビングの床はほどほどにひんやりと心地よく、ついそのまま長々と寝そべって、昼寝などぶちかまし。セミの声が耳の奥にいつまでも残り、ずっと聞いているとなにやら夢と現実との境界線が曖昧になってきたような…
 玄関のチャイムが鳴り、みこりんのお友達がやってきた音。階段をぱたぱたと上がってゆく音。2階の部屋から届いてくる子供らの声。やがて外に遊びに出かけ、しばし静寂。
 子供たちが戻ってきた音。
 そんな音を聞きつつ、半覚醒状態のまま、横になっていると、いつのまにかLicが背中の上にいた。日頃背中や腰が痛いといっていたので、揉み解してくれているらしい。
 窓の外はすでに夕暮れ。あぁ、夏だなと、しみじみと思った。


2006.8.13(Sun)

『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』

 『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 スペシャル・エクステンデッド・エディション』、つまり3部作の一番最後のやつがようやくレンタル屋に戻ってきていたので、借りてきてみた。みこりんも期待して見始めたわけなのだが…

 30分過ぎた辺りで「ねぇこれいつごろ終わるの?」と言い出し始めてしまった。2枚組み、1枚辺り約2時間。全部で4時間超。まだまだ先は長い。
 1時間過ぎた頃、みこりんはすっかりグロッキー状態に。んー、一時中断すべきか…。

 結局、1枚目が終わったところで今日のところは終了。まだ2枚目が残っているわけだが、はたしてレンタル期間中に、みこりんの気力が戻ってくるかが心配だ。
 次回は30分刻みにしておこう。

冷蔵庫とマウス

 我が家の冷蔵庫が、そろそろあぶない。買ってからおよそ12年、休むことなく働き続けた冷蔵庫だったが、近頃ではモーターから異音が発生するようになっており、温度調節機能もどこか変だった。普通の冷蔵室に入れてるのに、妙に冷えすぎてたり、たまに軽く凍ってたりもし。逆に冷凍室の方では、氷が解けて再度固まったような形跡もあり。
 完全に壊れてしまってからでは手遅れだ。今は夏だし。
 というわけで、新しい冷蔵庫を求めて最寄の家電量販店へと出発。

 Licの事前調査によれば、日立がよいらしい。まぁ、モーターの日立だし、そういうもんかな、と思いつつ、展示品をチェック。観音開きタイプがいいというので、そちらを重点的に。
 ふむふむ、ニチレイとの共同企画品か。たしかに冷蔵室の作りが3段になってたりして、ものすごい収納スペースがありそうだ。これならモナ王を2ダース分くらいは余分に保管しておけるだろう。なかなかいいかもしれない。野菜室もわりと広くて使いやすそう。

 日立以外の製品だと、三菱、東芝あたりがなかなかよさそう。特に三菱は作動音が14dBと他社よりも4dB低いあたりが、ポイント高い。がしかし、扉の取っ手が下についてるのが、Lic的にはゆるせないらしい。扉は横からがしっと握れないと不便だというのだ。たしかにそういう体感的な使い勝手は重要かも。
 というわけで、残るは東芝。これの特徴はラップのいらない高湿度保存と、野菜室の微妙な温度調節機能で野菜も新鮮というもの。しかしこのへんは日立も似たような感じで、どっちもどっち。
 容量はともに約450リットル、値段も定価20万ちょいが特価で14万あたりにまで落ちている点も共通。

 裏のごんべさんにでも決めてもらおうかと思ったが、結局、モナ王2ダース余分に保存できそうな大容量の冷凍室&広い野菜室が僅差の勝利となり、日立に決定。Licは直感的にこちらが良さそうと思っていたらしい。みこりんは、外観的にはほとんど違いのない両者ゆえ、どちらでもよさそうな雰囲気だった。子供の背丈に若干配慮した東芝の方が、みこりんには使いやすいかもしれなかったが、1年もすればみこりんの身長は伸びる。あまり心配しなくてもたぶん大丈夫。

 冷蔵庫が決まったので、あとは私のマウスなど選んでみる。今使ってるマウスはホイールの調子が悪く、まともに使えなくなったので買い換えるのだ。

 マウス売り場にて。ほぼすべてワイヤレスなことに唖然とする。こ、これが最近の流行なのか。でもワイヤレスになったことで値段もそこそこお高くなっており、3000円とか5000円とか。昨年に比べたらこれでも随分安くなったとは思うが、マウスに3000円はなぁ…。私の場合、ワイヤレスである必要はまったくないし。

 有線でコードが細く、光学式で、ホイールがついてる2ボタン式。そんな簡素なつくりのマウスは、もはや売れないのだろか。この中からあえて選ぶなら、一番下のラックに並べられているエレコムの有線式マウス。これで1個2000円。うーん、まだちょっと高いな。
 迷っているうち、ふと端っこの方で隠れるようにして陳列されていたマウスに、目が留まった。パッケージには埃が堆積しており、古さを物語っている。しかし、コードは申し分なく細く、ホイールもちゃんとついている。形状は一昔前に流行ったエルゴノミクススタイルで2ボタン。白とグレーのツートンカラーが、なかなか渋い。
 そしてなにより、特価品。なんとこれで480円だ。メーカーは一応 Arvel なので、名無しの粗悪品というわけでもあるまい。
 よし、これに決定。

 帰宅後、さっそく買って来たマウスの使い心地なぞチェック。表面がラバーコーティングされているような感じで、手のひらにすぅっと吸い付くような不思議な感触。うん、悪くない。ホイールも無事操作できるようになったし、クリック感もよい。480円でこれなら必要にして十分といえよう。
 みこりんはくにゃっと曲がったような形状がヘンだと指摘していたが、それはいずれ慣れるので、あまり心配しなくてもたぶん大丈夫。


2006.8.14(Mon)

指定席

 私の実家は、ここからはかなり遠い。電車で約6時間、クルマだと約半日、バイクだと……、やばそうなのでこれは秘密。20代な頃は真夜中の高速を駆け抜けたりもできたが、もはやそんな体力はないので、できれば電車、さらに言えば、特急については指定席であることが望ましい。自由席のギスギスした席の取り合いは、二度と味わいたくはない。

 みこりんが小さな従姉妹に、とてもとても逢いたがっているので、帰らないという選択肢はできれば避けたい。かといって人でごったがえす環境は、私が非常に苦手としているため、可能な限りお盆休みのピークは外したいところ。幸い、9連休のため今週はずっと自由に使える(とはいえそのうち3日間は、有給休暇を強制的にとらされてるんだが)。ならば水木金あたりはどうだろうか。

 さっそくJRサイバーステーションで特急の空席状況をチェック。
 16日水曜日、ほぼ○。18日金曜日、こちらもほぼ○。なんだ、ぜんぜん余裕じゃないか。ほとんど×という状況もあり得るかと身構えていたので、ちょっと肩透かしを食った感じ。
 というわけで、さっそく最寄の有人なJR駅まで切符を買いに出かけた。最寄といってもクルマで軽く20分くらいかかっちゃうのだが…。

 駅にて。指定席申込書に、書き書き。駅員さんに手渡す。あらかじめ空席状況を確認してはいるものの、緊張の瞬間だ。
 端末をガラス越しにチェック。さくさくと入力されているようなので、特に問題はなさそうな予感。
 やがて、何枚もの切符が私の手元にやってきた。無事、希望通りの時刻で指定が取れたようである。

 みこりんには、まだこの夏、はっきりと帰省するとは言ってなかった。だから「夏がむりなら、秋でもいいよ」なんて言ってくれてたのだが、秋は秋で連休が少ないため、できれば帰省は避けたいところだし…。
 帰宅後、みこりんに水曜日から金曜日まで帰省することを伝えると、さっそく自分のリュックを持ち出してきて、準備を始めた。気が早い、というか、よほど待ち焦がれていたのだろう。
 それにしても、みこりんのリュックはでかい。私のデイパックよりも、二回りくらい大きい。もしかすると、みこりんのリュックだけで、荷物全部入っちゃいそうな感じ。私の持ってくものといえば、着替えを少々と数冊の本くらいなものだし。でもさすがにそれはなんというか、見た目ちょっと変?な気もするので、自分のは自分で持っていくことにする。
 電車の時間を利用して、未読の本を少なくとも4冊は読破したいところだ。


2006.8.15(Tue)

8・15

小泉首相が靖国神社参拝 終戦記念日は初

 中国、韓国による内政干渉に対して、毅然と立ち向かったことを評価する。
 そもそも、中国は日本を非難できるような立派な国家ではない。批判する資格はまったくない。中国は第二次大戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、チベット問題、近くでは天安門事件と、数々の侵略戦争に加担し、国民の人権を弾圧し、今なお共産党一党独裁の専制国家である。さらにいうなら、核兵器を保有し、弾道ミサイルで日本を常に狙っている。そのような野蛮な国に、日本が今なお戦後問題で恫喝されるいわれはない。

 韓国は反日で騒げればよいというような程度の国なので、はっきりいってどうでもいい。今なお、日本国の領土である竹島を侵略し続けている現状、何をいっても正当性を欠く。

 戦後、日本国内でも左翼勢力がマスコミを支配し、現在もその亡霊のようなものが無数に潜んでいる。今回も朝日新聞を筆頭に、批判合戦が繰り広げられることだろう。だが、ひたすら中国のご機嫌取りを行って、彼らはいったい何が望みなのか。中国による東アジアの支配の容認?冗談じゃない。
 一国の総理が、国内で行うことに、いちいち難癖をつけてくるようなヤクザまがいの国家に対しては、一切の弱みを見せないことが正しい対処法なのである。靖国問題を外交カードとして今後使わせないということを、今回明確に示したことは重要な意味がある。
 靖国で譲歩したら、次は尖閣諸島問題、教科書問題、南京大虐殺などと、際限なく次々に同じ手を使ってくるだけのことは自明の理だ。だからこそ、日本はそれに対して、はっきりと“No”を突きつけたのだ。

 小泉首相、Good Job!


2006.8.16(Wed)

帰省

 新幹線の中でお弁当食べ終わるまでは、みこりんもまだ元気だった。が、徐々になかなか目的地にたどり着かないことへの苛立ちが現れ始め、岡山から特急に乗り換えた辺りで、まだあと1時間以上もかかることを知らされると、完全にグロッキー状態に。指定席をあらかじめ取ってあったからよかったようなものの、これが自由席で立ったままなんてことになってたら、みこりんは燃え尽きて真っ白になっていたかもしれない。
 それでも途中、瀬戸大橋から左右に広がる海など見つつ(ちょこっと機嫌回復のもよう)、四国へと上陸。古い記憶にある駅名がアナウンスされる度に、確実に目的地へと近付いてゆく。

 心地よい揺れに、つい眠り込んでいたようだ。みこりんに揺り起こされて、はっとした。車窓からの景色になんだか見覚えがあるような…。「もう駅、通り越した?」と、みこりんがちょっと不安そうに聞くものだから、ひょっとしてやっちゃったかも?なんて思いつつ、腕時計を確認。切符に記載されている到着時刻を1〜2分オーバーしていた。ま、まぁ目的地の次の駅までは2分で着くし、そこで折り返せば大丈夫大丈夫、などと努めて平静を装ったりなんかして。
 しかし、やがて車内放送でアナウンスされた駅名は、目的地だった。やや遅れて運行されていたようだ。ほっと安心。

 *

 実家では、猫を2匹飼っている。小さかった頃のみこりんは、黒豹のようにでっかい猫に大泣きしたものだが、小学3年生になった今、さすがにそんなこともなく、猫が横を通り過ぎても平常心を保っていられるようになっていた。
 そして、みこりん待望の小さな従姉妹達がやってきた。弟夫婦は実家の近くに住んでいるので、晩御飯を一緒に食べることにしていたのだ。

 2年前は、ほにゃほにゃの赤子だった下の子も、片言ながら意味の通じる日本語を話すまでになっていた。上の子は、急に熱が出たとかでおでこに冷えピタを貼り、お母さんにくっついている。みこりんはというと、なぜかちょっと離れたソファに一人座って、慎重な気配。お互い意識しあっているのだけれど、ちょっと恥ずかしいみたいな?
 しかし、みこりんが事前に用意していたプレゼントの折り紙(イチゴとか、箱とか、手裏剣とか)が、二人の従姉妹に渡されると、急速に場の雰囲気はなごみ始め、数分後には、3人できゃっきゃと遊びに夢中になっていた。

 従姉妹の上の子でも、みこりんとの年齢差は5歳以上離れているので、みこりんがものすごくお姉さんに見える。ずっと従姉妹を抱っこしたがっていたみこりんは、今、やっとその思いが叶い、至福の表情をしていた。そのチャンスを逃さず、この夏10年ぶりに新型に替えたケータイをデジカメモードに変形させ、シャッターを切る。こうした記念写真用途ならば、これだけでも十分すぎた。デジカメを持ち歩かなくてもよくなったのはかなり便利かも。

 3人の子供たちは異様にハイテンションなまま、21時を過ぎ、22時が近くなっても離れがたく遊んでいたが、そろそろお別れの時間だ。明日は一緒に海に行く予定なので、小さな従姉妹達は素直に帰っていった。

 外は稲光が走り、雷鳴が轟いていた。台風が近付いているらしい。
 みこりんは、ティッシュで“てるてるぼうず”を作ると、南向きのガラス戸にテープで留めた。みこりんの“てるてるぼうず”は、意外に侮れない効果を持っているので、ひょっとすると明日は晴れたりなんかするかもしれない。
 23時頃、一緒に就寝。さすがに疲れていたのか、あっというまにみこりんは眠りに落ちていったのだった。


2006.8.17(Thr)

雨、のち晴れ、そして雨

 みこりんの“てるてるぼうず”の威力、おそるべし。そろそろ海水浴場に出かけようかという午前10時過ぎ、雨は止んでいた。

 クルマに乗ること十数分。海、到着。
 浜辺に人影はまばらで、ずらりと並んだ桟敷も閑散としていた。
 この海は遠浅で、延々と砂浜が続いている。青空に真っ白な入道雲が、どどんと立ち上がっていれば、とてもとてもよく似合うと思われるのだが、残念ながら今は灰色のくすんだ空がのっぺりと頭上に貼りついていて、いまいち盛り上がりに欠ける。でも、子供たちはそんなことはお構いなしに、上機嫌だった。

 小さな従姉妹達は浮き輪につかまって、波間をゆらゆら。みこりんは今年、バタ足で25m、クロールでも20m泳げるようになっただけのことはあり、浮き輪がなくてもぜんぜん平気。1年生の頃は、私がそばにいないと怖がっていたというのに、もはや自力でどこまでも泳いでいってしまう。
 みこりんの成長をうれしく思いつつ、少々寂しくもあり。

 網を持参してきていた弟が、何かをゲットしたもよう。砂遊び用の小さいバケツに移されたそれは、ガザミだった。しかも2匹。ちょうど手のひらにすっぽり収まるサイズの可愛いやつ。
 ここは砂浜、ガザミが隠れるにはもってこいの場所かもしれない。そういう目で浅い海中を覗いていると、そこここにガザミ発見。さっきまではヤドカリくらいしか目に留まらなかったというのに、見方をちょっと変えるだけでこんなにも違った光景が見られるとは。
 ガザミが砂に潜ったところを、両手でそっと砂ごとすくい上げれば、素手でも難なく捕まえることが出来た。みこりんにすくったばかりのガザミを見せてみたところ、「ふーん」というような、いまひとつな反応。手のひらサイズとはいっても、ちょっと怖かったのかもしれない。みこりんはカニよりも、貝殻の方に強い興味を感じているようだ。

 水底や波打ち際で、変わった形の貝殻を見つけてきては、もう1つのバケツにため込んでゆく。その中には巻貝の貝殻も混じっていたのだが、よーく見ていると、こそっと動き出したりなんかして驚く。ヤドカリが入っていたようだ。みこりんにそのことを指摘すると、「とってとって」と自分では触れないらしい。虫が苦手なみこりん、ヤドカリも同様らしい。
 みこりんが貝殻集めをしているのを見て、小さな従姉妹も貝殻を一緒になって集め始めていた。なんでも真似したがるお年頃。小さい手で拾ってくるのは、アサリとか、アサリとか、アサリとか、たまに波で削られ原型を留めていない美しい紅色の貝殻だったものとか。

 私はやっぱりカニがいいかな、というわけで水底に注意を向けていると、ささっと何か黄色っぽいカニが動いたのを見つけた。変わった色形のカニが、ガザミの死骸を抱きかかえるようにしてむさぼり食っているところだった。
 記憶にある限り、こんなカニは見たことがない。全体的に黄色で、背中にやや濃い茶色で網目のような模様が入っている。体長およそ5cm。ずんぐりした甲羅を身にまとっていた。
 近付くと、一瞬にして砂の中に潜ってしまったが、ガザミ捕りの要領で砂ごとすくいあげて捕獲に成功。ガザミが入っているバケツの中に、投入。ちょっと地味なガザミに比べて、その黄色い体色がとても鮮やかに感じられた。
 その後も、これと同種と思われるカニをさらに1匹捕獲。ベースとなる色彩が、やや青みがかっているという違いはあったものの、模様やカタチはほぼ同じ。わずかな時間で2匹捕獲できたということは、この砂浜にはもっとたくさんの個体が潜んでいるのかも(その後調べたところによれば、このカニはアミメキンセンガニというらしい)。

 あっというまに2時間経過。
 そろそろ子供らがお腹空いた攻撃を始めそうなので、生き物を海に返して、撤収。

 *

 午後から、大雨。私は死んだようにひたすら昼寝。なんだか体中が痛い。太陽に当たりすぎたせいかもしれない。

 夜、弟夫婦が花火を買ってきていたのだが、この雨ではちょっとなぁ…、なんていってるうちに、嘘のように雨は上がった。さっそく花火でしゅばしゅばと炎の饗宴。1本のローソクに、子供たち3人が順繰りに点火、しゅぼぼぼぼぼ、終了、のサイクルで巡る。花火を使い切ったあたりで、またしても雨が。
 なんだかこうも都合よく降ったり止んだりって…、もしやみこりん、ものすごい晴れ女、なのかも?


2006.8.18(Fri)

お別れ

 ずきずきと偏頭痛がして眠れない、なんてことを、留守番中のLic(にゃんちくん&スズムシ&鉢物の世話をお願いしてある)に真夜中ケータイでメールしたりしつつも、さすがに午前3時を過ぎたあたりから記憶は曖昧になっていた。いつのまにか思いっきり眠っていたようだ。
 起床。すでにお天道様は高々と頭上にあった。

 私が眠っている間、みこりんと小さな従姉妹達は、心置きなく遊んでいたもよう。しかし、そろそろ時間だ。
 帰りの電車の時刻が迫り、玄関でお別れしていると、「またきてね!」と何度もおっきな声で見送ってくれたのが印象的。

 帰りもすべて指定席をとってあるので、気分的にはかなり楽だ。でも、最初の特急が途中までひどく揺れたのは想定外。もともと乗り物酔いしやすい性質なので、やばかった。『客室の改装を行ったので快適な旅を…』と車内アナウンスがあったが、シートを新調しても線路がここまでボロいと、意味ないなぁ。

 岡山で新幹線に乗り継ぎ、ひたすら電車は走る。みこりんは車内販売のワゴンが来るのを心待ちにしていたのだが、14号車ということもあり、1時間くらい待たねばならなかった。しかも途中で軽食系な品が売り切れになっており、みこりんちょっとショックな様子。でもお弁当がかろうじて残っていたのは幸いだった。二人で分け分けして空腹を満たす。

 名古屋着。
 このあたりから、なんとなくみこりんの様子が気になりはじめた。疲れたのか、体があったかくなっていて、沈んだ表情。大丈夫だろうか。ゆっくり座れる各停にするか、さくっと次の乗り換え駅まで着ける特別快速にするか、少々迷う。
 迷った末に、乗換駅での接続がよさそうな特別快速を選択。案の定、座れなかったので立ったまましばらくの辛抱だ。
 みこりんは背中の大きなリュックを、なぜか下ろそうとしなかった。この挙動…、もしかしてこれは…。みこりん不調の原因がわかったような気がした。

 岐阜着。
 いよいよ最後の電車である。1時間に1本しかない路線のため、接続が悪いと延々ホームで待つことになるのだが、さすがに特別快速との接続は上々、ほどなくホームに電車が入ってきた。
 みこりんの表情はいよいよ暗く、シートに腰掛けると、そのまま横を向いてじっとしている。静かに電車は発車した。

 やがて見慣れた景色が車窓を流れはじめ、到着。
 みこりんの手を引いて、改札口を抜け、駅前広場へと。お迎えのLicはまだ到着していないようだったので、こじんまりとした待合室にてしばし待つ。やはりみこりんはリュックを下ろさない。
 Licのクルマが見えたので、みこりんをうながし歩き始める。とぼとぼと。この世の不幸を一身に背負ったかのような、みこりんの後姿。Licが「疲れたの?」と問うたが無言。私が「従姉妹と別れたのが悲しいんやね」と言うと、みこりんは声を上げて泣いた。

 *

 泣いてすっきりしたのか、その後、夕食をとるために入ったレストランでは、いつものご機嫌なみこりんに戻っていた。うん、まぁこういうのも悪くはなかろう、と思う。


2006.8.19(Sat)

冷蔵庫“R-SF47VM-1”登場

 注文していた冷蔵庫が、到着した。その時点で、私はまだ眠りの中にあったのだが、みこりんの「起きて」コールによって目覚めたのであった。
 どうやら冷蔵庫が大きいため、廊下を通らないかもしれないというのだ。廊下には以前撤去した90cm水槽を乗せていたキャビネットがまだ鎮座しており(内部にアカヒレが暮らす60cm水槽が稼動しているため)、そのキャビネットが若干廊下側にはみ出ているのが障害物となっているもよう。いざとなればそのキャビネットを動かさねばならないというわけで、私が眠りから召還されたらしい。

 着替えて、冷蔵庫様がしずしずと玄関ドアから運び込まれてくるのを見学。極めてぎりぎりだったが、なんとか玄関突破。続いて床に傷防止のためのマットが敷かれ、ゆるりゆるりと冷蔵庫様が廊下を滑るように進んでくる。そしていよいよ問題のキャビネットの部分に到達。
 横幅は、左右に1cmもないくらいの隙間しかなかったが、なんとか通りそう。でも、床に敷いたマットの厚みが邪魔で、するっと通り抜けられないようだ。そこで配送業者さんは、冷蔵庫本体を抱え上げ、突破することにしたらしい。ふむふむ、空っぽの冷蔵庫は意外に軽いのだなぁ、などと思いつつキャビネット突破を確認。あとはほぼ問題なく、冷蔵庫の指定席へと到着した。

 すでに古い冷蔵庫は運び出されており、中の食品類は、がんばって早起きしたLicの手によりクーラーボックスやら発泡スチロールの箱などを総動員して、温度上昇を抑えてあった。もちろんリビングのエアコンはフル稼働で、室内気温を下げている。
 新しい冷蔵庫の電源コードがコンセントに差し込まれ、冷却開始。でも、庫内が十分に冷えるまでは4時間ほどかかるらしい。それまで中に物は入れられないとかで、しばし待つ。

 *

 時間だ。
 収納開始。見かけの大きさは、以前の冷蔵庫とさほど変わらないように見えるが、出してあった物を入れてみると、ぜんぜん余裕なのがわかる。うーん、広々。しかも観音開きのドアのため、開けても圧迫感がほとんどない。あぁこれにしてやはり正解だったのだなぁと、Licの選択眼の鋭さを再確認したのであった。
 みこりんは氷自動生成装置がとてもとても気になるらしく(以前の冷蔵庫にそんな便利な装置は付いていなかった)、「まだかなー、まだできん?」と、氷ができるのを心待ちにしている。

 ごとっ

 ややくぐもった音が、冷蔵庫方面から発せられた。
 「できた!」みこりんは叫ぶと、さっそく製氷室を開けてみている。がらーんとした内部に、ちょろっと数粒の氷が散らばっていた。うぉぉ、氷完成。でもみこりんはもっと一度にどっさり氷ができると思っていた節があり、ややがっかり気味。まぁ一晩もすれば、すぐにいっぱいになるさ。
 氷よりも私には、3段の収納スペースを誇る冷凍室がやはり気になる。今はすかすかだが、今にモナ王どっさり買い込んできて、いつでもモナ王できるようにするのが当面の野望である。


2006.8.20(Sun)

『ロボッツ』

 帰省していた時から、妙に体がだるくてしんどいという症状があったのだが、今日になっても改善されず。ほぼ一日、ぐったりして過ごす。

 これだけではなんなので、昨夜行われた、自治会主催の夏祭りについて少々。
 夏祭りでは、毎年映画を上映するのが慣わしとなっている。団地の中央公園に、巨大なスクリーンを張り、そこに投影するので、ちょっとした屋外型映画館の雰囲気が味わえるのだ。
 もちろんターゲットは団地の子供達なので、上映作品もそれなりに考えられており、今年は『ロボッツ』だった。

 午後7時から始まるので、10分前にはみこりんと家を出た。そのまま徒歩で公園に向かう。夏とはいえ、そろそろ辺りは薄闇に包まれつつあった。
 公園には役員による夜店があり、みこりんはさっそくカキ氷を注文してしゃくしゃくと食べている。例年なら7時開始といっても、実際に上映が始まるのは辺りが闇に包まれる7時半以降だったりしたものだが、今年は間をもたせるためか、『忍たま乱太郎』が7時から上映開始となっていた。スクリーンの前に広げられた巨大なブルーシートの上には、子供達とその保護者がちらほらと。やや閑散といった感じ。やがてとっぷりと日も落ち…

 そしていよいよ『ロボッツ』上映開始。
 吹き替え版なので、ロドニーの声はユアン・マクレガーではなく、剛君の方。最初すぐにそうと気付かなかったほどには、はまってたような感じ。
 順調に上映は進んでいたが、ロドニーがロボット・シティに到着し、ビッグウェルド・インダストリーズから追い出されたあたりで、急にストーリーが飛んだような気が。もとからそうなのか、今回の上映のみの特別編成だったのかは不明だが、とても重要な何かが抜けたような気がする。なので物語が唐突に場面転換して、少々面食らった。みこりんも同様だったらしく、このあたりから徐々に映画に集中できなくなりつつあった。

 だれてきたみこりんを膝にのっけて、それでも最後まで見届けた。なぜビッグウェルド博士は社長の座を追われていたのか、どうしてドミノにはまってたのか、というあたりが謎のまま残って、いまひとつすっきり感に欠ける。台詞を聞き逃したのかもしれないが…
 スタッフロールが始まると、早々にブルーシートから出て、帰宅の途に付く。みこりんと手をつないで、暗い路地を抜け、我が家へと。しかしこの辺、街灯がほとんどないので、暗すぎ。団地内とはいえ、ちょっと心配だ。

 来年、みこりんはまた私を誘ってくれるだろうか。微妙かなー、なんてことを心配しつつ、帰宅。
 来年の上映作品は『時をかける少女』をぜひ。対象年齢高すぎて無理か…


2006.8.21(Mon)

マイ・チョコボ

 明日の早朝に行われるFFXIのアップデートでは、かねてよりアナウンスされていた“待望”のチョコボ育成が可能になる。私は過去FFシリーズは一切やったことがないので、チョコボ形態の生物といえば、どっちかというと『ナウシカ』に出てくるトリウマの方を思い浮かべてしまうのだが、いずれにしても愛らしい生き物には違いない。
 FFXIの世界では、これまでチョコボは生き物というよりはどちらかというとただの便利な乗り物的扱いをされていた。チョコボ乗り場でお金を払うと、自動的にチョコボに乗り、降りると消えてしまう、幻のような存在。それが今度のアップデートでは、自分専用のチョコボを育て、自由に呼び出せるようになる。マイ・チョコボの誕生である。

 生き物を飼うには、当然のことだが食べ物がいる。それに病気になったりするかもしれないので、専用の薬品なども必要だ。それらの品々は、すでに前回のアップデートで実装されており、各種合成で作ることは可能だった。
 チョコボ育成はユーザーからの期待も大きく、その人気に比例して食べ物や薬品等の必須消耗品類の中でも、高値が予想されるものがある…。という情報をLic(のフレつながり)で聞いていたため、その品を作れるようにすべく、突貫で合成スキル上げに励んできた。おそるべきことに私が帰省してる間も、妖精さんが代わりにスキル上げを継続してくれており、めでたく必要スキルに到達していたのであった。妖精さん、ありがとう。

 普段はまったりとスキル上げをたしなみ、赤字にならない程度に作った品物を売りさばくといスタイルなのだが、たまにはこういう激しいのも悪くない。目論見が外れて高値どころか不良在庫になる可能性もあったが、その駆け引きがオンラインゲームならではの楽しみでもあろう。
 というわけで、さっそく目的のブツに必要な素材を一気に集めにかかる。その品というのが競売やバザーで売り買いできないタイプの属性が付いているため、自分で集めに行かないと入手できないのであった。

 Licとそのフレの多大なる協力のおかげで、事前に準備しておいたその他の必要素材を大幅に上回る数をゲットできてしまった。
 作成した品は3人で分配し、明日に備える。はたして結果はいかに。


2006.8.22(Tue)

チョコボ育成:1日目

 出勤前に、Licと私のPCを起動し、FFXIのアップデートを済ます。思ったほどのファイル更新はなく、1分もかからずに終わってしまった。なんだかあっけない。主要な更新は、7月末の大規模アップデートに入っていたのかもしれない。

 10時間ほど働いてから、帰宅。
 さっそくチョコボの卵をゲットすべく、クエストをさくさくっとこなす。卵は店売りもしているのだが、やはりなんというかクエストの報酬アイテムの方がちょっと変わったチョコボになるのでは、という儚い希望もあり。

 みこりんも、チョコボを育てられるというので興味深く画面を覗き込んでいた。
 先にLicが卵を育て始めたので、みこりんも何度かお世話コマンド“見守る”を実行していたのだが、なかなか孵る気配がない。大きくなるのに1ヶ月(地球時間)はかかるという話もあることだし、そうそうぽんぽんと孵ったりはしないか。

 時刻が明日へと変わる頃、私の卵もようやく育成開始。このぶんだと、1週間くらいは卵のままで、餌等はいらないのかもしれない。でも競売の履歴を見ると、チョコボ用の餌は、かなり高騰している模様だ。生まれてから餌を買いにいって、売り切れてたりしたらたしかにショックはでかい。私も何か用意しておかねば。

 昨日ひたすら素材を集めて作った品(薬)が役に立つには、もうしばらくかかりそうな予感。

リンスで艶々

 リンスを使うと、髪を洗い流したあとに、首筋がぬるぬるするとかで、これまでリンス単体の使用を頑なに拒否してきたみこりん。ところが、なんと今夜は自ら進んでリンスを手に取り、髪に付け付け。
 しばらく後に、ざぁと洗い流して、「見て見て、つるつるよー」と、ご機嫌だ。

 みこりんの髪質は、ややLicに似て、くせ毛の傾向がある。だからリンスインシャンプーで手軽くすませるよりは、ちゃんとしたリンスを使った方がいいのではないか。と、過去に言ったような気はするのだが、なぜに今夜突然、みこりんは変わったのか。
 リンスインシャンプーがなくなってしまって、うっかりシャンプーとリンスを別々に使って洗ってやった時には、終始ぶすーっと膨れっ面になるほど嫌っていたというのにだ。

 わからない…。Licの言うように、おしゃれに目覚めたんだろうか。そういえば、近頃、Licの若かりし日に使っていたと思われる指輪を2つ、みこりんが持ち出してきていてちょくちょく指にはめてみていたような。
 ひと夏を越え、みこりんもぐぐっと成長したのだろうか。何がトリガーとなったのか、ちょっと気になる今日この頃。


2006.8.23(Wed)

入れ忘れたもの

 ふっと意識が戻った瞬間、枕元の目覚まし時計をつかみ上げ、時刻を確認する。

 A.M.8:10...orz

 ケータイのタイマーも合わせて3台も目覚まし道具を使っておきながら、どれ1つとして役に立たなかったとは。おそるべし、夏の夜の睡魔。
 時計の文字盤を見つめていても、時間が巻き戻るわけでなし。すっぱりあきらめて、午前中は半日休暇をとることに決めた。
 それにしても、みこりんも近頃は睡魔にやられっぱなしなのが気になる。夜の9時半〜10時の間には部屋に入って寝ているはずなのだが…。

 学童保育に行くみこりんのためにお弁当なぞ用意していると、階段方面でかたかたと足音がし、みこりん登場。昨夜、リンスしたので朝でもさらさらな髪であることをうれしそうに報告してくれた。ふむ、たしかにいつもはもっとぶわっと爆発気味になってたな。リンス効果か。

 お弁当には、昨夜Licが作り置きしてくれたカレーを使用。ご飯入れには普通の白米を。おかず入れの方には、ルーを冷えたまま詰める。ご飯入れには保温機能がついているので、ルーを特に温める必要はないのだとか。なかなかお手軽でよい。おやつ用のおにぎりは、みこりん自身に握ってもらった。

 みこりんにお弁当持たせて学校まで送っていったあとは、洗濯物干したり、鉢植えに水をやったり、にゃんちくんとじゃれあってみたり、まったりと過ごす。

 あぁ、なんて自由な時間…

 休息十分。お昼前、灼熱地獄と化したクルマに乗り込み、出勤。
 会社まであと5分という頃、ふっと思い出したことがあった。とても重要な事だ。
 さっそくLicに電話してみる。

 「あのな、みこりんのお弁当箱に、スプーン入れ忘れたかもしれん」

 Licによれば、学童保育の昼食時間は11時半からだという。今はとうに12時を回っている。すでに手遅れなのだった。
 みこりんはお弁当を食べることができたのだろうか。とても心配だ。

 仕事中も、そのことがずーっと気になっていたのだが…、仕事を終え、帰宅してからみこりんに聞いてみたところ、やはりスプーンは入ってなかったそうだ。でも、お箸を借りて食べちゃったそうな。
 カレーを箸で食べるのもなかなか高等技術を要するような気もするが、みこりんはやってのけたようだ。ん、よくやった


2006.8.24(Thr)

冥王星

 『太陽系の惑星の定義確定

 『「惑星の定義」決定に対するコメント

 今月に入って、太陽系の惑星の定義について様々な議論が活発化し、冥王星がどうなってしまうのか、雷王星の可能性は?などと興味は尽きなかったのだが、結局、冥王星が太陽系の惑星から外れることになった。

 宇宙は謎に満ちている。すべてがわかっているわけではない。ということを改めて実感した瞬間でもある。
 みこりんが宇宙の図鑑を開いて“冥王星”のページを眺めていたが、これも早晩改訂版が出されることになるのだろうか。
 さらば、冥王星(っていっても定義が変わっただけで、星がどうかなっちゃうわけではないのだけれど)。

 ところで、個人的にはこっちの話題『Voyager 1: 'The Spacecraft That Could' Hits New Mileston』の方が興味深かったりもする…。遥か未知宙域にて、彼女らは何を見つけるのだろう。みこりんの孫の孫あたりの世代で、ようやくVoyagerシリーズを後追いで追い越せるような宇宙機ができるのかもしれないが、その頃の宇宙にもやはりまだまだ謎は数多く残っているにちがいない。

 なんてことを書いてるこのテキストデータを、みこりんの孫の孫が、将来、電脳空間の路地裏で偶然発見したりする可能性は、なきにしもあらず。ヒトと違ってデータには寿命がないし。


2006.8.25(Fri)

地区大会

 前回のエレクトーン発表会からおよそ2ヶ月、いよいよ今日が地区大会の日だ。この地区大会には、かなりの強豪がひしめいているらしいのだが…。みこりん達も、衣装のハッピを新調し、気合十分で臨む。
 残念ながら私は仕事のスケジュールがきついため、今日は一緒に参加できない。付き添いのLicにしても、月末締め切りの多忙な時期なので、明日の土曜日に振替出勤となっている。

 スケジュール表によれば、午後からの演奏ということになっていたはずだが、そろそろ終わったかな?仕事の合間に、そっとLicにメールしてみたり。

 やがて、「いま、おわった」とメールがあった。
 惜しくも入賞は、逃したようだ。Licがビデオに撮ってくれているので、あとでどんな様子だったのかチェックしておかねばなるまい。
 ちなみに来週末には、はやくも次の発表会が控えている。なかなかみこりんも忙しい。


2006.8.26(Sat)

サーチエンジンの使い方

 みこりんがネットサーフィンする時には、あらかじめ私やLicが作成したみこりん用のブックマークを使うか、リンクをたどって関連サイトに飛ぶか、くらいだと思っていたのだが、今日のみこりんは一味違っていた。
 まず、なぜみこりんが一味違わねばならなくなったのか、そのきっかけとなった出来事を説明しよう。

 じつは先日の帰省中、海水浴からの帰り道、ふらりと立ち寄った一軒の手打ちうどん屋でのこと。店は大人が10人も入ればいっぱいになってしまうほどの狭さで、外観もなにやらうらぶれており、一見営業していないのではないかとさえ思えるほどの場所だった。
 正直「大丈夫なのか?ここ」と思ったのだが、なぜかそこにはTVカメラが入っており、まさに取材の真っ最中。狭い店内がいよいよぎゅうぎゅう詰めである。お品書きには、“かけ”と“冷やしぶっかけ”そして“天ぷら”の3品のみ。玉数は1〜3まで対応できると書いてあった。しかも安い。かけ1杯で200円もしないのである。
 “かけ”も捨てがたいが、夏なので“冷やしぶっかけ”をそれぞれ注文し、皆で食べた。麺はかなり腰が強く、小さな従姉妹達では無理なんじゃないかと思えるほどの立派な手打ちうどんであった。みこりんもはぐはぐと挑戦中。そんな様子が取材スタッフの目に留まり、小さな従姉妹達の食事風景がカメラに収められることとなった。みこりんも画面には入っていないが、声で出演。放送は26日、カメラ機材には“フジテレビ”と書いてあったそうだ(みこりん談)。

 というわけで、今日がその26日なのである。しかし、放送日はわかっていたものの、何時からの何という番組なのかは謎のままであった。そこでみこりんは、インターネットを使って調べてみることにしたらしい。

 「カタカナにするにはどうやるの?」という問いには、「ファンクションキーの7」と教え、「漢字にするにはどうやるの?」という問いには、「変換キーを押す」と答え。これだけで、みこりんはサーチエンジンを使い、フジテレビの番組表をゲットし、今日の16時半から“うどん”関係の番組があるということをつきとめた模様。
 サーチエンジンの使い方は、私やLicがやってるのを見て覚えたようだ。複数語によるキーワード検索が可能なことも知っていたらしい。

 16時半、みこりんはわくわくした表情でTVの前に座り、スイッチオン。
 だが、画面から流れてきたのはローカル局の独自制作番組だった。みこりんかなり落胆した感じ。
 「フジテレビなのに、どうしてやってないの?」と聞かれたのだが、うちで受信してるのはフジテレビ系列のローカルなテレビ局であり、違う番組をやることもあるのだという説明で、なんとなく納得したようだ。
 それにしても、みこりんが一人でサーチエンジンを自在に駆使できるようになったということは、大きな変化である。みこりん用のアカウントでログインできる環境は整えてあるものの(検索エンジンを子供用のYahoo!きっずにしてある)、いつもはLicのアカウントでログインしたままの状態がほとんどのため、ちょっと危険。
 使わないときにはログアウト。そして、そろそろフィルタリングツールの導入も考えなければならないだろう。みこりんがインターネットの暗黒面に触れるその前に…。


2006.8.27(Sun)

降下作戦

 数年前、茎の内部を虫に食われ、ほとんど枯死寸前まで追い込まれていた我が家のブラックベリーの木は、少しずつではあったが着実に息を吹き返しつつある。新しく芽吹いた枝には、花も咲き、実をつけるまでに回復した。
 みこりんもその実が熟すのを楽しみに待っていたのだが、結局、ブラックベリーの実は、完熟する前に干乾びてしまったようだ。残念そうにそれを見つめるみこりんの頭上には、盛大に伸びたプラムの枝があった。

 ちょっと育ちすぎたかも、なんて思いつつ、風に揺れるプラムの葉っぱを見ていると、とある葉っぱの輪郭に異様な突起物を発見。とても小さいものだが、無数に葉っぱ周辺に群れているような…。ま、まさか…。嫌な予感。
 それが毛虫のコロニーであることは、すぐに確認できた。毛虫は小豆色をしており、体長は1cm弱といったところ。幸い、密集しているため、葉っぱごと切除すれば大事には至るまい。みこりんにビニール袋を持ってくるように言い、剪定バサミを手に、他にも毛虫がいないかくまなくチェック。

 ビニール袋を手に戻ってきたみこりんを枝の下に待機させ、毛虫の密集した葉っぱを1枚ずつハサミで切断。そのまま袋の中に落とし込む。
 別の枝にも何枚か毛虫の密集した箇所があったので、そちらも慎重に1枚ずつ葉っぱをチョッキン。ところが1枚の葉っぱだけ位置が悪く、そのまま袋に落とし込むことができず、手で持って移動させることになった。まず枝から切り離して、と…

 次の瞬間、背筋に悪寒がはしる。切り離した葉っぱから、毛虫達がいっせいに糸を吐き、つーっと真下に降下してきたのだ。1匹や2匹なら可愛げのある芸でも、何十匹という毛虫が一斉にそんな真似をやらかしたら、かなり怖い。思わず手を離しそうになったが、ここで下に落とすと小さな毛虫を1匹ずつ拾い上げる羽目になる。そんな面倒なことになるまえに、この降下中のやつらを一網打尽でビニール袋に詰め込んでしまえ。そう思い直し、みこりんに「はやくビニール袋を!」と言ってみたのだが、「こわいー(泣)」と拒否されてしまった。…まぁ、たしかにちょっとこれはみこりん的には怖すぎかもしれん。
 仕方がないので、ビニール袋だけ手渡してもらい、片手に毛虫降下中の葉っぱ、片手にビニール袋という作業しにくい状況で、どうにか空中にあるやつらをほぼ袋の中に収容完了。少々袋の外に漏れたのもいたが、1匹2匹ならば特に問題なし。

 高い枝の先にも毛虫の集団を発見したので、脚立を持ち出し、ぽいぽいっと袋の中に取り込んでゆく。この毛虫達は振動に敏感らしく、ハサミを不用意に当てると、それだけで例の“つーっ”という降下作戦に入ってしまうようで、何度か驚かされてしまったのだが、その習性がわかってしまえば事前に袋で待ち構えることも可能で、ほどなくすべての集団を袋詰完了。
 袋の口を厳重に結び、庭の片隅に置いておく。次回のゴミの日にでも、出すとしよう。

 毛虫捜索の途中で、プラムの下から生えてきていた何かの木(たぶん鳥の糞で運ばれてきた種から育ったものだろう)の先っちょに、セミの抜け殻を発見していたので、みこりんに教えてやった。さっそく木の下に潜り込み、抜け殻をゲットしているみこりん。保育園な頃はセミのブローチといって近所の林でいっぱい抜け殻集めしたものだなぁ、などと思い出してみたり。
 結構大きなセミの抜け殻だった。たぶんアブラゼミなのだろう。クマゼミはこのあたりじゃほとんど鳴き声を聞いたことないし。

 しばし流れ行く雲なんか眺めているうちに、クロアゲハが1匹、ふらふら〜っと庭にやってきた。でも、蜜を吸えるような花がない。蝶はそのまま庭を通過し、どこへとも知れず飛び去っていったのであった。

ヤツの正体

 以前から、ウッドデッキと窓枠の境界線付近に、何か細かな粉のようなものが1mほどの長さにわたってうっすらと堆積しているのには気付いていた。木屑のような、でも木屑が木の上に乗っかっているというのも妙なので、たぶん虫が葉っぱなどを食べた残りかすかな?と思っていたのだが…

 それに気付いていたのは、私だけではなかった。もう1人、みこりんがいた。
 そのみこりんが妙に自信満々な表情で、そこを調査したいので、ここにあるケージやら水槽をどかしてほしいと言うものだから、私もなんだか気になって、さっそく障害物となっているそれらをどかしてやった。
 ごそごそと隙間に入り込んでゆくみこりん。ばさばさと、何かを集めている雰囲気。やがて私は、驚愕の事実を目の当たりにすることになる。

 みこりんが「ほら、こんなにいっぱいあったよ」と、這い出してきた先ほどのウッドデッキと窓枠の境界線を指し示す。そこにあったのは…、「な、なんじゃぁ、こりゃぁ!?」
 目が点になっていた。みこりんが集めてきたのは、桃の種だった。そう、庭に植えてある“ほうき性花桃”の種だ。毎年、たくさんの実をつけ、落下する。その種が、なぜウッドデッキのこんな場所に集積されているのか…

 みこりんがさらに解説を加えてくれる。「ここ見てみー、かじったあとがついとるやろー?」
 む、むぅぅ、たしかに。何十個(もしかすると100個はあるかも)と並ぶ種の1つ1つに、直径1cmほどの穴が穿たれているのだ。ここに溜まっていた粉は、おそらくこれの削りカス。こんな芸当ができるのは………、ヤツか?

 5年ほど前からこのウッドデッキには、何物かが潜んでいるらしいことはわかっていた。植えたばかりのエンドウ豆を食われ、吊るしておいた干し柿は齧られ、バケツで乾燥させていた生ゴミが倒され、干しておいたチューリップの球根を食われ…、そしてこの齧られた桃の種だ。桃の種をこうも器用に齧ることの出来る生物…。みこりんの推理では「あのね、たぶんリスがおるんよ」とのことだが、たしかにこれはネズミというよりは、リスかそれに類するものの仕業のような気がする。ネズミが桃の種を両手で持ってカリカリする図よりも、リスがそうする図の方が、よりしっくりくるから、という感覚。たぶんみこりんも同じような想像をしているのだろう。

 時折、天井裏から聞こえてくる何物かの爪の音も、もしかすると…。
 リス、か。げっ歯類だろうという思いはあったが、その中にあってもリスはちょっと想像してなかったな。でも“リスの森”なんてのが近隣の街にあるくらいだから、あり得なくはないかもしれない。
 はたしてみこりんの予想は当たっているだろうか。確かめるべきか、このまま放置か。ネズミ捕り器にかかるリスというのもちょっと抵抗があるので、しばらく悩んでみようと思う。


2006.8.28(Mon)

白猫

 19時過ぎに仕事を終え、いつものようにクルマで帰宅。すでにあたりは闇が降り、ヘッドライトとぼんやりとした弱い街灯の明かりだけが頼りだった。
 ガレージにバックでクルマを格納し、エンジンを止める。Licのクルマはなかった。月曜日はみこりんの音楽教室の日なので、二人が戻ってくるまでもうしばらくかかるだろう。
 エンジンが沈黙し、静寂に包まれた車内から、何気なく前方に視線を移す。ヘッドライトは、まだ消していなかった。その光芒の中に、それは、あった。

 猫がいた。白い猫だ。黒いアスファルトの上で、白い毛並みはとても目立つ。
 ドアを開け、猫のそばに寄る。すでに絶命していることは明らかだった。口元が血でどす黒く染まっている。

 周囲には、かなり広範囲に血で擦れたような痕が付着していた。クルマに轢かれたにしては、少し妙な気もした。まるで、なぶり殺しにでもされたかのような感じだ。
 少し頭がぼぅっとする。道路の真ん中に立ち、血の痕を繰り返し、見た。

 そういえば、この猫、昨日、うちのガレージで遊んでいたやつだ。この辺りではあまり見かけない顔だった。
 箱…、箱を持ってこなくちゃ。このままじゃダメだ。

 家の中に入り、分解して保管していた段ボール箱をテープで留めて、組み立てる。そして軍手をはめ、再び猫のもとへ。
 お向かいの家の人が、出てきていた。私が段ボール箱を持っているのに気がつくと、なぜか「すみません」と声をかけられた。

 横たわる猫の脇に段ボール箱を置き、猫の肩に手を差し入れる。「まだ、温かい…」そのまま持ち上げると、手足がくたっと垂れ下がった。ついさっきまで生きていたかのようだ。
 箱に横たえ、蓋をし、抱えあげる。軽い。にゃんちくんよりも軽いかもしれない。昼間なら、隣の空き地にでも箱を置き、市役所の担当者が引き取りにくるのを待つところだが、あいにく今は夜だった。
 死んだ猫を入れた箱は、玄関脇に置くことにした。

 お向かいの人と一緒に、アスファルトに付着した血をホースの水で洗い流すと、そこに猫が死んでいた痕跡は消えてなくなった。

 軍手はそのまま捨て、手を何度も石鹸で洗った。その背後で、にゃんちくんが甘えた声で話しかけてくる。にゃんちくんは、今日も元気だ。そして、明日も、きっと。

 一掴みの塩を握りしめ、濡れた路面に撒いた。そして段ボール箱の上にも。ほんの気休めだ。
 やがて戻ってきたLicが、箱の中に猫の餌は一緒に入れないのかと言った。
 「いや、そこまではしないほうがいい。」
 関わり過ぎると、よくないことが起きるかもしれない。

 みこりんは、夜、他の猫が箱の中を漁るかもしれないと心配している。猫はたぶんそんなことはしない。でも、アライグマなら…。ウズラを惨殺された記憶が一瞬、フラッシュバック。
 真夜中、窓の外で、かすかになにかを引っかくような音を聞いた気がした。確認したい衝動に駆られたが、睡魔に勝てず、意識はやがて曖昧に…。そのまま眠った。


2006.8.29(Tue)

ヒナチョコ

 卵を託して、丸4日。ちょうど土曜日の夜に、チョコボのヒナが生まれた。その瞬間を、みこりんと共に画面を通して見守っていたのだが、ヒナチョコは想像以上に愛らしかった。ぽわぽわの黄色い産毛に、つぶらな瞳、ちょっとぼてっとしたぷりぷりのお尻、etc...思わずスナップショットを撮ろうとしたのだが、ヒナチョコお世話モード時はイベント扱いになってるらしく、撮影できず。じつに残念。

 その翌日には、みこりん用にLicが託していた卵も無事に孵り、3羽のヒナチョコが日々すくすくと育っている。
 そんなヒナチョコに食べさせる餌や薬になる薬草は、大部分が栽培によってしか得られない。目端の利く栽培職人達は、それらが実装された直後から増産体勢に入っていたようで、がんがん儲かっている様子。いずれは皆が手を出し始めて生産過剰になると、この高騰した価格も下がってくるのだろう。まぁだいたいリアルな経済と似たようなものかもしれない。
 私は私で、栽培するには植木鉢が必要になるだろうと思い、店売りしてるのよりはやや性能のよい植木鉢をせっせと合成で作りあげ、競売で売りさばき。皆、自分の持つ得意分野であれこれと試行錯誤している様が、なんとはなしに活気づいた街並みを見ていても感じる。

 でもそろそろ植木鉢の需要も落ち着いてくることだろう。というわけで、餌や薬の自給自足を目指し、倉庫キャラ5人にそれぞれ植木鉢を配給し、栽培に入ってもらうことにした。餌に加工するには調理に秀でたLicにお任せということで。
 ところで先週突貫で作り上げた例の高騰が予想される品(薬品)だが…、競売価格が非常に乱高下しており、売りに出すタイミングを計りかねているところだ。来月になれば、成長したチョコボが出場できるレースが実装される。この品がさらに高騰するか、取るに足らない品になってしまうかの分かれ目になるものと思われる。それまでに在庫をさばいてしまうか、温存か。悩ましいところだ。

 だんだんFFXIのプレイスタイルが冒険者から商売人に変わって来つつあるような気もしないではないが、まぁそれはそれでいいんじゃないかな。などと思う今日この頃。


2006.8.30(Wed)

MOON LIGHT MILE

 仕事でちょっと煮詰まってしまったので、帰り道、ふらりと地元の本屋さんに立ち寄ってみた。『MOON LIGHT MILE (13)』(作:太田垣康男)が新刊で出たのは知っていたのだが、Amazonで買うには1冊だけだと送料かかるしなぁ…、などと思っていたので、さくっとその場で平積みになってるやつを手に取った。今日買う、今すぐ買う。

 さらに、Amazonではちょうど品切れになっていた『ネムキ 増刊 百鬼夜行抄特集号 2006年 09月号』も、雑誌コーナーで平積みになってるのを発見。これも今日買う、今すぐ買う。

 通販だと、このレジまで持っていく言い知れぬ緊張感とか、本を探し出す手間とかがやや希薄かもしれない…。

 で、『MOON LIGHT MILE (13)』を、帰宅後、さっそく読む。
 あぁ、なんというか、ちょっと『王立宇宙軍〜オネアミスの翼〜』入ってる感じもしつつ、でも基本的にこういう系統の話は大好きなので、すべて問題なし。いやリアルの日本じゃ有人宇宙飛行なんて、たぶん私が生きてる間にはとても実現しそうにないし…。せめてフィクションでは熱くなりたい。

 月、か。近くて遠い天体。これもみこりんの孫の孫くらいの世代になったら、ありふれた普通の場所になるのかも…


2006.8.31(Thr)

夏休み最終日

 夏休み、最終日。
 といっても、みこりんは平日は学童保育のため学校に行っていたので、あんまり“休み”っていう実感はなかったかもしれない。
 でも、今宵のみこりんは何かが違っていた。

 いつもならビデオに録画してても、興味ある番組をやってるとついつい見入ってしまうことの多かったみこりんが、今夜はちゃきちゃきと風呂に入り、とっとと歯を磨いて、さくっと自室へと寝にいったのだ。あまりの潔さに、「な、なに、みこりん、大丈夫?」とか思ってしまうほどに。

 明日から新学期が始まる。みこりんは静かに燃えているのかも、しれない。


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